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(県外JETスタディツアー)参加者レポート12

名前:フロレンティーネ・ロンニガー勤務先:栃木県那須塩原市企画部秘書課都市交流係

  郡山行きの電車に乗ったとき、わたしはこの旅がどんなものになるかは予想がつきませんでした。東日本大震災と原子力発電の事故から5年もの月日が経っているというのに、今なお巷で流れる情報は少なく、乏しいものだったからです。

  私はチェルノブイリの事故が起きた年に生まれました。オーストリアにも、放射性物質を含んだ雨が降りました。小学生の時に原子力発電所の事故が起こり、その記憶は今でも私の中で尾を引いています。オーストリアには、建設はされたものの稼働前に投票で閉鎖となった原子力発電所以来、実質的に稼働する原子力発電所はありません。そして、今なお原子力発電に対する反対の声は大きいです。このような背景がありましたので、ツアーの最初の訪問場所である「福島環境創造センター」は私にとって大変意味深いものでした。ここは2011年の事故やそれらに関連したことを学ぶのに最適な場所です。除染の過程や代替エネルギー、環境共生に対する取組などについてとても分かりやすく学ぶことができます。私は、大気中の放射性濃度が落ちていることに純粋に驚いたし、食品の厳しい安全規定にも安心しました。なにより私が一番感銘を受けたのは、展示物を通して伝わってくる皆さんの心構えでした。大災害に直面し「ここからどこへ・どうやって進んで行けばいいか」と問うことは非常に重要なインスピレーションだと思いました。コミュタン福島のような施設は、福島の未来を担う世代にだけではなく、私たちすべての人に非常に価値あるものだと思いました。

 そこを出てからは会津の大変素敵な場所に向かいました。私は福島県の自然の美しさについて、書いても書いても書ききれません。ツイていたことに紅葉の時期に間に合ったので、「塔のへつり」から美しい水辺に映る紅葉を見ることができました。また、会津鶴ヶ城の豊かな歴史についても書き連ねることができます。鶴ヶ城からは、市街地を一面に、そして遠くには山々を見渡すことができました。郭内の散策時には、素晴らしいガイドさんがついてくれました。

  それから大内宿に行きました。ここはかやぶき屋根の家々が立ち並び、こまごまとしたものから蕎麦ソフトまで売っているショップとなっています。通りには小川が流れていて、その様子がとても素敵でした。ここで食べたお饅頭は、私の人生でベストワンです!

 私のイチオシの場所は、レトロな喫茶店の入っていたホテルです。豪勢な夕食の後、日本に来てから初めて温泉と言うものに入りました。露天風呂だったので、あったかいお湯につかってリラックスしながら、眼下に流れる渓流やお湯の湯気越しにかすむ紅葉などを見ることができました。キャンプファイヤーを一緒にするのと同じように、温泉に一緒に入ることは人々の心の距離をぐっと深めます。最近の失恋話に花が咲き、この先いいことあるといいねえと入った人たちと語り合いました。

 出会った人がみんなアットホームな感じだったように思えるのは、この時のことがあったからだと思います。親切で、心温かく、寛大でした。私がお土産として持ち帰ったのは、その日作った手塗りの赤べこだけではありません。宝物のようなすばらしい経験です。絶対にまた福島の美しさと福島の人々をもっともっと知るために、ここに戻ってきたいと思います。

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