答え 組合活動は就業時間外に行うのが原則です。したがって、就業規則や労働協約によって許容されていない場合やその組合活動が慣行となっていない場合は、正当な組合活動であるとは認められません。 しかし、その組合活動が使用者の業務命令よりも優越的な価値を持つと解される例外的な場合には、許容する規定などが無くても正当な組合活動であると認められる場合があります。 解説1 職務専念義務と組合活動 労働者は労働契約に基づき、就業時間中は使用者の業務命令に従って職務を誠実に遂行する義務負っていますので、原則として就業時間中の組合活動は正当性を認められません。
2 就業時間中の組合活動が認められる場合 (1) 就業規則や労働協約に規定がある場合 就業規則や労働協約によって、就業時間中でも団体交渉や組合大会への出席などを許容する旨が規定されている場合や、上司の許可を条件として組合活動のために離席することを認める旨規定されている場合があります。 (2) 労使慣行上、許されている場合 明文の規定がなくても、上司の許可を条件として組合活動を行うことや、許可がなくてもその組合活動をすることが労使慣行となっている場合があります。使用者は合理的な根拠なしにこのような慣行を破棄することはできないとされています。 (3) その他 組合活動が使用者の業務命令よりも優越的な価値をもつと解される例外的な場合には、就業時間中の組合活動であっても正当性は失わないとした判例があり、?@当該組合活動が労働組合の団結権の確保のために不可欠であること、?A組合活動をするに至った原因がもっぱら使用者側にあること、?B組合活動によって会社業務に具体的な支障が生じないことの3つの要件が満たされる場合には、正当な組合活動として許容されるとしています。
3 就業時間中の組合活動と賃金カット 就業時間中に組合活動ができる場合でも、その時間に相当する賃金は、ノーワーク・ノーペイの原則に従い、カットされるのが原則です。 ただし、労働組合法第7条第3号但書では、「労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すこと」は経費援助としての支配介入にはあたらないとしています。 したがって、労使間の協議又は交渉の時間について賃金を払うかどうかは、労使の話し合いで決定することが可能ですので、労働協約中に賃金が支払われることを規定している場合もあるようです。 判例○ オリエンタルモーター事件(最高裁第二小法廷判決平成3.2.22判時1393号145頁) |