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地球探検 パラグアイ共和国 廣瀬靖夫隊員 14

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新

 地球探検

パラグアイ通信(14)

   この4月のはじめに、妻と2人でいる時、パラグアイ人の若い女性に「子供ができた、実は妊娠して3ヶ月になる。」といわれてびっくりしました。何がびっくりしたかといえば、本人は独身なのです。「え!結婚してないのに!」「これから結婚するの?」と聞いたら「ノ-」とのこと。シングルマザーをやるというのです。「その男とよく話しあったが、子供はほしくない」と言うそうです。私が、大学の職場に来たとき、紹介された秘書さんの中にもシングルマザーがいて、「パラグアイではごく普通なことです」と言われ驚いて、「子供の面倒は誰が見るの?」ときいたら、「おばあさんが見てくれる」とのこと。中南米の大家族制度がここで役に立っているのだなと感じたものです。

   ところで、この4月13日にルゴ大統領に隠し子がいることが発覚しました。彼はカトリック西教の司祭だったので妻はもてないことになっていましたが、現在2歳になる男の子は司祭時代に生まれていたわけです(現在は大統領になったので聖職から離れている)。その子の母親は、ルゴ大統領に自分の子であることを認知するように裁判所に訴えているのです(写真1)。そして、その一週間後の4月20日に、他のもう一人の女性が、私も6歳(2002年生まれ)になるルゴ大統領の息子を育てていると訴えたのです(これも司祭時代の子供です)(写真2)。

   日本では大スキャンダルで、首相の首が飛んだでしょうが、ここパラグアイでは比較的冷静です。ルゴは大統領を辞めることはないでしょうとの一般的な見方です。パラグアイという国自体がこういうことに寛容なのでしょう。女性から、「妾の2・3人は当たり前」との発言も聞こえます。あの3国戦争で被った痛手(成人男性がほとんどいなくなった)が尾を引いているのかもしれません。

   これらに関する新聞記事を拾ってみると、パラグアイには2008年の1年間で約3,000人のシングルマザーが子供の「認知」を求めて裁判しており、今回の大統領のケ-スもそのひとつとして裁判がおこなわれるということです。中南米にはシングルマザーが多く、JICA’s Worldと言う雑誌(2月号)の中に、メキシコでのシングルマザーが25%にもなり社会問題化しているとありましたが、ここパラグアイでは35%にもなっているとか(実際はもっと多いという人もいる)。

   大統領は聖職者だったゆえに認知できなかった面があるでしょうが、一方で自分達の組織で決めたことを守れない聖職者も情けない話ですね。 (ルゴの子供は、筆を置いた時点で3人目が名乗り出ています。全部で6人とも?)

パラグアイABC新聞 写真1

パラグアイABC新聞の漫画風刺(ギリシャ神話の正義の女神テミスに認知の可否を迫られるルゴ、後ろに子供がいる。カトリック教自身も裁かれているのでは?)

新聞の第一面 写真2

もう一人の息子がいるとスクープされた、 4月20日付けウルチマ・オラという新聞の第一面

廣瀬 靖夫 (シニアボランティア 環境工学