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2012年12月定例会 長期総合計画審査特別委員会 桜田葉子委員

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新
桜田葉子議員 
委員名桜田葉子
所属会派(質問日現在)自由民主党
福島県長期総合計画審査特別委員会平成24年12月
委員会開催日12月18日(火曜日)

桜田葉子委員

 我が国の将来推計人口だが、全体の人口が減少していく中、老年人口は増加し、社会を支える生産年齢人口及び未来の社会を支える年少人口が50年後には半分になるという。生産年齢人口、年少人口が減少するということは、社会そのものが衰退するということである。東日本大震災や原発事故に見舞われた本県は、さまざまな意味で、日本が向かっている未来の最先端と理解している。

 福島の再生なくして日本の再生なしと言うのであれば、この「ふくしま新生プラン」は日本の道しるべになるべきである。30年後の人と地域が輝く「ふくしま」を目指す礎の1つである未来を担う子供の教育は何よりも大切である。

 教育は人をつくる。人は地域をつくり、国をつくる。その教育を受けている子供たちを生き生きと育まなければ福島の未来も日本の未来もない。学校教育の期間は子供たちに与えられた大切な時間である。授業の中で、知識だけでなく、考える力、自分の思いを自分の言葉で話せる力、自分の夢をかなえる力、生きる力、そして何より教師が授業を通して感動を与え、1人1人の可能性を引き出す立場にあることが求められていると、私自身が教師の立場からも実感している。教育の質は教師の質であり、その質は授業にあらわれる。未来を担う子供たちを授業の中で心豊かに育まなければ、福島の未来につながらない。

 そこで、主要施策において、「生き抜く力を育む教育を進める」とあるが、そのためには授業が何より大切だと考える。学校教育において、授業というものをどのように認識しているのか。

教育長

 「知・徳・体のバランスのとれた社会に貢献する自立した人間」を育成するためには、学校における日々の授業の充実を図ることが最も大切であると認識している。

 今後とも、授業研究や指導主事による学校訪問等を通して、授業の質を高めるとともに、教員の経験年数に応じた研修や、授業改善のための研修等の充実に取り組み、教員の授業力の向上に努めていく。

桜田葉子委員

 先日、鹿島小学校、鹿島中学校、小高小学校、小高中学校の津波被災を生き抜いた子供たちに本物の音楽を届けたいと、世界的アーティストである千住真理子氏によるバイオリンコンサートを開催する機会を得た。

 震災から1年9カ月がたち、震災当時の被災した学校を調査したときとは違い、仮設校舎で1クラス1教室という環境を想像して訪問した。

 しかし、鹿島小学校の校庭に設置された福浦小学校、真野小学校の仮設校舎では、私の背丈ほどのパーティションで区切られた1つの教室で、2学年が授業をしていた。狭い上にほかのクラスの声が聞こえ、学習環境としては劣悪である。1クラスで1つの教室を使うのは当たり前であり、最低限の教育条件である。これは単に、教室という学習環境だけにとどまらず、子供たちにどのような教育を提供するかという教育委員会の姿勢にかかわるものである。

 今もこのような状況で、遠慮した授業が行われている。児童は笑うときに口に手を当て、教師も小さな声でしか授業できない。私が教師なら授業はできない。

 このような状況をどのように認識しているのか。

教育長

 仮設校舎の限られた教育施設の中で、児童の学習を充実させるため、2つの学校のそれぞれの教育課程に基づいた教育活動を展開する必要があることから、1教室を2クラスで使用していると聞いている。

 今の状況は良好な学習環境でないと認識しており、外国語活動等の指導に当たっては、隣接する校舎の空き教室の利用等について助言してきた。

桜田葉子委員

 政調会で質問した際には「確認する」とのことであった。その後改善案の説明を受けた際には、教育委員会は現地には行かず、南相馬市の教育委員会に電話で確認したところ、南相馬市も劣悪な教育環境であると認識しているという書面をもらったとのことであった。もう一度確認してほしいと述べたところ、きのうになって教育長は4月に視察をしており、その後6月に2回、7月に2回、11月と5回にわたり、教育事務所が視察をしていることがわかった。先ほどの答弁では「聞いている」とのことだったが、これをどのように理解したらよいか。

 また、小中学校は市町村教育委員会の管轄であるが、小学校でも中学校でも、高等学校であっても、そこで学ぶ子供たちは福島県の子供であり、私たちの宝である。「ふくしま新生プラン」の教育の視点は、本県全ての子供たちへの教育の視点ではないのか。

教育長

 ふくしま新生プランは、東日本大震災及び原子力災害により厳しい状況の継続が見通される中で、復興・再生を着実に進めていくため改定したものである。

 計画の中では、教育の視点として「子どもたちが、互いに共同し社会に貢献しながら自立して人生を切り開いていく、想像力にあふれた『心豊かでたくましい人』に育っている」という将来像を掲げており、ここでいう子供たちは、本県の全ての子供たちを指すものである。

桜田葉子委員

 先ほど、この状況を認識しているか質問したところ、「聞いている」という答弁である。教育長は被災した学校を調査しなかったのか。私は商労文教委員長の立場からも個人的にも何度もそこを見てきた。教育長として、視察をしている事実があるのに、「聞いている」との答弁である。

 そして、さきに太田委員が質問した中で、教育委員会は組織を見直すという答弁があった。この質問に対してさまざまな組織の課長より説明があったが、被災地の学校の状況がどのようになっているのか、子供たちがどんな環境で勉強しているのかが認識されていない。最初に授業は大切であるという答弁があったが、その授業が教育の真髄である。そこで教師が子供たちに全てを与えるのに、その環境が整っていない。 

 再度聞く。教育長は現地を視察し、相双教育事務所も同行している。その認識はどうなっているのか。

 また、子供たちの学習環境を改善するため、市町村教育委員会に対し県の理念を伝え、助言や指導をすることはできないのか。

教育長

 4月19日に相双地区の被災した小・中・高等学校を視察した。鹿島小学校、鹿島中学校にも行き、鹿島小学校では1つの教室で1年生と2年生が複式学級で、その上教室をつい立てで分けている状況を見た。

 私自身も、震災直後は体育館で8クラスを仕切って四方八方から声が聞こえる中で授業をする環境で過ごしてきた。

 校長としては、与えられた環境の中で最善を尽くし、与えられた物と人で対応するしかなかった。もともと仮設の教室が足りず、現実的にはそこで1つの教室を2つのクラスで分けるなどの工夫をするしかなかった。

 しかし、その際に同行した相双教育事務所の所長には、この環境は望ましいとは言えないので、校長の要望をよく聞いて対応するよう指示した。

 また、市町村教育委員会に対しては、教員等の配置や教育過程・学習指導について必要に応じて指導、助言及び援助を行ってきたほか、子供たちが安全で安心できる学習環境の確保についても助言してきた。

 今後とも、子供たちがよりよい学習環境の中で授業に取り組めるよう必要な助言等を行っていく。

桜田葉子委員

 安心して子供たちが学べる環境を整える、あるいはよりよい学習環境を整えるという答弁があったが、最初に述べたとおり、一番大切なのは授業である。しかし、その授業をするための教室が2つに分けられ、上方はがらがらあいていて別のクラスの声が聞こえる。これでは教師が児童・生徒に伝えることはできない。

 仮設教室の配置について聞いているのではない。4月に視察して、望ましい環境でないと認識しているにもかかわらず、指導・助言はできなかったのかと質問した。授業できる環境になっているのかどうかを助言すべきである。

 引き続き次の質問をする。

 県及び市町村教育委員会は、県の施策を伝える会議を4月に開催している。また、福島県教育長協議会は市町村教育委員会の課題を吸い上げて共有する会議で、2月に開催している。このような市町村教育長との会議を通して、各市町村教育委員会の抱える課題を把握し、その解決に向けて施策を展開すべきと思うが、どうか。

教育長

 市町村教育委員会が抱える課題のうち、広域的な支援が必要なものなどについては、県教育委員会においてもその課題を共有し、連携して取り組むことが重要である。

 今後とも、市町村教育長との会議を初めさまざまな機会を捉えて課題の把握に努め、その解決に向け、取り組んでいく。

桜田葉子委員

 教室が望ましくない環境にあるという認識を持ちながら、なぜいまだ解決していないのか。与えられた環境の中で校長は最善を尽くしているとのことだが、先日、千住真理子氏と一緒に訪問したときには、この状況を早く改善してほしいと校長より訴えがあった。

 被災した公立学校施設の仮設校舎解消を早期に図るべきと思うが、県教育委員会の考えを聞く。

教育長

 桜田委員が訪問した際に、校長がそのように話をしたことは承知している。 しかし、私が訪問したときは、そのような話はなく、校長は与えられた環境で何とかやっているとのことであった。

 また、仮設校舎は震災直後に整備されたものである。計画を立ててつくった仮設校舎であれば必要な教室数を確保できたであろうが、急いでつくったために数が足りず、教室を分けて授業を行ったという話を聞いている。

 あくまで、学校としては与えられた環境の中で工夫してやっていたと聞いている。

桜田葉子委員

 それを改善するのが教育庁の役割ではないのか。教育長は現実を認識しているのか。4月に見てきたことを確認していないのではないか。

 示された改善案では、真野小学校は1学年1クラスに改善されるようだが、福浦小学校は、現在の鹿島小学校から10数分以上も離れた鹿島中学校に設置された仮設校舎の金房小学校、鳩原小学校と学年単位で統合するという考えであり、来年はまたどうなるかわからないという。子供たちの環境を目まぐるしく変えるこの案は納得できない。

 また、その改善案では、特別教室を6室つくるということだが、通常の教室を整備せず、特別教室を先に整備するなど理解できない。子供たちは、一体いつになったら仮校舎でなく、本校舎で学ぶことができるのか。

教育長

 現在は、地震で大きく損傷した建物の大規模復旧工事や改築工事などに本格的に着手しており、児童生徒が本来の校舎で安心して学習できるようにするため、原則として、平成25年度内の完了を目指して鋭意進めている。

 また、原子力災害の避難区域などにある学校施設については、区域見直しの状況に応じ、今後、関係市町村と協議しながら早期復旧に向け取り組んでいく。

桜田葉子委員

 早急に改善を求める。 教室も整備できないような環境の中で、児童生徒の生き抜く力を育む教育をどのように進めていくのか。

教育長

 児童生徒1人1人を大切にしながら、東日本大震災及び原子力災害のような困難にも真摯に向き合い、思いやりを持った心豊かでたくましい人づくりを進めていくことが重要である。

 研修等の充実を通して、教員の指導力の向上を図るとともに、震災の教訓を生かした道徳教育や防災教育に力を入れるなどして、生き抜く力を育み、未来を担う児童生徒の育成に努めていく。

桜田葉子委員

 何よりも授業が大切である。そこをよく考えてもらいたい。

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