その女子生徒は、先生を信頼し思い切って事実をうちあけたと思います。まずは、子どもの気持ちを十分聞くことが大事です。子どもは虐待の事実を訴えても信じてもらえなかったり、子ども自身の不注意や気のゆるみを批判されたりすることでさらに深い心の傷を残すこともありますので、援助者はセカンドアビューズ(二度目の虐待)をもたらすことのないように十分配慮する必要があります。家族への対応は、家族が事実を否定したり、逆に子どもを責めたりすることもあるため、慎重に考えなければなりません。 子どもは安全な場所に保護することが必要です。親族や周囲に子どもを守れる人がいない場合は、児童相談所に一時保護することが考えられます。 一般に性的虐待を行う父親は、攻撃的支配的な性格の人が多く、学校にも文句をいってくることが予想されます。そのときは「子どもの話を聞いて心配なので児童相談所に知らせました。今後のことは、児童相談所の判断に従いますので、そちらにきいてください。」と答えてください。児童相談所では子どもと保護者の両方の話を聞いて今後について検討します。 性的虐待は、他の虐待に比べて最も現れにくいため、発見までの期間が長く、子どもに家出などの問題行動があって、学校の先生が深く関わりをもつようになって初めて発見されることが多いようです。思春期の子どもの場合は、妊娠することもあるので注意が必要です。また、これは、他の虐待にも言えることですが、特に事実確認とプライバシーの保護に配慮することが必要です。 |