平成25年度 「水との共生」出前講座開催状況
平成25年度 「水との共生」出前講座開催状況
平成25年度に実施した「水との共生」出前講座の開催状況を紹介します。
◆水資源と放射性物質による汚染の現状
講師:福島大学共生システム理工学類 柴崎直明教授
平成25年10月26日(土曜日)伊達市保原町中央公民館において、出前講座を開催しました。 これは、NPO法人環境ワーキンググループ伊達の講演会として行われたもので、約40名が参加しました。
講座では、講師の専門である地下水の話を中心に、災害当時は県北地域の広範囲で水道の断水があったことや、断水時は井戸水や湧水が活躍したことが紹介されました。 また、福島大学が実際に調査したデータをもとに、伊達市の放射性物質の空間線量や水道のモニタリング結果について詳しい解説がありました。実際に生活している地域の話題だったこともあり、質問の時間では今後の注意点など多くの疑問に答えていただきました。
参加者からは、不安に思っていたことの話が聞けて安心した、とてもわかりやすい説明だった、住んでいる伊達市の話が聞けてよかった、という感想が聞かれました。
◆水環境とほたるの里づくり
講師:石川町母畑地区まちづくり委員会 味戸 芳彦 氏
平成25年10月13日(日曜日)伊達市梁川農村環境改善センターにおいて、出前講座を開催しました。 これは、伊達市梁川地区を中心に活動している広瀬川の自然環境を考える会が、昨年から取り組んでいる、ホタルを復活させて子供たちに水環境を身近に感じてもらう活動の勉強会として行われたもので、約50名が参加しました。
講座では、石川町母畑地区まちづくり委員会の活動拠点である母畑自治センターで行っているまちづくりの取組や、ホタルの住みやすい環境、ホタルの餌になるカワニナについてなどの話を詳しく聞くことができました。
講師お手製のホタルクイズが出題され、ホタルは卵でも光ることや、ほとんどのホタルが陸上で生活し、日本で光る水生のホタルは3種類しかいないことなど、楽しくホタルについて学ぶことができました。
参加者からは、ホタルクイズはおもしろく勉強になった、ホタルの生態がよくわかった、ホタルの餌になるカワニナについてよくわかった、子どもたちにホタル取りをさせられるようにしたい、という感想が聞かれました。
◆水生生物による水質調査~水生生物の同定~(第10回ステップアップ講座)
講師:福島大学共生システム理工学類 塘忠顕 教授
平成25年9月7日(土曜日)西白河郡西郷村文化センターにおいて、出前講座を開催しました。 これは、西郷くらしの会の「ステップアップ講座」の一環として行われたものです。 県内各地から環境養育に活かそうと意欲のある13名の参加がありました。
阿武隈川の源流域「剣桂下」で水質調査や水生生物等の採取を行った後、室内で採取した水生生物の同定を行いました。生物の目毎(カゲロウ目、トンボ目など)に分類し、参加者の経験や知識に応じて、属や科を見分けるために生物の特徴について立体顕微鏡や図鑑を用いながら講師の指導を受けました。また、経験豊富な人が初心者へ同定の方法や生物の特徴を教えるなど、参加者の得意分野を教えあう姿も見られました。
参加者からは、普段からの疑問を先生に聞くことができよかった、福島は水環境がいいのでもっと発信していきたい等の意見が聞かれました。東北では見ることの珍しい、アサギマダラを発見するサプライズがあり、大変有意義な時間となりました。
◆夏井川流域の会の活動内容と水質調査
講師:夏井川流域の会 阿部 孝男 氏
平成25年7月21日(日曜日)いわき市もえぎ台南公園において、出前講座を開催しました。 これは、身近な河川にいる淡水魚の展示や水質調査をすることで、川の大切さや環境を考える機会となるよう企画されたものです。
今回は、小野町といわき市を流れる夏井川で、長年にわたり川の環境活動や水質調査を行っている「夏井川流域の会」の阿部氏に講師を務めていただきました。
講座では、夏井川流域の会の活動紹介と、四時川、釜戸川、宝珠院川の水の水質調査を行いました。今回はCodパックテスト、におい、伝導率、透視度について実施しました。山側(四時川)は、大変きれいな水でしたが,海に近づくにつれ(人家部を流下)、水質が悪くなる結果となりました。
参加した子供達のほとんどが水質調査を行うのが初めてでしたが、興味を持って取り組んでいました。
◆ホタルは地域の宝物
講師:喜多方ホタル夢づくり会 生江 公敏 氏
平成25年7月7日(日曜日)石川町母畑自治センターホールにおいて、約20名参加のもと出前講座を開催しました。 これは、地域を元気にしようと発足した母畑地区まちづくり委員会が、母畑地区で生息しているホタルを通じて、環境の大切さ等を広く理解してもらうために企画し、ホタル鑑賞会と環境講演会の一環として行われたものです。
講座では、ホタルの生態や種類についてや、「虫」のつく漢字、昆虫クイズ、講師自身が考案した虫かごの作り方など多岐にわたるお話を聞くことができました。ホタルやゲンゴロウなど、さまざまな昆虫の標本を示しながらのユーモアを交えた説明はわかりやすく、笑いの絶えない講座でした。
出前講座の終了後、実際にホタルの観察会を行いました。講師からは、山がすぐ近くにあり、カワニナのえさとなる広葉樹も多く、ホタルの生息に適しているとお墨付きをもらいました。あいにくの梅雨空でしたが、観察会の頃には雨も上がり、たくさんのホタルを見ることができました。
参加者からは、ホタルの生息には水の環境とカワニナが重要なことがわかった、昆虫の話がおもしろく身近に感じた、という感想が聞かれました。
また、事務局長の味戸さんからもホタルクイズが出題され、こちらも簡単なようで難しい問題もあり、楽しい講座となりました。
◆福島の河川の現状
講師:福島大学共生システム理工学類 難波謙二 教授
平成25年6月15日(土曜日)郡山市熱海の清稜山倶楽部において、約60名が参加のもと出前講座を開催しました。 これは、福島県水環境活動団体交流会の一環として行われたものです。
講座は、阿武隈川の水質と微細藻類の季節変化や、福島大学の原子力災害への取組、放射性物質の移行状況など、多岐にわたる内容でした。参加者にとっては新しい情報も多く、真剣に聞き入っていました。
参加者からは、「難しい内容と思ったが、意外と解り易く大変勉強になった」「普段聞くことができない藻類の挙動について、詳しく話が聞けた」等の感想が寄せられました。
◆郡山南川ホタル愛光会
講師:喜多方ホタル夢づくり会 関本 渓水 氏
平成25年4月20日(土曜日)郡山市において、16名参加のもと出前講座を開催しました。 これは、郡山市に流れる南川のホタルを復活させるため、河川清掃や幼生飼育を行っている郡山南川ホタル愛光会の勉強会として行われました。
講座では、喜多方市でホタルを復活させる活動をしている関本氏から、会の活動内容やホタルの学校の様子、ホタルの生態、珍しいクロマドホタルの発見など多岐にわたるお話を聞くことができました。
また、活動を長く続けていくには、「夢を持って、育てて聞くことが大切」という言葉が印象的でした。
参加者は朝8時半から河川清掃を行ってからの講義でしたが、喜多方ホタル夢づくり会の活動内容やクロマドホタルについて質問が寄せられました。地域と連携し、子どもたちが安心して遊べる水辺作りの参考になったという意欲的な意見もありました。