ペットの災害対策
日頃からの備え
災害は突然起こります。そのため、防災は日頃からの備えが重要です。いざという時に人とペットが安全に避難できるよう、できることから少しずつ準備を進めておきましょう。
1.住まいや飼養場所の防災対策
災害時にペットを守れるのは飼い主さんだけです。家具が倒れないように固定したり、ケージの転倒対策をしたりすることは、地震による被害を減らすとともに、ペットの安全を守ることに繋がります。
□家具やケージの固定、転倒防止、落下防止対策はされていますか?
□ケージなどペットの避難場所(隠れ場所)は確保されていますか?
□手の届くところに、懐中電灯やスリッパ、ホイッスルを備えておきましょう。
【屋外で飼養している場合】
□飼養場所は安全ですか?(外塀やガラス窓、倒れやすい建物の近くを避けましょう)
□首輪や鎖が外れたり切れたりしませんか?ケージや囲いに隙間はないですか?
【猫は完全に屋内で飼いましょう】
猫を屋外で飼養していたり、屋外で自由に遊ばせていると、災害時に戻ってこず、一緒に避難できない可能性が高まります。また、猫の放し飼いは近所の家に糞尿をする等のトラブルになります。猫は室内で飼いましょう。
2.ペットのしつけと健康管理
避難所には動物が苦手な方や動物アレルギーの方もいらっしゃいます。周囲とのトラブルを防ぐため、普段からしつけや健康管理を行いましょう。
【犬の場合】
□「待て」「おいで」「お座り」「伏せ」などの基本的なしつけを行う
□ケージなどの中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておく
□不必要に吠えないしつけを行う
□人や他の動物を怖がったり攻撃的になったりしないようにしておく
□決められた場所で排泄できるようにする
□狂犬病予防注射などの各種ワクチン接種を行う
□犬フィラリア症などの寄生虫の予防、駆除を行う
□不妊・去勢手術を行う
【猫の場合】
□ケージなどの中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておく
□人や他の動物を怖がらないようにしておく
□決められた場所で排泄できるようにする
□各種ワクチン接種を行う
□寄生虫の予防、駆除を行う
□不妊・去勢手術を行う
3.ペットが行方不明にならないための対策(迷子札、マイクロチップなど)
災害時は不測の事態が起こり、ペットが迷子になってしまう可能性があります。保護された際にスムーズに飼い主の元へ戻れるよう、普段から対策を行いましょう。
【犬の場合】
□首輪と迷子札
□鑑札、狂犬病予防注射済票
…犬は狂犬病予防法により、鑑札及び注射済票の装着が義務付けられています。
□マイクロチップ
…首輪が外れてしまった時のために、マイクロチップを装着することで二重の対策になります。
【猫の場合】
□首輪と迷子札
□マイクロチップ
…首輪が外れてしまった時のために、マイクロチップを装着することで二重の対策になります。
特に猫は、安全のため外れやすい首輪を使用することが望ましいため、首輪や迷子札だけでなく、
マイクロチップも装着することをおすすめします。
4.ペット用の避難用品や備蓄品の確保
大規模災害の場合、災害が発生してから支援物資が届くまでには1週間程度かかると言われています。
そのため、最低でも5日分、できれば7日分を目安にペットの防災用品を備蓄しておきましょう。
避難の時に全て持ち出せるとは限らないため、優先順位を付けます。
【優先順位1位(動物の健康や命に関わるもの)】
・フード、水
・ケージやキャリーバッグ
・薬、療法食(必要に応じて)
・予備の首輪やリード(伸びないもの)
・トイレ用品(ペットシーツ、猫の場合は使い慣れたトイレの砂や使用済み猫砂の一部)
・食器
※過去の災害では、発災当初は特に衛生用品(ペットシーツ、オムツ、ペット用ウェットティッシュ、消臭スプレー)の需要が多かった一方、それらを速やかに手配することが困難な事例が見られました。
【優先順位2位(情報)】
・飼い主の連絡先と、ペットに関する飼い主以外の緊急連絡先・預け先などの情報
・ペットの写真(印刷物とともに携帯電話などに画像を保存することも有効)
・ワクチン接種状況、既往症、投薬中の薬情報、検査結果、健康状態、かかりつけの動物病院などの情報
【優先順位3位(ペット用品)】
・タオル、ブラシ
・ウェットタオルや清浄綿(目や耳の掃除など多用途に利用可能)
・ビニール袋(排泄物の処理など他用途に利用可能)
・お気に入りのおもちゃなど匂いがついた用品
・洗濯ネット(猫の場合は屋外診療・保護の際に有用)など
・ガムテープやマジック(ケージの補修、段ボールを用いたハウス作り、動物情報の掲示、など多用途に使用可能)
5.情報収集と避難訓練
災害発生時に備え、避難所までの移動経路を確認しておきましょう。
道路の通行止めなども想定し、複数のパターンを考えておくと安心です。
ペットの受入れが可能な地域の避難所を調べ、避難所にペットを連れていく際の注意事項も、あらかじめ確認しておきましょう。
避難訓練に参加することで、ペットとの避難における課題を発見し、必要な備えを見直すきっかけになります。
【チェックポイント】
□ハザードマップでの危険個所の把握
□ペットの受入が可能な指定避難所の把握
□指定緊急避難場所、指定避難所までの所要時間の確認、ガラスの破損や看板落下などの危険な場所の把握
□通行できないときの迂回路の確認
□指定避難所でのペットの反応や行動の把握(慣れない場所では反応などが変化)
□指定避難所での動物が苦手な人への配慮
□指定避難所での飼養環境の確認
□指定避難所が被災している場合の二次避難先の想定
□災害の種類(津波など)により避難所が危険な地域にある場合の二次避難先の想定
□事情により避難所(建物内外とも)へのペットの同行が不可能になった場合の避難先や預け先の想定
6.家族や地域住民との連携
家族と避難時の連絡方法などについて、あらかじめ話し合いをしましょう。
また、災害時には、自助に加え、飼い主同士や地域で支え合う「共助」の備えも重要です。
普段から地域の飼い主の方と良好な関係を築いておくことも、災害への備えに繋がります。
【家族との話し合い】
□連絡方法や集合場所
□ペットの避難方法や役割分担
□留守中の対処方法と協力体制(ペットだけが自宅にいた場合にどうするか)
□緊急時のペットの預け先の確保
災害が発生したら
1.飼い主の身の安全の確保・避難
災害が発生したら、まずは自分自身の身の安全を確保しましょう。飼い主が無事でいてこそ、その後のペットの保護や避難に繋がります。
【避難時の注意点】
□首輪が緩んでいないか、迷子札等を装着しているかを確認する。
□(特に猫の場合)キャリーバッグの扉が開いてペットが逸走しないよう、ガムテープなどで固定すると良い
2.避難中のペットの飼養環境の確保
災害時はペットと一緒に避難することが原則です。ただし、自宅の安全が確保できる場合はペットは自宅で飼育したり、車中避難や親戚・知人宅へ預ける等の選択肢もあります。
【避難所での飼養】
□各避難所が定めたルールに従い、飼い主が責任を持って世話をする。
□飼養環境の維持管理には、飼い主同士が助け合い、協力することが必要。
【自宅で飼育する】
□支援物資や情報は、必要に応じ指定避難所などに取りに行く。(自宅の安全確認を確実に行う)
【車の中で飼養する】
□支援物資や情報は、必要に応じて指定避難所などに取りに行く。
□ ペットだけを車中に残すときは、車内の温度に常に注意し、十分な飲み水を用意しておく。
□ 長時間、車を離れる場合には、ペットを安全な飼養場所に移動させる。
(安全の確認とエコノミークラス症候群には十分注意)
【知人や施設などに預ける】
□ 被害がおよぶ可能性が低い遠方の知人に預けることも検討しておく
□ 施設に預ける場合は、条件や期間、費用などを確認し、後でトラブルが生じないよう、覚書などを取り交わすようにする
スターターキットを活用したペットの受入について
避難所におけるペットの受入れについては、動物が苦手な方やアレルギーを持つ方への配慮、衛生管理、鳴き声や臭気への対応など、様々な課題が存在します。また、市町村職員や避難所運営者は、限られた人員の中で多岐にわたる災害対応業務に従事しており、ペットに関する対応まで十分に手が回らないのが実情です。そのため、現場の負担を軽減しつつ円滑な受入れを実現するためには、飼い主の協力はもちろん、あらかじめ飼育ルールや役割分担を明確にした「仕組み」を整備しておくことが不可欠です。
その一環として、福島県では、令和7年度に県内全市町村に「スターターキット」を1セットずつ配布するとともに、スターターキットを活用した受入方法について説明を行いました。
スターターキットとは?
・ スターターキットとは、避難所運営者ではなく、ペットを連れて避難してきた飼い主同士が協力し合い、速やかにペットの避難スペースを設置・運営できるように、あらかじめミッションカード(指示書)と物資を取りまとめたものです。
・ NPO法人ANAICE(アナイス)平井潤子理事長が提案し、避難所運営者に負担をかけずに飼い主自身が当事者意識を持って動き始める仕組みとして、全国の自治体で導入が進められています。
スターターキットには何が入っているの?
(1)ミッションカード
イラストなどとともに、行うべき内容が「分かりやすく」「簡潔」に書いてあるカード
★ ミッションカード作成例(作成:福島県食品生活衛生課) [PDFファイル/1.27MB]
(2) 物資
清掃用具、ペットスペース設営用具、受付用の筆記用具といった、ペットスペースを開設・運営するために必要な物資
※ ペットのエサやケージは含みません。
(3)その他関係書類
関係様式、避難所運営マニュアルなど
具体的には何をするの?
災害発生時、避難所に着いた飼い主は、避難所に配備してあるスターターキットを開けます。
↓
中に入っている「ミッションカード」の指示に従い、必要な物資を使いながら、ペットの飼育スペースを作ったり、飼育スペースの維持管理などをします。
【ミッションカードの指示(例)】
※ 下記は一例です。実際の内容は、各避難所の状況や運営方法に応じて調整されるため、異なる場合があります。
・ミッション1:作業をする間、ペットを一時的に置いておくペットの仮置き場を決めましょう。
・ミッション2:ペットの飼育スペースをレイアウトしましょう。
・ミッション3:ペット連れ避難者の受付を設置しましょう。
・ミッション4:ペットの飼育場所を案内する看板を掲示しましょう。
・ミッション5:ペット連れ避難者の受付を開始しましょう。
・ミッション6:ペット関連掲示板を設置しましょう。
・ミッション7:落ち着いたら飼い主が集まる機会を持ち、これからのペット飼育スペースの運営ルールなどを確認しましょう
Q&A
市町村・避難所運営者向け
Q スターターキットを導入するための条件はある?
A スターターキットを導入するために、必要な条件は以下のとおりです。
(1) 避難所でのペット受入が決まっていること
(2) 避難所内のペット飼育場所が決まっていること
(3) 避難所内の飼育ルールが決まっていること
…ミッションカードを作りながら決めることもできます
(4) 避難所ごとのオーダーメイドであること
…避難所のレイアウト、敷地の広さ、設備、ペットの飼育ルールがそれぞれ異なるため、
避難所ごとにミッションカードの内容や、物資について検討します。
★最初から完璧を目指す必要はありません。
避難訓練時にスターターキットを用いた設営訓練を行い、課題を発見しながら少しずつカスタムしていくことで、
より実践的で使いやすい受け入れ体制を整備することができます。
★ 避難訓練では、ペットがいなくてもスターターキットの設営や運営手順を確認できるため、
飼い主の方のみの参加でも効果があります。
Q ミッションカードを作る時の注意点は?
A 「マニュアルを確認する」「担当者に聞く」といった作業や、難しい判断が必要な指示は避け、誰でもすぐに実行できる内容にすることが大切です。
イラストや写真などを使いながら、シンプルで分かりやすいミッションを設定しましょう。
飼い主向け
Q スターターキットがあれば、飼い主個人の備えは不要?
A 飼い主個人の備えは必要です。
スターターキットは避難所でのペットの受入環境を整えるためのものであり、ペット用品は含まれません。
フードやトイレ用品、キャリーケースなど、ペットの世話に必要なものは各家庭で用意しておきましょう。
Q スターターキットはどこにあるの?
A 県内の一部の避難所で導入が進められており、今後さらに広がることが期待されています。
お住まいの地域の避難所にスターターキットが配備された際は、ぜひ飼い主同士で協力し、ペットの受入れ
環境づくりに御参加ください。
(配備状況については、お住まいの市町村へお問い合わせください。)
(市町村・避難所運営者向け)マニュアル作成例・参考書・参考様式集
県では、災害発生時の避難所におけるペット受け入れ体制の整備等が円滑に進むよう、市町村や避難所運営者の方向けに下記資料を作成しました。
避難所運営体制の検討やマニュアル作成の参考として、御活用いただければ幸いです。

(1)(市町村向け)ペット連れ避難者受入マニュアル例 [Wordファイル/50KB]
…市町村が災害時にペット連れ避難者を受け入れるための手順やルールをまとめたマニュアル例です。
各市町村において、地域の実情や避難所の状況等を踏まえ、必要な項目の追加や内容の修正を行い、
より実践的なマニュアルとして整備されることを想定しています。
(2)ペット連れ避難者受入のための参考書 [PDFファイル/3.36MB]
…飼育スペースの選定や受入時の留意点などについてまとめた参考書です。
(3)参考様式集 [Excelファイル/352KB]
… 避難所運営時に使用する参考様式をまとめたものです。
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