ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織でさがす > 国際課 > 地球探検 コスタリカ共和国 加藤直樹隊員 4-2

地球探検 コスタリカ共和国 加藤直樹隊員 4-2

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年8月6日更新

地球探検

レポート4-2

リトルリーグラテンアメリカ大会

 ここ最近の活動でもう一つ中心となったのはリトルリーグラテンアメリカ大会参加に向けたチーム強化です。大会は6月28から7月6日にかけて実施されました。この大会を勝ち抜いたチームがアメリカで行われる本大会へ出場することができます。自分が指導したチームは11-13歳カテゴリーでした。

 ところがチームが結成されたのは4月で、練習期間はわずか2ヶ月しかありませんでした。中南米では基本的に大会数か月前に参加希望選手を募り、テストを実施してチームを結成し、大会が終われば解散という流れが多いのほとんどです。ですから日本のように同じチームメイト、監督と何年間も一緒に野球をするということが難しいのが現状です。そういった意味で、メジャーリーグなどを見ても中南米出身の選手には個人的な能力が高い選手が多いのは事実だと思いますが、いざ国際大会となると日本や韓国が強いのはやはりチームワークで勝るからでしょう。野球の世界大会で日本が二度も優勝できたのはチームワークの大切を教えてくれました。

 チーム指導にあたり、コスタリカと言えば比較的中南米の国のなかでも小柄な体格が多く、身体能力ではかなわないだろうと考えていました。ですから、短い期間ではありましたが、なんとかチームワークや規律の大切さを学んでもらいたいと、技術的なこと以上に心がけて選手たちに接してきました。練習はだらだらする、ミスをすれば言い訳をする、もしくは相手を責める、監督の話を聞かない、そういった選手がましてや技術で適わない相手に勝てるわけがありません。しかし、ひたむきに練習すればたとえ力が劣っても奇跡が起こる、そう信じて指導してきました。時には日本の高校野球のビデオを見せたり、練習のたびに目標を口にさせたり、時には自分も一緒がプレーや態度の手本を示したり、自分の指導の意図を理解してもらうためにいろいろな工夫をしました。 

 さて、大会にはメキシコ、エクアドル、キュラソー(オランダ領)、グアテマラなど計9ヶ国が参加してましたが、コスタリカは一勝もすることができませんでした。例えて言うなら、高校野球創部数年の弱小校が甲子園常連校ばかりの大会に参加した、それほどのレベルの違いがありました。選手には過酷だったと思います。悔しくて泣く選手もほとんどでした。でも、泣けるのは本気で向き合った証拠です。ある日、本大会優勝したチームに3回、0-21で大敗した試合後、保護者や他のコーチが「気にするな、よくやった、忘れよう」、そう声をかけるなかで、自分は下を向く選手たちにこう話しました。

 「自分はむしろとことん落ち込めって言いたい。今はまだこの大会がいい経験だったなんて簡単に思ってほしくない。また気持ちを切り替えて、今日のことは忘れようなんて思ってほしくない。この経験が君たちにとって忘れたくても忘れられない、それくらい苦い、苦しい思い出になってほしい。この悔しさ、流した涙を無駄にしてほしくない。この経験がこれからみんなが野球をもっともっと練習した、しなきゃ、そう思えるきっかけになってほしい、また同じ悔しさを味わないために。そして、いつか本当に心からいい経験だったって言える日がくるはずだから。」

 コスタリカの文化や気質の一つでもあると思いますが、何か悪いことがあったらすぐに忘れたり、慰めたりすることがあります。特に親は子供に対してそうです。本当に苦しいほどの努力をしてきての結果なら仕方ないでしょう。全力を尽くしたと受け入れることが大事だと思います。でも、この子たちはやはりできる限りのことをやった、他のどのチームよりも練習した、そう言えなかったと思います。でもやはり結果が出なかったのは監督として自分の力量が足らなかったからでしょう。自分にとっても悔しくも本当に素晴らしい経験をさせてもらいました。

4-7
ウォーミングアップ中 

4-16
コスタリカチーム

4-13
大会開催地のキュラソー島にて  

4-10
試合前にコスタリカ国歌斉唱

4-18
カリブの海と 

コスタリカ旋風、ワールドカップ

 最後に、ここ最近の世界的ビッグイベントに触れておきたいと思います。そう、ワールドカップです。コスタリカは前回も紹介したようにサッカー大人気の国です。スポーツニュースの大半はサッカーです。そんな国ですから、いつにもまして国中が盛り上がってました。コスタリカの予選グループは「死の組」と言われ、イギリス、イタリア、ウルグアイとすべて過去に優勝経験のある国で世界的にもコスタリカの勝利を予想する意見はほとんどありませんでした。

 が!なんと始まってみればコスタリカは奇跡の躍進を続けました!もう国中はパニックです(笑)。試合のあるたびに道は人で溢れ、車はクラクションをブーブー鳴らして祝福し、中には興奮した人々が公共物を壊したりなんやらと、400人ほどの逮捕者が出たとの話も聞きました。学校や企業なども試合の時間は試合観戦の許可を出し、誰も仕事をしている人はいませんでした。日本は残念ながら、早々と負けてしまいましたが、コスタリカのおかげで存分にワールドカップを楽しむことができました。

  いよいよ活動も折り返し地点を過ぎました。きっと残りの期間はさらに早く時間が過ぎていくと思います。自分がきっかけで野球が好きになった、野球がやりたい、そう言ってくれるこどもが一人でも増えてくれるよう一日一日を大切にまだまだ頑張っていきたいと思います!

ノスベーモスプロント(またお会いしましょう!)

4-19
大会の合間をぬってワールドカップ観戦!
4-20
ワールドカップに沸く国民

コスタリカ共和国平成25年度1次隊 職種:野球 加藤直樹 サントドミンゴ野球協会