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(6)時間外労働義務の発生要件

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年12月15日更新
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(平成24年8月3日現在)

時間外労働義務の発生要件 ~使用者からの質問

質問

 受注量の増加に伴い、会社としても時間外・休日労働により対応せざるを得ない状況となったことから、労働基準法第36条に定める労使協定(いわゆる36(さぶろく)協定)を締結して労働基準監督署に届け出ました。
 先日、この36協定により従業員Aに残業を命じようとしたところ、就業規則に規定がないのに、36協定にのみ基づいて残業をさせるというのはおかしいのではないかと言われてしまいました。
 36協定を適法に締結し届け出ているので、従業員Aには時間外労働の義務があると思うのですが、どうなのでしょうか。

答え

 使用者が労働者に時間外労働や休日労働をさせる場合、労働者の過半数で組織する労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者と書面による協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要がありますが、この36協定には、個々の労働者に労働契約上の時間外労働義務を発生させるまでの効力はなく、あくまでも労働基準法上の罰則適用を受けないという免罰的効力を有しているに過ぎません。
 したがって、使用者が労働者に対して時間外労働を命じるには、就業規則や労働協約により36協定の範囲内で時間外労働を命じうる旨が明確に定められていることが必要となります。

解説

1 36協定締結・届出の効力 36協定を適法に締結して届け出た場合には、労働基準法の労働時間(第32条)や休日(第35条)に関する規定にかかわらず、使用者は、従業員に時間外・休日労働をさせることが認められています。この場合、協定で設定した時間外・休日労働を命じうる時間数(日数)の範囲内であれば、労働基準法違反とはならず、罰せられることもありません。
 ただし、36協定は、労働者に対し時間外・休日労働を義務づける効力はないので、別に根拠を設ける必要があります。
2 時間外・休日労働義務の発生要件
 使用者が時間外・休日労働を命じ、その命令に労働者が従うべき義務を負うこととするためには、学説上、包括的同意説と個別的同意説の2つの考え方があります。
 包括的同意説は、36協定の範囲内で使用者が時間外・休日労働を命じうる旨の明確な規定が就業規則や労働協約にあって、個々の労働者との労働契約の内容となっている場合に、義務が発生するとするものです。
 個別的同意説は、就業規則や労働協約では義務は生じず、使用者の具体的な申し入れがあってこれに個々の労働者が任意に応じた場合に、義務が発生するとするものです。
 これについて最高裁では、就業規則に「36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働協約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的な労働契約の内容をなすから、右就業規則の規定を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める時間を超えて労働する義務を負うものと解するを相当とする」として、包括的同意説に立つことを明らかにしています。
3 時間外・休日労働命令の限界
 就業規則や労働協約により36協定の範囲内で時間外・休日労働を命じうる旨が明確に定められていたとしても、時間外・休日労働を命ずる業務上の必要性が実際に認められない場合には、使用者の命令は有効要件を欠くことになります。また、業務上の必要性が実際にあった場合でも、労働者に時間外・休日労働を行わないやむを得ない事由があるときには、使用者の命令は権利濫用として無効になると考えられています。

判例

○ 日立製作所武蔵工場事件(最高裁第一小法廷判決平成3.11.28労判594号7頁)

 

 

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