浜通り11(南相馬市小高区):おだかのひるごはん(ハマナカアイヅ)
南相馬市小高区。
避難指示解除準備区域と再編してから、2年余りの月日が経ちました。
この日も、除染を始めとする復旧事業が町中で行われています。
JR常磐線・小高駅。
東京電力福島第一原子力発電所事故の影響を受けて、2011年3月より運営休止を余儀なくされたが、駅舎自体は、地震や津波による被害は少なかったです。
ドア越しに駅の中を覗いてみました。
時間が止まったままの待合室だが、定期的に手入れを行わていると思います。
運営の再開をいつでもできるように、来るべき日を待ち望んでいる印象を受けました。
2014年12月9日、JR小高駅の近くに、一軒の食堂がオープンしました。
食堂を切り盛りするのは、小高区の復興拠点施設「小高ワーカーズべース」代表の和田智行さんと同区出身の主婦たちです。
人気店だった双葉食堂のスペースを借りて、原発事故以降、同区で初めて新規オープンした飲食店の名前は、「おだかのひるごはん」です。
実にシンプルで、暖かみのあるネーミングだと思います。
テレビニュースでこの店のことを知り、どうしても一回訪ねてみたかったです。地元愛溢れる方々に直接、応援を送りたいと思います。
のれんをくぐると、どうやら僕はこの日の最初の客のようです。
メニューは至って簡単――日替わりランチの一択のみですが、地元で育った食材を使うなど、「小高の味」を忠実に再現したのは評価したいですね。
冬至の日ということで、特別にかぼちゃの煮物の一品を追加してくれた「おだかのひるごはん」。
小高区に一時帰宅する住民や復旧事業の作業員たちにとっては、温かい料理を提供してもらえる身も心も満たす食事に間違いありません。
程なくして客は続々と入店し、「おだかのひるごはん」は「昼ピーク」を迎えました。
人手不足のため、食堂は当面の間、毎週月、木、金曜日の11時から14時までの営業で、日替わりメニューも数量限定での提供となっています。それでも、ここに訪れた人はみんな笑顔で「おだかのひるごはん」を頬張っています。そして、
「店の場所はわかりにくいな、道路沿いでのぼりを立てたほうがいいのでは?」
「割り箸はもったいないから、洗ってまた使える普通のお箸でいいよね」
と、自分なりに店のことを思っています。
隣の席に居合わせていたご夫婦は現在原町区の仮設住宅で暮らしています。この日は、我が家で正月を迎えるための準備のため小高区に戻ってきたと言います。
政府は、南相馬市など6市町村の避難指示解除準備区域と居住制限区域で20日から年末年始に合わせた特例宿泊を実施すると発表しました。
原発事故以降、数えて2度目の特例宿泊となります。
地元でお正月を迎えるのに先立って、地元の食堂で「地元の味」を味わえることは、とても大きな意味を持っていると思います。
オープンしたばかりの「おだかのひるごはん」は、すでに食堂である以上に、地元住民の「憩いの場」となっていますね。
小高区では、2016年4月に避難指示を解除した「完全帰還」を目標としています。そのため、役場を中心に復旧作業に当たってくれている方がたくさんいます。そして、復旧作業の進展と伴い、少しずつ住民の出入りが増えてきています。
そして、みんなは少しずつ、生活を取り戻しています。
小高駅前のロータリーでは毎年イルミネーションが飾られており、輝きを放っています。
今年のイルミネーションは例年よりも、いっそう「希望」と「人情」を光で奏でているような気がします。
(投稿者:徐)