県議会定例会(令和8年2月)
印刷用ページを表示する 掲載日:2026年2月16日更新
令和8年2月福島県議会定例会知事説明要旨(令和8年2月16日)
2月県議会定例会が開催されるに当たり、令和8年度一般会計予算案を始め、重要な議案を提出いたしました。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、県政に関する当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。
避難地域では、特定帰還居住区域における除染作業等が進められているほか、大熊町や双葉町に商業施設が整備され、住民の皆さんの利便性が大きく向上するなど、復興に向けた動きが着実に進んでいます。
県全体で見ましても、県産品の輸出額が過去最高を記録し、県内への移住者数や観光客入込数も過去最多を更新するなど、これまで続けてきた挑戦の成果が目に見える形となって現れています。
そのような中、本年4月からは第3期復興・創生期間がスタートします。この5年間は、避難者の帰還や移住の促進、生活環境の整備、産業・生業の再生など、これまで以上に力強い取組を進めていかなければなりません。併せて、喫緊の課題である地方創生・人口減少対策につきましても、粘り強く取り組んでいく必要があります。
また、今年は震災と原発事故から15年、そして、現在の福島県が誕生してから150年を迎えます。改めて、先人たちが幾多の逆境に挑んできた足跡に思いを馳せながら、その不屈の精神をしっかりと受け継ぎ、県民の皆さんが豊かさや幸せを実感できる未来を創り上げるため、全庁一丸となって挑戦を続けてまいります。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、県政に関する当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。
避難地域では、特定帰還居住区域における除染作業等が進められているほか、大熊町や双葉町に商業施設が整備され、住民の皆さんの利便性が大きく向上するなど、復興に向けた動きが着実に進んでいます。
県全体で見ましても、県産品の輸出額が過去最高を記録し、県内への移住者数や観光客入込数も過去最多を更新するなど、これまで続けてきた挑戦の成果が目に見える形となって現れています。
そのような中、本年4月からは第3期復興・創生期間がスタートします。この5年間は、避難者の帰還や移住の促進、生活環境の整備、産業・生業の再生など、これまで以上に力強い取組を進めていかなければなりません。併せて、喫緊の課題である地方創生・人口減少対策につきましても、粘り強く取り組んでいく必要があります。
また、今年は震災と原発事故から15年、そして、現在の福島県が誕生してから150年を迎えます。改めて、先人たちが幾多の逆境に挑んできた足跡に思いを馳せながら、その不屈の精神をしっかりと受け継ぎ、県民の皆さんが豊かさや幸せを実感できる未来を創り上げるため、全庁一丸となって挑戦を続けてまいります。
令和8年度予算の概要について
令和8年度一般会計予算案の概要について申し上げます。
歳入につきましては、県税や地方交付税はもとより、原子力災害等復興基金などの各種基金を有効に活用し、必要な財源の確保に努めました。
歳出につきましても、根拠に基づく政策立案の考え方により、徹底した事務事業の見直しに努め、予算編成を行ったところであります。
その結果、一般会計予算の総額は、復興・創生分1,970億円を含め、1兆2,606億円となります。
令和8年度は、第3期復興・創生期間の初年度であり、極めて重要な一年となることから、あらゆる主体と連携・共創し、誰もが活躍できる「福島ならでは」の県づくりに向け、「復興・再生」と「地方創生」を一層推進するとともに、長引く物価高への対応に加え、防災力の強化や地球温暖化対策、デジタル変革の推進などに取り組むため、総合計画の8つの重点プロジェクトを中心に、重点的かつ優先的な予算配分を行いました。
以下、総合計画に掲げた重点プロジェクトの区分等に従い、新年度の主な施策について御説明申し上げます。
はじめに、避難地域等復興加速化プロジェクトについてであります。
昨年12月に閣議決定された国の令和8年度予算案においては、これまであらゆる機会を捉え、福島の置かれた厳しい状況を丁寧に説明してきたことにより、本県の要望を踏まえた対応がなされたほか、税制改正におきましても、福島イノベーション・コースト構想の推進や風評対策に係る特例措置の延長などが盛り込まれたところであります。
避難地域においては、先週13日に、富岡町及び双葉町における「特定帰還居住区域復興再生計画」の変更申請について、国から認定されました。今後も国に対し、各自治体と真摯に協議を重ね、その意向を十分に踏まえながら、帰還困難区域全ての避難指示解除に最後まで責任を持って取り組むよう求めてまいります。
また、営農再開の加速化に向け、農地の集積や機械・施設の導入支援、広域的な高付加価値産地の創出等に取り組むとともに、避難地域への関心を高めることで、更なる移住促進を図るため、ふくしま12市町村移住支援センター東京サテライトの開設や、首都圏におけるイベント開催など、取組を強化してまいります。双葉地域における中核的病院の整備につきましても、引き続き、施設の基本・実施設計や計画的な人材確保等の取組を着実に進めてまいります。
さらに、福島イノベーション・コースト構想の推進に当たりましては、昨年改定した「産業発展の青写真」に基づきながら、6つの重点分野に係る実用化開発への支援を始め、「復興知」などの特色ある教育や人材育成、福島国際研究教育機構(F-REI)と、地域の企業・団体等との連携を一層強化するなど、構想の更なる発展に向けて取り組んでまいります。
4月25日には、国営追悼・祈念施設と一体的に整備を進めてきた、復興祈念公園の全面供用開始も予定しております。震災の記憶と教訓を後世に伝え、復興に向けた強い意志を発信することなどにより、国内外から多くの人々に訪れていただけるよう努めてまいります。
次に、人・きずなづくりプロジェクトについてであります。
根強く残る風評の払拭と時間の経過に伴って加速する風化の抑制を図るには、本県に対する関心を高め、共感の輪を広げていくことが重要であります。
このため、復興に向けて歩み続ける本県の姿はもとより、県産品や観光などの様々な魅力を国内外に戦略的に発信していくとともに、市町村が自らの創意工夫で実施する風評対策の取組を支援するなど、市町村や企業等との連携・共創による取組を更に発展させてまいります。
また、今年と来年の2回にわたって開催される「大ゴッホ展」の機運醸成に向け、ゴッホをテーマとした絵画コンクールや講演会等を実施するほか、県内の美術館や博物館等への周遊を促すスタンプラリーの開催、本県が誇る様々な「地域の宝」をアートとして捉える「ふくしまアートツーリズム」の推進などにより、多くの方々が本県を訪れ、復興が進む福島の今と様々な魅力を実感いただけるよう、県民の皆さんと共に盛り上げてまいります。
併せて、県政150周年記念事業につきましても、官民一体となった事業展開を通じて、先人たちが積み重ねてきた「挑戦」と「誇り」を継承し、新たな「ふくしまプライド。」を築き上げてまいります。
次に、安全・安心な暮らしプロジェクトについてであります。
激甚化・頻発化する自然災害に備え、自助・共助・公助の各主体が、災害の種別や進捗に応じた防災行動をとるための計画、「防災タイムライン」を策定することにより、迅速かつ適切な災害対応につなげていくほか、地域防災サポーターによるマイ避難の推進や地域防災活動への伴走支援、防災アプリの普及拡大と利活用の促進などにより、地域防災力の強化を図ってまいります。
6月22日には、免震構造や非常用発電機、蓄電池等を備えた、新たな郡山合同庁舎も供用開始を予定しており、災害時には県中地域における防災拠点施設としても的確に機能するよう整備を進めてまいります。
また、新年度には、地域連携道路に位置付けた国道399号浪江・飯舘工区の整備に着手し、安全で円滑な通行の確保と広域的なネットワークの強化を図るとともに、請戸川水系の河川改修にも着手し、沿川における浸水被害の軽減を図るなど、災害に強い強靭な県土づくりを進めてまいります。
そして、喫緊の課題となっているクマへの対策につきましては、今後も同様の傾向が続くおそれがあることから、国のクマ被害対策パッケージを踏まえ、クマに関する調査・監視や被害防除、専門人材の確保など、更なる対策の強化に努めてまいります。
地域医療・福祉の確保・充実につきましては、県立医科大学附属病院における新病院棟の整備や、県立宮下病院の建替えを着実に進めるほか、県立障がい者施設等の建替えにも着手いたします。
また、更なる医師の確保に向けた修学資金の拡充を始め、慢性的な人手不足が大きな課題となっている介護人材については、SNS等を通じた介護職の魅力発信や就職情報等をワンストップで入手できるポータルサイトを開設するなど、総合的な取組を展開してまいります。
さらに、原子力発電所周辺地域の安全確保につきましては、現在、燃料デブリの本格的な取り出しに向けた準備作業等が進められていることから、今後も廃炉安全監視協議会や現地駐在職員による現場確認等を通じて、国や東京電力の取組を厳しく監視していくとともに、除去土壌等の県外最終処分につきましても、具体的な工程等を速やかに明示し、政府一丸となって最後まで責任を持って対応するよう、強く求めてまいります。
次に、産業推進・なりわい再生プロジェクトについてであります。
先月実施した欧州訪問においては、スペインのバスク州、ドイツのハンブルク州及びノルトライン=ヴェストファーレン州との間で締結している、再生可能エネルギーや水素、医療関連産業等に関する連携覚書を更新し、連携を更に深めていくことを確認いたしました。引き続き、知見や技術を共有しながら、産学官による研究開発の促進と人材育成、販路拡大等に取り組んでまいります。
特に、水素社会の構築につきましては、昨年5月に「燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域」に選定されたことから、県内における水素ステーションの整備や燃料電池自動車の導入等を更に推進し、需要の創出と供給体制の整備を一体的に進めてまいります。
また、今後の成長が期待される航空宇宙関連産業の集積に向け、専門家の派遣による認証取得の支援や設備導入の補助等を行っていくほか、創薬関連企業を浜通り地域に集積するための基盤整備、国家戦略特区制度を活用したドローンの社会実装に取り組むなど、新産業の更なる創出・集積を図ってまいります。
農林水産業の振興につきましては、福島型食料安全保障の確立に向け、輸入依存度が高い麦・大豆等の安定供給を図るため、収量・品質の向上に係る技術導入の支援や、農業者と加工業者との連携体制を強化するとともに、温暖化や病害虫の発生等に対応した安定生産技術と、担い手不足を補う省力化技術の普及等に取り組んでまいります。
畜産業におきましても、飼料価格の高止まりなどに対応するため、暑さに強い飼料品種等の導入支援や、耕畜連携による飼料生産の分業化等を進めることで、安定的な経営基盤の確立を目指してまいります。
さらに、林業や水産業につきましても、効率的な森林整備の基盤となる林内路網の整備を進めるとともに、林業アカデミーふくしまにおける講座の充実などにより、林業従事者の確保・育成を図っていくほか、漁業の生業継続と生産拡大に向けては、担い手確保の支援拡充や漁協・流通業者等の体制整備に関する支援、先端技術を活用した効率的な操業体制の構築などを通じて、漁業復興の好循環サイクルを加速させてまいります。
次に、輝く人づくりプロジェクトについてであります。
本県は、肥満や高血圧の割合が、全ての年代で全国よりも高い状況にあり、食事と運動の両面から行動変容を促していく必要があります。
このため、減塩などの実践を促すキャンペーンを実施するほか、来月に公開する新たな「ふくしま健民アプリ」においては、ウォーキングイベントの開催や、歩数・体重等を記録することでポイントを付与し、景品と交換できる仕組みを導入するなど、楽しみながら自然と健康になれる環境づくりを進めてまいります。
結婚・出産・子育ての支援につきましては、結婚マッチングシステム「はぴ福なび」の更なる利用促進や、若い世代を対象とした大規模マッチングイベントの開催などを通じて、出会いの機会の創出に取り組むとともに、遠方での出産・健診等に係る通院費用の支援拡充、産後早期における子育て支援情報の提供や、出産時のお祝い膳等の費用を一部支援することなどにより、妊娠から出産・産後まで切れ目のない支援を行ってまいります。
さらに、18歳以下の医療費無料化や学校給食費の負担軽減、高校無償化に向けた就学支援金の拡充に加え、子育て世帯に対し、県内工務店が建設した住宅等の取得費用を支援するなど、経済的負担の軽減を図ってまいります。
教育環境の充実につきましては、指導主事の継続的な伴走支援訪問による教員の授業力向上を始め、全単元を網羅したデジタル教材とICT機器の活用を促進し、学習定着度に応じた個別指導の拡充等を図ることで、児童生徒の学力向上につなげてまいります。
また、小・中・高における「探究的な学び」を充実させるため、カリキュラムの開発や地域探究コーディネーターの配置などにより、地域との共創体制を構築し、地域課題の解決や新たな社会創造に必要な資質・能力を持った人材の育成を進めてまいります。
次に、豊かなまちづくりプロジェクトについてであります。
環境と調和・共生する暮らしを実現するため、現在、策定作業を進めている「福島県気候変動対策推進計画」に基づき、県内企業の脱炭素経営に向けた支援や、家庭におけるZEHの導入支援、将来の主役となる若者世代との共創による脱炭素社会の形成など、多角的な施策を展開し、温室効果ガス排出量の削減を着実に進めてまいります。
全国ワースト2位となっているごみの排出量につきましても、「わたしから始めるごみ減量」をスローガンに、市町村と連携した広報活動や3R(リデュース・リユース・リサイクル)を実践することなどにより、ごみの排出量削減と資源化を推進してまいります。
新年度からは、「ふくしまグリーン復興構想」の第2期もスタートいたします。これまで会津地方が中心だった取組を全県に拡大し、自然公園の魅力向上や周遊促進を加速させるとともに、昨年7月に猪苗代湖がラムサール条約湿地に登録されたことを踏まえ、自然環境学習や交流の機会を増やすなど、環境保全に対する県民意識の向上を図ってまいります。
また、豊かなまちづくりの実現に当たっては、日々の暮らしの利便性向上が欠かせません。このため、データ連携基盤の活用やデジタル人材の派遣等を通じて、市町村のスマートシティ化、DXの推進等を支援していくほか、地域公共交通の維持・確保に向けては、国の特例措置を活用しながら、持続可能な公共交通体系の構築を図り、運転手等の人材確保や働きやすい職場環境づくりにも力を入れてまいります。
さらに、財政状況が厳しい市町村に対しては、公債費負担軽減のための貸付や市町村財政計画の策定支援等を行い、財政健全化に向け、ハード・ソフトの両面から支援してまいります。
次に、しごとづくりプロジェクトについてであります。
県内経済は、長引く物価高や人手不足、最低賃金の大幅な引き上げなどに伴い、依然として先行きが不透明な状況にあります。
このため、専門家による伴走支援や生産性の向上に必要な経費を支援するとともに、国内最大級のものづくり展示会等への出展支援、価格転嫁の推進に向けたセミナーの開催等により、県内企業の「稼ぐ力」を強化し、地域経済の更なる成長につなげてまいります。
また、若者の定着・還流を促進するため、昨年7月に立ち上げた「ふくしま共創チーム」の下、学生や企業・団体、市町村で構成されたワーキングチームが積極的な活動を展開しており、活動を通じて出された様々な意見を県の施策にも取り入れてまいります。
具体的には、関係団体との連携強化により、福島で働く魅力や若者が求める情報をポータルサイトに集約して発信するとともに、企業における働き方改革や女性活躍に向けた意識改革の伴走支援、奨励金等による職場環境の整備、さらには、インターンシップ等の実施促進などにより、『感働!ふくしま』プロジェクトを一層強化してまいります。
農業分野における人材確保につきましては、地球温暖化等に対応するため、新品目・新技術の導入や有機農業を軸とした多様な取組にチャレンジする意欲的な担い手を支援していくほか、省力化・効率化に資するスマート農業機器等の導入加速化に向け、技術体系の構築から実装、人材育成に至るまでの取組を進めてまいります。
将来の担い手確保が課題となっている建設業につきましても、重機シミュレーター体験等による建設業の魅力発信を始め、業務の効率化や生産性の向上、デジタル技術の活用による働き方改革を支援することなどにより、担い手の確保につなげてまいります。
次に、魅力発信・交流促進プロジェクトについてであります。
4月から始まる「ふくしまデスティネーションキャンペーン(ふくしまDC)」では、300を超える特別企画を始め、本県が誇る様々な地域の宝、「ふくしまアート」を国内外に効果的に発信し、多くの方々に来県いただき、しあわせの風を感じていただけるよう、オール福島の体制で取り組んでまいります。
さらに、ふくしまDCで高まった誘客効果を継続させるため、SNS等のデジタル広告などを活用し、本県観光の様々な魅力を発信するほか、県内宿泊割引事業「また来て。」割により、年間を通じた宿泊需要の喚起を促し、地域経済の活性化につなげてまいります。
インバウンドの誘客につきましても、ふくしまDCを契機として、海外での観光プロモーションや受入体制を強化し、更なる誘客を推進していくとともに、航空会社や旅行会社等と連携した取組により、福島空港の利用促進を図るなど、定期路線の維持と利用拡大に努めてまいります。
また、県産品の振興に向けましては、先月の欧州訪問において現地の輸入事業者と連携覚書を締結したことから、今後、この強固な連携関係の下で更なる輸出拡大に取り組むほか、各種イベントの開催やデジタルプロモーション、トップセールス等を通じた県産品の魅力発信にも一層、力を入れてまいります。
県内への新たな人の流れづくりにつきましては、関係人口の拡大に向けた取組を一元的に発信するポータルサイトの開設を始め、テレワークや副業等の新たな働き方を切り口とした多様な交流機会を創出することなどにより、関係人口の創出・拡大と「転職なき移住」の促進を図り、将来的な移住拡大へとつなげてまいります。
ホープツーリズムにつきましても、これまでの取組に加え、首都圏等からの誘客促進につながるイベントの開催や、サイクリング、キャンプなどを取り入れた新たな誘客に取り組み、浜通りにおける関係人口の拡大と観光需要の増大を目指してまいります。
以上、新年度の主要な施策等について申し上げました。
「ありがとう、ふくしまは忘れない。」
これは、東日本大震災と原発事故の翌年に本県が作成したポスターのタイトルです。ポスターには、その年の箱根駅伝で活躍された、いわき市出身の柏原竜二選手の姿と、彼が箱根の山を走り終えた後に語ってくれた言葉が記されていました。
「僕が苦しいのは、たった一時間ちょっと。ふくしまの人たちに比べたら、全然きつくなかった。」
ふるさとの人々を思う彼の言葉に、私たち県民は、どれほど勇気づけられたか知れません。
地震と津波で甚大な被害に見舞われ、原発事故により、大切な日常を奪われた私たちを支え続けてくれたもの、それは、国内外から寄せられた温かい応援や励ましの声、「福島への思い」でありました。そして、それら一つ一つが、福島にとってかけがえのない希望となり、力となって、私たちの復興の歩みを力強く後押ししてくれました。
あの震災と原発事故から間もなく15年。
本県は今もなお、多くの困難を抱えながら、復興・創生に向けた挑戦を続けています。そんな今だからこそ、私たちは改めて、この言葉に込めた思いを強く胸に刻む必要があります。
「ありがとう、ふくしまは忘れない。」
年月を経ても、変わらず本県に心を寄せてくださる方々に深い感謝の思いを抱きながら、私はこれからも、福島の復興と地方創生を実現するため、県民の皆さんと共に全力で挑戦を続けてまいります。
歳入につきましては、県税や地方交付税はもとより、原子力災害等復興基金などの各種基金を有効に活用し、必要な財源の確保に努めました。
歳出につきましても、根拠に基づく政策立案の考え方により、徹底した事務事業の見直しに努め、予算編成を行ったところであります。
その結果、一般会計予算の総額は、復興・創生分1,970億円を含め、1兆2,606億円となります。
令和8年度は、第3期復興・創生期間の初年度であり、極めて重要な一年となることから、あらゆる主体と連携・共創し、誰もが活躍できる「福島ならでは」の県づくりに向け、「復興・再生」と「地方創生」を一層推進するとともに、長引く物価高への対応に加え、防災力の強化や地球温暖化対策、デジタル変革の推進などに取り組むため、総合計画の8つの重点プロジェクトを中心に、重点的かつ優先的な予算配分を行いました。
以下、総合計画に掲げた重点プロジェクトの区分等に従い、新年度の主な施策について御説明申し上げます。
はじめに、避難地域等復興加速化プロジェクトについてであります。
昨年12月に閣議決定された国の令和8年度予算案においては、これまであらゆる機会を捉え、福島の置かれた厳しい状況を丁寧に説明してきたことにより、本県の要望を踏まえた対応がなされたほか、税制改正におきましても、福島イノベーション・コースト構想の推進や風評対策に係る特例措置の延長などが盛り込まれたところであります。
避難地域においては、先週13日に、富岡町及び双葉町における「特定帰還居住区域復興再生計画」の変更申請について、国から認定されました。今後も国に対し、各自治体と真摯に協議を重ね、その意向を十分に踏まえながら、帰還困難区域全ての避難指示解除に最後まで責任を持って取り組むよう求めてまいります。
また、営農再開の加速化に向け、農地の集積や機械・施設の導入支援、広域的な高付加価値産地の創出等に取り組むとともに、避難地域への関心を高めることで、更なる移住促進を図るため、ふくしま12市町村移住支援センター東京サテライトの開設や、首都圏におけるイベント開催など、取組を強化してまいります。双葉地域における中核的病院の整備につきましても、引き続き、施設の基本・実施設計や計画的な人材確保等の取組を着実に進めてまいります。
さらに、福島イノベーション・コースト構想の推進に当たりましては、昨年改定した「産業発展の青写真」に基づきながら、6つの重点分野に係る実用化開発への支援を始め、「復興知」などの特色ある教育や人材育成、福島国際研究教育機構(F-REI)と、地域の企業・団体等との連携を一層強化するなど、構想の更なる発展に向けて取り組んでまいります。
4月25日には、国営追悼・祈念施設と一体的に整備を進めてきた、復興祈念公園の全面供用開始も予定しております。震災の記憶と教訓を後世に伝え、復興に向けた強い意志を発信することなどにより、国内外から多くの人々に訪れていただけるよう努めてまいります。
次に、人・きずなづくりプロジェクトについてであります。
根強く残る風評の払拭と時間の経過に伴って加速する風化の抑制を図るには、本県に対する関心を高め、共感の輪を広げていくことが重要であります。
このため、復興に向けて歩み続ける本県の姿はもとより、県産品や観光などの様々な魅力を国内外に戦略的に発信していくとともに、市町村が自らの創意工夫で実施する風評対策の取組を支援するなど、市町村や企業等との連携・共創による取組を更に発展させてまいります。
また、今年と来年の2回にわたって開催される「大ゴッホ展」の機運醸成に向け、ゴッホをテーマとした絵画コンクールや講演会等を実施するほか、県内の美術館や博物館等への周遊を促すスタンプラリーの開催、本県が誇る様々な「地域の宝」をアートとして捉える「ふくしまアートツーリズム」の推進などにより、多くの方々が本県を訪れ、復興が進む福島の今と様々な魅力を実感いただけるよう、県民の皆さんと共に盛り上げてまいります。
併せて、県政150周年記念事業につきましても、官民一体となった事業展開を通じて、先人たちが積み重ねてきた「挑戦」と「誇り」を継承し、新たな「ふくしまプライド。」を築き上げてまいります。
次に、安全・安心な暮らしプロジェクトについてであります。
激甚化・頻発化する自然災害に備え、自助・共助・公助の各主体が、災害の種別や進捗に応じた防災行動をとるための計画、「防災タイムライン」を策定することにより、迅速かつ適切な災害対応につなげていくほか、地域防災サポーターによるマイ避難の推進や地域防災活動への伴走支援、防災アプリの普及拡大と利活用の促進などにより、地域防災力の強化を図ってまいります。
6月22日には、免震構造や非常用発電機、蓄電池等を備えた、新たな郡山合同庁舎も供用開始を予定しており、災害時には県中地域における防災拠点施設としても的確に機能するよう整備を進めてまいります。
また、新年度には、地域連携道路に位置付けた国道399号浪江・飯舘工区の整備に着手し、安全で円滑な通行の確保と広域的なネットワークの強化を図るとともに、請戸川水系の河川改修にも着手し、沿川における浸水被害の軽減を図るなど、災害に強い強靭な県土づくりを進めてまいります。
そして、喫緊の課題となっているクマへの対策につきましては、今後も同様の傾向が続くおそれがあることから、国のクマ被害対策パッケージを踏まえ、クマに関する調査・監視や被害防除、専門人材の確保など、更なる対策の強化に努めてまいります。
地域医療・福祉の確保・充実につきましては、県立医科大学附属病院における新病院棟の整備や、県立宮下病院の建替えを着実に進めるほか、県立障がい者施設等の建替えにも着手いたします。
また、更なる医師の確保に向けた修学資金の拡充を始め、慢性的な人手不足が大きな課題となっている介護人材については、SNS等を通じた介護職の魅力発信や就職情報等をワンストップで入手できるポータルサイトを開設するなど、総合的な取組を展開してまいります。
さらに、原子力発電所周辺地域の安全確保につきましては、現在、燃料デブリの本格的な取り出しに向けた準備作業等が進められていることから、今後も廃炉安全監視協議会や現地駐在職員による現場確認等を通じて、国や東京電力の取組を厳しく監視していくとともに、除去土壌等の県外最終処分につきましても、具体的な工程等を速やかに明示し、政府一丸となって最後まで責任を持って対応するよう、強く求めてまいります。
次に、産業推進・なりわい再生プロジェクトについてであります。
先月実施した欧州訪問においては、スペインのバスク州、ドイツのハンブルク州及びノルトライン=ヴェストファーレン州との間で締結している、再生可能エネルギーや水素、医療関連産業等に関する連携覚書を更新し、連携を更に深めていくことを確認いたしました。引き続き、知見や技術を共有しながら、産学官による研究開発の促進と人材育成、販路拡大等に取り組んでまいります。
特に、水素社会の構築につきましては、昨年5月に「燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域」に選定されたことから、県内における水素ステーションの整備や燃料電池自動車の導入等を更に推進し、需要の創出と供給体制の整備を一体的に進めてまいります。
また、今後の成長が期待される航空宇宙関連産業の集積に向け、専門家の派遣による認証取得の支援や設備導入の補助等を行っていくほか、創薬関連企業を浜通り地域に集積するための基盤整備、国家戦略特区制度を活用したドローンの社会実装に取り組むなど、新産業の更なる創出・集積を図ってまいります。
農林水産業の振興につきましては、福島型食料安全保障の確立に向け、輸入依存度が高い麦・大豆等の安定供給を図るため、収量・品質の向上に係る技術導入の支援や、農業者と加工業者との連携体制を強化するとともに、温暖化や病害虫の発生等に対応した安定生産技術と、担い手不足を補う省力化技術の普及等に取り組んでまいります。
畜産業におきましても、飼料価格の高止まりなどに対応するため、暑さに強い飼料品種等の導入支援や、耕畜連携による飼料生産の分業化等を進めることで、安定的な経営基盤の確立を目指してまいります。
さらに、林業や水産業につきましても、効率的な森林整備の基盤となる林内路網の整備を進めるとともに、林業アカデミーふくしまにおける講座の充実などにより、林業従事者の確保・育成を図っていくほか、漁業の生業継続と生産拡大に向けては、担い手確保の支援拡充や漁協・流通業者等の体制整備に関する支援、先端技術を活用した効率的な操業体制の構築などを通じて、漁業復興の好循環サイクルを加速させてまいります。
次に、輝く人づくりプロジェクトについてであります。
本県は、肥満や高血圧の割合が、全ての年代で全国よりも高い状況にあり、食事と運動の両面から行動変容を促していく必要があります。
このため、減塩などの実践を促すキャンペーンを実施するほか、来月に公開する新たな「ふくしま健民アプリ」においては、ウォーキングイベントの開催や、歩数・体重等を記録することでポイントを付与し、景品と交換できる仕組みを導入するなど、楽しみながら自然と健康になれる環境づくりを進めてまいります。
結婚・出産・子育ての支援につきましては、結婚マッチングシステム「はぴ福なび」の更なる利用促進や、若い世代を対象とした大規模マッチングイベントの開催などを通じて、出会いの機会の創出に取り組むとともに、遠方での出産・健診等に係る通院費用の支援拡充、産後早期における子育て支援情報の提供や、出産時のお祝い膳等の費用を一部支援することなどにより、妊娠から出産・産後まで切れ目のない支援を行ってまいります。
さらに、18歳以下の医療費無料化や学校給食費の負担軽減、高校無償化に向けた就学支援金の拡充に加え、子育て世帯に対し、県内工務店が建設した住宅等の取得費用を支援するなど、経済的負担の軽減を図ってまいります。
教育環境の充実につきましては、指導主事の継続的な伴走支援訪問による教員の授業力向上を始め、全単元を網羅したデジタル教材とICT機器の活用を促進し、学習定着度に応じた個別指導の拡充等を図ることで、児童生徒の学力向上につなげてまいります。
また、小・中・高における「探究的な学び」を充実させるため、カリキュラムの開発や地域探究コーディネーターの配置などにより、地域との共創体制を構築し、地域課題の解決や新たな社会創造に必要な資質・能力を持った人材の育成を進めてまいります。
次に、豊かなまちづくりプロジェクトについてであります。
環境と調和・共生する暮らしを実現するため、現在、策定作業を進めている「福島県気候変動対策推進計画」に基づき、県内企業の脱炭素経営に向けた支援や、家庭におけるZEHの導入支援、将来の主役となる若者世代との共創による脱炭素社会の形成など、多角的な施策を展開し、温室効果ガス排出量の削減を着実に進めてまいります。
全国ワースト2位となっているごみの排出量につきましても、「わたしから始めるごみ減量」をスローガンに、市町村と連携した広報活動や3R(リデュース・リユース・リサイクル)を実践することなどにより、ごみの排出量削減と資源化を推進してまいります。
新年度からは、「ふくしまグリーン復興構想」の第2期もスタートいたします。これまで会津地方が中心だった取組を全県に拡大し、自然公園の魅力向上や周遊促進を加速させるとともに、昨年7月に猪苗代湖がラムサール条約湿地に登録されたことを踏まえ、自然環境学習や交流の機会を増やすなど、環境保全に対する県民意識の向上を図ってまいります。
また、豊かなまちづくりの実現に当たっては、日々の暮らしの利便性向上が欠かせません。このため、データ連携基盤の活用やデジタル人材の派遣等を通じて、市町村のスマートシティ化、DXの推進等を支援していくほか、地域公共交通の維持・確保に向けては、国の特例措置を活用しながら、持続可能な公共交通体系の構築を図り、運転手等の人材確保や働きやすい職場環境づくりにも力を入れてまいります。
さらに、財政状況が厳しい市町村に対しては、公債費負担軽減のための貸付や市町村財政計画の策定支援等を行い、財政健全化に向け、ハード・ソフトの両面から支援してまいります。
次に、しごとづくりプロジェクトについてであります。
県内経済は、長引く物価高や人手不足、最低賃金の大幅な引き上げなどに伴い、依然として先行きが不透明な状況にあります。
このため、専門家による伴走支援や生産性の向上に必要な経費を支援するとともに、国内最大級のものづくり展示会等への出展支援、価格転嫁の推進に向けたセミナーの開催等により、県内企業の「稼ぐ力」を強化し、地域経済の更なる成長につなげてまいります。
また、若者の定着・還流を促進するため、昨年7月に立ち上げた「ふくしま共創チーム」の下、学生や企業・団体、市町村で構成されたワーキングチームが積極的な活動を展開しており、活動を通じて出された様々な意見を県の施策にも取り入れてまいります。
具体的には、関係団体との連携強化により、福島で働く魅力や若者が求める情報をポータルサイトに集約して発信するとともに、企業における働き方改革や女性活躍に向けた意識改革の伴走支援、奨励金等による職場環境の整備、さらには、インターンシップ等の実施促進などにより、『感働!ふくしま』プロジェクトを一層強化してまいります。
農業分野における人材確保につきましては、地球温暖化等に対応するため、新品目・新技術の導入や有機農業を軸とした多様な取組にチャレンジする意欲的な担い手を支援していくほか、省力化・効率化に資するスマート農業機器等の導入加速化に向け、技術体系の構築から実装、人材育成に至るまでの取組を進めてまいります。
将来の担い手確保が課題となっている建設業につきましても、重機シミュレーター体験等による建設業の魅力発信を始め、業務の効率化や生産性の向上、デジタル技術の活用による働き方改革を支援することなどにより、担い手の確保につなげてまいります。
次に、魅力発信・交流促進プロジェクトについてであります。
4月から始まる「ふくしまデスティネーションキャンペーン(ふくしまDC)」では、300を超える特別企画を始め、本県が誇る様々な地域の宝、「ふくしまアート」を国内外に効果的に発信し、多くの方々に来県いただき、しあわせの風を感じていただけるよう、オール福島の体制で取り組んでまいります。
さらに、ふくしまDCで高まった誘客効果を継続させるため、SNS等のデジタル広告などを活用し、本県観光の様々な魅力を発信するほか、県内宿泊割引事業「また来て。」割により、年間を通じた宿泊需要の喚起を促し、地域経済の活性化につなげてまいります。
インバウンドの誘客につきましても、ふくしまDCを契機として、海外での観光プロモーションや受入体制を強化し、更なる誘客を推進していくとともに、航空会社や旅行会社等と連携した取組により、福島空港の利用促進を図るなど、定期路線の維持と利用拡大に努めてまいります。
また、県産品の振興に向けましては、先月の欧州訪問において現地の輸入事業者と連携覚書を締結したことから、今後、この強固な連携関係の下で更なる輸出拡大に取り組むほか、各種イベントの開催やデジタルプロモーション、トップセールス等を通じた県産品の魅力発信にも一層、力を入れてまいります。
県内への新たな人の流れづくりにつきましては、関係人口の拡大に向けた取組を一元的に発信するポータルサイトの開設を始め、テレワークや副業等の新たな働き方を切り口とした多様な交流機会を創出することなどにより、関係人口の創出・拡大と「転職なき移住」の促進を図り、将来的な移住拡大へとつなげてまいります。
ホープツーリズムにつきましても、これまでの取組に加え、首都圏等からの誘客促進につながるイベントの開催や、サイクリング、キャンプなどを取り入れた新たな誘客に取り組み、浜通りにおける関係人口の拡大と観光需要の増大を目指してまいります。
以上、新年度の主要な施策等について申し上げました。
「ありがとう、ふくしまは忘れない。」
これは、東日本大震災と原発事故の翌年に本県が作成したポスターのタイトルです。ポスターには、その年の箱根駅伝で活躍された、いわき市出身の柏原竜二選手の姿と、彼が箱根の山を走り終えた後に語ってくれた言葉が記されていました。
「僕が苦しいのは、たった一時間ちょっと。ふくしまの人たちに比べたら、全然きつくなかった。」
ふるさとの人々を思う彼の言葉に、私たち県民は、どれほど勇気づけられたか知れません。
地震と津波で甚大な被害に見舞われ、原発事故により、大切な日常を奪われた私たちを支え続けてくれたもの、それは、国内外から寄せられた温かい応援や励ましの声、「福島への思い」でありました。そして、それら一つ一つが、福島にとってかけがえのない希望となり、力となって、私たちの復興の歩みを力強く後押ししてくれました。
あの震災と原発事故から間もなく15年。
本県は今もなお、多くの困難を抱えながら、復興・創生に向けた挑戦を続けています。そんな今だからこそ、私たちは改めて、この言葉に込めた思いを強く胸に刻む必要があります。
「ありがとう、ふくしまは忘れない。」
年月を経ても、変わらず本県に心を寄せてくださる方々に深い感謝の思いを抱きながら、私はこれからも、福島の復興と地方創生を実現するため、県民の皆さんと共に全力で挑戦を続けてまいります。
提出議案について
次に、今定例会に提出しているその他の議案について御説明申し上げます。
特別会計等予算案14件につきましては、それぞれの目的に応じた事業を実施するため、所要の額を計上したものであります。
条例に関する議案といたしましては、「福島県企業立地資金貸付基金条例を廃止する条例」を始め、32件を提出しております。
それ以外の議案は、「包括外部監査契約について」など21件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願いいたします。
特別会計等予算案14件につきましては、それぞれの目的に応じた事業を実施するため、所要の額を計上したものであります。
条例に関する議案といたしましては、「福島県企業立地資金貸付基金条例を廃止する条例」を始め、32件を提出しております。
それ以外の議案は、「包括外部監査契約について」など21件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願いいたします。
