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地球探検 フィジー共和国 後藤祥与隊員 4

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年7月7日更新

地球探検

フィジー便り

 今回はフィジー栄養士の活動内容を紹介します。病院内での活動の他、村や学校、職場の巡回に同行する機会もあり、とても良い刺激となっています。

病院の紹介と院内活動

 シンガトカ病院は、内科、理学療法科、小児科、産婦人科、眼科、歯科などを有する病床74床の、地区では唯一の国立病院です。フィジーは専門医が少ないため、ドクターは様々な症状の患者を診ています。
 管轄内の人口は52,730人で、病院から遠い村のために、さらに5か所の地域に分けて、ヘルスセンター(小さなクリニック)を設置して対応しています。今年から最寄にあったヘルスセンターが、病院敷地内に移動し、協力して仕事をしています。
 栄養士は現在、病院担当が1名、公衆栄養(地域)担当が1名います。     

 病院内の活動は主に下記の3つです。

(1)給食食材の発注や管理、調理室の物品管理
 同僚が忙しい時は代わりに給食食材の発注しています。患者への食事は無料提供(国民の税金使用)で、予算が限られているため、無駄を削減するように取り組み中です。

(2)調理員への衛生管理、治療食などのアドバイス
 日々の調理員とのコミュニケーションは、信頼関係を築くために欠かせません。病院給食の大切さについてより知識を深めてもらうため、先月からは月1で調理員へのワークショップを開始しました。                  

(3)入院患者さん、外来患者さんに対しての栄養指導
 主に糖尿病や高血圧症などの生活習慣病の患者に食事や栄養のアドバイスをしています。

 その他、低栄養児や妊婦の貧血、飲み込みに問題があるお年寄りなどにアドバイスします。言葉や文化は異なり、治療方法や栄養補助食品は、日本のように豊富ではありません。限られた状況でできることを探しながら活動しています。

妊婦への貧血予防の集団教室
妊婦への貧血予防の集団教室

外来患者へのフードモデルを使った集団教室
外来患者へのフードモデルを使った集団教室

院外活動

 病院外の活動は、主に公衆栄養担当の栄養士が行っています。広範囲に渡るため、人手不足の際は、病院担当の栄養士と協力して活動します。

(1)ヘルスセンターに小児定期健診に来る母親への栄養指導
 2歳までは、1ヶ月1回の体重、身長測定の他、定期的なワクチン接種や母親へのアドバイスをヘルスセンターで行っています。その際に離乳食指導や、下痢や食欲不振で低体重が続く小児の家族に、栄養や衛生に関するアドバイスを栄養士が行っています。                             

(2)学校巡回指導
 例年2~7月に、看護師、歯科医、栄養士などの職員でスクールチームが編成され、管轄内の学校50校以上を巡回して、児童と教師に健康診断をしています。栄養士は、身長、体重から栄養状態を判断して、問題のある生徒へのアドバイス、授業スタイルで食事や栄養に関する講話、学校内の食品販売店の調査(ジャンクフードの有無など)、校内菜園の確認をしています。保健室や給食制度がある日本と異なるため、学校巡回はとても貴重な機会となります。         

(3)村や職域への健康診断とアドバイス
 健康診断のリクエストやイベントがあると、村や職域に出張しています。シンガトカはリゾートが近く、学校巡回とほぼ同じ時期にリゾートホテルの従業員に対して行うことがあり、一番多忙な時期です。                                                      

 その他、女性グループやコミュニティヘルスプロモーターへの栄養や食事の講義を行ったりしています。日本での経験や勉強を生かして、役に立つ情報、技術を共有していければと思います。

児童への食事と栄養の講義の様子
児童への食事と栄養の講義の様子

身体測定を待つ間も楽しそうな児童たち
身体測定を待つ間も楽しそうな児童たち

後藤 祥与 平成26年度1次隊 栄養士 シンガトカ病院