台風19号による災害時の応急措置・復旧に係る農業振興地域制度及び農地転用許可制度の取扱いについて
台風19号による災害により、甚大な被害が広範囲で生じているところでありますが、このような非常災害においては、応急仮設住宅の建設、電気やガス供給等の公益的事業に係る施設等の復旧等をすみやかに実施する必要があることから、農業振興地域制度及び農地転用許可制度では、下記のとおり、一定の場合に県知事等の許可を要しないこととする等特例的な取扱いが設けられています。
記
1 農業振興地域制度
(1) 農業振興地域制度の取扱い
農用地区域内の土地における災害の応急措置または復旧に係る以下の開発行為については、農業振興地域の整備に関する法律(農振法)の規定に基づく県知事等の許可を要しないこととされています。
ア 国または地方公共団体が行う道路、農業用用排水施設その他の地域振興上または農業振興上の必要性が高いと
認められる施設に係る開発行為
イ 非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為
ウ 電気、ガス、水道、道路等の復旧のために行う開発行為
(参考:農業振興地域の整備に関する法律 第15条の2第1項第1号、同第9号
農業振興地域の整備に関する法律施行規則 第37条各号)
(2) 注意すべき事項
ア 災害によって住宅が損壊し、同一の場所での建替えができない事情がある方が、自らの住宅の建設を
農用地区域内において行うことがやむを得ないと認められた場合は、その土地を農用地区域から除外するための
農業振興地域整備計画の変更が必要となります。
この変更に当たっては、災害復旧という緊急性、特殊性を考慮し、関係機関との協力の下、市町村と県との事前調整
及び法定手続の迅速な実施、変更案の縦覧期間の短縮等に努めることにより、できる限り円滑かつすみやかに手続を
行うことが望まれます。
イ (1)の開発行為により施設を整備する場合は、農用地区域内の土地のまま行うことが可能であり、この場合、
農用地区域の変更は、施設の整備後に行うこととして差し支えありません。
なお、これらの開発行為を行う際には、その農業振興地域における農業振興の方向や優良農地の
確保・保全に向けた土地利用計画の実現に配慮することが必要です。
2 農地転用許可制度
(1) 農地転用許可制度の取扱い
ア 農地法の規定により、国または県等が行う非常災害の応急対策または復旧のための転用等については、
県知事等の許可を要しないこととされています。
イ 地方公共団体(都道府県を除く。以下同じ。)または災害対策基本法により内閣総理大臣が指定する指定公共機関
もしくは県知事が指定する指定地方公共機関が行う非常災害の応急対策または復旧のための転用等については、
県知事等の許可を要しないこととされています。
(参考:農地法 第4条第1項第2号、第5条第1項第1号
農地法施行規則 第29条第17号、第53条第15号)
(2) 注意すべき事項
ア この場合の「復旧」には、必ずしも一時的なものに限らず、災害により被害を受けた施設の代替として新たに施設を
設置する場合も含まれます。
イ 農地法施行規則第29条第17号において規定されている「当該機関の所掌業務に係る施設について行うもののために
必要な施設の敷地に供するため」の転用とは、次のとおりです。
(ア) 地方公共団体にあっては、その地方公共団体の所掌業務として行う災害の応急対策または復旧を実施するため
に必要なすべての転用を対象とするものであり、例えば、災害が発生した市町村がその市町村の区域内に建設する
応急仮設住宅とともに、その市町村の区域以外の区域に建設する応急仮設住宅も対象となります。
(イ) また、指定公共機関または指定地方公共機関にあっても、これらの機関が実施する公益的事業に係る施設に
ついて行う非常災害の応急対策または復旧のために必要なすべての転用が対象となります。
(ウ) なお、「所掌業務に係る施設」には、応急対策または復旧を行うために必要な資材置場、職員の詰所等の施設も
含まれます。