答え 有効期間の定めがある労働協約は、原則として有効期間中は解約できませんが、有効期間の定めがない労働協約は、少なくとも90日の期間をおいて、書面で相手方に予告すれば、労使のどちらからでも解約することができます。 ただし、労働協約の解約が労働組合の壊滅や弱体化が目的であるときは、不当労働行為と見なされる場合がありますので、解約する理由が合理的であるかどうかを十分検討するとともに、解約するにあたっては、労使間で十分交渉することが望ましいと思われます。 解説 1 労働協約の解約について (1) 有効期間が定められている場合 労働協約は、原則として有効期間の満了によって終了し、労働組合法第15条1項及び2項で、3年を超える有効期限を定めることができないと規定されています。 また、期間満了後の取扱いについて労使間の合意によって更新又は延長することができますし、労働協約に自動更新の条項を定めることもできます。 (2) 有効期間が定められていない場合 有効期間の定めがない労働協約については、当事者の一方が署名又は記名押印した文書によって(労働組合法第15条3項)、少なくとも90日前に相手方に予告すれば(労働組合法第15条4項)解約することができます。
2 労働協約の解約が不当労働行為と見なされる場合 労働協約を解約するに当たっては、解約の内容が合理的であるかどうかを十分検討し、労使間で十分協議するべきであると思われます。 判例では、組合専従者数を減らすことなどを内容とする使用者側の解約通知について、実質的な協議を尽くさないまま、使用者が労働組合に対して協定の解約を通告したことが、支配介入行為として不当労働行為と判断されたものがあります。 判例○ 駿河銀行事件(東京高裁判決平成2.12.26労判531号35頁) |