《福島県大規模行為景観形成基準》

 

 

第1      基本的事項

1  大規模行為の場所(以下「行為地」という。)及びその周辺地域の自然、生活、歴史等の地域特性を調査し、景観形成の目標及び課題を明確にして、周辺の景観と調和した魅力ある景観形成を行うこと。

 大規模行為の計画に当たっては、自然公園法(昭和32年法律第161号)、都市計画法(昭和43年法律第100号)等に基づく施策並びに県及び市町村の条例、要綱等に基づく景観形成に関する施策との整合を図ること。

    大規模行為は、地域の景観に著しい影響を与えることから、説明会の開催等により周辺住民との合意形成に努めること。

 

第2      共通事項 

 行為地を選定するときは、地域の優れた景観を損なうことのないよう、かつ、主要な視点場から地域のシンボルとなる山岳、湖沼、歴史的建造物等への眺望の妨げにならないよう努めること。

    行為地内に複数の建築物、工作物、屋外駐車場等を設ける場合には、施設間の調和に配慮すること。

    行為地内には、できる限り地域の優れた景観を眺望できる快適な空間を視点場として整備するよう努めること。

    設計に当たっては、遠景、中景、近景、近接景等、異なる視点からの検討を行うよう努めること。

    設計に当たっては、四季の変化、終日の光の変化、夜景等を考慮するよう努めること。

    行為地内における景観を損ねている要素の修景に努めるとともに、周辺の景観を損なうこととなる必要以上のデザインを行わないこと。

 

第3      個別的事項

 大規模建築物(福島県景観条例(平成10年福島県条例第13号。以下「条例」という。)第2条第2号の建築物であって、同条第3号ア又はイの行為に係るものをいう。以下同じ。)の新築、改築、増築若しくは移転又は大規模建築物の外観の模様替え若しくは色彩の変更

(1)   位置

ア 従来の地形の改変を最小限にとどめるとともに、行為地内の優れた樹木、緑地等を保存し、大規模建築物周辺の景観との調和に配慮した位置とすること。

イ 山頂、丘陵地の頂部等の従来の自然景観を著しく変化させるような位置への配置を避けること。

ウ 連続する町並み等の壁面線についての規則性がある場合を除いて、道路境界線及び隣地境界線からできる限り後退すること。

エ 歴史的建造物等の保存に努め、行為地がそれらの優れた景観資源に近接する場合は、景観の保全に配慮した位置とすること。

オ 行為地が水辺に近接する場合は、水際線を遮るような位置を避け、できる限り水際線から後退すること。

カ 行為地が都市部にある場合は、隣接する土地の利用形態と調和するよう、歩行者に開かれたまとまりのある外部空間を創出できる位置とすること。

(2)   規模

ア 周辺の町並みや自然景観と調和するよう、建築物の分割等によって規模を調節すること。

イ 行為地の周辺が樹林地である場合は、できる限り樹冠から突出しない高さとするよう努めること。

(3)   形態

地域の景観の連続性を遮断し、違和感や圧迫感を感じさせるような形態を避けること。

(4)   意匠

ア ベランダ、バルコニー等は、建築物本体と調和したものとするなど、建築物全体としてまとまりのある意匠とすること。

イ 単調な大壁面による圧迫感をなくすこと。

ウ 行為地が歴史的建造物等に近接する場合は、伝統的な意匠を継承し、又はこれと調和したものとすること。

エ 歴史的な建築物の改築又は修繕に当たっては、建築物の材料の一部又は外壁等の意匠の一部を保存し、又は再生することによって歴史的景観の保全に努めること。

オ 設備機器を建築物の屋上又は屋外に設置する場合は、目立たないように遮へいするか、建築物本体と調和したすっきりとしたデザインとすること。

カ 建築物の外壁には、施設の名称等を除き必要以上の広告及び図画等を表示しないよう努めること。

キ 建築物への看板、広告幕及び広告塔の設置はできる限り避け、やむを得ず設置する場合は、規模を必要最小限にとどめるとともに、建築物及び周辺の景観との調和に努めること。

ク 道路等の公共空間から見通すことのできる外壁等は、公共性の高い部分として長く親しまれ、品位のある意匠となるよう配慮すること。

(5)   色彩

ア 外壁、屋根等には、けばけばしい色彩等の不快感を与える色彩を使用せず、四季を通じて周辺の町並みや自然景観と調和した、落ち着いた色彩を基調とすること。

イ 外壁、屋根等の一部に周囲の色彩と対比的な色彩を使用する場合は、周囲の色彩との調和に配慮し、対比的な色彩の面積が過大にならないよう努めること。

ウ 建築物に設置される設備機器及び屋上工作物並びに行為地内の屋外設備、附属工作物等の色彩は、建築物本体及び周辺の景観との調和に努めること。

(6)   素材

ア 周辺の町並みや自然景観との調和に配慮した素材を使用すること。

イ 行為地が優れた自然景観の中にある場合は、反射性の高い素材を使用しないこと。

ウ 地域の自然素材又は伝統的素材を使用するよう努めること。

エ 行為地が歴史的建造物等に近接する場合は、歴史的建造物等に使用されている伝統的素材又はこれと調和したものを使用するよう努めること。

オ 建築後、汚れや破損などによって景観を損なうことがないよう、耐久性、耐候性、退色性、エイジング効果等を考慮した素材を使用すること。

(7)   敷地の緑化

ア 建築物との調和を図りながら、行為地内はできる限り緑化し、周囲にさく等を設ける場合は、生垣等とするよう努めること。

イ 樹姿又は樹勢の優れた樹木がある場合は、保存又は移植によって修景に生かすよう努めること。

ウ 周辺の景観及び植生と調和するよう、できる限り地域に多く生育する植物の中から樹種を選定すること。

エ 高木、中木、低木、地被植物等の構成及び配置を効果的に行うこと。

オ 道路等の公共空間に面する外壁等の前面については、建築物が周囲に与える圧迫感を和らげるよう、樹木の高さ及び位置に配慮しながら植栽に努めること。

(8)   その他

ア 屋外駐車場は、出入口を限定し、生垣等によって安全上支障のない範囲で道路から直接見通せないよう配慮するとともに、場内の高木の植栽に努めること。

イ 屋外照明は、過剰な光が周囲に散乱しないよう光源の種類、位置、光量及び配光特性に配慮すること。

ウ 行為地が都市部にある場合には、道路境界線から後退すること等により生じた空間は、道路等の公共空間と一体となった開放的な空間として整備するよう努めること。

エ 行為地内における電線類は、地中化するよう努めること。

 大規模工作物(条例第2条第2号の工作物であって、同条第3号ア又はイの行為に係るものをいう。以下同じ。)の新築、改築、増築若しくは移転又は大規模工作物の外観の模様替え若しくは色彩の変更

(1)   位置

ア 従来の地形の改変を最小限にとどめるとともに、行為地内の優れた樹木、緑地等を保存し、大規模工作物周辺の景観との調和に配慮した位置とすること。

イ 山頂、丘陵地の頂部等の従来の自然景観を著しく変化させるような位置への配置を避けること。

ウ 道路境界線及び隣地境界線からできる限り後退すること。

エ 行為地が歴史的建造物等の優れた景観資源に近接する場合は、その景観の保全に配慮した位置とすること。

オ 行為地が水辺に近接する場合は、水際線を遮るような位置を避け、できる限り水際線から後退すること。

(2)   規模

ア 周辺の町並みや自然景観と調和するよう、工作物の分割等によって規模を調節すること。

イ 行為地の周辺が樹林地である場合は、できる限り樹冠から突出しない高さとするよう努めること。

(3)   形態

ア 地域の景観の連続性を遮断し、違和感や圧迫感を感じさせるような形態を避けること。

イ 工作物を構成する部材数を整理し、すっきりとした形態とすること。

(4)       (4)       意匠

ア 工作物全体としてまとまりのある意匠とすること。

イ 単調な大壁面による圧迫感をなくすこと。

ウ 行為地が歴史的建造物等に近接する場合は、伝統的な意匠を継承し、又はこれと調和したものとすること。

エ 歴史的な工作物の改築又は修繕に当たっては、工作物の材料の一部又は意匠の一部を保存し、又は再生することによって歴史的景観の保全に努めること。

オ 工作物とそれらに附属する、さく等の表面には、施設の名称等を除き必要以上の広告、図画等の表示を行わないこと。

(5)   色彩

ア 工作物の表面には、けばけばしい色彩等の不快感を与える色彩を使用せず、四季を通じて周辺の町並みや自然景観と調和した、落ち着いた色彩を基調とすること。

イ 工作物の表面の一部に周囲の色彩と対比的な色彩を使用する場合は、周囲の色彩との調和に配慮し、対比的な色彩の面積が過大にならないよう努めること。

(6)   素材

ア 周辺の町並みや自然景観との調和に配慮した素材を使用すること。

イ 行為地が優れた自然景観の中にある場合は、反射性の高い素材を使用しないこと。

ウ 地域の自然素材又は伝統的な素材を使用するよう努めること。

エ 行為地が歴史的建造物等に近接する場合は、歴史的建造物等に使用されている伝統的素材又はこれと調和したものを使用するよう努めること。

オ 建築後、汚れや破損などによって景観を損なうことがないよう、耐久性、耐候性、退色性、エイジング効果等を考慮した素材を使用すること。

(7)   敷地の緑化

ア 工作物との調和を図りながら行為地内はできる限り緑化し、周囲にさく等を設ける場合は、生垣等とするよう努めること。

イ 樹姿又は樹勢の優れた樹木がある場合は、保存又は移植によって修景に生かすよう努めること。

ウ 周辺の景観及び植生と調和するよう、できる限り地域に多く生育する植物の中から樹種を選定すること。

エ 高木、中木、低木、地被植物等の構成及び配置を効果的に行うこと。

オ 道路等の公共空間に面する外壁等の前面については、工作物が周囲に与える圧迫感を和らげるよう、樹木の高さ及び位置に配慮しながら植栽に努めること。

    土地の区画形質の変更(水面の埋立て又は干拓を含む。)

(1)   土地の形状

ア 地形の改変をできる限り少なくし、従来の地形を生かしたものとすること。

イ 景観形成上支障を生じる土地の不整形な分割又は細分化を行わないこと。

(2)   土地の緑化

ア 行為地内はできる限り緑化し、周囲にさく等を設ける場合は、生垣等とするよう努めること。

イ 樹姿又は樹勢の優れた樹木がある場合は、保存又は移植によって修景に生かすよう努めること。

ウ 周辺の景観及び植生と調和するよう、できる限り地域に多く生育する植物の中から樹種を選定すること。

エ 高木、中木、低木、地被植物等の構成及び配置を効果的に行うこと。

(3)   (のり)面の外観

ア 長大な法(のり)面又は擁壁を生じさせないよう配慮すること。

イ 法(のり)面は、できる限りゆるやかな勾配とし、ラウンディング等によって周辺の起伏と滑らかに連続させること。

ウ 周辺の植生との調和に配慮した法(のり)面の緑化を行うこと。

エ 擁壁は、圧迫感のある垂直擁壁を避け、できる限り低いものとすること。

オ 擁壁の表面は、周辺の景観と調和し、素材の特性を生かしたものとするとともにできる限り緑化に努め、描画等を行わないこと。

(4)   その他

ア 調整池の建設、埋立て又は干拓に当たっては、護岸、堤防等を周辺の景観と調和するよう形態、素材、植栽等を工夫すること。

イ 行為地内に優れた景観を形成している樹林、河川等がある場合はそれらを保全し、修景に積極的に活用すること。

    鉱物の掘採又は土石の類の採取

(1) 遮へい

ア 行為地外からの出入口は、最小限に限定すること。

イ 行為地の周囲への樹木の植栽等によって、周囲の道路等からの遮へい措置を講ずること。

(2)   跡地の形状

ア 長大な法(のり)面又は擁壁を生じさせないよう努めること。

イ 法(のり)面は、できる限りゆるやかな勾(こう)配とし、ラウンディング等によって周辺の起伏と滑らかに連続させること。

ウ 擁壁は、圧迫感のある垂直擁壁を避け、できる限り低いものとすること。

エ 擁壁の表面は、周辺の景観と調和し、素材の特性を生かしたものとするとともにできる限り緑化に努め、描画等を行わないこと。

(3)   跡地の緑化

行為を終了したところから速やかに周辺の植生と調和した緑化を行うこと。

(4)   その他

ア 主要な視点場及び主要な道路からできる限り見えにくくなるよう、掘採又は採取の位置及び方法を工夫すること。

イ 行為地内に優れた景観を形成している樹林、河川等がある場合はそれらを保全し、修景に積極的に活用すること。

    屋外における物品の集積又は貯蔵

(1)   物品の集積又は貯蔵の方法

ア 集積又は貯蔵は、主要な視点場及び主要な道路からできる限り見えにくい位置とすること。

イ 集積又は貯蔵に当たっては、高さをできる限り低く抑え、整然と行うこと。

(2)   遮へい

ア 行為地外からの出入口は、最小限に限定すること。

イ 行為地の周囲への樹木の植栽等によって、周囲の道路等からの遮へい措置を講ずること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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