除染の目的
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故によって、放射性物質が環境中に放出されました。
除染の目的は「事故由来放射性物質による環境の汚染が、人の健康または生活環境に及ぼす影響を速やかに低減すること」です。※1
※1 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法 第1条
除染の必要性について
除染をしなくても放射線量は減っていきますが、除染を実施することでより早く放射線量を減らすことができ、生活する空間において受ける放射線の影響を低減することができます。
![]() 空間線量率低減のイメージ |
長期的な目標
- 追加被ばく線量が年間20ミリシーベルト以上である地域については、この地域を段階的かつ迅速に縮小することを目指します。
- 追加被ばく線量が年間20ミリシーベルト未満である地域については、長期的な目標として追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下になることを目指します。
なお汚染状況は対象物によって異なりそれに応じた除染手法を採用していることから、除染作業による放射線量の低減目標は設定しておらず、モニタリング、食品の安全管理、リスクコミュニケーションなどによる放射線リスクの管理、除染などの総合的な対策を行うことで、個人が受ける追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下になることを目指します。
追加被ばく線量とは
私たちは日常的に大地や宇宙、食べ物などから放射線を受けています。自然放射線による年間線量は平均で、日本では約2.1ミリシーベルト、世界では約2.4ミリシーベルトになります。これに加えて、原子力発電所の事故によって追加的に受ける放射線量を追加被ばく線量といいます。
![]() 自然放射線の影響 |
1ミリシーベルトという数値について
国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方は、年間1~20ミリシーベルトの範囲から、合理的に達成可能な範囲でできる限り低くするという原則に基づいて目安を設定し、長期的には年間1ミリシーベルトを目標とするように、と勧めています。これに基づいて、放射性物質汚染対処特別措置法の基本方針では、安全側に立った最も小さい値として追加被ばく線量1ミリシーベルトを長期目標としました。
ICRPによれば、年間1ミリシーベルトというのは、自然放射線の低い地域から高い地域に引っ越すことによる被ばく量の変化程度として社会的に許容できるだろうという値です。