子宮頸がん予防ワクチンについて(ヒトパピローマウイルス感染症)
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)について
子宮頸(けい)がん予防ワクチンは、接種することでヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することを防ぎ、子宮頸がんを予防できると考えられています。HPVワクチンは、予防接種法に基づく「定期接種」のワクチンの一つであり、お住まいの市町村で受ける場合、公費で接種が受けられます。
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の積極的な勧奨の再開について
平成25年4月に子宮頸がんワクチンが定期接種に位置づけられましたが、同年6月にHPVワクチン接種後に、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が見られた事例があり、積極的な勧奨が差し控えとなりました。
令和3年11月の専門家会議において、HPVワクチンの安全性に特段の懸念が認められないことが確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められました。また、地域の医療体制や支援体制、ワクチンについての情報提供などを充実させていくことなどを進め、積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当であると判断されました。
このような専門家会議の意見を踏まえ、令和3年11月26日に差し控えの状態を終了させることとなりました。
基本的に令和4年4月より積極的な接種勧奨が再開され、具体的には、体制の整った市町村から順次お知らせが発送されることになります。
子宮頸がんについて
子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因と考えられています。
このウイルスは、女性の多くが“一生に一度は感染する”をいわれるウイルスです。
感染しても、ほとんどの人は自然に消えますが、一部の人でがんになってしまうことがあります。
子宮頸がんは、若い世代の女性のがんの中で多くを占めるがんです。
日本では毎年約1.1万人の女性が子宮頸がんになり、毎年約2,900人の女性が亡くなっています。
子宮頸がんの予防について
子宮頸がんの予防法としては、HPVワクチンの接種と子宮頸がん検診の受診の2つです。
HPVワクチンを接種することで、がんになる手前の状態(前がん状態)が減るとともに、がんそのものを予防する効果があることも分かってきています。
また、子宮頸がん検診を定期的に受けることで、がんになる課程の異常やごく早期のがんを発見し、医師と相談しながら、経過観察したり、負担の少ない治療につなげたりすることができます。
HPVワクチンを接種していても、していなくても、20歳になったら2年に1回、必ず子宮頸がん検診を受けてください。
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の定期接種の対象者について
○定期接種の対象者
HPVワクチンの定期接種の対象者は、小学校6年から高校1年生相当の女子です。
また、積極的勧奨の差し控えが行われていた時期である、平成9年度生まれから平成17年度生まれの女子も対象になります。平成9年度生まれから平成17年度生まれの女子は、令和6年度末までの3年間となっています。
○定期接種の費用
定期接種として接種する場合は、公費でHPVワクチンを受けることができます。
公費の補助がない場合の接種費用は、3回接種で約4~5万円です。
○接種回数
半年から1年の間に、3回接種を受けます。
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の効果について
HPVの中には子宮頸がんをおこしやすい種類のものがあります。
HPVワクチンは、このうち一部の感染を防ぐことができます。
子宮頸がんの原因の50~70%を防ぎます。
HPVワクチンの接種を1万人が受けると、受けなければ子宮頸がんになっていた約70人ががんにならなくてすみ、約20人の命が助かると、と試算されています。
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)のリスクについて
HPVワクチン接種後には、多くの方に、接種部位の痛みや腫れ、赤みなどが起こることがあります。まれですが、重い症状(アナフィラキシー(呼吸困難やじんましん等)、神経系の症状(手足の力が入りにくい)など)が起こることがあります。
因果関係があるかどうかわからないものや接種後短期間で回復した症状をふくめて、HPVワクチン接種後に生じた症状として報告があったのは、接種1万人あたり、約10人です。このうち、報告した医師や企業が重篤と判断した人は、接種1万人あたり、約6人です。
子宮頸がん予防ワクチン接種の注意点について
ワクチンを受けた後30分ほどは、座って様子をみてください。
また、ワクチンを受けた日は、激しい運動は控えましょう。
子宮頸がん予防ワクチン接種後に症状が生じた場合について
以下のような症状が出たら、周りの大人に相談したり、医療機関にご相談ください。
○多くの人に起こる症状
・注射した部位の痛み、腫れ、赤み
・疲れた感じ、頭痛、腹痛、筋肉や関節の痛み
○その他、起こるかもしれない体の変化、症状
・注射した部分のかゆみ、出血、不快感
・発熱、めまい
・発しん、じんましん など
○まれですが、起こるかもしれない重い症状
・呼吸困難、じんましんなどを主症状とする重いアレルギー(アナフィラキシー)
・手足の力が入りにくいなどの症状(ギラン・バレー症候群)
・頭痛、おう吐、意識の低下などの症状(急性散在性脳脊髄炎(ADEM))
※相談窓口:県感染症対策課、各保健所、教育庁健康教育課(詳しくはこちら)
※医療機関:接種を行った医師、かかりつけ医などにご相談ください。
※福島県の協力医療機関:公立大学法人福島県立医科大学附属病院(詳しくはこちら)
(接種を行った医師やかかりつけ医などからの紹介になります)
予防接種健康被害救済制度について
極めてまれですが、予防接種を受けた方に重い健康被害を生じる場合があります。
HPVワクチンに限らず、日本で承認されているすべてのワクチンについて、ワクチン接種によって、医療機関での治療が必要になったり、生活に支障が出るような障がいが残るなどの健康被害が生じた場合は、法律に基づく救済(医療費、障害年金等の給付)が受けられます。
予防接種による健康被害についてのご相談は、お住まいの市町村の予防接種担当にお問い合わせください。