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地球探検 パプアニューギニア独立国 泉田裕章隊員 5

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新

 地球探検

レポート5

5. 1年間の活動報告

 私は今、青年海外協力隊の理数科教師として、パプアニューギニアのマヌス州、州都ローレンガウのマヌス・セカンダリー・スクールに配属されています。

 2012年の1月にパプアニューギニアに赴任し、活動を始めてから早1年が経ちました。今回は、1年間の活動報告をしたいと思います。

1、学校での活動について

 ・数学の授業   

1年を通してGrade 9(日本の中学3年生にあたる)を担当しました。教科書が生徒の人数分無いので、現地の先生は教科書の内容を黒板いっぱいに書いて、生徒はそれを写す、というような板書中心の授業になりがちでした。私は逆に、問題をどう解くか、どう考えるか、などを生徒に問題提起したり、発表したり議論したり、教科書に頼らず授業を進めることを意識して、授業をしていました。 このような異なる授業のテクニックは、ティームティーチングという2人で授業を展開する指導法で共有しました。お互いの授業を見たり演習補助をすることによって、お互いの授業の良いところや改善するところを共有できるだけでなく、机間指導(個別指導)の効率もアップするので、積極的にティームティーチングで授業を行いました。

 ・情報の授業

1年を通してGrade 11(高校2年生にあたる学年)、特に、演習を中心に行うクラスを担当しました。8台のパソコンをみんなで共有し、文書作成、表計算やグラフ作成はもちろん、グループでプレゼンテーション発表会を行いました。 その発表会には情報担当の先生以外にも見に来てもらい、それぞれのグループに評価やコメントをしてもらいました。その発表会後、他の教科でもプレゼンテーションをしたい、という声も上がり、生徒だけでなく現地の先生にもよい刺激となりました。 来年度は、1台のサーバー機を立て、安価なモニターを購入して、生徒ひとりひとり演習できるような環境を作っていきたいと考えています。

2、学校外での活動について

 学校が終わった後に現地の先生とユニセンター(Uni-Center)と言われる、塾・予備校のような施設で、週2回、演習・授業補助を行いました。そこで勉強しているのは、大学や各種専門学校に進学したいGrade 12を卒業した生徒や、お母さんやお父さんの年代の人もいました。ユニセンターでの試験によって、大学や専門学校に進学できるので、みんな真剣に授業や演習を取り組んでいました。 この施設は演習中心なので、ティームティーチング指導法がとても効果的でした。試験をパスした生徒が、「○○学校に行くことになったよ」と報告してくれたときはとても嬉しく思いました。

3、その他、生活について

  ここパプアニューギニア、マヌス島にも、蚊を媒体とする感染症「マラリア」と「デング熱」があります。しかし最近、「チクングニア熱」といわれるマラリアやデング熱と症状が似ている、蚊を媒体とする感染症が流行しています。日々、蚊に刺されないように注意していますが、年明けに「チクングニア熱」になりました。歩けないほどの関節痛と40℃を超える発熱。意識がもうろうとする中、現地の友人に病院に連れて行ってもらい、そこでお尻にされた注射がとっても痛くて、「あーーーっ!!」と大声で叫んだことだけは、はっきり覚えています。 弱りきった私に、マヌス島にいる他のJICAボランティアだけでなく、近所の先生や生徒、スーパーの店長など、多くの人の助けや励ましによって無事に回復しました。これほど、現地の人が心強いと感じたことはありませんでした。

 4、今後の活動について

 数学では、ティームティーチング指導法の継続と、その効果的な活用や計画について現地の先生と一緒に考えていこうと思っています。それから、毎年10月~11月に行われる全国試験(進級・進学に関わる試験)の過去問題集を現地の先生と一緒に作り、放課後に試験対策授業を行いたいと考えています。 情報の授業では、生徒ひとりひとりがパソコンの演習を行える環境作りをして、プレゼンテーション発表会や、今後のための演習用のテキストも作っていこうと考えています。

 一人のボランティアによって、今まであった学校のシステムや現地の先生の意識を急に変えることは難しいと、1年経って感じました。しかし、変えたいことばかりではなく、自分も勉強になることもいっぱいあります。「そのやり方いいね」、「こっちの方が簡単かも」など、お互いのちょっとしたアイディアやアドバイスで少しずづ変わってきてることもあります。

 何がいいやり方で、何がダメな考えだ、と考えるのではなく、相手がどう思ってどう動いているのか、もっと話してお互いを理解することが大切ですね。当たり前のようで、なかなか気づくことができませんでした。マヌス島にいても、日本にいても、これは変わらないことですね。

中間発表 写真
P首都(ポートモレスビー)での中間発表会にて。

小学校の子ども達
マヌス・セカンダリー・スクールの向かいにある、ポンブルー小学校の子どもたち。 ちょっと緊張気味でしたが、みんなニコニコ。

男子生徒 写真
マヌス・セカンダリー・スクールの男子生徒。 カメラを向けると「先生、1枚撮って~」と、このスマイル。

鍾乳洞 写真
マヌス島のJICAボランティア3名、マヌス島にある鍾乳洞(ロニュー・ケーブ)にて。 あぶくま鍾乳洞を思い出しました。

友達たちと 写真
パプア人以外にもたくさん友達ができました。 左から、ミャンマー、ニュージーランド、アメリカ、フィリピン、そして日本。

パプアニューギニア独立国 泉田裕章 平成23年度3次隊 職種:理数科教師 配属先:マヌス・セカンダリー・スクール