答え 法律では、労働者から介護休業の申出があった場合、事業主は拒むことはできないとされています。また、事業主は、介護休業の時期や期間を変更することもできませんので、介護休業をするための必要な要件を満たしていれば、最低でも法律で定められた日数の介護休業をすることができます。 解説1 介護休業の権利 介護休業については「育児休業、介護等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に規定されており、労働者は、要介護状態にある対象家族を介護するために休業することができ、労働者からの申出に対し、事業主は拒むことができません(第12条1項)。 原則として要介護状態の家族を介護する全ての労働者(期間雇用者及び日々雇用者を除く。)が対象となりますが、勤続年数1年未満の従業員などの一定の従業員については、対象としないことを労使協定で取り決めた場合には、対象となりません。 なお、期間雇用者の場合、申出時点において以下のいずれにも該当する従業員が対象となります。 (1) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること。 (2) 休業開始日から93日を経過する日以降も引き続き雇用されることが見込まれること(93日経過した日の1年後までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかな者を除く。)。
2 介護休業を請求できる場合 対象家族が要介護状態にあるときに請求できます。 「対象家族」とは、配偶者(事実婚を含む。)、父母及び子(これらの者に準ずる者として、従業員が同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫を含む。)、配偶者の父母です(第2条4号)。 「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害のため、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態をいいます(第2条3号)。
3 介護休業の期間等 休業に際しては、労働者は、休業開始予定日の2週間前までに、対象家族が要介護 状態にあることを明らかにし、また、休業開始予定日及び終了予定日を明らかにして、書面で事業主に対し申し出る必要があります(第11条)。 介護休業を取れる期間は、対象家族1人につき原則1回、通算で93日を限度とします(第15条)。
4 介護休業を理由とした不利益取り扱いの禁止 事業主は、労働者が介護休業申出をし、または、介護休業をしたことを理由として、当該労働者を解雇する等不利益な取り扱いをすることはできません(第16条)。
5 休業期間中の賃金 育児休業、介護等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律には定めがありませんので、無給でもよいとされています。なお、その期間の所得保障として、原則として、休業前賃金の40%相当額が、雇用保険から「介護休業給付」として支給されます。
6 その他の制度 (1) 介護休暇 要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者は、事業主に申し出ることで、年度において5日まで(対象家族が2人以上の場合は10日まで)、介護その他の世話をするために休暇を取得することができます(第16条の5)。 (2) 時間外労働の制限 要介護状態にある対象家族の介護を行う従業員が申し出た場合には、事業主は、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはなりません(第18条)。 (3) 深夜業の制限 要介護状態にある対象家族の介護を行う従業員が申し出た場合には、事業主は、その従業員を深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させてはなりません(第20条)。 (4) 短時間勤務制度等の措置 事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する従業員が希望すれば利用できる短時間勤務制度やその他の措置(フレックスタイム制度、時差出勤の制度など)を講じなければなりません(第23条3項)。 (5) 転勤に対する配慮 事業主は、従業員に就業場所の変更を伴う配置の変更を行おうとする場合に、その就業場所の変更によって介護が困難になる従業員がいるときは、当該従業員の介護の状況に配慮しなければなりません(第26条)。 |