これは主として音声で閲覧する方のために作成しました。 そのため、使用文字の一部が変更されていますので、ご了承ください。 1ページ はじめに 1 指針策定の趣旨  公共機関が整備する道路、河川、公園、公共建築物等の公共施設をはじめ、民間事業者による病院、店舗、宿泊 娯楽施設など、多くの様々な人が利用する公共性の高い施設のユニバーサルデザインの推進は、ユニバーサルデザインのまちづくりを実現する上で、とても重要な役割を担っています。  そしてその実現には、施設づくりに関わるすべての人が相互に連携し協力しながら、一つの施設 点からそれをつなぐ線に、さらに線から面、面から空間へと、優れたデザインを連続させていくことが不可欠となります。  そこで、施設づくりに関わる方々がデザインをまとめていくための手引きとして、本指針を策定しました。  公共施設はもとより、民間事業者による公共性の高い施設のデザインにおいて、本指針が幅広く活用されることを期待しています。 2 指針の特徴等   施設の利用者、設置者、設計 施工者が、ユニバーサルデザインをともに理解し、ともに考えるための共通の手引き。   あらゆる公共施設等を網羅した体系的な手引き。   多くの利用者の様々なニーズを的確に反映した実用的な手引き。     その1 基本的性格  ユニバーサルデザインは、個々の与条件のもと、多くの利用者の様々なニーズを捉え、知恵をしぼり、創意工夫を凝らしながら模索する、多様性のあるデザインです。  このため、本指針は、新設をはじめ改修等において、常にユニバーサルデザインの考え方で設計等を進めるための手引きであり、計画 設計 施工等の進め方、考え方、参考資料等を示すものです。  その2 特徴  誰にでも わかりやすい指針  施設づくりに関わる様々なかたや、広く県民が利用できるよう、誰にでも わかりやすい指針となるよう努めました。  ともにつくり、ともにはぐくむ指針  施設づくりにおけるプロセス 対話を重視し、様々な手法により、多くの利用者の様々なニーズを的確に反映させる ともにつくり、ともにはぐくむ指針としました。  変化に対応し 進化する指針  指針策定後も、より多くの人が、少しでも利用しやすい施設となるよう、施設の評価やそれらのデータの蓄積を行う一方、時代のニーズを的確に捉えながら、絶えず指針の見直し 改善を行っていきます。 2ページ  利用目的別に整理する指針  公共施設等は、道路、河川、公園、建築物等と種類が多く、その構成要素も様々なので、本指針では、各構成要素を利用目的から、移動空間、利用空間、案内・誘導の3つに大別しました。   そして、各要素の個別事項を検討 集約後、利用目的毎の共通事項を明確にしました。  なお、利用者の満足度は、利用条件、利用者像により異なるので、様々な場面を想定して必要事項を整理しました。   3ページ  その3 指針の利用方法  本指針は、次のように利用されることを期待しています。  デザインの基本的事項 原点 の確認  すべての利用者の満足度を高める、より優れたデザインとなるよう、基本的事項原点 を足元から見直す。  発想を喚起させるための糸口  デザインの早い段階で、発想を生み出すきっかけ 糸口となる。  アカウンタビリティ 説明責任の遂行  あらゆる利用者へのデザインの対応状況を確認し、関係者への説明責任を果たす視点を得る。  あらゆるデザインへの応用  本指針の基本的な考え方や計画手法が、公共施設だけでなく、民間施設や日常的な身近な施設にも広く生かされる。  なお、資料編には参考データを載せましたが、それらは最低基準などではなく、個々のデザインを模索するための手掛りです。 3 指針の構成 内容  本指針の構成 内容は、概ね次のとおりです。  第1章  施設づくりに関わるすべてのかたが共有すべき5つの基本理念、これに基づき優れたデザインを創り出すための5つの基本方針、そして、実現に向けた施設づくりのプロセス、利用者の参加と施設の評価を示しています。  第2章  「基本方針」に基づき、3つの利用目的別に、デザインの必要事項(共通事項・個別事項)を具体的に示しています。  資料編  デザインの手掛りとなる関係法令、参考データ、事例集、用語解説等をまとめています。 4ページ 4 県の取組み  県ではこれまで、人にやさしいまちづくりを目標に掲げ、高齢者や障害者などにとっての障壁を取り除くバリアフリーの考え方で、施設の新設や改修等を進めてきましたが、これらはある特定の人のための特別な配慮という福祉施策として捉えられてきました。  このような中、以前にもまして人権尊重などに配慮し、すべての人を視野に入れた県づくりを進めていくため、現在では、バリアフリーの考え方を一歩進めたユニバーサルデザインの考え方を県政の基本に据え、総合的な行動指針や分野別行動計画のもと、ハード ソフトの両面から、計画的・体系的に各種施策を展開しています。  特に、ユニバーサルデザインのまちづくりを県の重点施策として位置付け、できるところから、可能な限り、スピード感を持って、ユニバーサルデザインに取り組んでいます。 5 これからの都市 まちづくり  本県では、しょうし高齢社会の進展、中心市街地の空洞化、ちゅうさんかん地域の過疎化、郊外住宅地の活力停滞など様々な問題を抱えており、都市 まちづくりの分野では、既存の住宅 社会資本の有効活用や、より一層の整備の効率化、都市での環境負荷の軽減、地域コミュニティの創造や安全で安心できる生活環境づくりなどが求められています。  これらの課題に対し、持続的発展が可能な地域社会づくりの理念のもと、人と環境に着目し、人間性の重視や環境への配慮などの視点から、地域の人々とともに個性と魅力ある快適な地域づくりを推進していく必要があります。  さらに、それぞれの都市や地域において、日常生活に必要な施設や機能が、あらゆる世代の人にとって使いやすいように集積し、それらが一定のバランスにより、強いコミュニティで結ばれることが必要です。  このため、個々の公共施設等が、ハード ソフトの両面に渡り、ユニバーサルデザインの考え方に基づいて、一つひとつがていねいに整備され、あらゆる世代のすべての人が自立して、安全に生活できる都市・まちづくりが重要となってきます。 5ページ 6 ふくしま型ユニバーサルデザインとは ふくしまユニバーサルデザイン推進指針より  ユニバーサルデザインは、ユニバーサル すべての、普遍的な とデザイン 計画、設計 の2つを組み合わせた言葉で、  はじめから、すべての人の多様なニーズを考慮し、年齢、性別、身体的能力、言語などの違いにかかわらず、すべての人にとって安全・安心で利用しやすいように、建物、製品、環境などを計画、設計する と言う考えかたのことです。  このなかのはじめからとは、例えば、段差のある設計を行った後、段差箇所にスロープなどの設置を計画するのではなく、はじめから多様な人の利用を考慮し、階段、エレベーター、スロープなどを設計するという意味です。  また、新設はユニバーサルデザインの対象であるが、既存施設の改良はユニバーサルデザインの対象ではないということではありません。  すべての人とは、施設等を実際に利用する、できる限り多くの、様々な利用者のことです。  福島県では、もともとハード面を中心としたこの考え方に、制度やサービスなどのソフト面を取り込んでさらに一歩進め、暮らしに関わる諸制度や心の持ち方なども対象に、広く社会システムとしてとらえ、ユニバーサルデザインを生かした県づくりを計画的・体系的に推進することとしています。  その1 ユニバーサルデザイン推進の視点   県では、次の基本的な視点に基づいて、ふくしま型ユニバーサルデザインを推進することとしています。 いのち・人権・人格の尊重の視点 共生の視点 安全・安心といのちの大切さの視点 未来の世代からの信託の視点 倫理観の尊重の視点 男女共同参画の視点 高齢化への対応の視点 国際化への対応の視点 地域経済 産業の活性化の視点 気づきの視点 6ページ  その2 キーワードと5つの実現手法  この目標の達成に向け、推進指針では、ハード ソフトにわたって広くユニバーサルデザインを推進していくため、さまざまな要素を言い表すキーワードと5つの実現手法を次のとおり提唱しています。  キーワード 思いやりをシステム化  キーワードは、以下の重要な要素を包含しています。 構成要素1 公平で快適 誰でも、いつでも、どこでも、快適に、参加 利用できること 構成要素2 簡単で効率的 情報がわかりやすく簡単に入手できるとともに、効率よく参加 利用できること 構成要素3 安全で安心 未然の防止と間違いをしたときの安全が確保されていて、必要な情報も確認できるとともに、未来の世代への配慮がなされていること 構成要素4 さりげなく美しい 疎外感を与えず、美しいこと 構成要素5 柔軟で少ない負担 一人ひとりの能力や価値観に合わせて柔軟で、経済的 心理的 体力的にも負担が少ないこと  5つの実現手法  推進指針ではユニバーサルデザインの実現手法として、次の5つを挙げています。 手法1 さまざまな利用者との対話を通じ、少数意見もくみ上げて工夫すること 手法2 利用者のニーズや不満など現場の実態を十分に踏まえて発想すること 手法3 正確な知識を身につけること 手法4 必要なものははじめから対応すること 手法5 次のいずれかの手法で対応すること   主にハードにおける基本的な実現手法   一つの方法でいろいろなニーズを満たすデザイン   ニーズに合わせてオプションの追加や改造を容易に行えるデザイン   複数の選択しを用意する形のデザイン  その3 ユニバーサルデザインの特徴  ユニバーサルデザインは、次の考え方が出発点となっています。 人は多様で、年齢、しんたい能力等、あらゆる面で一人ひとりが異なる個性を持つ 誰でもケガや病気等をすることがあり、高齢期を迎えれば誰でもしんたい能力が減退する このため、平均的な人を設定するのではなく、はじめから、多様な人の利用を念頭に置くのが適当である 注釈 システム化 個別の要素を有機的に組み合わせ、全体としてまとまりをもたせること。 7ページ  すべての人が対象  ユニバーサルデザインは、すべての人が利用しやすいデザインです。転ばぬ先の杖として、すべての人のために、障がいのあることを強調することなく、さりげなく、美しくなされるもので、次のような効果が期待できます。  差別や偏見が助長されず、人権の尊重により一層つながる  すべての人の多様なニーズを把握する必要があるため、施設づくりなどへの利用者の参加の機会をより一層進める契機になる  すべての人を対象とした汎用性のある製品・サービスの開発が進み、市場の拡大や価格の低減などが期待できる  はじめからの発想  バリアフリーの発想は、平均的な人を対象とした標準設計によって生じる障壁を解消するため、事後的に特別なデザインを追加することになります。  人を障がいという側面などで区別せず、はじめから、可能な限り、多様な人の利用を考慮するもので、次のような効果が期待できます。  将来の改造・改修工事が減り、また、利用者の自立が促進され施設の利用率が向上するなど、環境保全や社会全体の中長期的コストの縮減に役立つ  デザインは多様  ユニバーサルデザインは、周辺環境や景観、交通事情、地域の歴史や文化、施設の運営方法など、個々の与条件のもと、多くの利用者の様々なニーズを捉え、デザインのあり方を話し合い、そして、知恵をしぼり、創意工夫を凝らすことから生み出されるものです。  いわば、前例にとらわれず、ものごとを多角的に捉えるという考え方により模索する、多様性のあるデザインといえます。  終わりなき取組み  ユニバーサルデザインは、はじめから、可能な限り取り組むものですが、創意工夫というものに終わりはなく、すべての人のニーズを満たす完成されたデザインを生み出すことは容易ではありません。  また、施設の実際の運用方法や使い勝手などによって、デザインの評価は変わり、社会や価値観が変化すれば、求められるデザインも自ずと異なってくることもあることから、絶えず見直し・改善を行うことが重要です。 8ページ このページは、ユニバーサルデザインのイメージ 考え方を、図で説明しています。 ユニバーサルデザインの考え方  ユニバーサルデザインは、個々の与条件のもと、多くの利用者のさまざまなニーズをとらえ、はじめから、すべての人を対象に、さりげなく、美しく、知恵と創意工夫によりデザインするものです。  そして、より多くの人が少しでも利用しやすくなるよう、絶えず、創意工夫、見直し、改善を続ける、終わりなき取組が必要です。  その結果として、人権の尊重、施設づくりへの参画機会の拡大、市場の拡大、価格の低減、環境保全、社会の中長期コストの縮減など、様々な効果が期待できます。 9ページ 本指針の位置付け  本県では平成12年12月に 地球時代にはばたくネットワーク社会 ともにつくる美しいふくしま を基本目標として福島県新長期総合計画 うつくしま21を策定しました。 計画の中では、 一人ひとりが大切にされ、いきいきと生活できる社会の形成 持続的発展が可能な地域社会の形成 を県づくりの理念として掲げ、新しい世紀の価値観として 人間の尊重 人格 人権の尊重 ゆとりの重視 ユニバーサルデザイン 自然との共生 循環の理念 参加と連携による地域づくり を上げています。  そしてユニバーサルデザイン推進に関する県の総合的な行動指針として、ふくしまユニバーサルデザイン推進指針が平成14年10月に策定されました。  本指針は上位指針である、ふくしまユニバーサルデザイン推進指針を受け、個別分野毎の取組みとして、公共 公益施設などのユニバーサルデザインを推進する目的で策定されました。  また、うつくしま21の部門別計画として、うつくしま建設プラン21が平成13年12月に策定され、これを受け、住宅 社会資本整備におけるユニバーサルデザインを推進するための指針としても位置付けられています。