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精神障害者保健福祉手帳等級判断基準(2)留意事項

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新

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共通自立支援医療(精神通院)精神障害者保健福祉手帳
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手帳診断書記入の留意事項

ICD-10コード

通院医療費Q&A

手帳等級判定基準 (1)概要 (2)留意事項 (3)説明

診断書様式(自立支援医療)診断書様式(精神障害者保健福祉手帳)

手帳等級判定基準(2)精神障害者保健福祉手帳の障害等級判定基準の運用に当たっての留意事項

                                          (平成7年9月12日 健医精発第四六号)

1 総合判定

 精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定は、精神疾患の種類によって、また精神疾患(機能障害)の状態によって、精神疾患(機能障害)の状態と能力障害(活動制限)の状態の関係は必ずしも同じではないため、一律に論じることはできないが、精神疾患の存在と精神疾患(機能障害)の状態の確認、能力障害(活動制限)の状態の確認の上で、精神障害の程度を総合的に判定して行う。

2 精神疾患(機能障害)の状態の判定について

(1) 精神疾患の原因は多種であり、かつ、その症状は、同一原因であっても多様である。したがって、精神疾患(機能障害)の状態の判定に当たっては現症及び予後の判定を第1とし、次に原因及び経過を考慮する。

(2) 精神疾患(機能障害)の状態を判断するに当たっては、現時点の状態のみでなく、おおむね過去の2年間の状態、あるいは、おおむね今後2年間に予想される状態も考慮する。

(3) 精神疾患(機能障害)の状態の判断は、長期間の薬物治療下における状態で行うことを原則とする。

(4) 「精神疾患(機能障害)の状態」欄の状態像及び症状について、以下の事項について留意する必要がある。

(1) 統合失調症について

(a) 高度の残遺状態とは、陰性症状が高度かつ持続的で、自己管理や社会的役割遂行能力が著しく妨げられた状態をいう。
(b) 高度の病状とは、陽性症状が高度でかつおよそ6ヶ月を超える長期に渡ることが予測される場合をいう。
(c) 高度の人格変化とは、持続的な思考形式の障害や言語的コミュニケーションの障害が高度かつ持続的で、自己管理や社会的役割遂行能力が著しく妨げられた状態をいう。

(2) 気分障害について

(a) そうまたはうつの病状がある病相期は、長期にわたる場合もあれば短期間で回復し、安定化する場合もある。病相期の持続期間は、間欠期に障害を残さないことが多いそううつ病の障害状態の持続期間である。間欠期にも障害状態を持つ場合は病相期の持続期間のみが障害状態であることにはならない。一般にそううつ病の病相期は数ヶ月で軽快することが多い。
(b) 病相期が短期間であっても、頻回に繰り返せば、障害状態がより重くなる。1年間に1回以上の病相期が存在すれば病相期がひんぱんに繰り返し、通常の社会生活は送りにくいというべきだろう。

(3) てんかんについて

(a) ひんぱんに繰り返す発作とは、2年以上にわたって、月に1回以上主として覚醒時に反復する発作をいう。
(b) なお、精神疾患(機能障害)の状態と後述の能力障害(活動制限)の状態の判定に基づいて、てんかんの障害の程度を総合的に判定するに当たっては、以下の点について留意する必要がある。

 てんかんにおいては、発作時及び発作間欠期のそれぞれの障害の性状について考慮し、「発作のタイプ」について次表のように考えるものとする。

 この場合、発作区分と頻度、あるいは発作間欠期の精神神経症状・能力障害(活動制限)のいずれか一方のうち、より高い等級を障害等級とする。しかし、知能障害その他の精神神経症状が中等度であっても、これが発作と重複する場合には、てんかんの障害度は高度とみなされる。なお、てんかんの発作症状及び精神神経症状の程度の認定は、長期間の薬物治療下における状態で認定することを原則とする。

等級

発作のタイプ

1級程度

ハ、ニの発作が月に1回以上ある場合

2級程度

イ、ロの発作が月に1回以上ある場合

ハ、ニの発作が年に2回以上ある場合

3級程度

イ、ロの発作が月に1回未満の場合

ハ、ニの発作が年に2回未満の場合

注) 「発作のタイプ」は以下のように分類する。

イ 意識障害はないが、随意運動が失われる発作
ロ 意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作
ハ 意識障害の有無を問わず、転倒する発作
ニ 意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作

(4) 器質性精神障害(いわゆる高次脳機能障害を含む)について

標準的な知能指数が著しく低い場合、知的能力の障害が高度であると判断してよい。知能指数が比較的高い場合にも、知能検査の下位検査項目の得点プロフィールや、記憶、記銘力検査の結果を総合的に検討する。しかしながら、この場合、身体障害に分類すべき症状(失語や麻痺)に関しては、精神障害の認定であることにかんがみ、これを加味しない。

(5) 発達障害について

「発達障害」とは、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいう。「発達障害者」とは、発達障害を有するために日常生活又は社会生活に制限を受ける者をいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち18歳未満のものをいう。

3 能力障害(活動制限)の状態の判定について

(1) 能力障害(活動制限)の状態の判定は、保護的な環境(例えば、病院に入院しているような状態)ではなく、例えば、アパート等で単身生活を行った場合を想定して、その場合の生活能力の障害の状態を判定するものである。
(2) 能力障害(活動制限)の状態の判定に当たっては、現時点の状態のみでなく、おおむね過去の2年間の状態、あるいは、おおむね今後2年間に予想される状態も考慮する。
(3) 能力障害(活動制限)の状態の判断は、治療が行われていない状態で判断することは適当ではない。十分に長期間の薬物治療下における状態で行うことを原則とする。
(4) 日常生活あるいは社会生活において必要な「援助」とは、助言、指導、介助等をいう。
(5) この場合、精神障害者保健福祉手帳診断書(健医発第1132号、別紙様式2)の「(6)生活能力の状態」欄等を参考にすることになる。「2 日常生活能力の判定」欄の(1)~(8)のそれぞれの項目については、「できない」ものは障害の程度が高く、「援助があればできる」、「自発的にできるが援助が必要・おおむねできるが援助が必要」、「自発的にできる・適切にできる」の順に順次能力障害(活動制限)の程度は低くなる。また、(1)~(3)と(6)は日常生活に関連のある項目、その他は社会生活に関する項目である。障害の程度の総合判定に、(1)~(8)のどの項目にどの程度のレベルがいくつ示されていれば何級であるという基準は示しがたいが、疾患の特性等を考慮して、総合的に判断する必要がある。
(6) 精神障害の程度の判定に当たっては、診断書のその他の記載内容も参考にして、総合的に判定するものであるが、「3 日常生活能力の程度」欄

(1)~(5)のそれぞれにより考えられる能力障害(活動制限)の程度は、おおむね次表の通りと考えられる。

日常生活能力の程度

障害等級

(1) 精神障害を認めるが、日常生活及び社会生活は普通にできる

非該当

(2) 精神障害を認め、日常生活又は社会生活に一定の制限を受ける

おおむね3級程度

(3) 精神障害を認め、日常生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする

おおむね2級程度

(4) 精神障害を認め、日常生活に著しい制限を受けており、常時援助を必要とする

おおむね1級程度

(5) 精神障害を認め、身の回りのことはほとんどできない

おおむね1級程度

  • なお、「普通にできる」とは、「完全・完璧にできる」という意味ではなく、日常生活および社会生活を行う上で、あえて他者による特別の援助(助言や介助)を要さない程度のものを言う。
  • 「日常生活又は社会生活に一定の制限を受ける」とは、活動や参加において軽度ないしは中等度の問題があり、あえて援助を受けなくとも、自発的に又はおおむね適切に行うことができるが、援助があればより適切に行いうる程度のものを言う。
  • 「日常生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする」とは、食事、保清、金銭管理、危機対応に中等度ないしは重度の問題があって「必要な時には援助を受けなければできない」程度のものを言う。
  • 「日常生活に著しい制限を受けており、常時援助を必要とする」とは、食事、保清、金銭管理、危機対応に重度ないしは完全な問題があり、「常に援助がなければ自ら行い得ない」程度のものを言う。
  • 「身の回りのことはほとんどできない」とは、食事、保清、金銭管理、危機対応に完全な問題があり、「援助があっても自ら行い得ない」程度のものを言う。