これは主として音声で閲覧する方のために作成しました。 そのため、使用文字の一部が変更されていますので、ご了承ください。 表紙 ふくしま公共施設とうユニバーサルデザイン指針 思いやりをかたちに 福島県 平成17年3月28日(平成19年4月1日改訂) 巻頭言  思いやりをかたちに  しょうし高齢化や国際化が急速に進み、社会経済が成熟の時代に向かいつつある今、いのちそのものを起点とし、誰もが本当の意味で尊重され、人と自然とが共生できる環境づくりが、様々な分野で求められています。  このような中、本県では、いのち、人権、人格の尊重を県づくりの基本理念に掲げ、思いやりを具現化していくため、年齢や性別、身体的能力、言語等の違いを超え、すべての人を視野に入れたユニバーサルデザインを、ハード、ソフトの両面から、各種施策において計画的、体系的に展開しています。  本指針は、ふくしまユニバーサルデザイン推進指針に基づき、公共施設等のユニバーサルデザインを進めるため、施設の利用者や設置者、設計、施工者の方々が、ユニバーサルデザインをともに考え、ともに実践するための手引きとして策定しました。  本指針では、ともにつくる、ともに生きる、こころふれあう、さりげない、そして追い続けるデザインの5つのデザインを基本理念として掲げ、施設づくりの基本方針やプロセス、利用者参加と施設評価の仕組みを提案しています。  特に、施設のユニバーサルデザインの達成度を高めるためには、施設をつくる人、利用する人、管理する人のこころすなわち、助け合い、気配り、マナーなど、一人ひとりの理解と相互協力が不可欠となります。  県といたしましては、本指針を活用していく中で、利用者の方々の積極的な参画と評価、提案をいただき、合意形成を図りながら、多くの実践や情報を共有し蓄積するとともに、時代のニーズを的確に捉えながらデザインのあり方を見直すなど、思いやりをかたちに変えていく、ユニバーサルデザインへの終わりなき取組みを続けていきたいと考えています。  また、本指針が公共施設等をデザインする際の基本事項の確認や発想を喚起させる糸口となり、さらには、民間施設等のデザインにも活用されることを期待しています。  最後に、本指針の策定に当たり、長きにわたり検討いただきましたうつくしま公共施設ユニバーサルデザイン会議の委員の皆様をはじめ、貴重な御意見をお寄せいただきました多くの方々に、心より感謝申し上げます。  平成17年3月28日 福島県知事 佐藤えい佐久  目次1ページ はじめに 1ページ  1 指針策定の趣旨 1ページ  2 指針の特徴等 1ページ   その1 基本的性格   その2 特徴   その3 指針の利用方法  3 指針の構成・内容 3ページ  4 県の取組み 4ページ  5 これからの都市・まちづくり 4ページ  6 ふくしま型ユニバーサルデザインとは 5ページ   その1 ユニバーサルデザイン推進の視点   その2 キーワードと5つの実現手法   その3 ユニバーサルデザインの特徴 目次2ページ 第1章 公共施設等のユニバーサルデザイン 10ページ  1 基本理念 11ページ   その1 ともにつくるデザイン   その2 ともに生きるデザイン   その3 こころふれあうデザイン   その4 さりげないデザイン   その5 追い続けるデザイン  2 基本方針 13ページ 基本方針1 すべての人が快適に利用できる施設 基本方針2 すべての人が簡単に利用できる施設 基本方針3 すべての人が安全に利用できる施設 基本方針4 さりげなく美しい施設 基本方針5 どのような状況にも柔軟に対応できる施設  3 施設づくりのプロセス 15ページ    ステップ1 基本構想(計画)    ステップ2 設計者の選定(コンペ プロポーザル)    ステップ3 設計    ステップ4 施工    ステップ5 施設の評価    ステップ6 管理・改修    ステップ7 データの蓄積  4 利用者の参加と施設の評価 19ページ   その1 利用者の参加の考え方   その2 参加の手法   その3 参加手法の検討   その4 施設の評価 目次3ページ 第2章 ユニバーサルデザインによる施設計画 22ページ 1 移動空間 24ページ   共通事項 25ページ   テーマ1 道路 28ページ テーマ2 排水施設 32ページ   テーマ3 植樹たい 33ページ テーマ4 防護柵 34ページ   テーマ5 屋外照明 35ページ テーマ6 駐車場・駐輪場 36ページ   テーマ7 アプローチ・敷地内(公園内)通路 39ページ   テーマ8 玄関・出入口 41ページ テーマ9 廊下 43ページ   テーマ10 階段 45ページ   テーマ11 エレベーター エスカレーター 47ページ   テーマ12 スロープ 51ページ テーマ13 手すり 53ページ 2 利用空間 55ページ   共通事項 56ページ   テーマ1 トイレ・洗面所 57ページ   テーマ2 みんなのトイレ 59ページ   テーマ3 更衣室・シャワー室 61ページ   テーマ4 浴室 62ページ テーマ5 宿泊施設の客室等 63ページ   テーマ6 観覧席・客席 65ページ   テーマ7 受付カウンター・水飲み場・公衆電話 66ページ   テーマ8 授乳室等 68ページ   テーマ9 券売機・自動販売機・家具 69ページ   テーマ10 操作ボタン スイッチ等 71ページ   テーマ11 プール 72ページ   テーマ12 公園 73ページ   テーマ13 屋外休憩施設 75ページ   テーマ14 バス停留所 76ページ 3 案内 誘導 77ページ   共通事項 78ページ   テーマ1 視覚情報サイン 80ページ   テーマ2 触覚情報サイン 83ページ   テーマ3 聴覚・嗅覚情報サイン 86ページ   テーマ4 非常時の情報設備 88ページ 付 指針策定の経緯 90ページ   うつくしま公共施設ユニバーサルデザイン会議委員名簿 91ページ 目次4ページ 資料編 92ページ 第1章 UDデータ 94ページ 1 移動空間   テーマ1 道路 95ページ テーマ2 排水施設 96ページ   テーマ3 植樹たい 97ページ テーマ4 防護柵 98ページ   テーマ5 屋外照明 98ページ テーマ6 駐車場・駐輪場 99ページ   テーマ7 アプローチ・敷地内(公園内)通路 100ページ   テーマ8 玄関・出入口 101ページ テーマ9 廊下 102ページ   テーマ10 階段 103ページ   テーマ11 エレベーター エスカレーター 104ページ   テーマ12 スロープ 106ページ テーマ13 手すり 107ページ 2 利用空間   テーマ1 トイレ・洗面所 108ページ   テーマ2 みんなのトイレ 109ページ   テーマ3 更衣室・シャワー室 110ページ テーマ4 浴室 111ページ   テーマ5 宿泊施設の客室等 112ページ   テーマ6 観覧席・客席 113ページ   テーマ7 受付カウンター・水飲み場・公衆電話 114ページ   テーマ8 授乳室等はデータを掲載していません。   テーマ9 券売機・自動販売機・家具 115ページ   テーマ10 操作ボタン スイッチ等 116ページ   テーマ11 プールはデータを掲載していません。   テーマ12 公園 117ページ   テーマ13 屋外休憩施設 119ページ   テーマ14 バス停留所 120ページ 3 案内 誘導   テーマ1 視覚情報サイン 121ページ   テーマ2 触覚情報サイン 123ページ   テーマ3 聴覚・嗅覚情報サインはデータを掲載していません。   テーマ4 非常時の情報設備 126ページ      なお、データを掲載していないテーマについては、今後データを収集し、掲載、充実していきます。 目次5ページ 第2章 ユニバーサルデザイン事例集 127ページ  1 移動空間 128ページ  2 利用空間 141ページ  3 案内 誘導 154ページ 第3章 参考資料 160ページ  1 利用者の特徴と計画上の検討事項 161ページ  2 意見把握の手法 163ページ  3 ユニバーサルデザインチェックリスト 166ページ 第4章 用語解説 221ページ 参考・引用文献一覧 228ページ 1ページ はじめに 1 指針策定の趣旨  公共機関が整備する道路、河川、公園、公共建築物等の公共施設をはじめ、民間事業者による病院、店舗、宿泊 娯楽施設など、多くの様々な人が利用する公共性の高い施設のユニバーサルデザインの推進は、ユニバーサルデザインのまちづくりを実現する上で、とても重要な役割を担っています。  そしてその実現には、施設づくりに関わるすべての人が相互に連携し協力しながら、一つの施設 点からそれをつなぐ線に、さらに線から面、面から空間へと、優れたデザインを連続させていくことが不可欠となります。  そこで、施設づくりに関わる方々がデザインをまとめていくための手引きとして、本指針を策定しました。  公共施設はもとより、民間事業者による公共性の高い施設のデザインにおいて、本指針が幅広く活用されることを期待しています。 2 指針の特徴等   施設の利用者、設置者、設計 施工者が、ユニバーサルデザインをともに理解し、ともに考えるための共通の手引き。   あらゆる公共施設等を網羅した体系的な手引き。   多くの利用者の様々なニーズを的確に反映した実用的な手引き。     その1 基本的性格  ユニバーサルデザインは、個々の与条件のもと、多くの利用者の様々なニーズを捉え、知恵をしぼり、創意工夫を凝らしながら模索する、多様性のあるデザインです。  このため、本指針は、新設をはじめ改修等において、常にユニバーサルデザインの考え方で設計等を進めるための手引きであり、計画 設計 施工等の進め方、考え方、参考資料等を示すものです。  その2 特徴  誰にでも わかりやすい指針  施設づくりに関わる様々なかたや、広く県民が利用できるよう、誰にでも わかりやすい指針となるよう努めました。  ともにつくり、ともにはぐくむ指針  施設づくりにおけるプロセス 対話を重視し、様々な手法により、多くの利用者の様々なニーズを的確に反映させる ともにつくり、ともにはぐくむ指針としました。  変化に対応し 進化する指針  指針策定後も、より多くの人が、少しでも利用しやすい施設となるよう、施設の評価やそれらのデータの蓄積を行う一方、時代のニーズを的確に捉えながら、絶えず指針の見直し 改善を行っていきます。 2ページ  利用目的別に整理する指針  公共施設等は、道路、河川、公園、建築物等と種類が多く、その構成要素も様々なので、本指針では、各構成要素を利用目的から、移動空間、利用空間、案内・誘導の3つに大別しました。   そして、各要素の個別事項を検討 集約後、利用目的毎の共通事項を明確にしました。  なお、利用者の満足度は、利用条件、利用者像により異なるので、様々な場面を想定して必要事項を整理しました。   3ページ  その3 指針の利用方法  本指針は、次のように利用されることを期待しています。  デザインの基本的事項 原点 の確認  すべての利用者の満足度を高める、より優れたデザインとなるよう、基本的事項原点 を足元から見直す。  発想を喚起させるための糸口  デザインの早い段階で、発想を生み出すきっかけ 糸口となる。  アカウンタビリティ 説明責任の遂行  あらゆる利用者へのデザインの対応状況を確認し、関係者への説明責任を果たす視点を得る。  あらゆるデザインへの応用  本指針の基本的な考え方や計画手法が、公共施設だけでなく、民間施設や日常的な身近な施設にも広く生かされる。  なお、資料編には参考データを載せましたが、それらは最低基準などではなく、個々のデザインを模索するための手掛りです。 3 指針の構成 内容  本指針の構成 内容は、概ね次のとおりです。  第1章  施設づくりに関わるすべてのかたが共有すべき5つの基本理念、これに基づき優れたデザインを創り出すための5つの基本方針、そして、実現に向けた施設づくりのプロセス、利用者の参加と施設の評価を示しています。  第2章  「基本方針」に基づき、3つの利用目的別に、デザインの必要事項(共通事項・個別事項)を具体的に示しています。  資料編  デザインの手掛りとなる関係法令、参考データ、事例集、用語解説等をまとめています。 4ページ 4 県の取組み  県ではこれまで、人にやさしいまちづくりを目標に掲げ、高齢者や障害者などにとっての障壁を取り除くバリアフリーの考え方で、施設の新設や改修等を進めてきましたが、これらはある特定の人のための特別な配慮という福祉施策として捉えられてきました。  このような中、以前にもまして人権尊重などに配慮し、すべての人を視野に入れた県づくりを進めていくため、現在では、バリアフリーの考え方を一歩進めたユニバーサルデザインの考え方を県政の基本に据え、総合的な行動指針や分野別行動計画のもと、ハード ソフトの両面から、計画的・体系的に各種施策を展開しています。  特に、ユニバーサルデザインのまちづくりを県の重点施策として位置付け、できるところから、可能な限り、スピード感を持って、ユニバーサルデザインに取り組んでいます。 5 これからの都市 まちづくり  本県では、しょうし高齢社会の進展、中心市街地の空洞化、ちゅうさんかん地域の過疎化、郊外住宅地の活力停滞など様々な問題を抱えており、都市 まちづくりの分野では、既存の住宅 社会資本の有効活用や、より一層の整備の効率化、都市での環境負荷の軽減、地域コミュニティの創造や安全で安心できる生活環境づくりなどが求められています。  これらの課題に対し、持続的発展が可能な地域社会づくりの理念のもと、人と環境に着目し、人間性の重視や環境への配慮などの視点から、地域の人々とともに個性と魅力ある快適な地域づくりを推進していく必要があります。  さらに、それぞれの都市や地域において、日常生活に必要な施設や機能が、あらゆる世代の人にとって使いやすいように集積し、それらが一定のバランスにより、強いコミュニティで結ばれることが必要です。  このため、個々の公共施設等が、ハード ソフトの両面に渡り、ユニバーサルデザインの考え方に基づいて、一つひとつがていねいに整備され、あらゆる世代のすべての人が自立して、安全に生活できる都市・まちづくりが重要となってきます。 5ページ 6 ふくしま型ユニバーサルデザインとは ふくしまユニバーサルデザイン推進指針より  ユニバーサルデザインは、ユニバーサル すべての、普遍的な とデザイン 計画、設計 の2つを組み合わせた言葉で、  はじめから、すべての人の多様なニーズを考慮し、年齢、性別、身体的能力、言語などの違いにかかわらず、すべての人にとって安全・安心で利用しやすいように、建物、製品、環境などを計画、設計する と言う考えかたのことです。  このなかのはじめからとは、例えば、段差のある設計を行った後、段差箇所にスロープなどの設置を計画するのではなく、はじめから多様な人の利用を考慮し、階段、エレベーター、スロープなどを設計するという意味です。  また、新設はユニバーサルデザインの対象であるが、既存施設の改良はユニバーサルデザインの対象ではないということではありません。  すべての人とは、施設等を実際に利用する、できる限り多くの、様々な利用者のことです。  福島県では、もともとハード面を中心としたこの考え方に、制度やサービスなどのソフト面を取り込んでさらに一歩進め、暮らしに関わる諸制度や心の持ち方なども対象に、広く社会システムとしてとらえ、ユニバーサルデザインを生かした県づくりを計画的・体系的に推進することとしています。  その1 ユニバーサルデザイン推進の視点   県では、次の基本的な視点に基づいて、ふくしま型ユニバーサルデザインを推進することとしています。 いのち・人権・人格の尊重の視点 共生の視点 安全・安心といのちの大切さの視点 未来の世代からの信託の視点 倫理観の尊重の視点 男女共同参画の視点 高齢化への対応の視点 国際化への対応の視点 地域経済 産業の活性化の視点 気づきの視点 6ページ  その2 キーワードと5つの実現手法  この目標の達成に向け、推進指針では、ハード ソフトにわたって広くユニバーサルデザインを推進していくため、さまざまな要素を言い表すキーワードと5つの実現手法を次のとおり提唱しています。  キーワード 思いやりをシステム化  キーワードは、以下の重要な要素を包含しています。 構成要素1 公平で快適 誰でも、いつでも、どこでも、快適に、参加 利用できること 構成要素2 簡単で効率的 情報がわかりやすく簡単に入手できるとともに、効率よく参加 利用できること 構成要素3 安全で安心 未然の防止と間違いをしたときの安全が確保されていて、必要な情報も確認できるとともに、未来の世代への配慮がなされていること 構成要素4 さりげなく美しい 疎外感を与えず、美しいこと 構成要素5 柔軟で少ない負担 一人ひとりの能力や価値観に合わせて柔軟で、経済的 心理的 体力的にも負担が少ないこと  5つの実現手法  推進指針ではユニバーサルデザインの実現手法として、次の5つを挙げています。 手法1 さまざまな利用者との対話を通じ、少数意見もくみ上げて工夫すること 手法2 利用者のニーズや不満など現場の実態を十分に踏まえて発想すること 手法3 正確な知識を身につけること 手法4 必要なものははじめから対応すること 手法5 次のいずれかの手法で対応すること   主にハードにおける基本的な実現手法   一つの方法でいろいろなニーズを満たすデザイン   ニーズに合わせてオプションの追加や改造を容易に行えるデザイン   複数の選択しを用意する形のデザイン  その3 ユニバーサルデザインの特徴  ユニバーサルデザインは、次の考え方が出発点となっています。 人は多様で、年齢、しんたい能力等、あらゆる面で一人ひとりが異なる個性を持つ 誰でもケガや病気等をすることがあり、高齢期を迎えれば誰でもしんたい能力が減退する このため、平均的な人を設定するのではなく、はじめから、多様な人の利用を念頭に置くのが適当である 注釈 システム化 個別の要素を有機的に組み合わせ、全体としてまとまりをもたせること。 7ページ  すべての人が対象  ユニバーサルデザインは、すべての人が利用しやすいデザインです。転ばぬ先の杖として、すべての人のために、障がいのあることを強調することなく、さりげなく、美しくなされるもので、次のような効果が期待できます。  差別や偏見が助長されず、人権の尊重により一層つながる  すべての人の多様なニーズを把握する必要があるため、施設づくりなどへの利用者の参加の機会をより一層進める契機になる  すべての人を対象とした汎用性のある製品・サービスの開発が進み、市場の拡大や価格の低減などが期待できる  はじめからの発想  バリアフリーの発想は、平均的な人を対象とした標準設計によって生じる障壁を解消するため、事後的に特別なデザインを追加することになります。  人を障がいという側面などで区別せず、はじめから、可能な限り、多様な人の利用を考慮するもので、次のような効果が期待できます。  将来の改造・改修工事が減り、また、利用者の自立が促進され施設の利用率が向上するなど、環境保全や社会全体の中長期的コストの縮減に役立つ  デザインは多様  ユニバーサルデザインは、周辺環境や景観、交通事情、地域の歴史や文化、施設の運営方法など、個々の与条件のもと、多くの利用者の様々なニーズを捉え、デザインのあり方を話し合い、そして、知恵をしぼり、創意工夫を凝らすことから生み出されるものです。  いわば、前例にとらわれず、ものごとを多角的に捉えるという考え方により模索する、多様性のあるデザインといえます。  終わりなき取組み  ユニバーサルデザインは、はじめから、可能な限り取り組むものですが、創意工夫というものに終わりはなく、すべての人のニーズを満たす完成されたデザインを生み出すことは容易ではありません。  また、施設の実際の運用方法や使い勝手などによって、デザインの評価は変わり、社会や価値観が変化すれば、求められるデザインも自ずと異なってくることもあることから、絶えず見直し・改善を行うことが重要です。 8ページ このページは、ユニバーサルデザインのイメージ 考え方を、図で説明しています。 ユニバーサルデザインの考え方  ユニバーサルデザインは、個々の与条件のもと、多くの利用者のさまざまなニーズをとらえ、はじめから、すべての人を対象に、さりげなく、美しく、知恵と創意工夫によりデザインするものです。  そして、より多くの人が少しでも利用しやすくなるよう、絶えず、創意工夫、見直し、改善を続ける、終わりなき取組が必要です。  その結果として、人権の尊重、施設づくりへの参画機会の拡大、市場の拡大、価格の低減、環境保全、社会の中長期コストの縮減など、様々な効果が期待できます。 9ページ 本指針の位置付け  本県では平成12年12月に 地球時代にはばたくネットワーク社会 ともにつくる美しいふくしま を基本目標として福島県新長期総合計画 うつくしま21を策定しました。 計画の中では、 一人ひとりが大切にされ、いきいきと生活できる社会の形成 持続的発展が可能な地域社会の形成 を県づくりの理念として掲げ、新しい世紀の価値観として 人間の尊重 人格 人権の尊重 ゆとりの重視 ユニバーサルデザイン 自然との共生 循環の理念 参加と連携による地域づくり を上げています。  そしてユニバーサルデザイン推進に関する県の総合的な行動指針として、ふくしまユニバーサルデザイン推進指針が平成14年10月に策定されました。  本指針は上位指針である、ふくしまユニバーサルデザイン推進指針を受け、個別分野毎の取組みとして、公共 公益施設などのユニバーサルデザインを推進する目的で策定されました。  また、うつくしま21の部門別計画として、うつくしま建設プラン21が平成13年12月に策定され、これを受け、住宅 社会資本整備におけるユニバーサルデザインを推進するための指針としても位置付けられています。 10ページ 第1章 公共施設とうのユニバーサルデザイン  11ページ 第1章 公共施設とうのユニバーサルデザイン 1 基本理念  公共施設等のユニバーサルデザインを実現するためには、県民や利用者と、施設の設置者や設計者などが、その理念を共有することが重要です。本指針では、ソフト ハードの両面から、県民との連携協働により、人と地域の個性を最大限に発揮し、持続的発展が可能な社会を支える公共施設づくりを目指すという側面から、基本理念として次のものを掲げます。 その1 ともにつくるデザイン  施設のいのちは、利用者とともに育んでいくものです。また、ユニバーサルデザインは、すべての人のためのデザインであると同時に、すべての人によるデザインでもあります。  そのため、施設づくりの各段階で、できるだけ多様な手段で、より多くの利用者ニーズを把握し、それをデザインに的確に反映させることが大切です。また、このことが、施設への愛着や誇り、施設を大切にする心を育むことなどにもつながります。 その2 ともに生きるデザイン  ユニバーサルデザインは、画一的なデザインを目指すものではありません。地域の特性を生かした、地域の人々に永く愛される、多様で魅力あるデザイン、地球環境を守り、人と自然とが共存できるデザイン、そして、人情や風習、歴史文化、地域コミュニティなどを守り育むデザインが必要です。 その3 こころふれあうデザイン  デザインがより優れたものとなるためには、次のような人のこころが重要です。  つくる人のこころ  人権尊重の視点に立ち、常に、様々な利用者像を想定し、使いやすいデザインを生み出す想像力と創造力、そして、関係者の意見を親身になって聴き、利害を適切に調整し、デザインの必要性や妥当性を見極める対話と調整が求められます。  利用する人のこころ  施設が持つ本来の機能を最大限に発揮するため、そして、施設だけでは十分とはいえない部分を補完するため、助け合い ゆい の精神、マナー、気配り、気付きなど、利用者一人ひとりのこころのユニバーサルデザインへの理解と協力が不可欠です。 注釈 ゆい 困った人がいれば地域の人みんなで助け合う相互扶助の精神。労働力だけでなく精神的にも助け合う共同体の精神。 12ページ  管理する人のこころ  利便性の向上をハードのみで解決するのではなく、様々な場面に応じて、施設職員の配置計画を工夫するなど、心の通い合う、わかりやすい、対話型の施設運用も必要です。 その4 さりげないデザイン  施設のデザインは、周辺の景観と調和し、また、ともに生きるという人権尊重の考えから、こころの障壁を招かないさりげなさと美しさが求められます。 その5 追い続けるデザイン  ユニバーサルデザインは、はじめから、可能な限り取り組むものですが、創意工夫というものに終わりはなく、すべての人のニーズを満たす完成されたデザインを生み出すことは容易ではありません。  一方、施設の実際の運用方法や使い勝手などによって、デザインの評価は変わり、必ずしも十分でない場合も想定されます。さらに、社会や価値観が変化すれば、求められるデザインも自ずと異なってきます。  このため、より多くの人が、少しでも利用しやすいよう、試行錯誤を重ねながら、利用者との合意形成を図り、施設の評価やそれらデータの蓄積を行うとともに、時代のニーズを的確に捉えながら、絶えず見直し・改善を行うという、プロセスと終わりなき取組みが重要です。 13ページ 2 基本方針 基本方針の視点 すべての人が、同じ場所で、同じことを、同じようにできる  ふくしま型ユニバーサルデザインの「キーワード」、「5つの実現手法」、そして、公共施設等のユニバーサルデザインの「5つの基本理念」のもと、ソフト・ハードの両面から、地域性・環境を踏まえ、優れたデザインを創り出すための「5つの基本方針」を次に掲げます。 ユニバーサルデザインによる公共施設等 基本方針1 すべての人が快適に利用できる施設  1 特定の人が特別扱いされたり、いやな思いをすることのない施設  2 右利き、左利きに対応した施設  3 利用方法や利用状況の説明が効果的に行われる施設  4 視覚、聴覚、触覚など多様な手段で、必要な情報が十分に提供される施設  5 補助器具や補助手段を効果的に活用できる施設  6 繰り返しの動作や、長時間にわたる肉体的負担が伴わない施設  7 利用場所に接近しやすく、利用する広さが適切な施設  8 重要なものがよく見えるよう、視線が確保されている施設  9 使用しようとする全てのものに容易に手が届く施設  10 少ない労力で効率的に、楽に使える施設  11 利用者に不自然な姿勢を強いない施設  12 プライバシーに配慮された施設  13 天候や季節に左右されない施設  14 疲れたときに休むことができる施設 14ページ 基本方針2 すべての人が簡単に利用できる施設  1 使い方を直感的に理解できる施設  2 利用者の理解力や言語能力の違いが問題にならない施設  3 必要な情報が容易にわかる施設 基本方針3 すべての人が安全に利用できる施設  1 安全に対する配慮が等しく確保される施設  2 危険や間違えやすい状況が発生しない施設  3 使用方法を間違えても重大な結果につながらない施設  4 注意が必要な操作において、不注意な操作を誘発しない施設  5 危険なときや使用方法を間違えたときは、注意や警告を発する施設  6 危険な部分が防護されている施設  7 四季を通じて安全な施設  8 災害時や不測の事態が生じても、安全に避難できる施設 基本方針4 さりげなく美しい施設  1 色や形状などの印象が、利用者にとって抵抗感がなく、受け入れられやすい施設  2 創意工夫された内容が、目立ちすぎず、さりげなくデザインされている施設  3 地域の特性を生かし、周辺の景観と調和した施設  4 自然や環境に配慮し、動植物にやさしい施設 基本方針5 どのような状況にも柔軟に対応できる施設  1 できる限り同じ手段で利用できる施設  2 利用者に応じた使い方が選べる施設  3 利用者のペースに合わせることができる施設  4 情報がその重要さに応じて提供される施設  5 補助器具の使用や人的介助に十分な空間を提供できる施設 15ページ 施設づくりのプロセス  ユニバーサルデザインの考え方で公共施設等を整備していくためには、施設づくりの各プロセスにおいて様々な検討を加えていくことが重要です。ここでは、プロセスを7つのステップに区分し、それぞれの段階でチェックすべき事項を整理しています。   ステップ1 基本構想(計画)    チェックポイント 施設の機能・性能の把握、ユニバーサルデザインに関する検討開始、意見収集の計画の立案、敷地(地域)の選定の検討   ステップ2 設計者の選定    チェックポイント ユニバーサルデザインに関する設計能力、経験・知識の確認、公正性・透明性・客観性を持った選定方法の検討   ステップ3 設計    チェックポイント 施設配置、動線計画等の検討、経済性、環境、景観等の検討、ワークショップ等の実施、5つの基本方針による細部計画、設計完了時点での利用者等への設計内容の説明   ステップ4 施工    チェックポイント 利用者の立場に立った施工監理、設計では想定できなかった状況への対応、利用者による施工状況の確認   ステップ5 施設の評価    チェックポイント 顧客満足度調査等の実施、定期的な再評価の実施、公共施設等の表彰における、ユニバーサルデザインの視点を重視した審査の実施   ステップ6 管理・改修    チェックポイント 施設の機能・性能の維持、外観の保持、安全性の確保、改修計画における利用者ニーズの把握   ステップ7 データの蓄積 データの整理、分析、データベース化の検討 16ページ ステップ1 基本構想(計画)  1 求められる機能・性能の把握    施設に求められる機能や性能は、施設の場所(地域)、用途や規模、利用方法などによって異なります。施設を利用するすべての人の立場に立った構想(計画)を進めることが最も重要です。  2 検討開始時期    ユニバーサルデザインの検討は、基本構想(計画)の段階から行うことが重要です。それにより、特別な設備や仕様をできる限り用いない計画とすることが可能となり、初期投資を押さえ、施設の維持管理や将来の改修に要する費用を低減することができます。  3 意見収集の計画    いつ、どのような方法で収集し、だれに意見を聴いて、設計に反映させるのかを基本構想の段階で明確にする必要があります。利用者が満足する施設を提供するためには、直接、利用者の意見を収集し、それらを反映していくことが近道です。    また、施設の管理体制などもこの段階である程度決めておくことが必要です。特に建物や公園などを整備する場合は、受付職員の配置の可否で、利用者の案内方法が異なります。あらかじめ管理者がわかっている場合には、構想、設計等の段階から参加を呼びかけ、また、既存施設を改修する場合も、管理者の意見を取り入れます。  4 敷地(地域)の選定(建物・公園等)    ユニバーサルデザインを実現する上で、敷地(地域)の選定はとても重要なことです。利用者のアクセスのしやすさ、地域の気候・気象や敷地の形状、施設の配置などを十分に検討します。特に、敷地の高低差については、造成計画や移動時の垂直移動と密接に関係しますので、注意しましょう。 また、自然環境や動植物への影響についても十分に調査、検討し、必要に応じて地元の住民や有識者の意見を参考とすることが重要です。 ステップ2 設計者の選定「コンペ方式」や「プロポーザル方式」など  施設の良否は、設計者の能力や経験に大きく左右され、設計者(チーム)には、ユニバーサルデザインに関する創造力や技術力、経験や知識が求められます。  設計者の選定にあたっては、多くの設計者の中から、設計者の能力や経験を様々な角度から判定することが望ましく、例えば「コンペ方式」や「プロポーザル方式」などの公正性・透明性・客観性を併せ持った方法により、最も相応しい設計者を選ぶことを検討します。 注釈1 コンペ方式:2人以上の競技者によって建築その他の設計を競技させ、設計者を決める方式。 17ページ ステップ3 設計  1 基本(概略・予備)設計    基本構想に基づき、利用者の行動を考えながら、さりげないデザインに心がけ、わかりやすい動線計画、配置計画、適切な高低レベルの設定、ユニバーサルデザインに必要な設備計画、サイン計画等を行い、それに伴う経済性の検討や、自然環境及び景観への配慮について検討します。    また、ワークショップやアンケートちょうさなどを実施し、施設を利用する人や運用する人の意見を聴き、設計に反映させることが大切です。  2 実施(詳細)設計    すべての人が快適に利用できる施設、すべての人が簡単に利用できる施設、すべての人が安全に利用できる施設、さりげなく美しい施設、どのような状況にも柔軟にたいおうできる施設、という5つの基本方針に基づき細部計画をまとめていきます。    この段階では、安全性の確保、使いやすさなどを確認し、モックアップ実験等の手法も効果的に活用し、施設毎にアイディアを盛り込みながら設計を進めます。    また、設計が完了した時点で、ワークショップやアンケート調査で出された意見を、どのように設計に反映したかを説明する必要があります。 ステップ4 施工  様々な意見が反映された施設計画を利用者の立場に立って確認・チェックし、設計段階では想定できなかった状況に迅速に対応していくことが重要です。その場合、ある程度工事が進んだ段階で利用者が施工状況を確認できる機会を設け、意見を聴くことも有効です。 ステップ5 施設の評価  利用者や管理者の意見を取り入れた場合でも、十分に機能を発揮し、意図したとおりに利用されるかどうかは、施設の実際の運用方法や使い勝手で異なってきます。施設の真価は、利用されることにより評価され、そして変化していくものです。  このため、運用開始後一定期間(半年から1年程度)が経過した段階で、CS調査を実施し、利用者や管理者の声を聞き、使い勝手などを見直す必要があります。  さらに、施設を運用していく中で定期的に再評価を行い、新たなニーズを捉えながら、常に利用しやすい施設で有り続ける努力をしていくことが大切です。 注釈1 モックアップ:試作以前の検討用模型や最終模型、実寸模型などの総称。 注釈2 CS調査:[カスタマーズ サティスファクション]顧客満足度調査の略。住民を行政サービスの顧客と捉えた場合、顧客である住民が行政サービスに対してどの程度満足しているかを調査すること。 18ページ ステップ6 管理・改修  1 管理    施設の管理は、施設の機能・性能を常時適正な状態に維持することはもとより、外観を美しく保ち、事故・劣化などの発生を予防、予知するとともに、利用状況や経済効率なども含め幅広い観点から行い、利用者が常に使いやすい状態に保つことが重要です。  2 改修    施設の改修は、構造やスペースなどの制約があるため、すべてを満足させることは困難ですが、現況を直接確認することができるため、利用者の声を十分に活かすことができるなどのメリットがあります。必要に応じて、関係団体等に協力を求め、管理者が自から擬似体験を行うことで問題点を探すことも重要です。    改修する箇所は、配置や形状、色彩等をさりげなくデザインし、既存の施設に馴染ませる工夫をし、また、施設を大幅に改修する場合には、全体のサイン計画等を総合的に見直すことも必要です。 ステップ7 データの蓄積  ワークショップなどで得られた意見やアンケート調査の結果、設計データや施設の運用に関するデータなど、ステップ1から6で蓄積されるデータを整理、分析し、新たに計画される施設や既存施設の改修などに活用していくことが重要です。  また、必要な時に必要な情報を検索できるようデータベース化を図っていくことも検討し、時代のニーズを的確に捉えながら、絶えず本指針の見直し・改善を図っていきます。 注釈 データベース:膨大な情報をコンピュータに記憶させ、必要な時にデータをすばやく取り出せるシステム。 19ページ 4 利用者の参加と施設の評価 その1 利用者の参加の考え方   施設づくりにおいては、各段階で、多くの利用者からの意見を聞くことが重要です。また、利用者が主体的に参加できる方法を検討することも必要です。   その際は、地理的条件や施設の利用頻度などによって、利用者の関心の度合いも異なり、参加人数・方法も変わることから、多様な参加手法の中からできるだけ適切な手法を導入することが求められます。   そして、利用者からの意見を、各段階で的確に反映していくことが重要です。 その2 参加の手法  @ 情報の提供   情報を享受することは、利用者の参加の第一歩です。施設づくりのプロセスなどの情報を発信することで、利用者の関心の度合いを高めていくことが必要です。   また、情報の発信と同時に、アンケートちょうさなどの利用者が簡単に答えられる手法により、関心の低い方の意見を聞き出すことができます。  (参加手法の例)   ・情報の受信   ・アンケート調査への協力など 20ページ  A 利用者との対話   なるべく多くの人の意見を聴いた上で、整備条件にあった意見を対話の中から集約しなければなりません。   しかし、目的、段階や対象者(利用者)によりその手法も異なってきますので、それぞれの目的などにふさわしい手法を採用することが大切です。  (参加手法の例)   アイディアの提言、説明会への参加、ワークショップへの参加など  B 利用者との協働による施設づくり   利用者の参加には、意見を発するだけではなく、よりよい施設にするために自らが実際に活動することも考えられます。維持管理などに利用者の積極的な参加を受け入れ、行政と利用者との協働で進めることが大切になります。また、このような意志をもつ利用者を育てていくことも求められます。  (参加手法の例)   うつくしまの道、サポート制度、ガーデニングボランティアなど  C 利用者の意見の反映  利用者から意見を聞いた後、施設づくりにどのように反映させるのかが重要です。また、すべての意見を反映させればよいというものではなく、様々な与条件のもと「できるもの」と「できないもの」の仕分けをし、その結果を参加者に知らせることが求められます。 その3 参加手法の検討  利用者参加の段階や利用者の関心の度合いにより、参加の手法は異なります。各段階ですべての人に同じ手法で実施すればよいというものではありません。実施する目的を考え、手法を検討することが重要です。   参加手法は、次の4つのポイントから検討することが大切です。    @ 何を聞きたいのか(目的)    A いつ聞くのか(時期)    B 誰に聞きたいのか・誰のためのものなのか(対象者)    C どのように反映させるのか(反映方法) 注釈1 ワークショップ:直訳すると「仕事場」、「工房」などの意味。まちづくりの分野では、参加者がともに討議したり、現場を見たりするなどの共同作業を通して、お互いの考えや立場の違いを学びあいながら提案などをまとめる手法で、そのあつまり(場)。 注釈2  うつくしまの道・サポート制度:道路の一定区間の清掃や緑化について、特定の住民、団体に引き受けてもらう福島県の制度。 注釈3  ガーデニングボランティア:公共空間の草木の手入れに自主的に取り組むこと。 21ページ その4 施設の評価  @ 施設づくりのプロセスの評価    アンケートやワークショップなどの利用者参加の手法を用い、利用者の視点から施設づくりのプロセスに対して評価を行うことが必要です。    また、プロセスを通じて、利用者の参加を取り入れたかどうかが、施設の評価のポイントの一つとなり得ます。  A 完成した施設の評価    実際に使い始めると、新たな課題や改善点が見えてくることがあります。この段階でも利用者の参加を取り入れることで、より具体的な提案も望むことができ、将来の改修計画を立てるうえの貴重なデータが得られます。 22ページ 第2章 ユニバーサルデザインによる施設計画 23ページ 第2章 ユニバーサルデザインによる施設計画  1 本章は、第1章の2の基本方針に基づき、ユニバーサルデザインを実現するための必要事項を整理したもので、構成は概ね次のとおりです。これらをもとに、はじめに−6−2のキーワードといつつの実現手法や、創意工夫により、ユニバーサルデザインを創り出していきます。  2 利用者の満足度は、利用条件、利用者像により異なるので、必要事項は様々な場面を想定して整理しています。  3 本章の内容に関係する参考データは、資料編の第1章UDデータに掲載してあります。    気候、気象、立地条件(自然・景観・交通事情等)、時刻等に代表される利用条件と、年齢、性別、障がいの種類・程度、身体的能力、言語、様々な場面等に代表される利用者像をそれぞれ考慮し、その施設の必要事項を求めます。 必要事項は、基本事項と配慮事項に分けて整理しています。基本事項は、原則的に実施すべき事項で、配慮事項は、努力目標とする事項です。  本章は、3つの空間から構成されています。1つめの空間は移動空間、2つめは利用空間、3つめは案内・誘導です。さらに、各空間は、空間の共通的な事項を述べている共通事項と、複数の個別テーマから成り立っており、移動空間は、共通事項と13の個別テーマ、利用空間は、共通事項と14の個別テーマ、案内・誘導は、共通事項と4つの個別テーマでそれぞれ構成されています。    移動空間のテーマは、1 道路、2 排水施設、3 植樹たい、4 防護柵、5 屋外照明、6 駐車場・駐輪場、7 アプローチ・敷地内(公園内)通路、8 玄関・出入口、9 廊下、10 階段、11 エレベーター・エスカレーター、12 スロープ、13 手すり、です。  利用空間のテーマは、1 トイレ・洗面所、2 みんなのトイレ、3 更衣室・シャワー室、4 浴室、5 宿泊施設の客室等、6 観覧席・客席、7 受付カウンター・水飲み場・公衆電話、8 授乳室等、9 券売機・自動販売機・家具、10 操作ボタン・スイッチ等、11 プール、12 公園、13 屋外休憩施設、14 バス停留所、です。 案内・誘導のテーマは、1 視覚情報サイン、2 触覚情報サイン、3 聴覚・嗅覚情報サイン、4 非常時の情報設備、です。 テーマは全部で31に区分されていますが、施設のデザインは各テーマが連続して構成されなければなりません。テーマ同士の関連性や接点を十分に検討することが重要になります。 24ページ 1 移動空間  移動空間とは、人が、何らかの意志により、ある場所から目的地まで行動するスペースのことです。  移動手段は、徒歩や車いすをはじめ、自転車、オートバイ、乗用車、バスなどの交通用具を使った移動、上下に移動する階段、エレベーター、エスカレーターなど様々です。  ここでは、移動空間におけるユニバーサルデザインの実現に向け13のテーマを掲げ、各テーマの特性や様々な移動手段に応じた工夫、考え方を整理しています。 共通事項 25ページ、1 道路 28ページ、2 排水施設 32ページ、3 植樹たい 33ページ、4防護柵 34ページ、5 屋外照明 35ページ、6 駐車場・駐輪場 36ページ、7 アプローチ・敷地内(公園内)通路 39ページ、8 玄関・出入口 41ページ、9 廊下 43ページ、10 階段 45ページ、11 エレベーター エスカレーター 47ページ、12 スロープ 51ページ、13 手すり 53ページ 25ページ 1 移動空間 共通事項 スムーズな連続性が確保された移動空間  すべての人が同じ空間を、同じ動線で、自由に移動できることを基本に、屋内と屋内、屋内と屋外、屋外と屋外での移動の連続性を確保します。 基本事項  連続性  建物の中から玄関へ、玄関から道路へ、道路から バス停留所へ、バス停留所から道路へ、道路から 目的の建物へ、というような、すべての移動空間がスムーズに連続するよう計画します。  出入口から建物内の各室までの経路は、手すりを連続して設け、誘導サインなどによりわかりやすく 移動できるようにします。 26ページ 動線計画    動線は単純明快なものとし、突出物などで妨げられないようにします。    垂直移動は水平移動に比べ負担がかかるため、水平移動を基本に動線を計画します。  ゆとり  案内表示板を設置した玄関ホールや受付カウンターなど、移動のための情報を受け取る場所では、施設をはじめて利用する人や時間をかけて案内板を確認する人のため、ゆったりとしたスペースを確保します。  人の動作速度には個人差があるため、自動扉の開閉速度やエスカレーターの速度に配慮します。  維持管理の充実  施設を常に安全な状態で運用するためには、維持管理が重要であることから、維持管理のしやすい施設を計画し、運用にあたっては管理体制と点検内容を充実します。  施設の劣化や破損などにより危険な状態が発生しないよう常に現状を把握し、事故の発生を防止します。  段差の解消  移動空間はできるだけ平坦にし、やむを得ず段差が生じる場合は、段差の存在がわかるようにするとともに、スロープを設けます。  避難経路  避難の方法及び経路について十分に検討し、人的な対応のほか、音声や文字情報等、複数の方法により誘導できるよう計画します。    防火戸のくぐり戸の部分は、閉鎖しても段差の生じない構造のものとします。  床    平坦で安定性があり、滑りにくく、水はけの良い材料または仕上げを選択します。  地域性    福島県の各地域の気候や周辺環境にあった移動空間をデザインします。  明るさの確保    移動する速度や場所に適した明るさを確保し、まぶしさが発生しない照明器具のせんてい、設置位置とします。    手すりの位置や情報装置などを夜間でも容易に認識できるよう工夫します。  雨天時    水溜りが生じないよう、雨水を適切に処理する排水施設を設けます。 27ページ 配慮事項  休憩スペース  疲れたときに休憩ができ、語らいの場所としても利用できるよう歩道やホールなどに休憩スペースを設け、ベンチや緑、水飲み場などを設置しましょう。  ベンチは、通行の妨げにならないよう、通路からある程度の間隔を確保し、車いす使用者が隣接できるよう、平坦なスペースを確保しましょう。  大型車両の通行  バスなどの大型車両による利用が想定される施設では、施設への入口、車寄せ、駐車場、出口という一連の車両移動がスムーズに行える車両動線を計画しましょう。    大型車両用の入口と出口が同じ場合は、車両が転回できるスペースを設けましょう。 28ページ 1 移動空間 1 道路 UDデータは95ページにあります。 安全で安心して利用できる道路  連続性、動線、段差に配慮し、冬期間でも安全で安心して利用できるようにします。 基本事項  道路幅員    歩道及び車道は、交通量及び利用状況に応じた、適正な幅員とします。  歩道の形式、材料    市街地部では原則として透水性舗装とします。    必要に応じて透水性ゴムチップ舗装を検討します。   連続的な平坦性を確保するとともに、段差軽減のため、フラット型とします。ただし、フラット型であっても、横断歩道部等においては、視覚障害者が、歩車道境界部を白杖や足により容易に認知できるよう歩行者動線用乗り入れブロックを使用します。なお、沿道の利用状況などにより、フラット型の採用が困難な場合は、現地の実情に合わせ、セミフラット型とします。  歩道の勾配、段差    縦断勾配、横断勾配、すりつけ勾配は、車いす利用者が通行しやすい勾配とします。    勾配が長く続く場合は、平坦部を設けます。    やむを得ず段差が生じる場合は、通行に支障のない高さとします。  縁石    車両乗り入れ部や歩道巻き込み部など、やむを得ない場合を除き、連続するよう設けます。  交差点部    歩道には、横断待ちをする部分に平坦な部分を設けスペースを確保します。    視認性を高めるために、視線誘導ひょうや道路照明灯などの設置を検討します。  歩行者、自転車の分離    利用状況に応じて、歩道の有効幅員が4.0メートル以上確保できる場合は、歩行者と自転車を分離する形状とします。また、舗装材料を変更したり、植樹たいなどで誘導し、通行たいをわかりやすくします。  車道舗装   降雨時の水しぶき、走行騒音、ライトの反射などを低減する必要がある箇所は、排水性舗装とします。 29ページ  冬期間への対応    積雪寒冷地では、除雪、堆雪を考慮して計画するとともに、除雪の実施により有効幅員を確保します。  路面(舗装等)の材料    平坦性、すべりにくさ、水はけの良さなどを考えて路面材料を選定します。特に、ブロックタイプの舗装材は、目地部に段差が生じやすいので、段差が発生しないようにします。  幅員の確保  標識ちゅうや、電柱等により適正な幅員が確保できない場合は、その移設等について関係機関に働きかけます。    占用物を設置する場合は、道路本来の機能を阻害しない場所に設置します。    沿道店舗の立て看板やのぼり、駐輪、駐車車両など道路不法占用物の撤去を地域住民とともに働きかけます。 配慮事項  連続性    セミフラット型及びマウントアップ型歩道の場合、沿道の細い通路との交差部では段差軽減のためハンプを設けましょう。  視認性    沿道の利用状況に応じて、誘導用ブロックを設けましょう。    車止めは、視認性の良いものを使用しましょう。    縁石には反射鋲などを設け、夜間の視認性を高めましょう。    歩行者と自転車を分離する場合は、視認性の良いカラー舗装などで通行たいを区分する計画としましょう。  すりつけ    歩道とみんち側の出入口部などの高低差をすりつける場合、沿道の利用者、地権者との協議、調整を行い、土間コンクリート、階段、スロープなどですりつけましょう。 注釈1 堆雪:除雪された雪。 注釈2 占用物:電柱や水道管など、道路敷内に継続して使用する一定の工作物又は施設。 注釈3 セミフラット型:歩道面を車道面より若干高くし縁石を歩道面より高くした構造。 注釈4 マウントアップ型:歩道面および縁石天端を車道面より高くした構造。 注釈5 ハンプ:舗装を部分的に盛り上げ、運転者に対して通過時のショックや事前の視野により速度低下を促すもの。 30ページ  マンホールなど    マンホールなどのつきだしや、すりつけの悪さなど、占用復旧箇所の凸凹が生じないようにしましょう。    マンホールの蓋などの滑りやすい部分は、滑り止めなどの対策を講じましょう。  停車帯(荷さばき場、タクシー乗り場など)    道路上に停車帯を設ける場合、一般車両の走行を妨げないようにし、路面には必要に応じて使用用途が分かるように明示しましょう。    停車車両の乗降者や積荷の往来が想定される部分は、横断歩道の場合と同様に、できるだけ歩車道境界の段差をなくしましょう。  歩道のない道路での自転車・歩行者通行たい    路肩及び余裕幅などを利用し、自転車・歩行者・通行たいを確保しましょう。また、舗装材料や色調を変え、利用者にわかりやすくしましょう。  工事中    人通りの多い箇所では、交通誘導員を配置しましょう。  迂回路、仮設道路については、げんどうと同等の機能を確保しましょう。特に、誘導用ブロックがある場合には、連続性を確保しましょう。    工事箇所においては、歩行者の通路を確保しましょう。    同じ箇所における工事(舗装、水道等)の施工時期を調整し、効率良い工事を行うとともに、降雪期の工事はできるだけ避けましょう。    地下埋設工事など、竣工後に段差の発生が懸念される場合は、沈下防止策をあらかじめ検討しましょう。    工事看板は、工事内容がわかりやすい標記にするとともに、工事区域がわかりやすいような配置としましょう。  冬期間  歩道等において、積雪または凍結により通行に著しく支障を及ぼす箇所がある場合は、地域の利用状況に応じた冬期対策を検討しましょう。    路上施設や占用物は、除雪を念頭において配置を計画しましょう。    消融雪施設は、除雪や現地状況を考慮して計画しましょう。また、溶けた際の水の流れを考慮した排水計画としましょう。     注釈6 占用:水道管・ガス管など、一定の工作物を道路敷内等で継続して使用すること。 注釈7 消融雪施設:消雪パイプやロードヒーティングなど、雪を溶かす施設。 31ページ  積雪寒冷地の橋梁部では、舗装材料は滑りにくいものとし、状況に応じて消融雪施設の設置を検討しましょう。また、凍結しやすい構造は避けましょう。    かろ形式の橋梁は、横桁から雪や氷が落下しないように対策を講じ、かろ形式橋梁の採用はできるだけ避けましょう。    地下立体横断施設の出入口は、降雪期の風向きを考え、雪の吹き溜まりとならないように計画しましょう。 注釈8 かろ形式:通路が橋桁や主構の下方にある橋の形式。 32ページ 1 移動空間 2 排水施設 UDデータは96ページにあります。 動線と交差しない、安全な排水施設  側溝・排水桝、・横断側溝などは、動線と交差しない場所へ設け、蓋は滑りにくく、靴のかかとなどが落ち込まないものとします。 基本事項  設置 歩道に設ける場合は、動線と重ならないように設けます。やむを得ず動線と重なる場合には、利用目的、周辺環境を考慮した上で、側溝に掛かる蓋は滑りにくく、靴のかかとや車いす等の車輪が落ち込まないものとします。  安全性    安全上必要な箇所には蓋を設けます。 配慮事項  設置 コンクリート側溝の場合は、手掛けの切り欠けなどが通行の支障にならないよう、歩行者などの動線部以外に手掛けを設けましょう。  積雪地域    雪捨て場などの確保が困難な箇所には、流雪溝を設けましょう。    消融雪施設を設ける場合は、溶けた水の流れを考慮した排水計画としましょう。     注釈 消融雪施設:消雪パイプやロードヒーティングなど雪を溶かす施設 33ページ 1 移動空間 3 植樹たい UDデータは97ページにあります。 沿道に潤いを与える植樹たい  成木状態をイメージして配置し、潤いと安らぎのある沿道環境を創ります。 基本事項  設置    必要に応じて良好な潤いある沿道環境とするため、植樹たいを設けます。    歩行者動線と重ならないようにします。 景観、車道、歩道並びに付属施設への影響を考慮し、成木時の樹形をイメージした植栽とします。 樹種の選定にあたっては、交差点や車庫等への出入口、横断地点、その他重要な場所での視界と視距が確保できるよう、成長時の高さや広さを考慮します。また、植樹後も、樹木の高さ、広さを適正に管理します。    視線誘導の目印の一つとなるため、連続性を保ちます。    除雪を念頭において設けます。    車道部に日陰が発生することで、路面凍結の危険があるので、日照を考慮します。配慮事項  樹種    花、根などに有毒なものを持たないものを選定しましょう。    特徴のある樹種は目印として有効なので、必要に応じて設けましょう。    街路樹等の樹木は、    1 地域にあった樹種を選定しているか。    2 落葉樹の場合、落葉の掃除などの管理ができるか。    3 根が張り、舗装などを持ち上げてしまう可能性はないか。   を検討して選定しましょう。  植樹桝    歩行者の靴のかかとなどが落ちないものとしましょう。 34ページ 1 移動空間 4 防護柵 UDデータは98ページにあります。 視線誘導としての防護柵  連続性に留意し、曲がり・ねじれなどが無いよう、維持管理も十分に行います。 基本事項  設置 「防護柵設置基準・同解説」及び「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」に適合させます。 ボルトなどの突起物、部材の継ぎ目、設置の方向などにより通行者に危害を及ぼすことのないようにします。  形状・色彩    景観に配慮し、連続性を失わないようにします。 配慮事項  眺望    道路から外部への眺望を阻害しない形式・位置としましょう。  安全性    反射テープなどを貼付し、夜間の視認性を向上させましょう。  除雪対策    除雪などにより損傷を受けない位置・構造としましょう。 35ページ  1 移動空間 5 屋外照明 UDデータは98ページにあります。 夜間も快適な屋外照明  連続性・視認性・景観などに配慮し、安全で安心できるよう効果的に設けます。 基本事項  設置    照明による事故の抑制効果の高いところに優先的に設けます。    交通量の多いところや人の集まるところに優先的に設けます。    歩行者などの通行量や周辺の光環境を考慮して、適切な明るさを確保します。 地下歩道には、利用者が安心して利用できるよう、蛍光ランプ又は蛍光水銀ランプの照明を設けます。 配慮事項 均斉度    明るさにムラがあると視認性が悪くなるため、ムラが少なくなるようにしましょう。  連続性    照明は視線誘導として有効なので、できるだけ等間隔で連続的に設けましょう。  照明形体等    路面の平均照度、まぶしさ、保守の容易性等から形式を選定しましょう。    周辺景観と調和したデザインとしましょう。 目にやさしい間接照明や、フットライトなどの低位置照明などを有効に活用しましょう。  位置    照明器具が樹木などで覆われてしまわないよう、適正な設置に努めましょう。  環境への配慮    住環境や生態系に配慮した照明計画としましょう。     注釈1 蛍光ランプ又は蛍光水銀ランプ:光源は利用者に安心感を与えるものでなければならないので、その意味では演色性の悪いナトリウムランプの使用は                 望ましくない。 注釈2 均斉度:照明施設における明るさ(照度、輝度)の分布変動を示す尺度。 注釈3 間接照明:光源からの光を天井、壁などに反射させ、その間接こうを利用する照明。 36ページ 1 移動空間 6 駐車場・駐輪場 UDデータは99ページにあります。 道路からも建物からもアクセスしやすい駐車スペース  十分な乗降スペースを確保し、段差をなくします。また、車いす利用者用駐車スペースは、安全で、施設を利用しやすい場所に計画します。 基本事項 駐車場共通事項  路面  路面は、排水を考慮したうえで、できるだけ水平に計画し、凹凸のない仕上げとします。  しゃろ・駐車スペース    見通しの良い、ゆったりとしたスペースを確保します。    車での利用者数を考慮し、必要な駐車台数を確保します。  路面ペイント  駐車のしやすいデザインとし、塗装が取れかけたら再塗装を行い、常に見やすい状態を保ちます。    しゃろ部分を乗降スペースとして利用する場合は、「最徐行」の表示をします。  歩行者の安全確保    歩行者専用の出入口を設けます。  夜間  夜間の利用が想定される駐車場や屋内駐車場では、安全に乗降できるよう照明設備を設置します。  積雪地域    冬期の日当たりの良い位置に設けます。 車いす使用者用駐車スペース  台数    施設の用途や利用者数を考慮し、必要な台数を確保します。  位置  玄関など施設の主要な出入口の近くに設け、柵やポストコーンなどでふさがずに、いつでも利用できるようにします。 37ページ  サイン  車いす使用者用であることが容易にわかるように一般駐車スペースとは異なる色を塗布するか、国際シンボルマークや文字を床面または標示板などにより明記します。    車いす使用者用駐車スペースへ容易に誘導できるサイン計画とします。  大きさ    後部からの車いすの積み下ろしが容易にできるよう、奥行きを確保します。    車両の両側に乗降専用スペースを設けます。  駐輪場    できるだけ玄関の近くで、来場者にわかりやすい場所に設けます。    自転車の出し入れが容易に行えるよう、十分なスペースを確保します。    自転車での利用者数を考慮し、必要な駐輪台数を確保します。    降雨で自転車が濡れないように、屋根を設けます。    自転車の出し入れで、通行を妨げることのない場所に設けます。 配慮事項  駐車場共通事項    歩行者専用通路を設け、車路を横断する箇所には、横断歩道を設けましょう。    必要に応じて車止めを設けましょう。    透水性舗装としましょう。  バスなどの利用が想定される施設では、大型車両専用の駐車スペースを設け、荷物の積み下ろしや車いすの乗降スペースを設けましょう。    職員用と来客用の駐車スペースを区分しましょう。    しゃろは対面交通を避け、一方通行としましょう。  交差部は十字交差を避け、L字、T字とし、視界の良くない交差部にはカーブミラーや回転灯等を設けましょう。  夜間の利用が想定される駐車場や屋内駐車場では、車止めにつまずかないよう反射シールを貼り、円滑に施設へ誘導するために、発光式のサインや掲示板を設けましょう。  積雪地域では、通路や駐車場の除雪が適切に行えるよう、雪溜めスペースを確保しましょう。 38ページ  車いす使用者用駐車スペース 乗降スペースは、ライン引きなどにより駐車スペースと区分し、駐車スペースの両側に設けましょう。  駐車スペースと施設の床高に差がある場合は、駐車スペースの路面の高さを施設の床高に合わせましょう。  雨天時の利用を考慮し、駐車スペースや建物入口までの通路には屋根を設けましょう。  必要に応じて手すりを設けましょう。 ラインの色を工夫し、一般駐車スペース2台分を車いす使用者用駐車スペース1台分に、あるいは3台分を2台分にするなどの柔軟性のある計画としましょう。    施設の入口付近のほかにも数箇所に分散配置しましょう。  駐輪場  多くの駐輪が見込まれる施設は、整然と駐輪できるよう、自転車駐輪ラックを設けましょう。 39ページ 1 移動空間 7 アプローチ・敷地内(公園内)通路 UDデータは100ページにあります。 安全で便利なアプローチ・安心して歩ける通路  施設へのアプローチはわかりやすい位置に設け、すべての人が道路から安全に同じ経路で移動できるようにします。  また、敷地内(公園内)通路は、すべての人が安心して移動できるように、部分的な配慮ではなく、連続性を持った空間とします。 基本事項  歩行者と車の分離    歩行者の安全を確保するため、歩行者用通路としゃろは分離します。  幅員    傘を差した人同士、車いす使用者同士がすれ違える幅員を確保します。  勾配    縦断勾配は、車いす利用者も容易に昇り降りできる勾配とします。    横断勾配は、できる限り緩やかな勾配にします。  歩道に縦断勾配があり、ある程度長い距離がある場合には、適度に平坦部を設けます。  車寄せ  車いすの乗降やトランクからの荷下ろしを行う場所には、雨天時でも支障のないよう、十分な大きさの庇を設けます。  サイン、のぼり旗など  サインやイベント時に設置するのぼり旗は、わかりやすい位置に設け、美観に配慮した上で、通行の支障にならない位置に設けます。  素材  平坦で滑りにくく、水はけのよい材料とし、特に歩道にブロックタイプの舗装材等を用いる場合は、移動しやすいよう目地を含め凹凸を少なくします。  誘導  施設へ安全にアプローチできるよう、誘導用ブロック、縁石、歩車道を分離するライン引きなどを施します。 40ページ 配慮事項 歩行者と自転車の分離    歩行者用通路と自転車用通路は分離しましょう。  段差    しゃろと歩行者用通路の交差部は、歩道を切り下げず、車道にハンプを設けましょう。  素材  車道と歩道の材質は、質感の違いにより区別しやすいよう、異なる材質の使用を検討しましょう。  サイン  建物の出入口付近のしゃろには、徐行や駐車禁止等の床面ペイントや標識などを表示しましょう。  その他の設備    必要に応じて手すりや音声誘導装置を設けましょう。  距離の長い通路には、ベンチ、木陰、展望台、花壇などを設けるなど、長さを感じさせない工夫をしましょう。  積雪地域  積雪地域や建物の北側にアプローチを配置する場合は、施設へのアクセスが円滑に行えるよう、屋根や融雪装置などを設けましょう。  通路が周辺施設からの落雪により遮断されることのないよう、施設から適度な間隔を確保しましょう。 注釈 ハンプ:舗装を部分的に盛り上げ、運転者に対して通過時のショックや事前の視野により速度低下を促すもの。 41ページ 1 移動空間 8 玄関・出入口 UDデータは101ページにあります。 わかりやすく、出入りしやすい玄関・出入口  車いすでも利用しやすいスペースを確保するとともに、すべての人が操作しやすい扉とします。  また、玄関はアプローチから簡単にわかる位置に設け、案内・誘導サインなどを設けます。 基本事項  動線    すべての人が同じ玄関・出入口から施設に出入りできるようにデザインします。  床  玄関や出入口の床は水平とし、段差や門扉止めなどの突起物を設けないようにします。  幅員  玄関や主要な出入口は、車いすの通過や大きな荷物の運搬が容易にできる幅を確保します。  玄関扉前後のスペース    扉の前後には、車いすが転回できるようにするために必要なスペースを設けます。    出入口や玄関には庇を設けます。  水拭きマット  埋め込み型を採用し、マットのたんぶを固定し、車いすの通行や歩行に支障のない材料を選定します。    誘導用ブロックを遮断しないように設けます。  ドア    なるべく小さな力で開閉できるドア(上吊り式など)を選定します。  ドアハンドルは、開き戸ではレバーハンドル、引き戸では棒状のものなど握りやすく操作がしやすい形状とします。    ドアハンドルの高さは、すべての人が容易に操作できる高さとします。    自動的に閉鎖するドアは、ゆっくり閉まるタイプのものを選定します。  自動ドアの感知センサーは、子どもや車いす使用者が通行する場合でも容易に感知するよう設定します。  出入口扉などの大きなガラス面には、衝突を防止し、万一破損した場合にもケガをしないようデザイン性に配慮し、視線の高さに衝突防止フィルム、飛散防止フイルムなどを施します。 42ページ  扉の開閉によりケガをしないよう、引き戸のめし合わせ部にクッション材などを設け、自動ドアの引き込み部は挟み込み防止を施します。  入場ゲート レジ通路    車いす使用者が通行できる十分な幅を確保し、床は水平にします。  レジ台は、買い物かごが置きやすい高さとし、利用者に合わせて、高さが違う台の設置や高さが変えられる台を設けます。  案内板    玄関には総合的な案内板を設けます。  インターホン  主要な出入口には、案内、誘導などを行うインターホンを設け、押しボタンの近くに点字を併記します。  積雪地域    落雪により出入口が塞がらないよう、庇の傾斜方向に配慮します。    玄関の位置は、風向きや雪の吹き溜りを考慮します。  冬期間  玄関ホールが利用者の待合スペースとなる場合は、日当たりの良さ、風除け、空調負荷などを考慮します。 配慮事項  ドア  玄関や主要な出入口は自動ドア(引き分けタイプ)とし、その他の出入口は引き戸にしましょう。  必要に応じて、ドアの反対側の様子が分かるように、子どもの視線の高さにも配慮したガラスこ窓などを設けましょう。  段差    やむを得ず段差が生じる場合は、スロープと階段を併設しましょう。    非常口に段差が生じる場合、スロープを設けましょう。  手すり    靴を履き替える玄関には、手すりや椅子を設けましょう。 43ページ 1 移動空間 9 廊下 UDデータは102ページにあります。 ゆったりとした廊下  建物の用途、規模、利用状況などに応じた十分な幅員を確保し、幅員は途中で変えず、設備機器などの突出物のない直線通路とし、わかりやすい動線とします。 基本事項  幅員  車いす使用者が容易に転回でき、歩行者と車いす使用者とが容易にすれ違える幅員を確保します。    手すりなどを設ける場合は、手すりの内側で幅員を確保します。   幅員は途中で変えないようにします。  床    材質は途中で変えないようにします。    歩きやすいよう、壁の色との明度差を確保します。  突出物    通行の支障になる位置に突出物や物品を置かないようにします。    消火器等は壁埋め込み式とします。  手すり    玄関から各室までの廊下には、両側に手すりを設けます。  誘導用ブロック  玄関から受付又はインターホンまで、誘導用ブロックを途切れることのないよう敷設します。 配慮事項  幅員    車いす使用者同士が容易にすれ違える幅員を確保しましょう。  壁面等の角部    壁や柱の角部は、面をとるかコーナーガードを設けましょう。  案内板  しつめい表示板やイベント案内板等は、床置き式ではなく、壁付けタイプのものを採用しましょう。  光環境   必要な照度を確保するとともに、日射などによるまぶしさへの対策を施しましょう。 44ページ 積雪地域    冬期間に施設間を円滑に移動できるよう、回廊・渡り廊下に屋根を設けましょう。 45ページ 1 移動空間 10 階段 UDデータは103ページにあります。  安全で円滑に移動できる階段   階段は、ゆとりある幅や適切な勾配とし、手すりを設置します。   また、転落防止のため、踏みづらを滑りにくくし、段ばなを識別しやすくします。 基本事項  形式   安全で介添えがしやすいよう、踏みづらの幅が内側と外側で違う階段(らせん階段など)は設けないようにします。  形状   ゆとりある幅員を確保し、適切な勾配とします。   幅員や蹴上げ、踏みづらの寸法は、途中で変えないようにします。   蹴込み板のない階段や透明なガラス板の階段は設けないようにします。 段数の少ない階段は、目立ちにくく危険なため設けないようにし、やむを得ず設ける場合は、注意喚起表示等の措置を講じます。  仕上げ   転倒防止のため、段ばな、蹴上げ、踏みづらの各々の色は、見分けやすく、輝度比を大きくします。廊下と階段の床の色を変えることでさらに識別しやすくなります。   段ばなには滑り止めを設けます。   上端、下端には点状ブロックを設けます。  手すり   両側に手すりを設けます。   幅の広い階段は、中間にも手すりを設けます。  明るさ   足下が良く見えるように、自然採光や照明装置で明るさを確保します。  その他 階段下に人が入れるスペースがある場合は、通行の際にぶつからないよう、花壇や手すりを設けます。  注釈1 踏みづら: 階段の足を載せる段の水平面。  注釈2 段ばな:階段の段の先端。  注釈3 蹴上げ:階段の1段の高さ又はその部分。 46ぺージ 配慮事項  形状 踊り場は、一時的な避難場所や足休めの場所となるよう、十分なスペースを確保しましょう。   転落防止のため、階段を上がってすぐの位置には出入口を設けないようにしましょう。   屋外の階段には屋根を設けましょう。  サイン 階段の設置位置がわかりにくい場合は、誘導用サインや誘導用ブロックを設けましょう。  積雪地域   屋外での材料は、凍害の影響を受けないものを選定し、融雪装置を設けましょう。   除雪を必要とする場合は雪溜めスペースを設けましょう。 47ページ 1 移動空間 11 エレベーター エスカレーター UDデータは104ページにあります。  すべての人が使いやすいエレベーター エスカレーター   わかりやすい位置に設け、すべての人が安全に使いやすいものとします。 基本事項  共通事項  位置 エレベーターやエスカレーターは、階段とともに利用者が選択できるよう、わかりやすい位置に、階段と近接して設けます。  エレベーター  設置   低層建物の場合や地下歩道でもできる限りエレベーターを設けます。 一台は、車いす使用者や視覚障害者などが一人で利用できるような形態や設備を備えたものとします。  乗降ロビー ゆったりとした空間を確保し、車いす使用者同士のすれ違いや転回が容易にできる大きさとします。  室内の大きさ 車いす使用者が容易に転回できる大きさとしますが、難しい場合は、車いす使用者と介助者が同乗できる大きさとします。  扉   車いすの乗り降りや大きな荷物の出し入れが容易に行える幅とします。   利用者に合わせて開放時間を延長できる操作ボタンを設けます。 子どもや高齢者、車いすやベビーカー、台車などが安全に通過できる装置(感知器)を設けます。 48ページ  操作盤 操作ボタン、乗り場ボタン ボタンは、手の甲やひじでも押すことができる大きなものとし、わかりやすく表示します。   設置位置や高さは、すべての人の手が届くようにします。   操作盤には点字や拡大文字による表示を行います。  情報 音声 音響案内、昇降方向や文字表示などの情報サインを設けるとともに、緊急連絡のための情報機器を設けます。  誘導   線状ブロックによりエレベーターまで誘導するとともに、乗降ロビーの乗り場ボタン前へ点状ブロックを設けます。   他の乗降者とぶつからないよう、昇降路出入口前には誘導用ブロックを設けないようにします。  その他   内部で車いすの転回ができないものは、出入口を確認するための鏡を設けます。   内部に手すりを設け、必要に応じて腰掛などの設備を設けます。 建物床とエレベーター床との隙間は、車いすのキャスターや杖などが挟まらない幅とし、段差はできるだけ少なくなるよう、点検調整を行います。  エスカレーター  形状   安全な乗り降りができるよう、水平部分のステップを複数枚設けます。  手すり 移動手すりは、乗り口と降り口の水平部分に設け、固定手すりは乗降場のステップの前後に設けます。 移動手すりの色が引き立つよう、周囲の色と輝度比を確保し、視力の弱い人でも安全に利用できるようにします。  情報 上端及び下端付近には、進入可否の表示や音声 音響案内などの情報サインを設けます。  誘導 線状ブロックによりエスカレーターまで誘導するとともに、乗りくちには点状ブロックを設けます。また、音声 音響案内などを併設し利用者の安全を確保します。 注釈 輝度比:輝度(カンデラパー平方メートル)とは、発光体の単位面積当たりの明るさ(発散する光の量)のこと。輝度比は、2つの材料の輝度の比。 49ページ 配慮事項  共通項目  その他   乗り降りの動線上には、ごみ箱や灰皿、看板などを置かないようにしましょう。  エレベーター  構造   動線上効果的な場合には、2方向出入口を設けましょう。  室内の大きさ   必要に応じて、ストレッチャーや担架で水平に運ぶことができるものとしましょう。  扉 子どもや高齢者、車いすやベビーカー、台車などが安全に通過できる装置(感知器)と併せて、乗り込みくち付近から利用者を感知する装置を設けましょう。  操作盤 操作ボタン   点字を読めない人にもわかるよう、点字と浮き出し文字の両方で表示を行いましょう。 操作ボタンの位置や表示を、触って確認することもあるため、ボタンの感知方式はタッチ式ではなく、押しボタン式としましょう。   浮き出し文字は、色を目立つようにしてわかりやすくしましょう。   行き先ボタンを間違えて押した場合のキャンセル機能を備えましょう。  情報 2方向出入口とした場合は扉の開く方向がわかるよう、停止階ごとに音声及び表示で案内しましょう。  誘導 建物の用途、規模などから効果が大きい場合には、乗降ロビーへ触知案内図を設けましょう。    注釈1 ストレッチャー:負傷者などを運ぶ車輪のついた移動用寝台。  注釈2 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 50ページ  防犯 必要に応じて、外部からの視認性を確保するため、扉にガラス窓を設けたり、シースルータイプとしましょう。  エスカレーター  運転速度   必要に応じて、低速に変えられる機能を備えましょう。  参考:社団法人 日本エレベーター協会標準仕様 注釈 シースルータイプ:内部が透けて見える型式。 51ページ 1 移動空間 12 スロープ UDデータは106ページにあります。  段差の移動を楽にするスロープ   長さ、勾配、前後の安全性などに配慮して設けます。 基本事項  位置   建物のアプローチに設ける場合は、主要な出入口に近いところに設けます。   スロープと階段を併設する場合は、出来るだけ近くに設けます。   延長が長くならないよう、できるだけ高低差が小さい場所に設けます。  形状   直線または折返しの直線形状とします。   ゆとりある幅とゆるやかな勾配とします。   横断勾配は出来るだけ緩やかな勾配とします。   終始点は、飛び出し防止のために平坦スペースを設けます。   高低差が大きくスロープが長くなる場合は、途中に平坦部を設けます。   車いすの脱輪防止のため、スロープの両側に立ち上がりを設けます。  床(路面)仕上げ   色は、他の通路や踊り場と輝度比を大きくします。   上端、下端に接する平坦部には点状ブロックを設けます。  手すり   両側に手すりを設けます。   幅の広いスロープは中間にも手すりを設けます。  明るさ   足下が良く見えるように、自然採光や照明装置で明るさを確保します。 52ページ 配慮事項  位置   スロープを利用しにくい人もいるので、階段を併設しましょう。  形状   車いす使用者同士が容易にすれ違える幅員を確保しましょう。 和室などの室内に段差を設ける場合は、簡易スロープなどで段差を解消できるようにしましょう。   屋外のスロープには屋根を設けましょう。  サイン   スロープの設置位置がわかりにくい場合は、誘導用サインを設けましょう。  積雪地域 屋外での材料は凍害の影響を受けないものを選定し、融雪装置を設けましょう。除雪を必要とする場合は雪溜めスペースを設けましょう。 53ページ 1 移動空間 13 手すり  UDデータは107ページにあります。 移動を補助する手すり   手すりは、お年寄り、目の不自由なかた、子どもなどの移動や立ち座り動作の補助、あるいは転倒や転落防止などのためにも必要です。また、連続して設置することで目の不自由なかたの誘導案内にも利用できます。   基本事項  移動用手すり   仕様    体重を上からかける場合がほとんどなので、ある程度太いものをしっかりと取りつ    けます。    たんぶは、袖などが引っ掛からないように壁面側又は下方に曲げます。    できる限り連続して設け、設備機器や点検扉などで分断されないようにします。    壁の色と見分けやすい色とします。   設置方法    壁との隙間は、手が擦れない程度を確保し、握りながら移動できるように留め方に注意します。    設置高さは、一般的に足の付け根の高さとし、2段の場合は下の手すりにも体重をかけられるよう、上の手すりより廊下側に出して設けます。    転落の危険がある場所に設ける場合は、転落防止に配慮します。   材質    設置する場所(屋外・屋内)に応じた耐久性や耐食性があるものとし、材質は触った時の感触や握りやすさを重視します。   点字サイン    必要に応じて行き先、到達地点を点字で案内し、2段手すりの場合は両方に設けます。    点字にはその内容を文字で併記します。    点字は自然に指が触る位置に設けます。  立ち座り用手すり   仕様    しっかりと握れるよう、移動用よりもけいを細くします。 54ページ 配慮事項  設置方法   移動用手すりは、通路の両側に2段の手すりを設けましょう。   扉の開け閉めなど動作が伴う場所には、必要に応じて垂直手すりを設けましょう。  海岸地域   金属製の場合は錆による腐食に注意しましょう。 55ページ 2 利用空間  利用空間とは、ある目的を果たすために一定時間活動したり、活動によって疲れたこころや体を休めたりするスペースのことです。  すべての人が、安全で快適に目的を果たせるよう、利用者の特性を把握し、そのスペースに必要な要素を十分に検討する必要があります。  ここでは、利用空間におけるユニバーサルデザインの実現に向け14のテーマを掲げ、各テーマの特性や様々な活動方法に応じた工夫、考え方を整理しています。 共通事項 56ページ、1 トイレ・洗面所 57ページ、2 みんなのトイレ 59ページ、3 更衣室・シャワー室 61ページ、4 浴室 62ページ、5 宿泊施設の客室等 63ページ、6 観覧席・客席 65ページ、7 受付カウンター・水飲み場・公衆電話 66ページ、8 授乳室等 68ページ、9 券売機・自動販売機・家具 69ページ、10 操作ボタン・スイッチ等 71ページ、11 プール 72ページ、12 公園 73ページ、13 屋外休憩施設 75ページ、14 バス停留所 76ページ 56ページ 2 利用空間 共通事項  人の行動を考え、快適で美しく、さりげなくデザインされた利用空間   すべての人が動きやすく、快適性や美しさも備えた空間をデザインします。 基本事項  利用者のこころへの配慮   休憩室や公園はくつろげる空間、宿泊室は落ち着ける空間、執務室は集中できる空間、相談室は話しやすい空間など、それぞれの利用空間の目的や、利用する人の気持ちを考えた、広さや照明などを設け、心を安らげるようにします。   また、衛生面にも配慮し、清掃などにも気を配り、気持ちよく使用できるようにします。  動作の正確さ   人は必ずミスをするものという前提から、正確な動作を促すよう、わかりやすくし、どこに何があるのかが一目でわかるデザインに心掛け、ミスを起こした場合の対応を考慮し、併せて安全性も確保します。  動作の範囲   大人と子どもでは動作の範囲が異なるように、必要な寸法や最適な寸法にも幅があるので、すべての人の動作範囲に対応できるデザインや、介護スペースを設けるなどの工夫をします。  動作の速度   各人のペースで判断したり、動作ができるスペースをつくります。  動作の安定性   手すりや、体を支える台などを設け、動作の安定、ケガの防止に努めます。  わかりやすいサイン   目的場所へ迷わずに行けるよう、絵柄や色、浮き出し文字、点字、音声などにより、   わかりやすいサインを設け、途切れないように誘導します。  たばこ対策   健康増進法に基づき、受動喫煙を防止する観点から、喫煙室等を設け分煙対策を講じます。  床、路面等   濡れても滑りにくい材料、または仕上げとします。    配慮事項  たばこ対策   建物内は全面禁煙にしましょう。 57ページ 2 利用空間 1 トイレ、洗面所   UDデータは108ページにあります。  ゆとりのある様々なタイプのトイレ 動作の多様性に対応でき、不自由さを感じない、快適で衛生的な空間となるよう、細やかな心遣いを施します。人によって動作に違いがあるため、その人にとっていちばん使いやすいトイレを選択できるよう計画します。  基本事項  位置、形態など   わかりやすい場所に設けます。   サインなどにより適切に誘導します。   安全で安心して利用できるよう、適切な明るさを確保します。   車いすやベビーカーでも利用しやすいよう、スペースにゆとりを持たせます。  数量 建物用途等による利用者数に応じたトイレの数とします。  トイレブース内   扉は、未使用時には常時開放または使用状態を確認できるようにします。   扉の錠は、容易に操作ができ、非常時に外部から解錠できるようにします。   大きめの汚物入れ、荷物置き、上着掛け、ワンハンドカット式 のペーパーホルダーなどを設けます。   立ち座り動作を補助するための手すりを設けます。  小便器   体を支えるための手すり付きの小便器を設け、背後に十分なスペースを確保します。   身長にかかわらず利用できるよう、ストール式または低リップ式の小便器とします。  洗面所   荷物を置いたり、杖を立てて置いたりできるスペースを設けます。   洗面台の下部には車いすの足下やいすが入る空間を確保し、必要に応じて車いすを引き寄せるための手すりやキックプレートを設けます。   鏡は、すべての人の目線の高さに配慮し、平面状の大きなものを設けます。   水栓は、操作が容易なもの(自動水栓式、レバーハンドル式など)とします。 注釈1 ワンハンドカット式:紙切り板を押さえなくても、片手だけで紙を切ることができるトイレットペーパーホルダーの方式。 注釈2 ストール式:床置きタイプの小便器。 注釈3 低リップ式:子供から大人まで無理なく使用できるよう、前方に張り出した受け部分が低い位置になっている小便器。 注釈4 キックプレート:廊下等で車いすが壁に衝突した際、壁の破損や利用者の怪我を防止するために設置する保護材。 58ページ 配慮事項  位置、形態など   触知案内図でトイレ内部の空間構成がわかるようにしましょう。  パウダーコーナー   必要に応じて、化粧直しや歯磨きができるパウダーコーナーを設けましょう。  トイレブース内   乳幼児を固定するベビーチェアを設けましょう。   温水洗浄機能付きや暖房便座としましょう。  床や壁などの仕上げ   清潔さを保つため、汚れのつきにくく掃除がしやすい材料とし、特に床材は滑りにくさも考慮し材質を選定しましょう。  女性トイレ   必要に応じて、男児用の小便器を設けましょう。  設備   洗面台は子供用も併設しましょう。   男女問わず、子供用トイレを設けましょう。   洋式トイレと和式トイレを併設しましょう。  おむつ交換など   乳幼児のためのおむつ交換や、荷物置きに利用できるベビーベッドなどを設けましょう。 注釈 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 59ページ 2 利用空間 2 みんなのトイレ  UDデータは109ページにあります。  すべての人が使いやすいみんなのトイレ 車いすでの使用が可能なトイレは、他のトイレと隣接した配置とし、すべての人が使える共用型・みんなのトイレとし、使い方を検討しながら、必要な設備を使いやすい位置に設けます。 基本事項  位置、形態   利用者と異性の介助者が一緒に入れるように配置します。   車いすの転回が容易にできる大きさとします。   床には段差を設けず、濡れても滑りにくい材料を選定します。   便器は、正面からアプローチができ、左右どちらからでも乗り移ることができる位置に設けます。  出入口扉   引き戸とします。   外部から使用中か空室かの確認ができるようにします。  手すり   便器の両側に垂直と水平に設け、片側は可動式とします。  ベビーチェア、ベビーベッドなど   乳幼児を固定するベビーチェアを設けます。   おむつ交換を行うためのベビーベッドなどを設けます。  設備   便器は洋式とし、温水洗浄機能付きや、寒い場所では暖房便座とします。   水洗は、大型のレバー式や自動感知式とします。   非常用よびだしボタンは、腰掛けた状態や転倒した場合でも利用できる 位置に設けます。   荷物置きや、ワンハンドカット式のペーパーホルダーなどを設けます。   鏡は、すべての人の目線の高さに配慮し、平面状の大きなものとします。   オストメイトが利用しやすいよう洗浄設備は大きめの物とし、ドアに表示サインを設置します。   上着かけのフックなどは、使いやすい高さに設けます。 注釈1 ワンハンドカット式:紙切り板を押さえなくても、片手だけで紙を切ることができるトイレットペーパーホルダーの方式。 注釈2 オストメイト:直腸がんや膀胱がんなどが原因で臓器に機能障害を負い手術によって人口肛門や人口膀胱をぞうせつした人。(国内には約20〜30万人いるといわれている) 60ページ  サイン   ピクトグラム(図記号)などにより、わかりやすく表示します。    配慮事項  出入口扉   電動扉(横引き)としましょう。  設備   洗浄ボタンや非常用呼び出しボタンが区別できるよう、点字や浮き出し文字による表示を設けましょう。   施設の照明は、種類に応じ、じん感センサー式としましょう。   パウチなどの洗浄が可能な設備を設ける場合は、立った姿勢でも洗浄が可能な高さに設け、温水機能が付いたシャワー式水栓としましょう。   誤った利用を防止するために、設備の操作方法や設置目的を表示しましょう。   重度障害者が利用しやすいよう、おむつ交換や着替えなどもできる大きなベッドか、または折りたたみ式の多目的シートを設けましょう。   暖房設備を設けましょう。   必要に応じて靴を脱いで着替えができるスペースを設けましょう。 注釈1 ピクトグラム:文字が変わって事物や概念を伝える図形(絵文字)の総称。 注釈2 パウチ:かつやくきんがなく便意や尿意を感じたり、我慢することができないオストメイトが便や尿を溜めておくために腹部に装着する袋。 61ページ 2 利用空間 3 更衣室、シャワー室  UDデータは110ページにあります ゆとりある更衣室、シャワー室 清潔で快適に使用できるとともに、更衣の際のプライバシーが確保できるようにします。 基本事項    更衣室   車いすの転回が容易にできるスペースを確保し、下部に車いすの足下が入る空間を備えた更衣棚を設けます。   着替え用のべンチを設けます。  シャワー室   スポーツ施設などのシャワー室では、車いす使用者も利用できるブースを設け、シャワー専用くるまいすを用意します。   車いすの転回が容易にできるよう、広めの空間を確保します。   水栓は、強い力の要らない使いやすいものとし、車いす使用者も使いやすい高さに取り付けます。   シャワーフックは、複数の高さのものや、高さを変えることのできる縦スライド式のものを用意します。  手すり   できる限り連続した手すりを設け、出入ロから更衣室、シャワー室へと誘導し、更衣室、シャワー室にも手すりを設けます。  床の仕上げ   ざいによる使用を考慮し、肌ざわりが良く、滑りにくいものを選定します。 配慮事項  ゆとりのある空間   更衣室は、ベンチのある広めの空間を確保しましょう。  シャワー室内の棚   シャンプーなどを置く棚のほかに、衣類、バスタオルなどを濡れないで置くことのできる棚、カゴ、フックなどを設けましょう。  男女共用型の更衣室、シャワー室   利用者と家族などの異性の介助者が一緒に、ハイレルよう、プライバシーに配慮した男女共用が可能な更衣室、シャワー室を設けましょう。 62ページ 2 利用空間 4 浴室  UDデータは111ページにあります  安心してゆっくり使える浴室   転倒や温熱環境の変化による体調急変を招かないよう、安全に安心して利用できることはもとより、リラックスして、リフレッシュできる空間とします。 基本事項  床   廊下と脱衣室及び浴室へは段差をなくし、仕上げや色で区別します。   脱衣室は、素足でも冷たく感じないものとします。   座いによる使用を考慮し、肌ざわりが良く、滑りにくいものを選定します。  浴槽   浴槽に座って ハイレルよう、腰掛け台や動作補助のための手すりを設けます。  水栓   温度調節が容易にできるものとし、レバー式水栓とします。  シャワーフック   複数の高さのものや、高さを変えることのできる縦スライド式のものを用意します。  手すり   浴室への出入り、浴室内の歩行、浴槽への出入り、入浴中の体の安定のための手すりを設けます。  出入口   小さな力で開閉ができる引き戸とします。 63ページ 2 利用空間 5 宿泊施設の客室等  UDデータは112ページにあります。  使いやすく快適で居心地の良い客室   研修所などの宿泊室は、睡眠、休息、入浴、トイレなど生活のためのあらゆる動作が行われることを考慮し、また、できるだけ多くの客室を車いす使用者が利用できる仕様とします。 基本事項 宿泊室の大きさ、仕様   利用者のニーズを把握し、大きさや仕様を決定します。  浴室   扉は軽量な引き戸とし、車いすから浴槽に乗り移るための台を用意します。  ベッド廻り   ヘッドボードは、寄りかかりやすい高さとし、ベッドの下部には、車いすのフットレストが入るスペースを確保します。   ベッドサイドは、車いすが転回できるスペースを確保します。   ベッドは、使いやすい高さとします。  照明   プライベートな空間にふさわしい演出を施し、安全で快適な照度を確保します。  床   付属の浴室やトイレへの段差をなくします。  手すり   部屋の中で移動がしやすいように手すりを設けます。 配慮事項  設備機器など   利用者が使いやすい方を選択できるよう、設備機器やベッドなどの位置は左右両側から利用できるように配置しましょう。   必要に応じて、フロントとの筆談装置、電動式ベッドを設けましょう。   身体障害者補助けん法に基づき、補助けん(盲導犬、介助けん、聴導犬)に対応できるようにしましょう。   触知案内図で部屋の空間構成がわかるようにしましょう。   火災報知器が作動したときや来客者があったときに、利用者に光で知らせる装置を設置しましょう。 注釈1 身体障害者ほじょけんほう:平成14年10月1日に施行され、公共的施設や公共交通機関などを利用する場合、ほじょけんの同伴が可能となった。 注釈2 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 64ページ  家具   車いす使用者も利用しやすいよう、下部に車いすの入る空間を確保しましょう。   家具は前面をそろえて配置し、クローゼットなどはできるだけ引き戸としましょう。 65ページ 2 利用空間 6 観覧席、客席   UDデータは113ページにあります。   すべての人が楽しめる観覧席、客席 劇場は、観客席すべてからステージがよく見えるようにし、また、客席はスロープや段床との段差による危険を防止し、すべての人が快適に選択して利用できるようにします。 基本事項  座席   通路側の座席の肘掛けは、跳ね上げ式とします。  スロープ   出入口から車いす対応の客席、ステージまでの経路に高低差がある場合は、スロープを設けます。  車いす対応の客席スペース   出入口から段差なく到達できる場所で、避難がしやすくステージが見やすい位置とします。   車いす使用者が、自由に場所を選択できるよう、客席スペースを複数設けるとともに、   そのための通路幅員も確保します。   転倒防止のため、手すり、ストッパー、キックプレートを設けるとともに、介護者用座席を隣接して設けます。  ステージ、楽屋 段差解消機の設置を含め、ステージと客席、楽屋間の移動については、車いすでの移動を可能とします。  手すり   安全で楽に移動できるよう、場内の必要な箇所に設けます。  照明(誘導)設備   暗くした場合でも段ばなが視認できるよう、発光体にするか足元灯を設けます。  聴覚障害者用情報伝達システム   必要に応じて、補聴援助システム(磁気誘導ループ式、赤外線式、FM補聴装置など) を設けます。 配慮事項  家族室   個室の観覧席を設けましょう。 注釈1 キックプレート:廊下等で車いすが壁に衝突した際、壁の破損や利用者の怪我を防止するための保護材。 注釈2 段鼻:階段の段の先端。 注釈3 磁気誘導ループ式:入力音源(マイク、テープ等)からの音声信号を床下の導線(磁気ループ)へ流してループ内に信号磁界を発生させ、補聴器(誘導コイル内蔵のもの)などで音を聞くもの。 注釈4 赤外線式:入力音源(マイク、テープ等)からの音声信号を赤外線アンプ、赤外線ラジエターをとおして赤外線で送信し、赤外線レシーバーと補聴器(誘導コイル内蔵のもの)などで音を聞くことができるもの。 注釈5 FM補聴装置:入力音源(マイク、テープ等)からの音声信号をFM波で送信し、補聴器(FM受信機を内蔵のもの)などで音を聞くことができる装置。 66ページ 2 利用空間 7 受付カウンター、水飲み場、公衆電話   UDデータは114ページにあります。   自然な姿勢で使用できる受付カウンターなど 子ども、車いす使用者、杖などを使用している人なども利用しやすいよう、高さや構造を工夫します。 基本事項  共通事項   受付カウンターなどの形式    子どもや車いす使用者も利用しやすいよう、高さの低いものと高いものを併設または近接して設けることとし、施設の利用形態に応じては、高さの低いものを単独で設置することも検討します。    カウンターなどには荷物やメモ帳を置くスペースを設けます。   高さの低いざいカウンターなどの形状    下部には車いすの足下やいすが入る空間を確保し、必要に応じて、車いすを引き寄せるための手すりやキックプレートを設けます。  受付カウンター   高さの高い りついカウンターの形状    固定し、身体を支えやすい形状とし、必要に応じて、手すりを設けます。   カウンターへの誘導    りついと、ざいの併設タイプにおいて、視覚障害者を誘導用ブロックで誘導する場合は、りついカウンター側に誘導します。  水飲み場    車いす使用者が横向きまたは前向きで使用できるよう、周囲に有効なスペースを確保します。    水栓の操作方法は、じんかんセンサー式、ボタン式又はレバー式の中から、施設の利用形態に応じて選定します。また、足踏み式水飲みの併設も検討します。 注釈 キックプレート:廊下等で車いすが壁に衝突した際、壁の破損や利用者の怪我を防止するための保護材。 67ページ  公衆電話   電話機    点字表示付きの電話機を設置します。    音声を大きくできる機能付きの電話機を設置し、わかりやすい位置にその旨を表示します。   電話ボックス    出入口は車いす使用者も出入りしやすいよう、幅を広くし、段差を設けないようにします。 配慮事項  受付カウンター    受付員が不在となりやすい場合は、呼び出しチャイムをわかりやすい場所に設けましょう。    口頭による案内にとどまらず、目的の場所まで誘導できる体制を整えましょう。    聴覚障害者とやり取りがしやすいよう、文字盤、筆談用の道具を用意し、机のサイズにも工夫しましょう。    必要に応じて、手話のできる職員を配置しましょう。  水飲み場    必要に応じて、近くに手洗いを設けましょう。  公衆電話    必要に応じて、電話機に隣接してファックスを設けましょう。 68ページ 2 利用空間 8 授乳室等   使いやすく、プライバシーを確保できる授乳室等    乳児を連れた人が利用する施設では、授乳や乳児の着替えの場所・各種設備などを設けます。また、男女とも利用しやすいように、母乳を与える女性のプライバシーを確保します。 基本事項   設置    授乳やおむつ交換のできる場所をわかりやすい場所に設け、サインなどにより適切に誘導します。    ゆわかし しつなどに隣接して設けたり、湯沸かし設備のある和室(警備員室)などを利用する方法も考えられます。    施設の用途に応じて、部屋数や広さを決定します。    プライバシーを確保するため、授乳室は個室とするか、母乳を与えるスペースを別室とします。   設備・備品など    授乳やおむつ交換を行うためのベビーベッド、椅子、畳スペースなどを設けます。    施設の用途に応じて、適正なベビーベットや椅子の数、畳スペースの広さを決定します。    瞬間湯わかしき、電気ポット、流し台、ごみ箱、おむつ等を捨てるための大きめの汚物入れなどを設けます。    ベビーベッドの柵は、子どもが足を掛けて落下しないよう縦格子とします。    格子の間隔は子どもが落下せず、頭部や手足を挟むことのない寸法とします。    冬季や夏季でも快適に利用できるよう、冷暖房設備を設けます。   荷物置き場    荷物を置くスペースを確保します。 配慮事項   照明    利用状況に応じ、常時点灯させるか、じんかんセンサー式としましょう。 69ページ 2 利用空間 9 券売機・自動販売機、家具   UDデータは115ページにあります。   すべての人が使いやすい券売機・自動販売機、家具    大人や子ども、高齢者、車いすの使用者など、すべての人が安全で簡単に使えるようにします。 基本事項  券売機・自動販売機   設置    わかりやすい場所に設け、サインなどにより適切に誘導します。   スペースの確保    車いす使用者が横向きまたは前向きで使用できるよう、手前に有効なスペースを確保します。   金銭投入ぐち、ボタンなど    金銭投入ぐち、選択ボタンやとりだしぐちなどは、車いす使用者や子どもなども利用しやすい高さや形態とします。    選択ボタンには、点字を併記します。    タッチパネル式券売機では、ボタン式テンキー、音声案内を設けます。    駅舎などでは、券売機横に点字運賃表を設け、点字ボタンの料金表示は、周囲との明度差を大きくします。  家具   操作性    高い棚は、棚を有効に利用できるよう、下げられる工夫をし、低い収納は使いやすいよう、引き出して上から使用する形態とします。    使いやすい場所に、収納高さが低く、引き出しやすい取っ手やキャスター付きのワゴンなどを取り付けます。    施設の利用形態に応じて、高さや構造を工夫します。   安全性    家具は角を丸くし、凹凸を少なくします。 注釈1 タッチパネル式:表示された文字や絵に指で触れるだけでコンピューターを操作できる方式。 注釈2 テンキー:0から9までの数字と+や−など、四則演算のキーがひとかたまりになった入力装置 70ページ   いす    立ち上がりに便利なひじ掛け付きとし、立ち上がりが楽な高さや固さとします。   机、テーブル    車いすでも利用しやすい形状とします。   ショーケース・陳列棚    車いす使用者や子どもなどにも商品が選びやすい高さや形状とします。   流し台    水栓は強い力を必要としないものとし、車いす使用者にも使いやすい高さとします。    例 シングルレバー式など    下部には車いすの足下やいすが入る空間を確保し、必要に応じて、車いすを引き寄せるための手すりやキックプレートを設けます。 配慮事項  家具   動作への配慮    移動のしやすさを考慮し、手すりやキャスター付きとしましょう。 注釈1 シングルレバー式:水の出し止め、水量、温度調節が1本のレバーハンドルで行える水栓 注釈2 キックプレート:廊下等で車いすが壁に衝突した際、壁の破損や利用者の怪我を防止するための保護材。 71ページ 2 利用空間 10 操作ボタン スイッチ等   UDデータは116ページにあります。   簡単でわかりやすい操作ボタン スイッチ等 手荷物をもっている状況でも間違わずに簡単に操作できるよう、取り付け位置、スイッチなどの形状や大きさなどを工夫し、どのような状況においても間違わずに簡単に操作できるようにします。 基本事項   スイッチ類    大型で操作性の高いものとし、暗い場所でもわかるパイロットランプ付きとします。    子どもや車いす使用者の利用を考慮し、低めの位置に設けます。    空調機のスイッチなどは、ダイヤル式などの指先に力が必要なものを避けます。   コンセント類    差込頻度の高いコンセントは、高めの位置に設けます。   非常用ボタン    わかりやすく、子どもや車いす使用者にも操作のしやすい位置に設けます。   表示(サイン)    スイッチなどの表示は、判別しやすいよう大きな文字とし、できる限り、点字・浮き出し文字とします。    非常用ボタンの表示は、ひらがなやピクトグラム(図記号)等により、非常時に誰にでもわかりやすく統一された表示に心掛けます。    スイッチの種類に応じて、動作状態の表示を行います。 配慮事項   スイッチ類    しつの種類に応じて、じんかんセンサー式としましょう。   コンセント類    室内の使用状況に応じて、コンセントの数、設置位置、可変性を検討し、引き抜け防止機能を設けましょう。  注釈:ピクトグラム:文字に変わって事物や概念を伝える図形(絵文字)の総称。 72ページ 2 利用空間 11 プール   すべての人が安全に快適に利用できるプール 競技用などの関係機関の基準に支障の無い範囲で、スロープや緩やかな手すり付きの階段、簡易リフトなどを設け、高齢者、子ども、車いす使用者なども安全に利用できるようにします。 基本事項   プールへの昇降    脚力の衰えた高齢者や子ども、車いす使用者なども利用しやすいよう、スロープや緩やかな手すり付きの階段、簡易リフトなどを設けます。   プールサイド    車いす使用者なども十分にすれ違えるスペースを確保します。    肌ざわりが良く、滑りにくい安全性を考慮した仕上げとします。   目洗い    車いす使用者や子どもなども利用しやすいよう、低い位置にも設けます。    車いす使用者も利用しやすいよう、カウンターしたに車いすの足下が入る空間を確保します。   表示(サイン)    プール内やプールサイドでの危険な行為を防止するため、必要に応じて、注意喚起表示を行います。 73ページ 2 利用空間 12 公園 UDデータブックは117ページにあります。 自然、安らぎと潤いを感じられる公園  すべての人が自然に触れ、心安らぐいやしの空間となるよう演出します。また、草花、樹木、小動物、鳥、虫、魚、にもやさしい場所とします。 基本事項  設置    必要に応じて休憩施設、遊具、トイレ、水飲み場、照明施設などを設けます。  遊具    遊具は、安全でわかりやすく、使いやすいものとします。    遊具の基礎などは、露出しても安全なよう、基礎部分や危険が考えられる部位をゴムシートなどで保護します。  自然条件   その土地の地勢、気候、植生などを十分に調査し、その特性を生かした公園づくりを行います。  住民参加の計画    利用者が計画段階から主体的に係わり、「私たちの公園」という意識を高める仕掛けをつくります。    各施設の配置については、利用者や地域住民とのグランドワーク等の結果をできる限り反映します。  草花や水辺とのふれあい    すべての人が草花や水辺に近づけるよう工夫します。    例)できるだけ平らな場所にレイズドベッドなどを設けます。  植栽    葉、花、根などが有毒でないものを選定します。    すべての人が楽しめる公園とするため、必要に応じて、     1 香りのある樹木や草花を採用します。     2 聴覚により自然の多様さと安らぎを感じられるよう、鳥(食餌木)や虫が集まり、様々な音を楽しめる場をつくります。 注釈1 グランドワーク:地域住民、行政、企業の3者が協力して組織をつくり、自らが汗を流して地域の環境を改善していく活動。 注釈2 レイズドベッド:車いす使用者でも容易に草花や水に触れることのできる植栽桝や花壇、池などのこと。 74ページ 配慮事項  舗装材 できる限り材質を統一し、自然素材を使用しましょう。また、ほろを板張りなどにし、杖などの反響音を有効な情報とすることも検討しましょう。  案内板、地図    広い公園では案内板・地図、方向指示板などを分かりやすい位置に設けましょう。  植栽    特徴のある樹種は目印として有効なため、必要に応じて活用しましょう。    地形の高低差を利用して配置しましょう。 75ページ 2 利用空間 13 屋外休憩施設 UDデータは119ページにあります。 利用しやすく、安らげる休憩施設  利用方法がわかりやすく、安らげる空間を創出します。 基本事項  設置    歩道、通路、公園などには、必要に応じてベンチを設け、景観に調和したものとします。    ベンチなどは、歩行者動線上を避けて設けます。 配慮事項  休憩施設    強い日射しを遮るよう、木陰などを設けましょう。    水飲み場、照明などの設置を検討しましょう。    雨天や雪の時にも休憩施設を利用できるように屋根を設けましょう。    すべての人が利用しやすいよう、利用者の行動を想定し、形状や材質を検討しましょう。    背もたれや肘掛けは、周辺状況等に応じて設けましょう。 76ページ 2 利用空間 14 バス停留所 UDデータは120ページにあります。 安全で乗降しやすいバス停留所  ベンチや上屋などを設けるとともに、安全に利用できるよう誘導用ブロックや防護柵を設けます。 基本事項  停車帯    他の走行車両の妨げにならないようにバスの停車帯を確保します。  構造    できるだけ平坦な構造にします。 ノンステップバスやワンステップバス、既存のバスのすべてに対応できるよう、原則としてマウントアップ型とします。 現地の利用状況に応じて、バスベイ型、ストレート型などの形式を選定し、バスが正着できるようにします。  付属施設    誘導用ブロックを設けます。 配慮事項  上屋の構造    雨や雪、強い日差しなどに対処できるよう、上屋を設けましょう。    雪の吹き込みや凍結を防止するため、防雪、融雪施設を設けましょう。  防風(防雪)板    風や雨、雪などをしのげるように、防風(防雪)板を設けましょう。    防風(防雪)板は、歩道の有効幅員を確保し、通行や視界を妨げないように設け、周辺の景観に調和したものとしましょう。  支柱    標識柱や上屋の支柱は、歩道の有効幅員を確保し、通行を妨げないように設けましょう。  防護柵     必要に応じて防護柵を設け、防護柵は乗降部のみを開口部にしましょう。  照明    必要に応じて防犯及び事故防止対策のため、照明設備を設けましょう。  情報装置    点字板や音声案内装置、または電光表示板などを設けましょう。 注釈1 ノンステップバス:床面を超ていしょう構造として乗降ステップをなくしたバス。 注釈2 ワンステップバス:床面を超ていしょう構造として乗降ステップを1段としたバス。 注釈3 マウントアップ型:歩道面および縁石天端を車道面より高くした構造。 注釈4 バスベイ型:歩道に切込みを入れてバスの停留所を設ける型式。 注釈5 ストレート型:歩道の幅員を変えることなく、歩道側に停留所を設ける構造。 注釈6 正着:停留所において、バスと歩道との間隔が50センチメートル未満の状態。 77ページ 3 案内 誘導  案内 誘導とは、すべての人が安全でわかりやすく正確に施設を利用できるための各種案内サインや情報設備のことです。  直感的に理解でき、見る、聞く、触るなど複数の感覚を刺激する、運営面を含めた体系的な計画が必要です。  また、非常時には、人命に関わる重要な情報を、即時に、確実に、すべての人に伝わるようにしなければなりません。 ここでは、案内 誘導によるユニバーサルデザインの実現に向け4つのテーマを掲げ、各テーマの特性や様々な情報提供に応じた工夫、考え方を整理しています。 共通事項 78ページ、1 視覚情報サイン 80ページ、2 触覚情報サイン 83ページ、3 聴覚・嗅覚情報サイン 86ページ、4 非常時の情報設備 88ページ 78ページ 3 案内 誘導 共通事項  五感で感じることのできる案内 誘導計画   すべての人にわかりやすく情報を伝えるよう、よく使われる一般的なもので統一します。また、正確に情報を伝えるよう、複数の手法で、視覚や触覚、聴覚など、人の五感で感じることができるようにします。  基本事項   案内 誘導(サイン)計画の3つのキーワード    1 明解で美しいデザイン      単純で直感的に理解でき、美しいものにします。    2 体系化し連続して設置      個別の案内 誘導装置を目的別に体系化し、統一感を与え、連続させ、確実で安全な案内 誘導を行います。    3 複数の手法で情報を提供      見る、聞く、触るという複数の感覚を刺激する手法を用いて、より多くの人に情報を伝えます。また、案内 誘導の手法を検討する前に、わかりやすい動線とすることが先決です。   正確な情報伝達    日々変化する様々な情報を正確に伝えるため、常に表示内容を見直し、必要に応じて新しいものへ更新します。 注釈 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 79ページ 配慮事項  トータルなデザイン(案内 誘導装置間の連携) 災害時などの安全確保に重要な案内・誘導装置は、視覚、聴覚などにより正確で迅速に認識できるよう、体系的に計画しましょう。  五感を刺激する空間計画 廊下の交差部において天井高を変え、反響音の違いや水音で情報を伝えるなど、光 風音 色という環境要素を利用し、方位感 定位感のとりやすい空間をつくりましょう。  コミュニケーションであるという認識 案内 誘導装置は提供するだけのものが大半ですが、利用者の知りたい情報を双方向にやりとりができる装置は非常に有効です。特に、利用者にとって人による案内は最も安心できる手法であり、運営面(人的対応など)を含めてデザインしましょう。 80ページ 3 案内 誘導 1 視覚情報サイン  UDデータは121ページにあります。  直感的でわかりやすい視覚情報サイン   絵や写真などを用いてわかりやすく、美しく、体系的にデザインし、視覚機能の違いにかかわらず認識しやすいよう、色彩や照明なども工夫します。  基本事項   設置間隔(遠距離を誘導する場合) 見通しのよい直線部では、不慣れな利用者でも不安を感じない間隔で、その次のサインを設置します。 近すぎてもサイン同士が重なって見えにくくなるので、現場の見通しなどを考慮して適度な間隔とします。    認識しやすいよう、同内容の情報板や標識は、できるだけ統合し、一目でわかる配置とします。   高さ    つり下げがたまたは突出型のサインは、低い目線から見上げる際の角度を考慮し、また、サインに体が衝突しないような高さを確保します。    近距離で見るものは、低い目線からでも見えるよう、壁付型の上端や点字(縦型、傾斜型)を表示する場合の中心の高さを設定します。    目線の高さに近い位置に表示し、容易に判別できるようにします。   突き出しサインの位置    サインの上端を開口部の上端と合わせ、位置は進行方向に対して奥側を標準とします。   ピクトグラム(図記号)    利用者にとって理解し記憶しやすく、違和感のないものとします。    幅広い年齢層や外国人にも直感的にわかるよう、案内用図記号(ジスゼット8210)などを使用し、統一感を確保します。    図記号と図記号や矢印を組み合わせる場合は、基準となる枠を同じ寸法にします。 注釈1 ピクトグラム:文字に変わって事物や概念を伝える図形(絵文字)の総称。 注釈2 ジスゼット8210:日本工業規格に制定されている案内用図記号。ジス規格の原案は、交通エコロジー モビリティ財団が定めた標準案内用図記号の125項目で、財団のホームページから取得できる。 81ページ    図記号の理解を深めるため、同じ視距離から読める大きさの和文などを併記します。   案内図    簡潔でコントラストに配慮した見やすいものとし、触知案内図の場合は点字を併記します。   使用する用語    できるだけ専門用語を使わず、誰が見てもわかるようにします。   大きさ    サイン本体、文字の大きさは、視覚機能の違いにかかわらず認識しやすい大きさとします。   書体    遠くから見る文字は、角ゴシック系で太めの書体とし、近くで見るものや抜き文字で表現する文字は、やや細めの書体とします。    文字の間隔(文章の場合を除く)は、サイン本体の大きさや文字の大きさなどにより、適度に空けるようにします。   色彩など    文字や図の色は、地の色との明度差を確保します。    サイン周辺は適切な明るさを確保し、まぶしさが生じないようにします。    避難経路などの重要事項については、わかりやすい色で明示します。   国際化への対応    必要に応じて英文などを併記します。   わかりやすい表記    必要に応じて、漢字にはふりがなやローマ字をつけるようにします。 注釈1 コントラスト:画像などの、明暗の差や色彩の対比。 注釈2 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 注釈3 明度差:明度は明るさの度合いで、0から10程度までの数値を使い、暗い色ほど数値が小さく、明るい色ほど数値が大きくなる。明度差とはこの数値の差をいう。 82ページ 配慮事項  色彩環境など   ジス規格で定められた安全色や交通機関での特定の意味を持つ色を使用しながら、統一感のある色彩計画を行いましょう。   暗い場所や光が反射して見にくい場所では、内照式のサインを使用しましょう。  設置時の立会い   設置する時は、利用者の参加を求め、見やすさやわかりやすさを原寸大の試作品で確認しましょう。  景観   近接する標識や周辺景観と調和させましょう。  国際化への対応   必要に応じて、英文と併せて英文以外の外国語も併記しましょう。 83ページ 3 案内 誘導 2 触覚情報サイン  UDデータは123ページにあります。  わかりやすく連続性のある触覚情報サイン   視覚障害者が安全で安心して、快適に利用できるよう、わかりやすく、連続性のあるものとし、また、視覚障害者誘導用ブロックだけでなく、触覚を刺激する様々な方法も併用し、情報を正確に伝達します。 基本事項 誘導の方法    以下のものが考えられます。    1 視覚障害者誘導用ブロック(線状ブロック、点状ブロック)    2 床材、路面(触感・足音の違い、少しの凹凸など)    3 手すり(点字サイン併用)    4 触知案内図   視覚障害者誘導用ブロック   共通事項    方向感覚をつかみやすいよう、斜め方向や曲線を避け、連続性や視認性を確保し、人的な対応ができる受付まで敷設します。    点状ブロックは線状ブロックの分岐部や屈曲部、継続的な移動に警告を発したり、注意を促す部分(横断歩道手前、地下横断歩道、横断歩道橋などの立体横断施設の出入口部、道路と敷地境界、階段やスロープの上下端、点字案内板、エレベーターの操作ボタン前、エスカレーター乗場前など)に設けます。    点状ブロックは、警告や注意喚起などの対象となる部分から一定の間隔を確保して敷設します。    視認性の高い黄色を原則とし、背景色との輝度比を確保し、連続性のあるものとします。    形状 寸法などはジスティー9251に規定されたものとします。    ゴム材などで弾性のあるものは認識しづらいため、硬質のものとします。    滑りにくい材質とします。 注釈1 視覚障害者誘導用ブロック:視覚障害者に対する誘導や段差の存在等の警告、注意喚起を行うために路面に敷設されるブロックで、線状ブロック、点状ブロックがある。本指針中、触覚情報サインの項目以外では誘導用ブロックと表記している。 注釈2 輝度比:輝度(カンデラパー平方メートル)とは、発光体の単位面積当たりの明るさ(発散する光の量)のこと。輝度比は、2つの材料の輝度の比。 注釈3 ジスティー9251:日本工業規格「視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状 寸法及びその配列」のことで、利用者が認知しやすく、車椅子や自転車、歩行者にも影響の少ないパターンが選定され、標準化されている。 84ページ  歩道   原則として、歩道の中心よりみんち側に設けます。   しゃろでは、手すりに沿って両側に設置します。なお、しゃろの幅が狭く車いすの通行に支障をきたすおそれがある場合は、片側のみとします。  建物内   人的対応の可否や用途により誘導が必要な部分を設定し、車いす、ベビーカーや買物カート、荷物運搬台車などの通行や高齢者の歩行に支障がないよう、敷設位置に注意を払います。   視覚障害者誘導用ブロックだけではなく、触感や足音の違う床材の採用、手すりによる誘導なども検討します。  点字サイン 触知案内図   一度に多くの情報を提供せず、優先順位の高い情報を提供します。   トイレなど、ある特定の目的地に正確に移動できるよう、触知案内図を設けます。   形状 寸法などはジスティー0921に規定されたものとします。 注釈1 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 注釈2 日本工業規格の高齢者障害者配慮設計指針、点字の表示原則及び点字表示方法、公共施設設備のことで、手すり、室、トイレ、エレベータ、自動販売機,自動サービス機などの点字の表示が標準化されている。 85ページ  配慮事項   視覚障害者誘導用ブロック   歩道    幅2メートル未満の歩道では、利用状況に応じて設けましょう。    他の道路管理者との調整が必要な場合は、設置位置などを協議し、連続性を確保しましょう。   建物内    出入口の幅に余裕がある場合には、片側に寄せ、視覚障害者誘導用ブロックを利用しない人との動線を区別しましょう。   積雪地域    積雪時においても十分に機能するよう、除雪や動線上に屋根をかけるなどし、必要に応じて消融雪施設を設けましょう。   触知案内図    点字専用とするのではなく、大きな文字で色彩にも工夫した、わかりやすい表示を行いましょう。 注釈1 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 注釈2 ピクトグラム:文字に代わって事物や概念を伝える図形(絵文字)の総称。 86ページ 3 案内 誘導 3 聴覚 嗅覚情報サイン  情報コミュニケーションとしての聴覚 嗅覚情報サイン   視覚情報が得られない場合でも、一定の情報を得られるよう、必要に応じて情報コミュニケーションを導入します。 基本事項  音響誘導案内システムなど    方向や位置、サービス情報を音声により提供することが効果的な場所では、音声誘導案内システム、タッチ式音声案内システム、じんかん知式音声案内システムなどを設けます。    音声誘導案内システムは、施設の用途に応じて、建物内の設備機器から音声が流れるものや、視覚障害者が携行している受信機に音声メッセージを送信するものなどから選択し、音声がはっきりと聞き取れ、音声発生の場所がわかりやすいようにします。    出入口やトイレ入口では、必要に応じてチャイムなどの音響案内装置を設けます。  聴覚障害者用情報伝達システム    必要に応じて、誘導案内や会議室などには、補聴援助システム(磁気誘導ループ式、 赤外線式、エフエム補聴装置など)を設けます。 注釈1 磁気誘導ループ式:入力音源(マイク、テープ等)からの音声信号を床下の導線(磁気ループ)へ流してループ内に信号磁界を発生させ、補聴器(誘導コイル内蔵のもの)などで音を聞くもの。 注釈2 赤外線式:入力音源(マイク、テープ等)からの音声信号を赤外線アンプ、赤外線ラジエターをとおして赤外線で送信し、赤外線レシーバーと補聴器(誘導コイル内蔵のもの)などで音を聞くことができるもの。 注釈3 エフエム補聴装置:入力音源(マイク、テープ等)からの音声信号をエフエム波で送信し、補聴器(エフエム受信機を内蔵のもの)などで音を聞くことができる装置。 87ページ  配慮事項   音による空間認知    いつも流れている音楽や水の音などにより空間を認知させる場合には、複数の音情報が氾濫しないよう、音量や音質、方向性に注意しましょう。   嗅覚による情報認知    廊下の曲がり角などに香りのある花を置いたり、階毎に違った香りを漂わせるなど、建物の用途によっては嗅覚による情報提供を行いましょう。   その他    情報認知を妨げないよう、他の設備や備品の配置に注意しましょう。 88ページ 3 案内 誘導 4 非常時の情報設備  UDデータは126ページにあります。  非常時に有効な情報設備  施設を利用しやすくすることをはじめ、非常時(地震、火災他)には、人命に関わる重要な情報が即時に、確実に、あらゆる人に伝わるようにします。    基本事項   地下横断歩道   非常警報設備    わかりやすい場所に、適切な間隔で配置し、高齢者、子ども、車いす使用者などにも利用しやすい高さに設けます。    非常警報設備は、音や光によるものとします。    これらの非常警報設備は、外部の人々にも情報を発信できるよう、設置場所を工夫したり、音声や光を外部に発信できるシステムとします。    設置場所がわかるよう、出入口や通路部に誘導用ブロックを設けます。   建物内   防災設備機器    避難誘導灯は、スピーカーや点滅装置を併設したものを使用します。   非常通報装置    みんなのトイレ、シャワー室、浴室など、利用者が一人で使用する部屋には、非常通報装置を設けます。   その他    アイティー技術を用いた情報機器類は、常に最新の情報を入手し、将来のシステム変更への対応や他のサインとの連携を考えて採用します。 注釈1 非常警報設備:ベルや回転灯などにより緊急事態の発生を外部へしらせる装置。 注釈2 非常通報設備:トイレや浴室などで体調が悪くなったときに、管理者へ   連絡する装置。 注釈3 アイティー:インフォメーションテクノロジー 情報技術の略。 89ページ  配慮事項   地下横断歩道   非常警報設備    外部からもわかりやすい場所に設けましょう。 防犯対策は、非常警報設備のみに頼らず、周辺住民の協力を含めて防犯体制を整えましょう。   建物内   防災設備機器    情報が伝わりにくい宿泊室などでは、光による警報装置やテレビ画面を使用した情報装置を設けましょう。   非常通報装置    人が倒れた場合にも操作ができる高さとし、操作しやすいものとしましょう。  情報ディスプレイ    非常時の警告や避難誘導などにも効果が高いため、施設の用途に応じたシステムをもうけましょう。    パソコンで作成した案内文をディスプレイに表示し、非常時には、正確で迅速な情報提供を行えるようなシステムとしましょう。    非常時には、案内放送だけでなく、目立つ点滅ランプなどで警告を発しましょう。 注釈 情報ディスプレイ:ブラウン管や液晶などを用いて、文字や図形などを視覚的に表示する出力装置。 90ページ 指針策定の経緯  ふくしま公共施設とうユニバーサルデザイン指針は、平成15年度、16年度の2ヵ年をかけて策定しました。  策定にあたっては、土木部内に土木部ユニバーサルデザイン検討推進チームというプロジェクトチームを設置し、さらにエヌピーオーと連携し、協働で作業を行いました。  また、各界の代表者とうで構成される、うつくしま公共施設ユニバーサルデザイン会議を設置し、指針の内容や事業全体に対する意見、助言等を求めることとしました。  平成15年度の作業は、まず、7月22日に第1回のうつくしま公共施設ユニバーサルデザイン会議 以下、UD会議といいます を開催しました。この会議では、ユニバーサルデザインの考え方や、事業の実施方法などについて議論が交わされ、平成15年度の事業の実施計画が決定されました。  実施計画では、様々な方法で多くの利用者の様々な意見を聴取するために、1 既存公共施設事例調査、2 県民意見、アイディア募集、3 まちなかインタビュー、4 ワークショップを実施しました。ワークショップでは、参加者が実際にまちかどに出かけ、様々な公共施設のチェックと、それに対する意見交換を行い、指針に対する提案がまとめられました。  意見数は、県民意見・アイディア募集で110、まちなかインタビューで157、ワークショップで323、出されました。  第2回UD会議は、9月1日に開催されています。この会議では、現状の課題やユニバーサルデザインの基本理念について議論され、指針全体の構成、指針作成の方針等についての意見をいただきました。  第3回のUD会議は、平成16年1月7日に開催され、事務局から事業の実施結果の報告がなされ、指針の素案について意見が交わされました。  平成15年度をしめくくる、第4回のUD会議は、平成16年3月15日に開催され、指針案と平成16年度の事業実施方針が決定されました。  平成16年度は、指針案の妥当性を検証するために、7月から10月にかけて、設計、施工ワークショップを開催し、1664の意見が寄せられました。  11月5日に行われた、第5回のUD会議では、ほぼ固まってきた指針案について、一般県民から意見を募集する、パブリックコメントの実施が決定されています。  パブリックコメントは、平成16年12月13日から平成17年1月13日までの1ヶ月間行われ、33の意見が寄せられました。  最後を締めくくる、第6回のUD会議は、平成17年2月9日に開催され、指針の最終案が決定されました。  そして、平成17年3月28日に、本指針の策定が完了しました。 91ページ うつくしま公共施設ユニバーサルデザイン会議委員名簿 敬称は省略させていただき、五十音順に紹介します。 市瀬幸男 福島県盲人協会県北 方部長 委嘱期間 平成15年から16年 伊藤美都子 公募委員 委嘱期間 平成15年 大矢一夫 福島交通株式会社取締役 委嘱期間 平成15年から16年 クリスリンマクファーソン 福島県国際交流員 ニュージーランド出身 委嘱期間 平成15年 斎藤ユミ 子育て支援グループ クゥラージュ 委嘱期間 平成15年 鈴木勇人 社団法人福島県建築士会会員 委嘱期間 平成15年から16年 高橋信子 福島県立医科大学看護学部講師 委嘱期間 平成十五年から十六年 ニコラブラゼンデール 福島県国際交流員 ニュージーランド出身 委嘱期間 平成16年 橋本弘子 福島県子育て子育ち環境づくり推進会議委員 委嘱期間 平成16年 副会長 濱田千恵子 エヌピーオー法人福島県シルバーサービス振興会理事 委嘱期間 平成15年から16年 会長 松井ひさのり 日本大学工学部助教授 委嘱期間 平成15年から16年 吉田京子 エヌピーオー法人遊遊クラブ代表 委嘱期間 平成16年 吉田精一 公募委員 福島県立美術館友の会事務局長 委嘱期間 平成15年から16年 92ページ 資料編 93ページ 資料編  第1章 UDデータブック 94ページ  第2章 ユニバーサルデザイン事例集 127ページ  第3章 参考資料 160ページ  第4章 用語解説 221ページ 注釈 UDとはユニバーサルデザインのことです。 94ページ 第1章 UDデータ 本章に記載されているデータは、1つの参考データです。本編の考え方を具現化するためには、このデータをそのまま採用するのではなく、関係法令等を遵守の上、与条件や地域特性を踏まえ、利用者等の意見を基に、その施設に最も必要なデータを導き出すことが重要です。本データは、そうした創意工夫により検討する際の手掛りとして活用してください。 本章の構成 1 移動空間  1 道路 95ページ、2 排水施設 96ページ、3 植樹たい 97ページ、  4 防護柵 98ページ、5 屋外照明 98ページ、6 駐車場・駐輪場 99ページ 7 アプローチ・敷地内 公園内通路 100ページ、8 玄関・出入口 101ページ  9 廊下 102ページ、10 階段 103ページ、  11 エレベーター エスカレーター 104ページ、12 スロープ 106ページ 13 手すり 107ページ 2 利用空間  1 トイレ 洗面所 108ページ、2 みんなのトイレ 109ページ  3 更衣室 シャワー室 110ページ、4 浴室 111ページ  5 宿泊施設の客室等 112ページ、6 観覧席 客席 113ページ  7 受付カウンター 水飲み場 公衆電話 114ページ  8 授乳室等 はデータを掲載していません。  9 券売機 自動販売機 家具 115ページ  10 操作ボタン スイッチ等 116ページ  11 プール はデータを掲載していません。12 公園 117ページ  13 屋外休憩施設 119ページ、14 バス停留所 120ページ 3 案内 誘導  1 視覚情報サイン 121ページ  2 触覚情報サイン 123ページ  3 聴覚・嗅覚情報サイン はデータを掲載していません。  4 非常時の情報設備 126ページ データを掲載していないテーマは、今後データを収集し、掲載、充実させていきます。 95ページ 1 移動空間 1 道路 歩道など 有効幅員  歩行者交通量が多い道路  歩道の幅員3.5メートル以上  自転車歩行者道の幅員4.0メートル以上  その他の道路  歩道の幅員2.0メートル以上  自転車歩行者道の幅員3.0メートル以上 横断勾配(歩道など)  2.0パーセント以下 (透水性舗装の場合は0.5パーセント以下) 歩道のすりつけ 縦断すり付け勾配  縦断勾配は5.0パーセント以下(やむを得ない場合でも縦断勾配は8.0パーセント以下)  横断歩道接続部では、1.5メートル程度の水平区間を設ける 歩道及び自転車歩行車道の形状  フラット型(縁石高15センチメートル)  セミフラット型(歩道高5センチメートル、縁石高15センチメートル)  マウントアップ型(歩道高5センチメートル、縁石高5センチメートル) 96ページ 車両乗入れ部の構造 (セミフラット、マウントアップ型の場合) 歩車道境界部の段差  高さは1センチメートル 車両のりいれ部  勾配10パーセント以下 (やむを得ない場合でも15パーセント以下)  平たん部幅員は2.0メートル以上 (少なくとも1.0メートル以上) 冬期交通確保幅 冬期そくたい  幅員は0.25メートル以上 冬期路肩  幅員は0.5メートル以上 冬期歩道の有効幅員  幅員は2.0メートル以上 1 移動空間 2 排水施設 側溝、集水桝ぶた 形状、寸法  ジス規格に準じる 材料  十分な強度を有し、歩行性、耐久性、耐摩耗性に優れたものとする グレーチング蓋  滑りにくい仕上げ  車いすのキャスターやヒール、杖等が落ち込まない目の細かいもの 幅1センチメートル以下  桝ぶたは清掃等を考慮し、一枚当たりの重さ50キログラム程度とする 97ページ 1 移動空間 3 植樹たい 冬期交通確保幅 植樹たい幅員  歩道部、分離帯等  幅は1.5メートル以上  分離帯等にて花壇等を設置する場合は、この幅員以下でも可 材料  樹木は道路空間規模、地域特性、気候、気象条件、かん雪害、歩行者への影響等を留意したもの  芝は日本芝を原則とするが、寒冷地では西洋芝とする  草花は樹木に準じるが、観賞期間等を考慮したもの 植栽間隔  標準値(樹高5.0から10.0メートル)、幅は7.0から8.0メートル  小型樹種(じゅかん幅 3.0メートル程度)、幅は5.0から6.0メートル  特大木(枝張り20メートル以上)、幅は10.0メートル以上 注 五感を刺激する樹木、草花については、公園編参照のこと 道路緑化の機能 景観向上機能 その中には装飾機能、遮へい機能、景観統合機能、景観調和機能 生活環境保全機能 その中には交通騒音低減機能、大気浄化機能 緑陰形成機能 交通安全機能 その中には遮光機能、視線誘導機能、交通分離機能、指標機能、衝撃緩和機能 自然環境保全機能 防災機能 98ページ 1  移動空間 4 防護柵 設置区間種別 防護柵設置基準に適合した形で設置 その他 転落防止を目的とした歩行者自転車柵は、よじ登り防止のため縦桟構造とするのが望ましい  幼児すり抜け防止のため、桟間隔及び路面との間隔は15センチメートル以下とするのが望ましい。 1 移動空間 5 屋外照明 歩道の照明  均斉度は0.2以上  均斉度は(当該歩道路面上の水平面照度の最小値を平均値で除した値) 立体横断施設等の照明 横断歩道橋  照度は20ルクス 地下横断歩道 照度は出入口100ルクス以上(入口から出口が見通せないものに限る) 階段および通路は50ルクス以上 その他施設の照明  ジス ゼット9110照度基準を参考に、適切な明るさとする 灯具の選定  照明器具の輝度が高いと歩行者は不快グレアを生じると同時に、場合によっては、し機能の一時的低下を招くため、照明器具の輝度は1へーホーメートルあたり6000カンデラを超えてはならない 99ページ 1 移動空間 6 駐車場 駐輪場 駐車場  一般駐車スペースの幅員   250センチメートル以上  一般駐車スペースの奥行き   500センチメートル以上  歩行者専用通路の幅員   150センチメートル以上  歩行者専用出入口の幅員   90センチメートル以上  しゃろの幅員   すれ違いのしゃろの場合 550センチメートル以上   一方通行のしゃろの場合 350センチメートル以上  建築物である駐車場の照度   車路床面 10ルックス以上   駐車床面 2ルックス以上 車いす使用者用駐車スペース  幅員   350センチメートル以上   乗降スペース 150センチメートル以上  車いす積み下ろしスペース   150センチメートル以上  車いす使用者用駐車スペースの数量   駐車スペース総数の2%以上 駐輪場  奥行き   片側配列の場合 190センチメートル以上   千鳥配列の場合 320センチメートル以上  幅員   片側配列の場合 60センチメートルかける駐輪台数   千鳥配列の場合 30センチメートルかける駐輪台数  屋根の高さ   190センチメートル以上 100ページ 1 移動空間 7 アプローチ 敷地内 公園内通路 通路  縦断勾配   20分の1以下   勾配が100分の3以上の場合、延長30メートルごとに、150センチメートル以上の水平部を設ける  横断勾配   100分の1以下  幅員   180センチメートル以上、できれば230センチメートル以上が望ましい。  車いす転回スペース   通路の幅員が180センチメートル以上確保できない場合は、少なくとも120センチメートル以上とし、50メートル以内ごとに縦、横それぞれ140センチメートル以上の空間を確保する。 ベンチの設置 通路からの後退距離   60センチメートル以上  車いすスペース   幅 100センチメートル以上   奥行き 120センチメートル以上 101ページ 1 移動空間 8 玄関 出入口 玄関・主要な出入口  幅員   120センチメートル以上 その他の出入口  幅員   90センチメートル以上 ドアハンドルの高さ   ドアハンドルの中心が85センチメートルから90センチメートル 102ページ 1 移動空間 9 廊下  通路   幅員   140センチメートル以上 できれば180センチメートル以上が望ましい。   なお、学校 小学校、中学校、高等学校等 の生徒用の廊下で、両側に居室がある  場合は230センチメートル以上 103ページ 1 移動空間 10 階段  形状   蹴上げ 16センチメートル以下   踏みづら 30センチメートル以上   幅員  120センチメートル以上   できれば、150センチメートル以上が望ましい。 手すり  終端 30センチメートルから45センチメートル程度水平に延長する   できれば、2段手すりとし 80センチメートルから85センチメートルと65センチメートル程度 104ページ 1  移動空間 11 エレベーター エスカレーター  乗降ロビーの広さ   180センチメートル角以上  かごの大きさ   できれば 13人乗り以上   少なくとも 11人乗り以上  出入口の有効幅   90センチメートル以上  建物床とエレベーター床の隙間   2センチメートル以下  操作盤及び操作ボタンの高さ   100センチメートル程度 105ページ 1 移動空間 11 エレベーター エスカレーター  エスカレーター 移動手すり  乗りくちと降り口の水平部分に120センチメートル以上 勾配  30度以下が望ましい 水平部のステップ数  3枚以上 固定手すり  乗降場のステップの前後に100センチメートル以上 106ページ 1 移動空間 12 スロープ 形状  幅員 屋内では120センチメートル以上   できれば180センチメートル以上が望ましい。  幅員 屋外では135センチメートル以上   できれば200センチメートル以上が望ましい。  勾配   12分の1以下   屋外の場合は15分の1以下   できれば20分の1以下が望ましい。  踊り場   高さ75センチメートル以内ごとに長さ150センチメートル以上の踊り場を設置する 手すり  たんぶ   30から45センチメートル程度水平に延長する   できれば 2段手すりとする    80センチメートルから85センチメートルと65センチメートル程度 107ページ 1 移動空間 13 手すり 仕様  壁との隙間   4から5センチメートル程度  形状(大きさ)   しっかり握る手すり 直径3から4センチメートル   立ち座り用手すり 直径2.8から3.5センチメートル   ひじや手のひらで使う手すり 6センチメートルから7センチメートル 設置方法   設置高さ    75センチメートルから85センチメートル程度   できれば    2段手すりの設置が望ましい。    85センチメートル程度と65センチメートル程度    下段手すりはけいの2分の1外側 横断歩道橋  冬期に圧雪、または凍結の恐れがある階段およびしゃろで幅員が3メートル以上ある場合には、その中間にも手すりを設けるのが望ましい。  しんたい障害者の利用の多い地域においては、必要に応じて階段等以外の部分にも手すりを設置することが望ましい。 108ページ 2 利用空間 1 トイレ、洗面所  男子小便器   小便器には手すりを設ける  和式便器   和式便器に手すりを設ける 109ページ 2 利用空間 2 みんなのトイレ  仕様   ブースの大きさ    直径150センチ以上   出入口扉    幅員80センチ以上    できれば幅員90センチ以上が望ましい。   鏡    床上高さ80センチ程度 110ページ 2 利用空間 3 更衣室、シャワー室   更衣室   車イスのフットレストが入る空間を設けた更衣棚    下端は30センチ程度    上端は150センチ程度   脱衣ベンチ    高さは40センチ程度    幅は180センチ程度    奥行きは45センチ程度  シャワー室   車イス対応シャワーブース    直径は150センチ以上  111ページ 2 利用空間 4 浴室  浴室   浴槽及び洗い場は、高齢者、障害者等が円滑に利用できるよう、手すり等が適切に配置された構造とする。 112ページ 2 利用空間 5 宿泊施設の客室等  宿泊施設の客室等   出入口幅員は80センチ以上   できれば90センチ以上が望ましい。  ベッドサイド及びベッド   ベット高さは40から45センチ程度   ヘッドボードの高さは30センチ程度   ベット下部のフットレストが入る空きは10から15センチ程度  ベットサイドのスペース   直径は150センチ以上  113ページ 2 利用空間 6 観覧席、客席  車いす対応の観覧席、客席   幅員幅は90センチ以上   できれば100センチ以上が望ましい。   奥行きは150センチ以上   114ページ 2 利用空間 7 受付カウンター、水飲み場、公衆電話 受付カウンター(座いタイプ)  幅   80センチメートル以上  奥行き   60から90センチメートル  上端の高さ   70から80センチメートル  下部空間の高さ   65センチメートル以上  下部空間の奥行き   45センチメートル以上 水飲み場  水飲み口の高さ   最大91.5センチメートル  下部空間の高さ   最小68.5センチメートル  下部空間の奥行き   43から48.5センチメートル  水飲み前のスペース   150かける150センチメートル 公衆電話  電話台の高さ   70から80センチメートル  下部空間の高さ   65センチメートル以上  下部空間の奥行き   45センチメートル以上  出入口を設ける場合の出入口幅の内法   80センチメートル以上 115ページ 2 利用空間 9 券売機・自動販売機、家具 券売機  操作ボタンの高さ 110から130センチメートル以上  取出口の高さ 45から55センチメートル  下部空間の高さ 30センチメートル以上  下部空間の奥行き 20センチメートル以上 家具(収納棚)  さいじょう棚の高さ 120センチメートル程度   最大137センチメートル  最下棚の高さ 30センチメートル程度   最小23センチメートル 家具(クローゼット)  洋服掛けの高さ 120センチメートル程度   最大137センチメートル  洋服掛けまでの奥行き 最大53.5センチメートル 流し台  調理台の高さ 68から75センチメートル  調理台まわりのスイッチ等の高さ 85センチメートル以下  下部空間の高さ 60センチメートル程度  シンクの深さ 15センチメートル程度  水栓   長い形状のもの   上部棚の高さ   座ったままで届く範囲175センチメートル程度 116ページ 2 利用空間 10 操作ボタン スイッチ等  スイッチ類の高さ   100センチメートル程度  コンセント類の高さ   60センチメートル程度 117ページ 2 利用空間 12 公園 五感を刺激する樹木、草花 視覚を刺激する樹木、草花 選定基準  花やみの色彩が鮮やかなもの(特に黄色)  黄葉が鮮やかなもの  花や実が大きく形を識別しやすいもの  花、実、芽の形状が特徴的なもの  風にそよいで動くもの  チョウなどの昆虫を誘引するもの 触覚を刺激する樹木、草花 選定基準  葉や幹など、手触りに特徴があるもの  葉が目立って大きいもの  変わった形の花や芽、実をつけるもの  枝や葉が柔らかく、下垂するもの  頻繁にさわっても壊れないもの 嗅覚を刺激する樹木、草花 選定基準  花、み、葉、枝に香りがあるもの  匂いを連想させるもの  不快な匂いでないもの 聴覚を刺激する樹木、草花 選定基準  葉が風にそよいで音を出すもの  鳥が花やみをこのむもの(鳥のさえずり)  鳴く昆虫を誘引するもの 味覚を刺激する樹木、草花 選定基準  人間が食用とするもの  その場で手を加えずに食べられるもの  料理の素材となるもの  食べ物をイメージさせるもの  食品の原料となるもの 使い方に注意を要する樹木、草花 葉、花、根などが有毒なもの、キョウチクトウ、シキミ、リコリスの一部 葉先が鋭いもの、セイヨウヒイラギ、ヒイラギ、ヒイラギナンテン、ヒイラギモクセイ、 ヒイラギモチ 枝、実などにトゲがあるもの、アカンサス、クリ、サンショウ、セイヨウサンザシ、バラ、ピラカンサ、ミカン類の一部 その他、ヤマユリ(花粉が服に付くと落ちにくい) 118ページ エントランススポット(視覚、聴覚)  ガーデン入口として全体案内や入口としての親しみを演出する  植栽計画  葉が特徴的な草花(デージー、シロタエギクなど)  草花類 アルメリア、オオキンケイギク、シャスターデイジー、シロタエギク、      宿根バーベナ、ヒペリカム、ルピナス、スターチス、セイヨウノコギリソウ等 生活のこみち(味覚、嗅覚)  嗅覚や味覚を主に生活と関わりが感じられる植栽をする。(四阿、ベンチ、スパイラル花壇)  植栽計画  ハーブ類(アップルミント、オレガノ、スペアミント、セージ、ペパーミント、レモンバーム、パイナップルミント、カモミール等)  低木(クチナシ、ジンチョウゲ、ブッドレア等)  ちゅうぼく(キンモクセイ、ロウバイ、ライラック、ウメ、ミカン等 花と水の小径  花と水によるメインストリートであり、カスケードによる水音を楽しむことができる。   (カスケード、噴水、水のアーチ)  植栽計画  浮草、抽水植物(ウキクサ、ヒルムシロ、ヒツジグサ、ハス、スイレン等)  草花類(アルメリア、オオキンケイギク、シャスターデイジー、シロタエギク、宿根バーベナ、ヒベリカム、セイヨウノコギリソウ、パンジー、マーガレット等 シンボル(オブジエ)スポット(視覚)  オブジエやシンボル樹木を中心とした小広場  植栽計画  ツタ類、クレマチス、アイビー等  シンボルツリー、ハクモクレン等  草花類、ペチュニア、ベゴニア等 エンドスポット(視覚、聴覚)  ガーデン終点としてのポイントづくりを視覚にアピールする花により演出する。  案内サイン、花壇  植栽計画  一年草や球根類等(パンジー、キンギョソウ、ユリウス、ケイトウ、チューリップ、デージー、ニチニチソウ、サンタピタリア、アサギリソウ等) 緑の小径(聴覚、触覚)  小鳥のさえずりや風のざわめき,葉の感触など、緑を身近に感じる植栽を行う。  公園の緑との連携を図る。(地区の森)  植栽計画  食餌木や風にそよいで音を出す高木(ソメイヨシノ、エゴノキ、クサギ、ミズキ、ムクノキ等)  寝転んで体感(高麗芝、西洋芝等)  葉に特徴のある低木(ヒイラギナンテン、ローズマリー、キャラボク、コニファー類等)  ツル性植物(ツタ類、スイカズラ、カロライナジャスミン等) 119ページ 2 利用空間 13 屋外休憩施設 1 設置間隔  1箇所あたり100メートル程度 2 設置条件  ベンチ設置後の歩道の有効幅員   歩行者交通量が多い道路    歩道幅員は3.5メートル以上、自転車歩行者道 幅員は4.0メートル以上   その他の道路    歩道幅員は2.0メートル以上、自転車歩行者道 幅員は3.0メートル以上  上屋の設置条件   歩道の有効幅員 3.0メートル以上 3 構造   ベンチ   固定式とする  上屋   上屋幅員 2.0メートル以下   上屋高さ 2.5メートル以上 120ページ 2 利用空間 14 バス停留所 セミフラット型の歩道における、ストレート型での整備例 縁石の高さ、15センチメートル 乗合自動車停留所を設ける区間は全面を高さ15センチメートルとする 歩道すりつけ区間は縦断こう配5パーセント以下 停留所が連担して、停留所付近の歩道が波打ちしないように考慮する。 バス停留所の形式 1 バスベイ型  歩道に切り込みを入れてバスの停車帯を設ける。 2 ストレート型  歩道の幅員を変えることなくバスの停留所を設ける。 121ページ 3 案内 誘導 1 視覚情報サイン  サインの設置間隔(遠距離を誘導する場合)】   設置間隔の最短距離    概ね6メートル以上   見通しの良い直線部    30から40メートル以内  サインの設置高さ   遠くから見るつり下げ型又は突出型サイン    高さは2.4メートル(低くても2.1メートル)   点字を表示する場合の中心    高さは1.3から1.4メートル(縦型)    高さは1.0メートル(傾斜型)   遠距離で見るもの   壁付型の上端    高さは2.0メートル(高くても2.6メートル)  サインの視認距離   遠くから視認するつり下げ型等の誘導サインや位置サイン    20メートル以上   近くから視認する自立型や壁付き型等の案内サイン    4から5メートル以下 122ページ  ピクトグラム(図記号)との組み合わせ   5メートル以上の視認距離で図記号と和文、英文を組み合わせる場合の大きさ比率    3対1対0.75  文字の書体   遠くから見るサインの和文書体    平体1程度  色彩環境等   文字や図と地の明度差    5度以上 123ページ 3 案内 誘導 2 触覚情報サイン  視覚障害者誘導用ブロックの形状   点状ブロック    段差等の危険箇所 動線の分岐点等の注意を喚起する場所に用います。   線状ブロック    ある方向へと誘導する場所に用います。  点状ブロックの位置   エレベーター乗降ロビー    操作ボタンから30センチメートル程度離して敷設   階段 スロープ    境界から30センチメートル程度離して敷設 124ページ 3 案内、誘導 2 触覚情報サイン 1 形状、寸法  ジス規格に準じる 2 材料  十分な強度を有し、歩行性、耐久性、耐摩耗性に優れたものとする 3 色彩  原則として視認性の高い黄色とし、輝度比は設置箇所における実測値とし、1.5から2.5を確保(晴天時)  できれば輝度比2.0以上が望ましい。 4 設置方法  視覚障がい者誘導用ブロックは,原則として現場加工しないで正方形状のまませっちする  やむを得ず誘導経路上で迂回させる場合、極端な折点やクランクとせず、なめらかに迂回させること 125ページ 3 案内、誘導 2 触覚情報サイン このページでは点字について記載しています。 126ページ 3 案内、誘導 4 非常時の情報設備 非常警報装置の設置位置の一例 設置高さ1.0メートル 手すりからの高さ20センチメートル 127ページから159ページは、事例写真を掲載しています。 160ページ 第3章 参考資料 1 利用者の特徴と計画上の検討事項 2 意見把握の手法 3 ユニバーサルデザインチェックリスト 161ページから162ページは、利用者の特徴と計画上の検討事項を掲載しています。 163ページから165ページは、意見把握の手法を掲載しています。 166ページから220ページは、施設計画のユニバーサルデザインチェックリストを掲載しています。 221ページ 第4章 用語解説 222ページ あ行 うつくしまの道 サポート制度 20ページ  道路の一定区間の清掃や緑化について、特定の住民、団体に引き受けてもらう福島県の制度。 オストメイト 59ページ 直腸がんや膀胱がんなどが原因で臓器に機能障害を負い、手術によって人口肛門や人口膀胱をぞうせつした人。国内には約20から30万人いると言われている。 エフエム補聴装置補聴援助システム 65、86ページ マイク、テープ等の入力音源からの音声信号をエフエム波で送信し、エフエム受信機を内蔵した補聴器などで音を聞くことができる装置。 か行 ガーデニングボランティア 20ページ 公共空間の草木の手入れに自主的に取り組むこと。 かろ形式 31ページ 通路が橋桁や主構の下方にある橋の形式。 間接照明 35ページ 光源からの光を天井、壁などに反射させ、その間接こうを利用する照明。 キックプレート 57、65、66、70ページ 廊下等で車いすが壁に衝突した際、壁の破損や利用者の怪我を防止するための保護材。 輝度比 48、83ページ 輝度 カンデラパーヘイホウメートルとは、発光体の単位面積あたりの明るさ 発散する光の量 のこと。輝度比は2つの材料の輝度の比。 協働 同じ目的のために、協力して働くこと。これからの地域づくりでは、地域で取り組む事業を、1 住民自らが行う事業、2 住民と行政とが協働で行う事業、3 行政が行う事業に分けて、1、2の事業について、住民自らが行政と協働で、自らの発案を生かしながら、取り組むことが必要となる。 均斉度 35ページ 照明施設における明るさ 照度、輝度 の分布変動を示す尺度。 グランドワーク 73ページ 地域住民、行政、企業の3者が協力して組織をつくり、自らが汗を流して地域の環境を改善していく活動。 蹴上げ 45ページ 階段の一段の高さ、又はその部分。 公園ボランティア 公園内の草木の手入れ、清掃に自主的に取り組むこと。 コーディネート 各部分やそれぞれの動きを、ひとつのイメージに添って組み合わせて、全体を調整すること。 コントラスト 81ページ 絵画やテレビ・写真などの画像の明暗の差や色彩の対比。 コンペ方式 16ページ 2人以上の競技者によって、建築その他の設計を競技させ、設計者を決める方式。 223ページ 用語解説 さ行 サスティナブルコミュニティ 持続可能な都市づくり活動。新たな強い共同体を作り出し、永続的な都市づくりを可能にしようとする考え方。 シースルータイプ 47、50ページ 内部が透けて見える型式。 視覚障害者誘導用ブロック 83ページ 視覚障害者に対する誘導や段差の存在等の警告、注意喚起を行うために路面に敷設されるブロックで、線状ブロック、点状ブロックがある。 本指針中、触覚情報サインの項目以外では誘導用ブロックと表記している。 視覚障害者誘導システム 磁気センサーを内蔵した白杖を誘導用ブロックに近づけると振動が伝わる仕組み。 磁気誘導ループ式補聴援助システム 65、86ページ マイク、テープ等の入力音源からの音声信号を床下の導線 磁気ループ へ流してループ内に信号磁界を発生させ、補聴器 誘導コイル内蔵のもの などで音を聞くもの。 情報ディスプレイ 89ページ ブラウン管や液晶などを用いて、文字や図形などを視覚的に表示する出力装置 触知案内図 49、58、78、81、84、85ページ 配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 シングルレバー式 70ページ 水の出し止め、水量・温度調節が1本のレバーハンドルで行える水栓。 身体障害者ほじょけんほう 63ページ 平成14年10月1日に施行され、公共的施設や公共交通機関等を利用する場合、補助けんの同伴が可能となった。 ストール式 57ページ 床置きタイプの小便器。 ストレート型 76ページ 歩道の幅員を変えることなく、歩道側に停留所を設ける構造。 ストレッチャー 49ページ 負傷者などを運ぶ車輪のついた移動用寝台。 消融雪施設 30ページ 消雪パイプやロードヒーティンブなど、雪を溶かす施設。 正着 76ページ 停留所において、バスと歩道との間隔が50センチメートル未満の状態。 赤外線式補聴援助システム 65、86ページ マイク、テープ等の入力音源からの音声信号を赤外線アンプ、赤外線ラジエターをとおして赤外線で送信し、赤外線レシーバーと補聴器(誘導コイル内蔵のもの)などで音を聞くことができるもの。 224ページ 用語解説 さ行 セミフラット型 29ページ 歩道面を車道面より若干高くし、縁石を歩道面より高くした構造。 占用 30ページ 水道管・ガス管など、一定の工作物を道路敷内等で継続して使用すること。 占用物 29ページ 電柱や水道管など、道路敷内等に継続して使用する一定の工作物又は施設。 線状ブロック 83ページ 視覚障害者の移動方向を指示するために路面に敷設される、表面に平行する線状の突起をつけたブロック。 た行 堆雪 29ページ 除雪された雪。 タッチパネル式 69ページ 表示された文字や絵に指で触れるだけでコンピュータを操作できる方式。 段ばな 45、65ページ 階段の段の先端。 低リップ式 57ページ 子供から大人まで無理なく使用できるよう、前方に張り出した受け部分が、低い位置になっている小便器。 データーベース 18ページ 膨大な情報をコンピュータに記憶させ、必要な時にデータをすばやく取り出せるシステム。 テンキー 69ページ 0から9までの数字、+や−などの四則演算がひとかたまりになった入力装置。 点状ブロック 83ページ 視覚障害者に対し、段差の存在等の警告や注意喚起を行うために路面に敷設される表面に、点状の突起をつけたブロック。 ドアクローザー 開いたドアをゆっくり自動的に閉める装置のことでドアチェックともいう。本体はドアに装着し、バネ仕掛けの腕を枠に固定してスプリングと油圧の力でゆっくりドアを閉めるため、指をはさむような事故や騒音を防ぐ。 トップライト 上方からの採光。特に屋根にあけられた天窓を通して自然光を採光できる。 な行 ノンステップバス 76ページ 床面を超ていしょう構造として、乗降ステップをなくしたバス。 は行 パウダーコーナー 化粧直しや歯磨きなどができるコーナー。 パウチ 60ページ かつやくきんがなく、便意や尿意を感じたり、我慢することができないオストメイトの人が便や尿を溜めておくため、腹部に装着する袋。 バスベイ型 76ページ 歩道に切込みを入れてバスの停留所を設ける型式。 225ページ 用語解説 は行 パソコン要約筆記 人が話している内容を要約してパソコンに入力すること。一般的には、要約したものをその場でスクリーンなどに映し出して文字として見せることで、講演会などで用いられる。 パブリックコメント 住民生活に密接に関連する行政の重要な施策について、住民などと情報を共有しながら、多様な意見や情報、専門的な知識などを広く求め、行政の政策形成過程に反映し、行政運営の公正の確保と透明性の向上を図るもの。福島県のうつくしま県民意見公募 パブリックコメント の実施に関する要綱は平成14年10月1日から施行されている。 バリアフリー 高齢者や障害者などが社会生活を営む上でのさまざまな障壁 バリア を除去すること。物理的な障壁、制度的な障壁、文化・情報面の障壁、意識上の障壁があるとされている。 ハンプ 29、40ページ 舗装を部分的に盛り上げ、運転者に対して通過時のショックや事前の視野により速度低下を促すもの。 非常警報設備 88ページ ベルや回転灯などにより緊急事態の発生を外部へ知らせる設備。 非常通報設備 88ページ トイレや浴室などで体調が悪くなったときに、管理者へ連絡する装置。 ピクトグラム 60、71、80、85ページ 文字に変わって事物や概念を伝える図形 絵文字 の総称。 ファシリテータ 165ページ 会議やワークショップなどにおいて、中立的な立場で意見の整理を行う役。 フットレス 車いすの足置き部分。 踏みづら 45ページ 階段の足を載せる段の水平面。 プロポーザル方式 16ページ 設計対象に対する発想、解決方法などの提案を図面以外の形で求め、書類と共に検討して設計者を決める方式。 ホットライン 一般的に緊急、非常用の直通電話のこと。 ま行 マウントアップ 29、76ページ 歩道など面と縁石天ばの高さが同一な歩道型式。 みんなのトイレ だれもが利用できるよう、様々な設備などに配慮したトイレ。 明度差 81ページ 明度とは、明るさの度合いで0から10程度までの数値を使い、暗い色ほど数値が小さく、明るい色ほど数値が大きくなる。明度差とはこの数値の差をいう。 226ページ 用語解説 ま行 モックアップ 17ページ 試作以前の検討用模型や最終模型、実寸模型などの総称。 や行 ゆい 12ページ 困った人がいれば、地域の人みんなで助け合う相互扶助の精神。労働力だけでなく精神的にも助け合う共同体の精神のこと。 誘導用ブロック 視覚障がいしゃ誘導用ブロックの略称として本指針で使用。 ら行 レイズドベッド 73ページ 車いす使用者でも容易に草花や水に触れることのできる植裁桝や花壇、池などのこと。 ロナルド・メイス 建築家でユニバーサルデザインの提唱者。ノース・カロライナ州立大学のユニバーサルデザイン・センターを設立するなど、ユニバーサルデザインの普及に努めた。 わ行 ワークショップ 20ページ 直訳すると仕事場、工房などの意味。まちづくりの分野では、参加者がともに討議したり、現場を見たりするなどの共同作業を通して、お互いの考えや立場の違いを学びあいながら提案などをまとめる手法、そのあつまり 場 をいう。 ワンステップバス 76ページ 床面を超ていしょう構造として乗降ステップを1段としたバス。 ワンハンドカット方式 57、59ページ 紙切り板を押さえなくても、片手だけで紙を切ることができるトイレットペーパーホルダーの方式。 略語 英数字 シーエス調査 17ページ 顧客満足度調査のりゃく。住民を行政サービスの顧客と捉えた場合、顧客である住民が行政サービスに対してどの程度満足しているかを調査すること。 アイティー 88ページ 情報技術のりゃく。 ジス ティー9251 83ページ 日本工業規格の視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列のことで、利用者が認知しやすく、車椅子や自転車、歩行者にも影響の少ないパターンが選定され、標準化されている。  日本工業規格については、日本工業標準調査会のホームページで閲覧できる。 ジス ゼット8210 80ページ 日本工業規格の104項目の案内用図記号。ジス規格の原案は、交通エコロジー モビリティ財団が定めた標準案内用図記号の125項目で、財団のホームページから取得できる。 ジス ティー0921 84ページ  日本工業規格の高齢者障害者配慮設計指針、点字の表示原則及び点字表示方法、公共施設設備のことで、手すり、室、トイレ、エレベータ、自動販売機,自動サービス機などの点字の表示が標準化されている。 227ページ 用語解説 略語 英数字 エヌピーオー 民間非営利組織のりゃく。営利を目的とせず、公共的な活動を行う民間の組織・団体の総称。このうちエヌピーオー法 特定非営利活動促進法 による法人格を有する団体は、エヌピーオー法人と言われている。 228ページ 参考 引用文献一覧 資料  公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン  発行者 交通エコロジー・モビリティ財団  公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン追補版  発行者 交通エコロジー・モビリティ財団  交通拠点のサインシステム計画ガイドブック  発行者 交通エコロジー・モビリティ財団  高齢社会における公共空間の色彩計画調査報告書 発行者 国土交通省  視覚障害者誘導用ブロック設置指針同解説 発行者 日本道路協会  東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアル 発行者 東京都  ノーマライゼーション理念に基づく施設整備指針案  発行者 国土交通省東北地方整備局岩手工事事務所  ユニバーサルデザイン建築ガイドライン 発行者 熊本県  ユニバーサルデザインを活かした建築設計 発行者 静岡県都市住宅部営繕総しつ  公共住宅建設工事共通仕様書16年度版 発行者 監修 国土交通省住宅局住宅総合整備課  編集 公共住宅事業者とう連絡協議会  立体横断施設技術基準同解説 発行者 日本道路協会  道路緑化技術基準同解説 発行者 日本道路協会  道路土工排水こう指針 発行者 日本道路協会  道路構造令の解説と運用 発行者 日本道路協会  防護柵設置要綱 発行者 日本道路協会  道路照明施設設置基準同解説 発行者 日本道路協会  公園のユニバーサルデザインマニュアル 発行者 都市緑化技術開発機構  歩行者用施設整備ガイドブック 発行者 道路経済研究所  バリアフリーブック 発行者 東陶機器株式会社  人にやさしいまちづくり条例施設整備マニュアル 発行者 福島県  福島県やさしいまちづくり整備指針 発行者 福島県  ふくしまユニバーサルデザイン推進指針 発行者 福島県  土木設計マニュアル 道路編 発行者 福島県土木部 図書  季刊ユニバーサルデザイン 著者 ジイーバイケー 出版社 ジイーバイケー  建築設計資料集成 著者 日本建築学会 出版社 丸善  建築とユニバーサルデザイン 著者 こせ敏 出版社 オーム社  五感を刺激する環境デザイン 著者 田中直人 保志ば国夫 出版社 しょうこく社 道路の移動円滑化整備ガイドライン 著者 国土技術研究センター 出版社 大成出版社  人にやさしい公園づくり バリアーフリーからユニバーサルデザインへ  著者 浅野ふさよ 亀山始 三宅しょうすけ 出版社 鹿島出版会  福祉のまちづくりキーワード事典 ユニバーサル社会の環境デザイン  著者 田中直人 出版社 学芸出版社  緑空間のユニバーサルデザイン 著者 日本造園学会 出版社 学芸出版社  ユニバーサルデザイン バリアフリーへの問いかけ   著者 川内美彦 出版社 学芸出版社  ユニバーサルデザイン解体新書 著者 北岡敏信 出版社 明石書店 ユニバーサルデザインについてもっとよく知りたい方は ふくしまユニバーサルデザインホームページで ユニバーサルデザインについての解説、県の取り組みをご紹介しています。 ホームページアドレスは、エイチティティピー コロン スラッシュスラッシュ ダブリューダブリューダブリュー ドット ピー アール イー エフ ドット エフ ユー ケー ユー エス エイチ アイ エム エー ドット ジェイ ピー スラッシュ ケー イー エヌ エム アイ エヌ スラッシュ ユー アンダーバー ディー スラッシュ 裏表紙 ふくしま公共施設とうユニバーサルデザイン指針 福島県土木部技術管理グループ 郵便番号 960−8670 福島県福島市 すぎつまちょう 2番 16号 電話 024−521−7461 ファックス 024−521−7949 この指針は、「平成19年4月1日版」です。