カシノナガキクイムシ被害対策について(森林林業部)
カシノナガキクイムシ(カシナガ)の被害は「ナラ枯れ」と呼ばれ、ミズナラ・カシワ・コナラ・クリ・シイ・カシ等の樹木にカシナガが穿入し、樹幹内部でナラ菌を培養・繁殖することで樹木を枯死させる現象です。被害木は夏、葉が赤茶色に変色して枯死し、根元には大量の木屑(フラス)が積もるのが特徴です。いわき市では平成30年に初めて被害が確認され、被害木の大部分はコナラの木です。
カシナガは日本在来の昆虫であり、ナラ枯れは古くから知られていましたが、近年被害が拡大している大きな要因として薪炭やきのこのほだ木の利用の低下に伴うナラ類の大径木化が挙げられます。カシナガは直径10cm以下のナラ類では繁殖しにくく、直径が太い程繁殖効率が上がって数を増します。また、幹が太い木ほど穿入を受けた際に枯れやすい特徴もあります。ナラ枯れを防ぐ一番の方法は、ナラ類の積極的な利用による萌芽更新の促進です。
カシノナガキクイムシの生活環
個人でも行える防除法の紹介
薬剤を使わずに個人でも行えるカシナガ防除法として、静岡県で開発されたクリアファイルを使用した安価なカシナガトラップ(TWT:トランク・ウィンドウ・トラップ)を紹介します。
ナラ枯れ被害にあった木の周辺にあるナラ類は翌年度被害に会う可能性が高いため、TWTを設置して翌年新たに穿入しようとするカシナガを捕殺し、穿入する虫の密度を下げることで、設置した木が枯れるのを高い確率で防ぎます。
また、カシナガに穿入されても枯れなかった木は翌年度カシナガが穿入する木として選びにくく、穿入されても抵抗力を持つことで枯れにくい特徴があります。
カシナガによるナラ枯れの発生から概ね5年で被害が終息する傾向があるため、その期間防除を続けることでナラ類を守ることができると考えられます。
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