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中通り33(福島市飯坂町):翁の言葉に耳を傾けて(ハマナカアイヅ)

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年1月29日更新

 うそかえ祭りの会場をあとにして、歩くこと5分。

 降りしきる雪の中、国道399号線沿いの交差点に、一軒の和菓子屋が静かに佇む。
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 早起きのせいか、小腹が減った私たちは、店の名物・巻せんべいと温泉まんじゅうを注文し、店頭で頬張ることにした。
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  ……なるほど。

  香りも風味もとてもしっかりしていて、手抜きしていないのがよくわかる。

  スーパーなどで手軽に買える和菓子とは一線を画する味は、素人の僕だって分かる。

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  「私だって、初代の顔は見たことがないんだよ。」

  ――店の歴史を尋ねると、店番をしている中村さんがお茶を淹れながら、優しい口調で語り始めた。
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 話を聞くと、中村さんは100年以上続く老舗の5代目で、6代目は「うそかえ祭」の会場に出店を出しているとのこと。

 中国では、百年以上を続く企業やブランドはたくさんあるが、一つの店舗として移転・改築もせず、歴史とともに歩んで来たケースは逆に珍しいとも言える。

 私は思わず、「歴史」を感じさせてくれるモノを物色し始めた。

 ……

 これだ!
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 「これはね、昔使われた背負箱(しょいばこ)だ。私が子供の頃によく3代目と一緒に、

遠くまで行って、立売をしていたね。」
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 「よくぞそれに目をつけたね」と言わんばかりに、

 懐かしげに語る5代目の目は、少年のように輝いてた。
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 おっと、ここにはもうひとりの「少年」がいたね。失敬。

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 店頭で休憩するつもりだったのに、気が付けば、小一時間が経ってしまった。

 僕は、中村さんにいっぱい話を聞いた。

 

 創業以前、初代が山形県米沢市の和菓子屋で修行していたことも。

 店の前に広がる国道399号線の先にある茂庭地区では、かつて山形県の高畠町を目指して峠越えの旅人がトンネルで休憩する時に、雪崩で出口が塞がられて何人もの死者が出たことをきっかけに、新しいトンネルの整備に踏み出したことも。

 飯坂温泉のシンボルマークマークでもある十綱橋だが、実は3代目で、初代の橋はなんと吊橋だったことも。

震災当時、震源地から遠く離れた飯坂町にも被害が及んでいたことも。

 

 どの日本語教材にも収まることなく、

  だけどどの教材よりも内容が充実している。

 

「書物では描かれていないことは、お年寄りはいっぱい知っているから、きみたちは、お年寄りといっぱい話して、勉強しなさいね。」

 中村さんの言葉のなかで、一番私の心に響いた言葉だった。
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 この感動を胸に、私たち交流員は「福島の現状を知って、伝える」を目指して、これからも頑張り続けたいと思っている。

  (投稿者:徐)

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