第2章 福島県の産業
1 産業(さんぎょう)のようす
福島県では、いろいろな産業(さんぎょう)がいとなまれています。
産業別(べつ)人口でみると、サービス業などの第3次産業の占(し)める割合(わりあい)が年々大きくなっています。
農業などの第1次産業の占(し)める割合(わりあい)は年々小さくなっていますが、全国に比(くら)べると大きくなっています。
2 農業・林業・水産業
※ ふくしまイレブンは、福島県の多彩(たさい)な農林水産物(のうりんすいさんぶつ)を代表する生産量(せいさんりょう)が全国上位(じょうい)の11品目です。
(1)農業
福島県では、それぞれの地域(ちいき)の自然条件(しぜんじょうけん)を生かしていろいろな農産物(のうさんぶつ)が生産(せいさん)されています。
2020年(令和2年)の農業の生産額(せいさんがく)は、2,116億円(おくえん)で全国第15位(い)となっています。
そのうち、米が全体の約(やく)4割(わり)を占(し)めています。
また、野菜(やさい)やくだものなど全国的(ぜんこくてき)にみても生産量(せいさんりょう)の多い農産物(のうさんぶつ)がたくさんあります。
福島県内の耕地面積(こうちめんせき)は、田、畑とも年々減(へ)ってきており、販売農家(はんばいのうか)の数(かず)も年々減っています。
米
福島県では、「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」といった品種(ひんしゅ)を中心に、約(やく)5万7,800ヘクタールの水田で稲(いね)が栽培(さいばい)されています。
2022年(令和4年)に県内でつくられた米の量(りょう)は、全国で7番目の約31万7,300トンで、福島県は主要(しゅよう)な米の生産県(せいさんけん)となっています。
野菜
福島県では、たくさんの種類(しゅるい)の野菜(やさい)が生産(せいさん)されています。
とくに、夏から秋にかけて生産(せいさん)されるきゅうりやトマト、さやいんげんは全国的(ぜんこくてき)にも有名です。
くだもの
福島盆地(ぼんち)を中心に、もも、りんごなどが栽培(さいばい)されています。
とくに、ももは「あかつき」などの品種(ひんしゅ)が栽培(さいばい)されており、生産量(せいさんりょう)は全国第2位(い)となっています。
畜産(ちくさん)
中通りや浜通りを中心に、肉用牛や乳用牛(にゅうようぎゅう)、ぶた、にわとりなどの家畜(かちく)が飼(か)われています。
畜産(ちくさん)は、農業産出額(さんしゅつがく)の約5分の1を占(し)め、安全でおいしい肉や卵(たまご)、牛乳(ぎゅうにゅう)などを生産(せいさん)しています。
(2)林業
福島県の森林の面積(めんせき)は約(やく)97万4,000ヘクタールで、県全体の約(やく)7割(わり)にあたり、全国で4番目の広さとなっています。
この広い森林を利用(りよう)して、木材(もくざい)やきのこが生産(せいさん)されています。
とくに、なめこは、全国で第4位(い)の生産量(せいさんりょう)となっています。
(3)水産業(すいさんぎょう)
福島県の海は、南からの黒潮(くろしお)(日本海流)と北からの親潮(おやしお)(千島海流)がぶつかりあう潮目(しおめ)になっているため、良(よ)い漁場(ぎょじょう)に恵(めぐ)まれています。
サンマやカツオなど多様な魚介類(ぎょかいるい)が水揚(みずあ)げされます。
2020年(令和2年)の海面漁業生産額(ぎょぎょうせいさんがく)は、99億円(おくえん)となっています。
2011年(平成23年)に起きた東日本大震災(だいしんさい)と原子力災害(さいがい)の影響(えいきょう)で大幅(おおはば)に減少(げんしょう)しています。
また、中通りのため池などではコイが、会津(あいづ)の山間部や阿武隈(あぶくま)高地ではイワナやニジマスなどが養殖(ようしょく)されていて、とくにコイの養殖(ようしょく)生産量(せいさんりょう)は全国第2位(い)(令和3年)となっています。
3 工業
福島県では、いわき市や郡山市(こおりやまし)、福島市を中心に各地(かくち)で、いろいろな製品(せいひん)がつくられています。
2020年(令和2年)の製造品(せいぞうひん)出荷額(がく)は、約(やく)4兆(ちょう)7670億円(おくえん)となっています。
医薬品(いやくひん)などの化学工業製品(かがくこうぎょうせいひん)が最(もっと)も多くなっています。
県内には、さまざまな製品(せいひん)をつくる工場がたっていて、たくさんの人が働(はたら)いています。
2022年(令和4年)には、19件(けん)の大きな工場が新しくたてられました。
郡山市(こおりやまし)、会津若松市(あいづわかまつし)、南相馬市(みなみそうまし)にあるハイテクプラザでは、県内の工場がより良(よ)い製品(せいひん)をつくれるよう、進んだ機器(きき)や設備(せつび)を整えて、工業技術(ぎじゅつ)の研究などのお手伝(てつだ)いをしています。
4 商業
2015年(平成27年)の年間商品販売額(はんばいがく)は、約(やく)4兆(ちょう)9千億円(せんおくえん)で全国第20位(い)となっています。
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県内には、商店(小売店と卸売(おろしうり)店)が約2万2千店あり、約15万1千人の人々が働(はたら)いています。
商店の中で最近(さいきん)増(ふ)えているのが、大型(おおがた)小売店と呼(よ)ばれるスーパーマーケットやホームセンター、大型専門店(おおがたせんもんてん)などの大きな店です。
これらの店の多くは街(まち)の中心部からはなれた大きな道路沿(ぞ)いにあり、何百台もの車がとめられる広い駐車場(ちゅうしゃじょう)がある店もあります。
車を利用(りよう)し家族で買い物ができる大型(おおがた)小売店が新しくできたこともあり、昔に比(くら)べて、街(まち)の中心部にある商店街(しょうてんがい)に人が集まらなくなってきています。
このため中心部の商店街(しょうてんがい)では、駐車場(ちゅうしゃじょう)を整備(せいび)したり、歩道をきれいにしたり、楽しいイベントを開いたりして、昔のにぎわいを取り戻(もど)そうといろいろ工夫(くふう)をしています。
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5 観光(かんこう)
福島県は、海・山・湖・川などの美しい自然(しぜん)に恵(めぐ)まれ、3つの国立公園と1つの国定公園、そして10の県立自然(しぜん)公園があります。
また、多くの歴史的(れきしてき)名所、温泉(おんせん)、伝統的(でんとうてき)な祭りがあり、春は花、夏は登山、海・湖水浴(こすいよく)、秋は紅葉(こうよう)、冬はスキーと、四季折々(しきおりおり)の風情(ふぜい)を楽しめる全国でも指折(お)りの観光(かんこう)県です。
2021年(令和3年)の観光客数(かんこうきゃくすう)は、3,545万人となっています。
東日本大震災(だいしんさい)により落ち込(こ)んだ観光客数は、年々(ねんねん)、増加傾向(ぞうかけいこう)にありましたが、新型(しんがた)コロナウイルス感染症(かんせんしょう)の影響(えいきょう)により、2020年(令和2年)に引き続き、2021年(令和3年)の観光客数も大幅(おおはば)に減少(げんしょう)しました。