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県議会定例会(令和8年9月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年9月15日更新

令和8年9月福島県議会定例会知事説明要旨(令和8年9月15日)

 9月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
 以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、令和8年熊本地震と、本県を含め全国各地で発生した豪雨災害について申し上げます。
 災害により犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 県といたしましては、現在も復旧に向けた懸命な作業が進められている熊本県に職員を派遣するなど、東日本大震災等の経験を踏まえながら、今後も最大限の支援を継続してまいる考えであります。
 続いて、県政に関する所信の一端を述べさせていただきます。

任期中を振り返って

 令和4年11月、県民の皆さんの大変重い負託を頂き、3期目の福島県政をお預かりしてから、間もなく4年の歳月が経過しようとしております。
 この間、私は毎年、県内59市町村をくまなく訪問し、市町村長との意見交換を始め、県民の皆さんの切実な思いを直接受け止めながら、それらを着実に県政へ反映させるとともに、あらゆる機会を通じて本県の置かれた厳しい現状や課題を、国や東京電力に強く訴えてまいりました。
 その結果、今年度からスタートした第3期復興・創生期間においては、第2期を大きく上回る水準で財源が確保されるなど、本県の要望を踏まえた対応がなされたところであります。
 一方、福島が抱える課題は、時間の経過に伴って複雑化・多様化しており、これら課題に対応するため、様々な挑戦を続けてまいりました。
 避難地域においては、国や地元自治体と連携しながら、帰還環境の整備等を進めてきたことにより、県内全ての特定復興再生拠点区域において避難指示が解除され、新たに特定帰還居住区域が設けられるなど、帰還困難区域全体の避難指示解除に向けた新たな一歩を踏み出しました。
 本年5月には、福島県復興祈念公園を開園し、複合災害の記憶と教訓を後世につなぐ取組を進めているほか、双葉地域における中核的病院の整備につきましても、県立医科大学の附属病院化を決定し、早期開院に向けた取組を進めております。
 また、福島国際研究教育機構(F-REI)が浪江町に開所したことに伴い、福島ロボットテストフィールドをF-REIに統合するとともに、昨年改定された「産業発展の青写真」の下、国家戦略特区の指定等を活かしながら、ロボット・ドローンや水素など、福島イノベーション・コースト構想の更なる推進を図ってきたところであります。
 こうした中、長引く物価高の影響に加え、米国が打ち出した関税措置や中東情勢の緊迫化などにより、地域経済の先行きに対する懸念が高まったことから、県独自の制度資金創設による資金繰り支援を始め、最低賃金の改定に伴う対応、適切な価格転嫁の実現に向けた環境づくり、さらには、生産性向上に向けた設備の導入支援や県産品の販路拡大を支援するなど、県内企業の経営基盤強化を図ってまいりました。
 観光・交流面においては、令和6年の観光客入込数が震災前水準まで回復し、「大ゴッホ展」や「ふくしまデスティネーションキャンペーン」の開催などを通して、更なる盛り上がりを見せております。インバウンドにつきましても、令和6年1月に福島空港台湾便が就航したことなどに伴い、昨年の外国人宿泊者数が過去最多を記録いたしました。
 農林水産業につきましては、令和5年8月24日にALPS処理水の海洋放出が開始されましたが、全国知事会議での呼び掛け等を契機に全国的な応援の輪が広がり、県産水産物に係る風評被害の発生を抑制することができました。
 さらに、国内外へ積極的に赴き、本県に関する正確な情報発信やトップセールスを重ねてきたことなどにより、県産農林水産物の輸入規制を設けている国・地域が55から5へと減少し、令和6年度には輸出量が過去最高となったほか、県と関係団体で開設した、福島県農業経営・就農支援センターの取組等を通じて、新規就農者数が5年連続で300名を上回るなど、着実に復興・再生が進んでおります。
 健康長寿ふくしまの実現に向けては、「みんなでチャレンジ!減塩・禁煙・脱肥満」を掲げ、関係団体等と連携した減塩環境づくりや健康経営の普及促進、さらには、福島ならではの魅力を歩いて巡る「ふくしまアートウォーキング」を県民運動として進めてきたことなどにより、健康指標にも緩やかな改善傾向が見られるようになってまいりました。
 また、県立宮下病院の移転・建替えに着手したほか、物価高騰の影響を受けている医療機関、社会福祉施設等の経営安定化を図るため、光熱費等の運営費や賃上げに向けた支援なども行ってまいりました。
 子ども・若者の育成につきましては、中通り初の県立中学校として「県立安積中学校」を開校し、安達地区及び南会津地区においては、当該地域初の特別支援学校として「あだち支援学校」、「みなみあいづ支援学校」を開校いたしました。
 さらに、県中児童相談所の移転・建替えを行い、一時保護所と事務所を一体的に整備するとともに、乳幼児期における社会的養護の要として、郡山市に県立乳児院を開所いたしました。
 公共インフラの整備と安全・安心の確保につきましては、冬期間の通行止めが課題となっていた「国道401号博士峠工区」を始め、ふくしま復興再生道路の「小名浜道路」や「国道288号船引バイパス」等が開通いたしました。
 また、「福島県防災基本条例」を制定し、自助・共助・公助が連携した取組の強化を図ってきたほか、本年6月には、免震構造や非常用発電機等を備えた、新たな郡山合同庁舎の供用も開始いたしました。
 そして、震災以降、急速に進む人口減少の問題につきましては、昨年度の移住者・移住世帯数が過去最多となる一方で、若者の県外への転出傾向が依然として根強いことから、『感働!ふくしま』プロジェクトを展開し、福島で働く魅力を戦略的かつ効果的に発信してまいりました。
 昨年度からは、新たな「ふくしま創生総合戦略」をスタートさせ、官民が連携して人口減少対策に取り組む「ふくしま共創チーム」を設立するなど、若者や女性の視点を特に重視しながら、様々な取組を進めているところであります。
 このように、本県の復興と地方創生に向けた挑戦は、一つ一つ着実に成果を積み上げておりますが、私たちの行く手には、いまだ多くの困難な課題が山積しております。
 そのような中、先般、飯舘村で行われた子ども議会では、震災後に生まれた子どもたちが「復興」という言葉について、このように定義してくれました。
「復興とは、そこに住む人、関わる人たちの思いが重なり合って一歩ずつ前へ進むこと」
 私たち福島県民は、震災と原発事故で多くのものを失いましたが、新たに得たもの、新たに培ったものもたくさんあります。特に、人と人とが支え合い、共に困難を乗り越えていく姿は、次の時代を担う子どもたちの胸にもしっかりと刻まれており、必ずや、長い戦いとなる本県の復興と地方創生を支える大きな力になるものと確信しています。
 私は、そんな県民の皆さん、そして、本県に思いを寄せてくださる全ての人々と力を合わせながら、先頭に立って“挑戦”という名の“一歩”を踏み出し続け、福島の未来を切り拓いていく決意であります。
 次に、当面する県政の諸課題について申し上げます。

東日本大震災からの復旧・復興について

 はじめに、「避難地域の復興・再生」についてであります。
 避難地域では、7月1日付けで県内全ての復興再生拠点区域における野菜の摂取制限や出荷制限が解除されたほか、同月10日には、更なる移住促進を目指し、ふくしま12市町村移住支援センター東京サテライトを開設するなど、復興・再生に向けた取組が進んでおります。
 そのような中、先般開催された福島復興再生協議会では、避難地域の復興・再生を始め、風評・風化対策の強化、福島イノベーション・コースト構想の推進など、復興を更に加速させるために必要な項目について説明するとともに、来年度予算はもとより、その後も切れ目なく安心感を持って復興を進めるための財源や制度の確保等を求めたところであります。
 その結果、国の来年度予算概算要求においては、おおむね本県の要望を踏まえ、今年度を大幅に上回る予算が計上されたところであり、引き続き国に対し、福島の復興に最後まで責任を果たすよう強く求めてまいります。

 次に、「環境回復」について申し上げます。
 福島第一原発の廃炉につきましては、1号機の使用済燃料プールからの燃料取り出しに向けた瓦礫の撤去作業が開始されるなど、リスクの高い困難な作業が進められており、今後も廃炉安全監視協議会等を通じて、国や東京電力の取組をしっかりと監視してまいります。
 また、7月24日には、全国知事会東日本大震災復興協力本部長である大野埼玉県知事と共に「東日本大震災からの復興を早期に成し遂げるための提言」について、国への要望活動を実施いたしました。
 私からは、除去土壌等の県外最終処分の確実な実施に向け、具体的なプロセスやスケジュールの速やかな明示を改めて要望したところであり、今後も政府一丸となって最後まで責任を持って対応するよう、様々な機会を捉え、強く求めてまいります。

 次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
 7月に、韓国との双方向によるチャーター便が約13年振りに運航され、航空券が完売となるなど、多くの方々に利用いただきました。
 今後は10月と来年3月に運航を予定していることから、引き続き、韓国の旅行会社と連携した広報や商品造成の支援等を通じて、復興が進む本県の現状と様々な魅力を発信し、更なる誘客の促進を図ってまいります。

 次に、「産業政策」について申し上げます。
 7月23日に「ふくしま浜通りサイクルルート」が東北地方初のナショナルサイクルルートに指定されました。本ルートは、美しい太平洋の景観を楽しめるだけでなく、復興に向けて歩み続ける「福島の今」を体感できるなどの特色を有しています。ナショナルサイクルルートとしてのブランド力をいかし、国内外から多くの人々に訪れていただけるよう、更なる受入環境の充実や情報発信等に取り組んでまいります。
 また、国の地域未来戦略を踏まえ、本県版となる「ふくしま地域産業成長プラン」の策定を進めております。本プランでは、「新たな産業クラスターの形成」と、地域資源をいかした「地場産業の振興」を両輪として構成しており、「新たな産業クラスターの形成」においては、本県の強みである医療機器や航空宇宙、ロボットなど5つの成長分野の産業集積を進めるほか、中小企業等の技術力向上などに取り組みます。
 さらに、「地場産業の振興」では、コメや果樹等の農産物、日本酒・味噌・醤油を始めとした県産品、温泉やサイクリングをいかした観光など、本県が誇る地域資源のブランド化を図るため、新商品の開発や販路拡大等を支援し、国内外に向けた情報発信等も強化してまいります。
 一方、物価高騰が続く中、中東情勢の不安定化により、県内には様々な影響が広範囲に及んでおります。このため、経営に関する相談対応や資金繰り支援等を継続して行っていくほか、令和7年度補正予算を始め、令和8年度当初予算や6月補正予算を活用しながら、県内経済と県民生活への影響緩和に努めてまいります。

 次に、「農林水産業の再生」について申し上げます。
 今年もトップセールスで県外の大消費地や県内スーパー等を訪問し、本県が誇る桃やきゅうりなど、「ふくしまプライド。」がぎっしり詰まった生産者自慢の逸品をお届けしてまいりました。
 また、先月17日には、台湾に向けた県産桃の本格的な輸出が16年振りに再開されました。震災前、台湾は県産桃の最大の輸出先であったことから、本格的な輸出再開は、本県の農業復興を強力に後押しするものと期待しております。今月5日と6日には、台湾において観光物産イベントを開催し、県産品の販路拡大や本県の認知度向上、福島空港台湾便の利用促進等を図ったところであり、今後も産地や関係者と連携しながら、一層の輸出拡大と魅力の発信に取り組んでまいります。

 次に、「県民の健康増進」について申し上げます。
 県民の皆さんが安心して暮らしていくためには、持続可能な医療提供体制の構築が重要であります。このため、更なる人口減少や高齢化が見込まれる2040年を見据え、医療機関の役割分担や外来医療の提供体制、在宅医療の受け皿整備、医療と介護の連携等も含めた、新たな地域医療構想の策定に着手いたしました。県民の皆さんが安全・安心な医療を享受できるよう、関係団体等と緊密に連携しながら策定を進めてまいります。

 次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
 先般、文部科学省から「N-E.X.T.ハイスクール構想」に基づく、高校教育改革促進基金の採択結果が公表され、本県から申請した3件の事業計画が全て採択されました。
 これにより、フィジカルAIや次世代エネルギー分野における人材育成、最新の分析機器等を導入したラボの整備、仮想空間を活用した学習支援や遠隔授業の実施等、本県の高校教育改革に向けた重要な基盤を整備するとともに、その成果が全県に波及するよう取り組んでまいります。
 また、本県では「学びの変革」の一環として「探究的な学び」を推進しており、こうした探究学習の成果を発表するため、今月12日、郡山市において、県内全ての県立高校が参加し、本県初となる「探究EXPO」を開催いたしました。引き続き、子どもたちが地域課題と主体的に向き合いながら、課題解決に必要な資質・能力を着実に身に付けられるよう取り組んでまいります。

 次に、「インフラの整備と安全・安心の確保」について申し上げます。
 先月23日に、地域連携道路として整備を進めてきた、いわき石川線石川バイパスが全線開通し、今月4日には、国道289号「八十里越」の入叶津道路で最後のトンネルとなる「(仮称)平石山トンネル」の整備に着手いたしました。これにより、交流人口の拡大や救急医療ネットワークの強化等が期待できるほか、八十里越においては、トンネル等の整備による雪崩対策を講じることで、冬期間を含めた通年通行の実現を目指してまいります。
 また、令和6年から進めてきた県文化センターの改修工事が完了し、今月1日から再開館いたしました。本県における芸術・文化活動の拠点施設として、県民の皆さんが優れた文化芸術を鑑賞する機会の充実を図り、更なる文化の振興に努めてまいります。

地方創生・人口減少対策について

 次に、「地方創生・人口減少対策」について申し上げます。
 先頃公表した6月1日時点における本県の推計人口が、戦後初めて170万人を下回るなど、改めて人口減少問題が大変厳しい状況にあると受け止めております。このため、あらゆる主体と連携・共創しながら、自然減対策と社会減対策を両輪として挑戦を続けてまいります。
 まず、自然減への対応につきましては、出会いや結婚、妊娠・出産、子育ての希望を叶えることができるよう、きめ細かな施策を幅広く展開してまいります。今月6日には、100名規模の大型マッチングイベントを初めて開催したところであり、今後も市町村や民間企業等と連携しながら、若者のニーズに応じた出会いや交流の場の創出等を図ってまいります。
 社会減への対応に当たりましても、本県出身で首都圏在住の若い世代を対象とした大規模な交流会を都内で開催したほか、県内外に進学・就職した若者との座談会を県内3方部で開催し、アンケート調査では把握しきれない率直な思いや意見を聴取するなど、引き続き、若者の県内定着・還流に向けた取組に力を入れてまいります。
 また、官民連携基盤である「ふくしま共創チーム」の下、学生や企業等の若手職員で構成した「ふくしまプライド調査部」の活動を開始したところであり、彼らの活動を通じて、若者に選ばれる福島となるための「気付き」をチーム全体で共有しながら、様々な対策を「オール福島」で粘り強く進めてまいります。

 以上、県政に関する諸課題等について、所信の一端を申し上げました。

 先月21日、福島県は県政150周年という大きな節目を迎えました。
 この150年の歩みは、正に「挑戦」の歴史そのものであります。そして、先人たちが幾多の困難に見舞われながらも、共に力を合わせ、大切に守り育ててきたもの、それこそが、郷土に対する誇り、「ふくしまプライド。」でありました。
 「挑戦」の原動力、それは「誇り」、「プライド」であります。
 この大きな節目を未来に向けた新たな出発点とし、次の世代へと「ふくしまプライド。」を着実に引き継ぎながら、笑顔と誇りに満ちた福島の輝ける未来を創出するため、私はこれからも全力で挑戦を続けてまいります。

令和7年度決算について

 次に、令和7年度の決算について申し上げます。
 令和7年度予算につきましては、あらゆる主体と連携・共創し、誰もが活躍できる「福島ならでは」の県づくりに向け、復興・再生と地方創生を両輪で進めていくための当初予算に加え、クマ被害の増加を踏まえた緊急対策、さらには物価高への対応など、喫緊の課題に対応するため、9度にわたる補正予算を計上し、年度間を通して適切な執行に努めてまいりました。
 これにより、一般会計の実質収支は75億1千5百万円となったところであります。

提出議案について

 次に、提出議案について御説明を申し上げます。
 令和8年度一般会計補正予算案につきましては、教育環境の充実に向けた取組として、国のN-E.X.T.ハイスクール構想に基づく、県立高等学校等の教育改革に向けた拠点校の整備、地域産業の戦略的発展に向けた取組として、産業クラスターの形成や地場産業の付加価値向上・販路開拓等を戦略的に推進するための基金の積立、県民の安全・安心な暮らしを守る取組として、喜多方市の地すべり被災箇所における被害拡大防止のための緊急対策、クマの目撃件数が増加している浜通り地域等を中心とした被害防止対策の強化、地域における分娩取扱機能を維持するための医療機関への支援等に要する経費を計上いたしました。
 これによる一般会計補正予算の総額は、176億5千7百万円となり、本年度予算の累計額は、1兆2,799億6千2百万円となります。
 特別会計等補正予算案につきましては、福島県港湾整備事業特別会計について所要の経費を計上いたしました。
 その他の議案といたしましては、条例が「福島県地域未来基金条例」など5件、条例以外の議案が「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の一部変更について」など16件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
 慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。

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