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自殺で残された家族と友人のケアとサポートの手引き(11)

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新
目次(10)(11)(12)

何が役に立ちますか?

あなたのことを話すあなたのことを心配し理解してくれそうな人に、あなたの悲嘆の話しをすると、多くのものが得られます。自分の人生をこんなふうに混乱させたできごとの詳細を話すのを自分で聞いているうちに、ショックの影響がほんの少し消え、強い感情が少し弱められます。あなたの体が化学的に変化し、まるで癒しの油が傷に注がれ、さらによい変化をもたらすようです。この変化は穏やかで自然なもので、離別した人は、とてつもなく心に傷を負わせたつらい体験に徐々に慣れていきます。

 自分のことを繰り返し話すうちに、過去の故人との親しい関係が、新しい内的な関係へと変化していくでしょう。すなわち、目で見、聞き、触ることができた関係から、心で感じる関係へと変化します。この新しい関係では、あなたの心のスクリーンを横切る思い出が「見ること」「聞くこと」なのです。手放したりさようならを言う必要はないのです。むしろ、故人との新しい形のつながりを学び、新しいつながりによって、変化した世界での新しい「自分」を形作ることができるようになるでしょう。

 自分のことを話す機会が得られるたびに、強い感情を体験し表現するでしょう。残念ながら周りの人は、感情を刺激するのではないかという恐れから、長期的には役に立つと思われる質問を控えてしまうかもしれません。混乱をもたらすのは話しをすることではなく、話そのもののほうです-つまり大切な人が亡くなったという事実です。何度も同じ話しをすることになるかもしれませんが、心から関心を持って聴いてくれる人がいれば、話すたびに、前よりもほんの少し細かく話せたり、異なった視点から話すことができたりします。

話しを繰り返しても、あなたのトラウマとなっている側面が、つらいままで、心の最前面を占領し続けるときは、トラウマカウンセリングに習熟した人話しをするとよいでしょう。普通、熟練した遺族カウンセラーが助けになります。

宗教は助けになりますか?

強い宗教的信念はどのような場合も助けになるものであり、あなたの経験、痛みを理解し意味をを見出すのに役立つならば、その他の人生哲学についての強い信念の場合も同様です。役に立つのは信念の強さであり、不確実感は危機において苦痛をもたらすようです。

多くの人にとって、信念よりも大切なのは、心からのサポートや心遣いを示してくれる仲間です。同じ信念を持つ場合、結びつきがより深められるという側面があるでしょう。気持ちを共有することはどんな障壁も乗り越えます。

あなたが信仰を持つ持たないに関わらず、身体的・感情的なニーズと同じく、霊的なニーズがあります。霊性は人によって異なる意味を持ちますが、「内的自己」「本質」「存在意義」といった定義が含まれることが多いものです。自分が自分自身と、そしてすべての生命とつながる接点だという人もいます。神とつながる接点と言う人もいます。この接点は知的(思考)側面と感情的(気持ち)側面との両面を持ち、「霊」と呼ぶ人もいれば、「生命力」という人もいれば、知恵と存在の体験と言う人もいます。この「自己」という内的な聖域をどのように呼ぼうと、私たちには「内なる声」にじっと耳を済ませる時間が必要です。祈りや瞑想や音楽が役立つという人もいれば、エネルギーの高い人は、ウォーキング、ランニング、園芸、水泳などの活動を通して「自分自身とつながる」、そして他人とつながるのが容易だと感じるでしょう。

自分を助ける実践的な方法は何ですか?

最初は、息をしたり、朝ベッドから出たり、日常生活を機会的に送るだけでも、全部のエネルギーを傾けなければならないように感じるかもしれません。あなたは、日常の動作をこなし、特に誰かのケアをしなければならない場合は、「まるで」それに没頭しときには楽しんでいるようにさえ振舞うかもしれませんが、心の中は別な星に置かれているように感じます。他人の「正常さ」を見るにつけ、自分が自分の人生を遠くから眺めているような感覚の「異常さ」がクローズアップされるでしょう。

周りの人があなたの痛みを和らげて、安心しようと(意識的であれ無意識的であれ)、アドバイスや決まり文句やありきたりの言葉を浴びせかけるかもしれません。あなたの家族が自殺したということで、自分の家族にも同じことが起こるのではないかという恐怖を感じるかもしれません;また、特定の状況におかれれば誰でもそうなるように、自分たち自身も自殺の可能性があるということをいままで考えたことがなかったので、不安に感じるかもしれません。 亡くなった人の代わりになる人を見つけたらとか、引っ越したらとか、新しい仕事を見つけたらとか、旅行に行ったら、とか――「あなたの心の痛みを取り除く」可能性があることはなんでもアドバイスされるでしょう。あなたにとって適切と思われること以外は無視し、1周忌が過ぎるまでは、可能な限り、あなたの生活の重要な決断は避けるようにしましょう。このように気持ちが特に弱っているときは、ほとんどの場合、長期的に自分にプラスになるような決断はできないものです。

しかし、乗り越えるためにの手段として考えてもよいような簡単な事柄があるので、例を挙げておきます:

 時間をすごす~一人で過ごす、考える、思い出にふける、祈る、瞑想する、悼む

 話す~あなたの考えや気持ちを理解して聞いてくれる信頼できる「人」に

 作る~資源のリスト、事態が手におえないときに会う友人の電話番号と場所

 見つける~気晴らし、痛みから離れる時間を作るため

 集める~情報、自殺を乗り越えることについて、あるいは心の準備ができたときの生活設計のためのわかりやすい本

 使う~体の涵養、マッサージ、温泉、早寝、少し歩いて新鮮な空気を吸う 保つ宝物、思い出箱、宝石、写真アルバム

 受ける~健康診断

 食べる~健康食、少量ずつの栄養を頻繁に摂る、消化しやすい食べ物・・運動過剰なアドレナリンを消費するため

 会う~事態がとても手に負えなくなったときに熟練した遺族カウンセラーに会う

 優先~毎日の仕事、最初はどうしても必要なことだけをする

 使う~留守番電話、話しをする相手を選ぶ

 使う~集中して運転することに不安があるときに公共交通機関を使う、あるいは誰かに運転してもらう

 歩く~新鮮な空気を十分に吸う

 好きなことをする~人生にはまだなにかしら楽しいことがあるということを思い出させるために、ときどき、

 書く~自分の話しをしたり気持ちを表現したいときに親戚や友人に示す

 つける~自分の考えや気持ちを日記に付ける、特に眠れないときに

 試す~一歩前進したら、気づく、認める、なにか褒美をあげる