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下水の処理方法

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月4日更新

下水の処理方法(水がきれいになる様々なしくみ)

標準活性汚泥法

 標準活性汚泥法とは、反応タンク(エアレーションタンク)内で下水と活性汚泥と呼ばれる微生物とをエアレーションによって混合し、その後、最終沈殿池で活性汚泥を沈殿させて、上澄みの水を処理水として流出させる方法です。沈殿した活性汚泥(微生物)の一部は、再びエアレーションタンクに戻されて、残りは余剰汚泥として排出されます。最初沈澱池・反応タンク・最終沈澱池で構成されています。福島県の流域下水道や福島市・会津若松市・いわき市・白河市・相馬市・南相馬市等の公共下水道で導入されています。
標準活性汚泥法フロー
(出典:「下水道施設計画・設計指針と解説」日本下水道協会)
標準活性汚泥法イメージ
(出典:福島県下水道パンフレット)

長時間エアレーション法

 長時間エアレーション法とは、活性汚泥法の一つの処理方式であり、反応タンク内で下水と活性汚泥と呼ばれる微生物の混合液を長時間対流させて、微生物の増殖する条件を変化させることにより、余剰汚泥をできるだけ少なくさせる処理方法です。流入量が少ない小規模の汚水処理に用いられています。
長時間エアレーション法フロー
(出典:「下水道施設計画・設計指針と解説」日本下水道協会)

オキシデーションディッチ法(Od法)

 オキシデーションディッチ法とは、最初沈殿池を設けずに機械式エアレーション装置のある水深の浅い無終端水路(循環する水路)を反応タンクとして、負荷の低い条件で活性汚泥処理を行い最終沈澱池で汚泥と処理水とを分離する方法です。さらに、好気と無酸素を工程に組み入れて窒素除去を行う高度処理も可能となっており、りん除去回収施設等と組み合わせてりん除去も行えます。主に小規模の汚水処理施設に用いられており、県内市町村の公共下水道(特環含む)で多く導入されている方式です。この方式の高度処理は北塩原村・猪苗代町の公共下水道で導入されています。
オキシデーションディッチ法イメージ
(出典:二本松市岩代せせらぎセンターパンフレット)

回分式活性汚泥法

 回分式(かいぶんしき)活性汚泥法とは、同じ反応タンク内で活性汚泥(微生物)による下水の浄化、汚泥の沈殿、処理水の流出を行う方式のことです。つまり、一つの反応タンク(回分槽と呼ばれる)に反応タンクと最終沈澱池の機能を持たせるものとなっています。通常、活性汚泥の沈殿と処理水の流出の時間帯には、下水の流入を停止することとなるため、複数の回分槽を設置しています。特徴として、標準活性汚泥法に比べ施設がコンパクトとなり維持管理が容易となること、流入汚水の質や量に応じて、ばっ気・沈殿等の時間を自由に設定できること等が挙げられ、小規模な下水処理で用いられています。県内では富岡町の公共下水道で導入されています。
回分式活性汚泥法イメージ
(出典:富岡町公共下水道パンフレット)

単槽式嫌気好気活性汚泥法(ツービート法)

 活性汚泥に酸素の存在しない嫌気(けんき)状態と酸素の存在する好気(こうき)状態とを連続して経験させると、細胞内にりんをポリりんとして蓄積する微生物が集積します。この原理を利用して、単一の反応タンクで嫌気・好気状態を交互に形成して処理する方式を単槽式嫌気好気活性汚泥法(ツービート法)と呼んでいます。嫌気好気の交互運転によって、Bod及び窒素・リンの除去性能が高くなっています。小規模な下水処理で用いられており、県内では、福島市の公共下水道土湯処理区・棚倉町の公共下水道で導入されています。
単槽式嫌気好気活性汚泥法(ツービート法)イメージ
(出典:棚倉町浄化センターパンフレット)

好気性ろ床法

 好気性ろ床法とは、3〜5mm程度のろ材を充填したろ床に最初沈澱池からの処理水を流入させて、ろ床の下部から空気を送って(ばっ気)、ろ材の表面に付着した好気性生物による有機物の分解とSs(浮遊物質)の捕捉を行う処理方式のことで、生物膜法の一つです。処理の経過によって、増殖した微生物等によりろ材が詰まってくるので、空気や処理水を用いた逆洗を行う必要があります。最終沈殿池はありませんが、処理水槽と逆洗排水槽が設置されます。流量変動が大きい小規模な処理場で用いられることが多く、活性汚泥法のように返送汚泥の必要がなく反応タンクの水質管理が不要なため維持管理が容易となること、反応時間が短いこと等が特徴として挙げられます。
好気性ろ床法フロー
好気性ろ床法イメージ
(出典:「下水道施設計画・設計指針と解説」日本下水道協会)

循環式硝化脱窒法

 循環式硝化脱窒(じゅんかんしきしょうかだっちつ)法とは、反応タンクの前段に無酸素タンク、後段に好気タンクを設置し、好気タンクから無酸素タンクへと返送(硝化液と呼ばれる)することにより窒素の除去を行う高度処理です。硝化とは、水中のアンモニア性窒素が硝化細菌の作用によって亜硝酸性窒素や硝酸性窒素酸化される現象のことです。県内では、郡山市の公共下水道湖南処理区において、この方式と前述の好気性ろ床法とを組み合わせた高度処理方式(好気性ろ床法を用いた循環式硝化脱窒法)が導入されています。
循環式硝化脱窒法イメージ
(出典:「下水道施設計画・設計指針と解説」日本下水道協会)
好気性ろ床法を用いた循環式硝化脱窒法好気性ろ床法を用いた循環式硝化脱窒法イメージ
(出典:郡山市湖南処理区パンフレット)

嫌気好気ろ床法

 嫌気好気ろ床法とは、水処理工程の前段に最初沈澱池の代わりに嫌気性ろ床を、後段に好気性ろ床を設置した処理方式のことで、生物膜法の一つです。嫌気性ろ床(嫌気槽)では有機物の大半を炭酸ガスとメタンガスに分解し、好気性ろ床(好気槽)では炭酸ガスと水に分解させるとともに残存の有機物の除去やSs(浮遊物質)のろ過を行います。このため、汚泥発生量が少なく、最終沈殿池がないため維持管理が容易となる特徴があります。県内では、会津若松市の公共下水道河東処理区,会津美里町の公共下水道会津本郷処理区で導入されています。河東処理区では、ろ床として皿状ろ材(第一嫌気槽)と筒状ろ材(第二嫌気槽)を設置しています。
嫌気好気ろ床法イメージ
嫌気槽の構造処理施設写真
ろ床ユニット
(出典:会津若松市河東浄化センターパンフレット)

土壌被覆型礫間接触酸化法

 土壌被覆型礫間接触酸化(どじょうひふくがたれきかんせっしょくさんか)法とは、ろ材を充填した長水路型の水槽に、汚水をろ材と接触させながら移流することにより、ろ材表面に付着した微生物等によって有機性物質を分解させる方式で、処理水槽は特殊な土壌で覆われているため、悪臭や泡の飛沫など二次公害を簡単に防止できるとともに、緑地として憩いの空間となります。特殊な機械や設備を必要としないため、維持管理が容易となり、環境への負荷を少なくした新しい処理方式のひとつです。県内では、会津坂下町の公共下水道で導入されています。
土壌被覆型礫間接触酸化法イメージ
処理施設写真
(出典:会津坂下町坂下東浄化センターパンフレット)
(出典:「下水道施設計画・設計指針と解説」日本下水道協会)

(出典・参考文献)・「下水道施設計画・設計指針と解説-後編-2001年版」,日本下水道協会発行(転載許可:H20.2.22下水協発第87号)・「下水道用語集」,日本下水道協会発行(転載許可:H20.2.22下水協発第87号)