中通り42(福島市):吾妻山の麓に輝く黄金の果実(ハマナカアイヅ)
吾妻山の麓に輝く黄金の果実
福島市の西北部に位置する萱場(かやば)地区。
時を遡って100年、明治時代に栽培が始まった「萱場梨」は、この地区の名物です。
先日、知人の紹介で古くから萱場梨の栽培農家の「猪口果樹園」を取材してきました。
そして、遥か異邦の地で地道に農業に取り込むひとりの中国人女性に出会いました。
「萱場の梨はみんな美味しいよ。」
語ってくれるのは果樹園のオーナー、黄さんです。
梨農家が一番忙しいと言われる9月に取材しました。ちょうど、出荷に追われる日々の真っ最中でした。
親戚や知人の手伝いを借りながらも、連日夜中の11時頃まで選果や箱詰めなどの作業が続くと言います。
福島に嫁いだまで農業とは無縁だった黄さんが、今や萱場では一二を争う規模の梨園を切り盛りしています。
「あの時は本当に大変だった。でも自分は福島を離れようとしなかった。家族もここにいるし、大切に育った梨もあるからね。」
震災の被害や影響について問いますと、素直に答えてくれた黄さん。
数年前、東京で勉学した一人娘は卒業して、夫と一緒に福島市に帰ってきました。果樹園に若い力が増え、さらに活気に溢れているように感じます。
「これからは梨の品種を増やしたいし、ゆくゆくは近くの放置された荒地を借りて、梨園を拡大したいんだ。」
20数年前、農業の新参者だった黄さんが、しっかりした未来の展望を持つベテランになりました。
たゆまぬ努力して、実績を積んできた人にこそ与えられる、自信を感じました。
カメラのシャッター越しに映った姿は、一人の中国人女性であり、一人の立派な福島県民でもあります。
福島の復興を支えるのは、正しく黄さん一家のように、住み慣れた地を愛し、仕事を一生懸命こなす人々だと思います。
吾妻山の麓に実る黄金の果実は、これからも福島の魅力として、輝き続けるように。
(投稿者:徐)
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