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2017年01月留学生スタディツアー参加者レポート02

大学名:  福島大学名前: 胡 豪鵬 (コ・ゴウホウ)

 2017年1月14日。東日本大震災発生から6年近くが経ち、福島県で数年暮らしてきた自分は、初めて一部マスコミでは「恐怖」と報道された南相馬市を訪れました。震災後、南相馬市の一部は避難区域と指定されており、区域内の生活・立ち入りの禁止を余儀なくされました。現地住民の生活も震災によって激変しました。今まで通りの生活を維持することができず、家族間の絆が崩れていくに加えて、避難生活の長期化によって被災者たちは辛い思いを強いられていました。しかし、彼らは震災に打ちひしがれることなく、南相馬市内の避難区域範囲の縮小・解除に伴い、生まれ育った故郷に帰還することを決めました。倒壊などの恐れがある家屋が住めなくなっても、事業が風評被害の影響で大きなダメージを受けても、彼らはかつて笑顔と笑い声が溢れていた街に帰ってきました。一から出直すと決めたからには、気持ちを奮い立たせて地道に頑張り、命が尽きるまで愛する故郷のために心血を注ぎ続けるしかありません。

 南相馬市に着くと、地元出身の建築士がボランティアガイドとして案内して下さいました。避難指示解除後、彼は地元に戻って、町の復興に力を注いでいるといいます。数年もの避難生活の間、彼は幾度も故郷への帰還を夢見ていました。長引く避難生活で、家族が離れ離れになってしまい、長年の付き合いの隣人も見慣れた町並みも、見知らぬ光景ばかりに変わってしまいました。震災前の生活が一変して、不安感が襲いかかる日々が送っていたと彼は語りました。生まれ育った町に帰ることで、「家の温もり」を取り返せると信じて、彼は帰還の道を選びました。

 私たちは喫茶店「ひまわりカフェ」を訪れました。ここの女性従業員たちは旅館の女将だったり、パン屋さんだったり、会社の経営者だったりしました。震災の影響でそれぞれの事業に大きな影響を受けましたが、彼女たちは地元愛ゆえにもう一度ここに集いました。愛すべき地元の方々の姿に、心を打たれずにはいられませんでした。逆境はきつくても永遠に続くわけではありません。逆境を打ち破る精神力こそ不滅だと思います。

 スタディツアーの二日目に、私たちは福島県環境創造センターを訪問しました。そこで、私、そして多くの人に誤解されたことがあると気づきました。それは、「原発事故で排出された放射線と日常生活における放射線は別物である」という誤認識です。同じ放射線でも原発事故が恐れられていたのは高い放射線量を持っていたからです。福島県内の空間線量は現在通常のレベルまで落ち着いており、日常生活に何の影響も与える恐れがなくなりました。福島県はうつくしいところです。景色もさることながら、ここの住民も実に素晴らしい人間性に優れています。

 今回のスタディツアーで「んめ~べ」という農産物直売店を訪問しました。そこで、福島県産の農産物の現状を知りました。福島の農産物は出荷する前に、世界で最も厳しいとも言える放射性物質検査を受けなければなりません。それもおおまかなサンプリング検査ではなく、米などの農産物は全量全袋検査を実施していることに驚きました。福島県の検査基準は世界一厳しいゆえに、福島で販売されるすべての農産物は世界一安全だとも言えます。

 ツアー期間中、至る所で福島県民の情熱とおもてなしを感じました。福島県の美しい環境に魅了されました。福島県はすでに震災から立ち直りました。福島県は再び安心して暮らせる地になりました。福島県に明るい未来を、福島県民に幸せが訪れますよう、心から願っています。

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