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ラウンド農ふくしまWeb-センター通信(試験研究・業務)-

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年1月31日更新

令和5年度 試験研究・業務の紹介

令和5年度福島県有機農産物認証業務講習会(第2回)を開催しました!

福島県は平成18年から有機JAS登録認証機関となり、有機農産物の日本農林規格(有機JAS規格)に基づき認証業務を担っています。令和5年11月末までに、延べ135件の事業者を認証してきました。
この講習会は、有機農産物の認証事業者になるために必要な知識の習得を目的とし、有機認証における遵守事項及び申請手続き、JAS法及び有機食品の検査認証制度といった関連法規の説明や、生産行程管理者及び格付担当者の実務、申請書類記載方法といった認証申請に係る手続きの進め方や必要な書類について具体的に説明します。
12月6日に開催した講習会には28名が参加し、有機JAS認証取得に関する質問が多数出ました。

 安全農業推進部長の挨拶 講習会の様子

流通加工科のしごと

 こんにちは!生産環境部流通加工科です。
 当科は、農産物の鮮度保持、加工や栄養・機能性成分に関する研究を行っています。
 秋がくると、次々に農産物が収穫され、私たちの研究も最盛期を迎えます。実験室で、実験に励む毎日です!今はブドウの抗酸化成分の1つポリフェノールを分析しています。
​ 福島県産農産物が新鮮な状態で全国の食卓に届き、そのおいしさや栄養を皆さんに知ってもらえるよう、これからも研究に取り組んでいきます。

 ブドウのポリフェノールを分析中 実験中のブドウサンプル

 

畑作科のしごと

 

 これまでになかったほどの暑い夏が終わり、だんだんと肌寒く感じるような秋になると、まさに畑作科の出番です。
 大豆、エゴマ、ソバの収穫や、麦の種まきが始まるのです。畑作科ではこれらの畑作物を対象に研究を行っています。
 例えば、麦や大豆に関して、県内での栽培に適した品種(奨励品種)を選んだり、効果的な施肥方法を明らかにしたり、雑草の対策を調べたり...
 畑作科が扱う作物は種類が多く、一年を通して研究が途切れることはありません。研究員は季節を問わず、毎日充実した日々を送っています。私たち研究員は、「県民の皆様によりよいものを」との思いで研究を進めています。

 大豆の収穫 麦の種まき

稲作科のしごと

 稲作科では、水稲の栽培方法の研究などを行っています。
 「水田での収穫が終わった後、何をやっているの?」と思う方もいらっしゃるかと思います。そこで、稲作科の秋から冬にかけての仕事を紹介します。
 水田での収穫が終わった後、乾燥場にずらりと並んだ稲の坪刈りサンプルを使って収量、品質、食味などの調査を行います。
 収量については、試験内容で分けられた区ごとに、調査用の脱穀機や籾摺機などを使って、正確な収穫量を求めます。玄米の品質や食味については、分析機器での調査を行うとともに、研究員などの「目」や「舌」での評価を行います。この他、夏にサンプリングしていた稲や土壌の分析、原種(種子)の調製作業(脱穀、選別、発芽試験等)も行います。
 このように調査したデータを基に、収量や品質の良否についての要因解析や新しい技術を成果として公表しています。
 本年の稲の収穫も終了しましたが、収量や品質はいかがでしたでしょうか?
 今年の夏は例年にない暑さで、高温が収量や品質・食味に及ぼす影響に関する貴重なデータの収集ができました。これから、高温による影響の解析や次年度以降の対策をとりまとめていきます。

 乾燥場の坪刈りサンプル 収量調査(脱穀作業) 穀粒判別器・食味計

作物保護科のしごと

 作物保護科では、稲や野菜・花きを病害虫から守る方法について研究しています。
 10月には、ビニールハウスでイチゴの定植作業を行いました。
 イチゴにはいろいろな害虫が発生し、イチゴの品質が悪くなったり、収穫量が減るなどの被害が出ることがあります。作物保護科では必要最小限の農薬で害虫を防ぐ方法を研究しています。
 農家の皆さんが安定してイチゴの生産ができるようにがんばっています。

 イチゴの定植作業 イチゴの害虫(オンシツコナジラミ)

野菜科のしごと

 野菜科では、主に野菜の栽培に関する試験研究を行っています。
 今回は、施設における夏秋キュウリの隔離床養液栽培技術(注)を確立するための試験について紹介します。
 県内のキュウリ栽培では、ホモプシス根腐病やネコブセンチュウなどの防除が難しい病害虫の発生が大きな問題となっています。これらの病害虫は、土壌を介してほ場全体に広がります。被害を防ぐために土壌を消毒するには労力がかかり、消毒しても病害虫の被害を100%回避できるわけではないため、農家を悩ませています。
 そこで、土壌ではなく培地を使用することでこれらの被害を防ぎ、安定した収量を確保できる隔離床養液栽培技術の確立を目指して、品種や仕立て方法、整枝方法の比較等の試験研究を行っています。

(注):土壌以外の培地等を使用し、土壌から隔離して作物を栽培する方法。
    培地には、ロックウールマット(人造の鉱物繊維をマット状にしたもの)や、ヤシガラマット(天然のヤシガラを使用したマット)などがある。

 培地に定植する様子 管理の様子 成長したキュウリの様子 

宿根(シュッコン)かすみそうの輸出に向けた試験について

 福島県の宿根かすみそうは、夏秋期に全国1位の産出量を誇ります。会津地域研究所では、県内でも特に生産が盛んな昭和村の宿根かすみそうを、より品質のよい状態で海外へ輸出できるようにするため、昭和村の雪室集出荷施設において試験を行っています。
 まず、宿根かすみそうの花がたくさん咲くように24時間光を当て、品質が落ちないようにする薬液を吸わせます。
 宿根かすみそうは国内では水の入ったバケットに入れたまま出荷するのが一般的ですが、その方法で海外へ輸出するとコストがかかってしまいます。多くの宿根かすみそうをより安く輸出するため、宿根かすみそうを水から上げ、新聞紙等できつく包んで箱に詰めます。(宿根かすみそうを傷めないように梱包するのは中々難しいです...)
 梱包した宿根かすみそうは東京都の中央卸売市場大田市場へと送られ、家庭で飾った場合、きれいな状態で観賞できる期間が何日か、花はどのくらい咲くかを調査しています。

 光に当てて花を咲かせます 出荷を待つ宿根かすみそう 梱包された宿根かすみそう

営農再開に向けた新たな推進品目 ピーマンの栽培

 浜地域農業再生研究センターでは、東京電力福島第一原子力発電所事故による避難地域等の営農再開・農業再生を図るため、放射性物質対策、地力回復、鳥獣害対策に加えて新たな品目の導入に向けた実証試験も行っています。ここでは、そのうちの1つを御紹介します。
 中山間地域に位置する葛尾村では、令和2年度から営農再開に向けた新たな推進品目としてピーマンの栽培が始まりました。品目選定の理由としては、県内有数のピーマン産地である田村市に隣接し、栽培技術の習得や出荷体制が整備しやすい等、取り組みやすい品目であったからです。当センターでは、令和2年度から令和4年度にかけてピーマン露地栽培の実証試験、ソーラー自動かん水システム(注)の導入実証試験を行い、葛尾村でも田村市での生産と同等の収量を確保することができ、同システムを導入することで作業の省力化や収量増加が可能であることを確認しました。成果の詳細は営農再開技術情報として当所HP(https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/37208a/)に掲載されていますのでご覧ください。
 また、葛尾村に隣接する川内村においても令和4年度から新たに栽培が始まっており、今年度は、ピーマンのトンネル栽培の実証試験を行っています。露地栽培よりも早い時期に定植し、出荷時期を早めることで収益性向上を図る技術として、既に田村市において導入されていますが、川内村でも同等の効果が得られるかを調査しています。こちらは令和5年度の成果として今年度末に公表する予定です。

(注):水を流すポンプやタイマー等の電源をソーラー発電によって賄い、省力的・効率的に作物に水を与えることができるシステムのこと。
    日射量によって与える水の量が自動的に変化するため(晴天時は多く、曇天時は少ない)、作物が必要とする水を過不足なく与えることができる。

 収穫中のピーマンほ場 ソーラー自動かん水システム ピーマンのトンネル栽培

【探しています】クビアカツヤカミキリ(本県ではまだ見つかっていない特定外来生物)の情報提供にご協力をお願いします!

 クビアカツヤカミキリは平成24年に国内で初めて確認された外来種で(写真1)、令和5年3月現在、13都府県で発生が確認されており、隣県の群馬県、栃木県、茨城県にまで分布を広げています。この害虫は、幼虫がサクラやバラ科の果樹類(モモ、ウメ、スモモ、オウトウ等)の樹の中を食い荒らし、枯らしてしまうおそろしい害虫です。
 栃木県の調査結果によると、令和4年9月末時点で5市での果樹園で被害が確認され、被害が確認された市町における被害発生ほ場率は71%に及んでいます(https://www.pref.tochigi.lg.jp/g04/kannkyou/kubiakatsuyakamikiri.html)。
 また、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所からは、令和4年に「クビアカツヤカミキリはサクラよりモモを好む」という研究成果が公表されています(https://www.ffpri.affrc.go.jp/research/saizensen/2022/20220518-02.html)。
 本県の主力品目であるモモを守るため、早期に発見し、被害を最小限に食い止める必要があります。当所では、公園やサクラ並木を定期的に調査しており、農業総合センター果樹研究所においても、モモ園等を調査し、侵入を警戒しているところです。
 他県では、虫好きの小学生が本害虫を発見した事例があり、発見には県民の皆さまの協力が必要です。サクラのある公園などに出かけた際は、樹の根本や幹の辺りを注意して、探してみてください!
 万が一、疑わしい成虫や被害症状を見つけた際には、情報提供をお願いします。

<特徴>
 成虫は22~38mmで胸部が鮮やかな赤色、頭部・腹部は黒色でツヤがあります(写真1)。

<生態>
 幼虫は樹の中で2~3年過ごし、フラス(木くずや虫の糞が混ざったもの)を大量に出しながら樹木の中を食い荒らします(写真2、写真3)。幼虫は春に蛹になり、6~8月に成虫となって樹木の外へ脱出します。

<情報提供の際の注意点>
 類似した害虫による被害もあるため(写真4、5)、情報提供の際は、写真を添付してください。可能な限り写真の背景は白地、定規や大きさが比較できるもの(ボールペン等)を置いて撮影してください。

 なお、本害虫は特定外来生物に指定されており、生きたままの移動は禁止されています。

<連絡先>
 病害虫防除所(電話:024-958-1709)までお問合せください。また、クビアカツヤカミキリに限らず、農作物で見慣れない病害虫を見かけた際には、当所までご連絡ください。

 写真1:成虫 写真2:被害の様子 写真3:排出されたかりんとう状のフラス 写真4:類似した害虫による被害 写真5:類似した害虫による被害

分析課のしごと

 福島県産農林水産物に含まれる放射性物質のモニタリング検査をしています!

 分析課は、平成23年9月から業務を開始し、流通販売される本県産の農林水産物の放射性セシウム濃度を測定して、安全性を確認しています。
 令和4年度の出荷確認検査では、玄米や野菜、果実、原乳、食肉、水産物、山菜、きのこなど477品目、11,208点を検査しました。未利用の飼料作物1点で基準値(100Bq/kg)超過がありましたが、一般に流通販売している農林水産物に基準値を超過したものはありませんでした。
 分析結果はすみやかに福島県ホームページ「農林水産物・加工食品モニタリング情報」に公表していますので、どなたでもご確認いただけます。
 多くの方々においしい福島県産農林水産物の安心をお届けするため、国の定めた基準を遵守した試料の調製法の習熟、放射線分析機器の維持管理、IAEA(国際原子力機関)等の第三者機関による測定精度の検証など、厳格な検査体制の確保に分析課職員一丸となって取り組んでいます。
 また、国内外からの視察や取材に対応しており、本県産農林水産物の安全性確保の取組について情報発信に努めています。      

 検査の様子 試料調整法について指導する様子 視察者に説明する様子                      

養鶏科のしごと

 畜産研究所養鶏科では、地鶏の改良と地鶏肉の“おいしさ”の評価を行っています。
 福島県産のブランド地鶏である“会津地鶏”と“川俣シャモ”の種鶏(親鶏)を畜産研究所で維持・改良しています。具体的には毎年、体重がそろい、殻が丈夫な卵を多く産む種鶏を選抜し、交配を繰り返すことにより、ブランド地鶏の種鶏としての能力を維持しています。種鶏はそれぞれの地元で飼育され、地鶏生産の親鶏として飼養されています。
 また、ブランド地鶏の肉質を評価するため、実際に肉を食べてうまみやコクなどの味を評価する食味試験や、歯ごたえやうまみ成分について科学的に測定を行って地鶏肉のおいしさを明らかにし、より広く知っていただくための情報発信に努めています。

  会津地鶏 川俣シャモ 食味試験の様子 歯ごたえの測定(せん断力価)

環境・作物栄養科のしごと

 環境・作物栄養科では、水稲、畑作物、果樹などを栽培する際の環境負荷軽減技術、効果的・効率的な土づくり、施肥管理の技術、放射性物質の吸収を抑制する技術などを研究しています。
 近年、SDGsや地球温暖化対策への関心が高まっており、当科では、水田で発生する温室効果ガスであるメタンを抑制する栽培管理の開発、堆肥の有効利用、農業用肥料に使用されるプラスチック(注)の削減を目的とした代替肥料などの試験を実施しています。
 今後もみどりの食料システム戦略(農林水産省が策定した食料生産の方針)、環境と共生する農業の普及拡大に向けた研究を拡充する予定です。
(注):窒素肥料をコーティングし、肥料成分の溶出を作物の生育に合わせてコントロールするためにプラスチックが使用されることがある。

 放射性セシウム吸収抑制対策に関する調査 研究ほ場写真 水田土壌採取の様子

品種開発科のしごと

 お米の品種開発のための種まきを紹介します。

 「品種に勝る技術なし」という言葉があるとおり、優れた品種は生産量や品質を格段に向上させます。お米の品種開発には、10年以上の年月がかかりますが、毎年必ず最初に行うのが、種まきです。
 お米の品種開発のために、毎年のべ1,000以上の品種候補の種を播き、生育の経過や収量、品質、食味などたくさんの調査を行い、厳しくふるい落とすことを繰り返して、農家のもとで活躍できる優秀な品種を選び抜いていきます。
 そのため、品種開発科の種まきは、非常に手間のかかる緻密な作業です。担当者は、細心の注意を払いながら、今年はどんな有望な品種候補が出てくるのか期待して、種まき作業を行っています。

 種まきの様子 一粒ずつ種を播く様子 出芽した苗の様子  
  

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