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【労働判例の紹介】平成24(行ウ)109号 再審査申立棄却命令取消等請求事件

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月15日更新

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平成24(行ウ)109号 再審査申立棄却命令取消等請求事件

(東京地裁 平成25年10月30日判決)

◯ 事前に団体交渉を行う取り決めがなされていたなどの特段の事情のない限り、単位労働組合との団体交渉とは別個にその下部組織との間で団体交渉を行うべき義務を負わないものと解するのが相当であるとされた事案

事件の概要

 Y社は経営の合理化を理由として、平成11年1月1日付けで再雇用制度を廃止することとし、Y社の従業員及び退職者により組織されたX労働組合(以下、「X組合」という。)と7回にわたり団体交渉を重ねたが、合意には至らなかった。X組合とその下部組織であるX1分会連及び再雇用制度廃止後の最初の定年退職者である組合員A(以下、「A」という。)は、Y社が、(1)X組合の同意を得ることなく再雇用制度を廃止したこと、(2)Aの所属するX1分会連に対して、同制度の廃止に関する団体交渉申入れを行わずに同制度を廃止したこと、(3)平成11年2月28日にAが定年退職することを知りながら、同制度を廃止しAに同制度を適用しなかったことが不当労働行為にあたるとして、F県労委に不当労働行為救済申立を行ったが、F県労委はこの申立を棄却した。そこで、X組合らは中労委へ再審査申立をおこなったが、これも棄却されたため、中労委命令の取消を求めて提訴した事案である。
 ここでは、上記(2)のX1分会連との団体交渉の要否について記載する。

判決要旨

 東京地裁は、「Y社がX1分会連に対し再雇用制度廃止に関する団体交渉を申し入れずに同制度を廃止したことが、労組法7条2号所定の不当労働行為(団体交渉拒否)に当たるか」について、以下のように判示し、中労委命令を支持した。

 本件再雇用制度の廃止については、Y社の全正規従業員に対して等しく影響を与える性質のものであることからすれば、Y社としては、各単位労働組合(*1)と団体交渉を行うことが必要であると解されるが、他方、各単位労働組合の下部組織との間では、当然には団体交渉を行うべき必要性を認めることはできない。したがって、Y社は、事前に団体交渉を行う取り決めがされていたなどの特段の事情のない限り、X組合との団体交渉とは別個に、その下部組織であるX1分会連との間で団体交渉を行うべき義務を負わないものと解するのが相当である。
 したがって、Y社がX1分会連に対し本件再雇用制度廃止に関する団体交渉を申し入れずに同制度を廃止したからといって、そのことが団体交渉の拒否に当たるということはできない。
 以上のとおり、X1分会連の主張は採用することができず、Y社がX1分会連に本件再雇用制度廃止に関する団体交渉を申し入れずに同制度を廃止したことが、労組法7条2号所定の不当労働行為に当たるとは言えない。
 この点に関する本件中労委命令における中労委の判断は正当であって、違法事由はない。
(*1)X組合は単位労働組合に該当する。なお、平成11年当時にはX組合のほかにも2つの単位労働組合が存在した。

  ※本件は控訴された。

参考

 参考文献 『労働判例』(産労総合研究所)No.1087)(2014.5.15)28~43頁

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