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個別Q&A7-(7)事業場外労働のみなし労働時間制

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年1月31日更新
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(平成24年8月3日現在)

事業場外労働のみなし労働時間制

質問

 会社で営業を担当している者です。会社から、外回りの営業の場合、労働時間の把握が難しいという理由から、「みなし労働時間制」を採用したいとの提案がありました。営業担当の社員はみな携帯電話を持たされ、必要に応じて会社からの指示により動いているわけですから、労働時間の把握が難しいというのは理由にならないと思います。
  このような場合、法律でいう「みなし労働時間制」の適用はあるのですか。

答え

 事業場外で労働した場合であっても、ご質問のような場合、労働者が携帯電話を持たせられたことにより、使用者が業務の進捗状況を把握できるようであるならば、労働時間の算定は可能であり、みなし労働時間制の適用はないと考えられます。

解説

1、事業場外労働のみなし労働時間制とは  営業職のように事業場外で業務に従事している場合は、使用者の直接の指揮監督下にないため労働時間の把握が難しくなります。労働基準法では、このような場合に対処するため、「事業場外労働のみなし労働時間制」を設けています(労働基準法第38条の2)。この制度は、労働者が労働時間の全部又は一部を事業場外で労働した場合において、労働時間を算定することが困難なときは、原則として「所定労働時間労働したものとみなす」というものです。つまり、実際に働いた時間にかかわらず、就業規則等において定められた時間(所定労働時間)を労働時間として算定するというものです。

2、みなし労働時間制の対象  事業場外労働のみなし労働時間制の対象となるのは、(1)労働者が労働時間の全部又は一部を事業場外で労働した場合で、(2)使用者の指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難なときです。
  したがって、事業場外で労働した場合であっても、使用者の具体的な指揮監督が及ぶ場合には、労働時間の算定が可能であり、みなし労働時間制の対象とはなりません。これについて、次のような場合には適用がないとされています(労働省通達昭和63.1.1基発第1号)。
(1)何人かのグループで事業場外で業務に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
(2) 事業場外で労働する場合、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合
(3) 事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおりに労働し、その後事業場にもどる場合
 ご質問のように携帯電話を持たせられている場合ですが、使用者が定期的に連絡を義務づけたり、随時指示をしたりして業務の進捗状況を把握できるようであるならば、労働時間の算定は可能であり、この制度の適用はないと考えられます。

3、所定時間を超えて労働することが通常必要となる場合  業務を遂行するためには、所定労働時間を超えて労働することが通常必要となる場合が考えられます。このような場合には、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされます(労働基準法第38条の2第1項ただし書)。
 実際の労働時間は、業務の繁閑などにより、多少の差が生じることが考えられますが、この「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」とは、平均的にみれば業務を遂行するのに客観的に必要とされる時間をいいます。例えば、事業場外の業務が8時間で済むこともあれば、10時間要することもあるが、平均的にみれば業務の遂行に必要な時間が9時間であるならば、当該業務の遂行に通常必要とされる時間は9時間となります。
 所定労働時間を超えて労働することが通常必要となる場合は、業務の実態を最も熟知している労使間で協議し決定するのが適当であるとの考えから、労働基準法第38条第2項には、当該業務の遂行に通常必要とされる時間について労使協定を締結した場合には、その協定で定めた時間労働したものとみなすとの規定が設けられています。

4、算定した労働時間が法定労働時間を超える場合  みなし労働時間制の適用により算定される労働時間が法定労働時間を超える場合には、時間外労働をすることになりますから、法定労働時間を超えた部分については、別に割り増し賃金の支払いが生じます。

判例

○ 光和商事事件(大阪地裁 平成14.7.19 労判833号32頁)

 

 

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