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地方分権・うつくしま、ふくしま。宣言

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新

『地方分権・うつくしま、ふくしま。宣言』

~福島県地方分権推進ビジョン~

平成6年7月

福 島 県

============   目 次   ============

    はじめに

    1 地方分権推進のための基本的視点

    (1)「住民を基本とした“新市町村主義”」への出発

    (2)「新たなパートナーシップの構築」

    2 『地方分権・うつくしま、ふくしま。宣言』

    3 地方分権の確かな実現に向けて

    (1)「大綱方針」の策定

    (2)「地方分権の推進に関する基本法」の早期制定

    (3)権限移譲の推進

    (4)地方財政基盤の強化

    (5)国の関与、規制の緩和

    (6)機関委任事務の見直し

    (7)国の地方出先機関等の見直し

<はじめに>

 昭和24年のシャウプ勧告において、「行政責任明確化の原則」、「能率主義の原則」、「市町村優先の原則」という行政事務配分の三原則が示されて以来、国と地方との機能分担については地方制度調査会をはじめとして様々な機関において検討され、新たな制度等が打ち出されているが、現状は一向に変わっていない。

この間、国の出先機関の強化や機関委任事務の増加、さらには国庫負担金メニューの細分化など、むしろ地方分権とは逆行する中央集権化への道を進み、それと呼応した形での諸機能の東京一極集中により、今日の地方圏の活力低下を引き起こしてきた。

 このような状況に対する反省に基づき、生産者重視、効率性重視の画一的な政策展開から、生産者・消費者を重視し、多様な選択肢の確保などに対応した、新たな国内政治、経済システムを構築していくことが求められてきている。また、地方においても、住民が真の豊かさを実感できる地域を作り上げていくために、中央への依存体質からの脱却、政策立案機能の向上など、自立と責任を明確にしていくことが求められている。

時代の要請はいま、「画一と集権」から「多様と分権」へと向かっている。そして、真の地方分権の実現に向けて、一つひとつの個性が輝き、確かな多様性をもった地域づくりを目指していくために、分権の担い手である地方がビジョンを提唱し、先導していくことが必要である。

このため、福島県自らが地方分権の推進役となるべく一つの提言として、また、今後、広く地方分権に関する議論が深まることへの一助として、ここに、『地方分権・うつくしま、ふくしま。宣言』を発することとする。

1 地方分権推進のための基本的視点

(1)「住民を基本とした“新市町村主義”」への出発

 価値観の多様化に対応し、住民一人ひとりが真の豊かさを実感できる生活の実現を図るためには、住民に身近な行政主体が、住民生活に密着した分野の行政を担うべきである。その際、地方分権の担い手は地方であるとの認識のもと、今後の地方分権の推進に当たっては、まず、「住民を基本とした“新市町村主義”」の基本的視点に立って、出発(たびだつ)必要がある。

    ここで、「住民を基本とした“新市町村主義”」とは、シャウプ勧告における「市町村優先の原則」の概念を更に発展させ、次の諸点に基づき、国と地方を通じる権限(事務)、財源の配分のあり方等を見直すことを意味する。

<「住民を基本とした“新市町村主義”」>
(1) 住民にとって必要な行政サービスは、住民の視点に立って、住民にとって最も望ましい行政主体が提供すべきものであること。

(2) 行政の役割分担は、住民に最も身近な、住民の意向が反映されやすい、そして住民が積極的に参画しやすい市町村を中心として整理されること。

(3) 国の権限等の地方への積極的な移管を基本に、都道府県等から市町村への権限等の移管を推進し、市町村が地域行政の中心的な担い手として、主体的に地域づくりに取り組めるようにすべきであること。

(4) 広域連合等の新たな制度の導入や市町村合併についても、住民の意思を尊重し、住民にとって最も望ましい対応を基本とすること。

(2)「新たなパートナーシップの構築」

 国際的に地球社会との共存を実現し、国内的には住民の多様なニーズに対応したきめ細やかな行政運営を展開するために、「住民を基本とした“新市町村主義”」をベースとして、市町村、都道府県、国の役割を次のように明確にした上で、それぞれが主体的な意思を持ちながら協調していく、新たなパートナーシップを構築していく必要がある。

(1)<市町村>
 市町村は、住民に最も身近な行政主体として

・地方自治の真の担い手である住民一人ひとりが真の豊かさを実感できる生活を実現するための保健福祉、教育、文化など住民生活に密着した分野

・「個性的で魅力ある地域づくり」のための地域産業振興、住宅、土地政策、都市計画など地域の特性を活かせる分野

・地域レベルでの国際交流などの分野

などの多様な分野で、自主的、自律的な施策を展開していくべきである。

(2)<都道府県>
 都道府県は、地方における総合的、広域的な行政主体として

・広域道路、河川整備、景観形成などの広域的行政分野

・試験研究、高等教育、高度医療などの技術的・専門的行政の分野

・市町村間、地域間の広域的調整、更には国と市町村間の様々な総合調整機能の分野

・県土の総合開発計画の策定、地域産業政策の立案、国・市町村等への政策提言等の地域政策立案機能の分野

など、広域的な地方行政需要への対応や市町村の補完・支援・調整機能等を担うべきである。

    なお、都道府県と市町村の役割、機能が有機的に作用し合うことによって、地方の二層制は、よりその効果を発揮することになろう。

(3)< 国 >
 国は、今後の国際社会における生き方、国力にふさわしい責任の分担といった問題の重要性が高まってきている状況を踏まえ、

・外交、安全保障、国際経済、国際貢献等の対外政策に関する分野

・高速交通・高度情報通信基盤の整備、マクロ経済政策、エネルギー政策等の全国的規模、視点で行われることが必要不可欠な施策や全国的な統一が望ましい基本ルールの制定等の分野

などを、より重点的、限定的に分担すべきである。

2 『地方分権・うつくしま、ふくしま。宣言』

「住民を基本とした“新市町村主義”」と国・都道府県・市町村の「新たなパートナーシップの構築」を基本的な視点として、新しい世紀に向けた日本の創造に向けて、真の地方分権を実現するために、次のとおり『地方分権・うつくしま、ふくしま。宣言』を発することとする。

(1)「新しい日本、新しい地方像を提案し、その将来像の実現のために、ふくしま自らがその原動力となる。」

新しい日本のグランドデザインは、ひとり中央のみが描くべきものではない。中央・地方それぞれが提案をし、議論をし、切磋琢磨し、国民的合意形成を図りながら作り上げていくものである。

今、福島県は、「21世紀の新しい生活圏~美しいふくしま~の創造」を基本目標に掲げ、今後の日本の地域づくりモデルとなるという自負のもと、住民一人ひとりの夢が実現する地域、確かな多様性に育まれた個性が光り輝く地域、そして我が国の発展をリードできる地域を目指して積極的に取り組み、新しい日本、新しい地方像の実現に向けての原動力となる。

(2)「地方自治の真の担い手は住民一人ひとりであり、住民に最も身近な市町村を中心とした地方分権の実現を推進する。」

価値観の多様化に対応し、一人ひとりが真の豊かさを実感できる生活の実現を図るためには、住民に最も身近な市町村が、まちづくりや住民生活に密着した分野に関する多様な行政を担うべきである。したがって、福島県は、こうした市町村の役割が最大限に発揮でき、しかも市町村の意思が反映できるような様々な支援体制をつくっていく。

(3)「真に地域が自主性・個性を発揮できるよう、国・都道府県・市町村の新たなパートナーシップの構築を図る。」

 国・都道府県・市町村はそれぞれ、国民・都道府県民・市町村民の豊かな生活のために努力していくものであり、決して対峙するものではない。したがって、福島県は、それぞれの主張・個性を尊重しつつ、機能、役割の有機的な連携を図ることによって、新たなパートナーシップを構築していくことを目指す。

(4)「真の地方分権の実現に向けて、自らの意識改革を進めていくとともに、地方分権の担い手として、地方の当事者能力の向上に努める。」

 網の目のように張りめぐらされてきた中央集権システムの過度の庇護のもと、地方は中央に依存し、自らの自立と責任を回避し、自らが地方分権の実現を阻む要因を作り出してきた面もあった。したがって、福島県は、こうした要因を自らの手で断ち切り、主体的な政策創造機能の強化や県と市町村との共同研修体制の強化により、真の分権の担い手としての能力向上に努める。

3 地方分権の確かな実現に向けて

地方分権の確かな実現に向けて、次のような措置が講じられるよう、福島県はあらゆる機会を通じ、働きかけを一層強化していくこととする。

(1)「大綱方針」の策定

まず、国は、地方自治体を含む地方の考えを十分に踏まえながら、地方分権の基本理念、取り組むべき課題と手順等を明らかにした「大綱方針」を早期に策定すべきである。

(2)「地方分権の推進に関する基本法」の早期制定

「大綱方針」策定後、直ちに、次の内容を盛り込んだ「地方分権の推進に関する基本的な法律」を制定すべきである。

<地方分権の推進に関する基本的な法律の内容>
(1) 地方分権の理念・目的と確実な実行についての宣言

(2) 地方分権推進の具体化に向けた国・地方の責務

(3) 新しい国・地方の関係

(4) 地方分権の進め方についての方針

(5) 地方分権推進機関「地方分権パートナーシップ委員会(仮称)」の設置

なお、地方分権推進機関「地方分権パートナーシップ委員会(仮称)」は、国、地方自治体及び住民の代表で構成される独立機関とし、地方分権推進計画の策定及びその進行管理を行い、毎年その進捗状況を公表するものとし、新たな政策課題に対応した行政主体間の役割分担の見直しなどを逐次行うものとする。

(3)権限移譲の推進

地方は、現に分権の受け皿にふさわしい実績と能力を有しており、地方の自律的、主体的な行政運営と責任体制を確立するために、国と地方の新たな役割分担に基づき、国から地方に大幅な権限移譲がなされるべきである。

なお、権限移譲は、移譲が容易な軽微なものというこれまでのやり方ではなく、地方がその役割に基づいて担うべき分野について、主体性と責任をもって事務を完結できるよう、個別的ではなく、分野包括的に行われるべきである。

(4)地方財政基盤の強化

    (1) 地方税財源の充実強化

      地方分権を進める上では、その裏付けとなる地方財政基盤を充実強化することが不可欠であり、その担当する事務に対応するとともに、自主的、自律的な施策展開を可能とする地方税財政制度を確立することが極めて重要である。

      とりわけ、財源確保の最も重要な要素は税であり、第一義的に地方行政の財源は地方税で賄われるべきであるとの視点に立って、国税を含む税体系全体を抜本的に改革し、地方税財源の充実強化を図るべきである。

    (2) 地方交付税の見直し

      地方交付税については、これまで地方間の財源調整機能など多様な役割を果たしてきており、税源の地域間格差がある限り、その重要性は不変のものであるが、近年、「地方交付税の補助金化」とも言われるように、特定政策課題への対応にシフトしてきている面もあり、本来の財源調整機能を強化していく必要がある。

    (3) 国庫補助金等の見直し

      国庫補助金等は、近年、その範囲が地方の自主的な判断に委ねられるべき分野にまで拡大してきており、地方において中央依存体質を強め、地方の創意工夫の発揮を阻害する要因ともなり、さらにはその手続きが煩雑であることや補助基準による制約が非効率的であるとの指摘もなされている。

      地方への国の関与が限定され、地方の事務は地方の財源で行われるという原則に立って、国・地方の事務間の税財源の配分を見直し、国庫補助金は原則的に廃止されるべきである。

(5)国の関与、規制の緩和

第3次行革審の最終答申の趣旨に則り、抜本的な公的規制の緩和措置を講じるとともに、地方に対する国の関与についても、その抜本的な見直しを行い、整理合理化すべきである。特に、地方自治体の職員配置基準や職に係る必置規制については、地方の自主的判断と責任において、合理的、能率的な事務処理ができるよう原則として廃止すべきである。

(6)機関委任事務の見直し

国等の事務であるが法令により地方自治体の長など特定の機関に委任された機関委任事務については、意思決定権は国に留保され、委任された地方自治体の機関は国の細部にわたる指揮、監督を受け、また、その事務に対しては地方議会の議決権も及ばないなど、地方の自律的な行政運営の障害になっており、原則的に廃止し、その権限を財源とともに速やかに地方へ移管すべきである。

(7)国の地方出先機関等の見直し

国と地方の役割の見直しに伴い、当然、国の地方出先機関については、抜本的にそのあり方が見直されるべきである。また、地方事務官制度は、廃止されるべきである。

なお、上記(3)~(7)については、当面、段階的に改善措置が講じられることはやむを得ないものであるが、(1)及び(2)については、可及的速やかに実現されるべきである。

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