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酸性雨対策

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年8月27日更新

■ 酸性雨とは

 酸性雨とは、石炭や石油などの化石燃料の燃焼などに伴って、大気中に放出された硫黄酸化物や窒素酸化物が、大気中の化学反応により硫酸や硝酸となり、それが雨滴(うてき)に取り込まれて強い酸性を示す雨として地上に降下する現象をいいます。 一般的には、pHが5.6以下の雨が酸性雨とされています。

酸性雨発生のしくみ

             図 酸性雨発生のしくみ

■ 酸性雨による影響

 酸性雨は、湖沼や河川のpHの低下により魚類の生息に影響を与えるほか、土壌の酸性化や土壌中の重金属の溶出により樹木の成長を阻害し、または枯死させるなど、生態系に対して大きな影響を与えます。また、大理石や金属などで造られているビル、住宅、橋などの建造物や銅像などの文化財を腐食させるなど、環境に様々な影響をもたらします。

 ノルウェーでは、湖沼の酸性化により1,300km2の地域で魚がいなくなり、スウェーデンでは1万の湖沼が酸性化し、そのうちの9,000の湖沼で魚類の生息に悪影響が出ており、カナダでは4,000の湖沼が死の湖と化しています。また、森林への影響はドイツのシュバルツバルト(黒い森)などヨーロッパや北米に多く発生しています。

 日本でも欧米と同じような酸性雨が降っていることが分かっていますが、酸性雨による陸水、土壌、生態系への影響の明確な兆候は現在のところ見られていません。しかし、現状程度の酸性雨が今後も降り続けば、将来、酸性雨による影響が現れる可能性があり、一旦生態系への被害が発生すれば、その回復は非常に困難であるといわれています。

■ 福島県の状況

 県内では、現在、pH4.5~5.0程度の雨が観測されています。これは、全国的に観測されている結果とほぼ同程度の酸性度となっています。

 平成26年度の調査結果 [PDFファイル/312KB]

 過去の調査結果(環境等測定調査結果 全体資料)    

■ 対策

 酸性雨問題に対する世界的な取組みとしては、ヨーロッパでは「長距離越境大気汚染条約」(1979年)が締結され、この条約のもとに、酸性雨の原因物質である硫黄酸化物と窒素酸化物を削減するための議定書が締結されています。また、北米では、アメリカとカナダの間で酸性雨被害の拡大を防止するための二国間(にこくかん)協定が1991年に調印されています。

 日本では、環境庁が昭和58年度から全国規模の総合的な調査研究を実施しています。

 また、近年、中国や東南アジア諸国の工業化が進み、酸性雨の原因となる硫黄酸化物や窒素酸化物の排出量が大幅に増加しており、日本への影響が懸念されています。このため、これらの国々に対する環境保全技術の支援とともに、東アジア酸性雨モニタリングネットワークなどの広域にわたる監視体制の整備が進められています。

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