【労働判例の紹介】平成26(受)1310号 懲戒処分無効確認等請求上告事件
平成26(受)1310号 懲戒処分無効確認等請求上告事件 |
(最高裁一小 平成27年2月26日判決) |
◯ セクハラ発言等による出勤停止処分等について、重い処分で無効とした原審の判決を破棄し、処分等は有効とされた事案 事件の概要 Y社の管理職であった2名の男性従業員(以下「Xら」という。)は、派遣社員である女性従業員Aら(以下「Aら」という。)に対して、1年余にわたり、不快を与える性的な言動等を繰り返し行っていた。 一審判決の概要一審判決は、Xらのセクハラ行為等の存在を認め、懲戒処分を行うことについて、客観的に合理的な理由があるとし、Xらは、セクハラ防止等に関する研修を受けていただけでなく、管理職として本来は部下を指導しセクハラ行為の防止に努めるべき立場にあったにもかかわらず、むしろ、極めて悪質なセクハラ行為等を繰り返し行ったことは、職場規律に及ぼした影響が重大なものであり、本件処分があまりにも重すぎるとして、社会通念上相当性を欠くとまではいうことができないとした。 二審判決の概要二審判決は、XらがAから明確な拒否の姿勢がなく、Aから許されていると誤信したことや、Y社ではこれまでセクハラ行為を理由とするものも含めて懲戒処分が行われたことがなく、Xらには、Y社が具体的にセクハラ行為に対してどの程度の懲戒処分を行う方針であるのかを認識する機会がなかったことを考慮し、事前の警告や注意、さらに、セクハラ行為に対するY社の具体的方針を認識する機会もないまま、突如、懲戒解雇の次に重い出勤停止処分を行うことは、重きに失し、社会通念上相当とは認められず、権利の濫用として無効であるとした。 判決要旨 最高裁は、原審判決を破棄し、次のとおり判示した。 参考◆ 参考文献 『労働判例』(産労総合研究所)NO.1109(2015.5.15) 5頁~14頁 |
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