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(6)組合員個人からのチェック・オフ中止申し出について

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年12月15日更新
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(平成24年11月2日現在)

組合員個人からのチェック・オフ中止申し出について
    ~労働者からの質問

質問

 私は、今月中に、現在加入しているA労働組合を脱退して、B労働組合へ加入するつもりなので、「来月からはA組合への組合費の控除はしないでほしい」と申し出たところ、会社から、「A組合とはチェック・オフ協定があるので、A組合にあなたの在籍の有無を確認したうえで来月から中止する」と言われました。私は「組合員個人からチェック・オフ中止の申し出があった場合は、組合在籍の如何にかかわらず中止しなければならないのではないか」と主張しましたが、会社は納得してくれません。私の考えが正しいと思うのですが、いかがでしょうか。

答え

 チェック・オフの実施については、判例によると、労使間にチェック・オフ協定がある場合にも、会社が有効なチェック・オフを行うためには、個々の組合員からの委任も必要な要件とされていますので、個々の組合員からチェック・オフ中止の申し出があった場合には、会社はチェック・オフを中止しなければなりません。
 ただし、引き続き組合に所属している場合は、個々の組合員からチェック・オフ中止の申し出はできないとの見解(学説)もあります。したがって、A組合に対しあなたの在籍の有無を確認した後に、チェック・オフを中止するという会社の対応は、一概に誤っているとはいえません。

解説

1 チェック・オフ協定の締結
 判例によれば、チェック・オフを実施することができるのは、労使間で、賃金控除に関する協定(チェック・オフ協定)によって合意がなされた場合に限られます。
 また、最高裁は、労働基準法第24条第1項但書の要件(過半数労働組合または労働者の過半数代表による締結)を満たさなければならないとの立場をとりましたが、過半数に満たない組合による締結が可能であるか否かについては、学説に争いがあります。

2 個々の組合員からのチェック・オフ中止の申し出

 判例によれば、上記の要件を具備しているチェック・オフであっても、使用者が有効なチェック・オフを行うためには、個々の組合員からチェック・オフに関する委任を受けなければならないとされています。  
そして、チェック・オフ開始後に、組合員からチェック・オフ中止の申し出があった場合には、使用者は、その組合員に対するチェック・オフを中止しなければならないと判断しています。

3 チェック・オフ中止の申し出ができないとする見解

 組合員が引き続き当該組合に在籍している場合で、組合の規約などに、「組合費はチェック・オフ協定により行う」等の定めがあるときは、個々の組合員からチェック・オフ中止の申し出があったとしても、組合費納入義務が組合員の基本的義務であることなどから、申し出どおりの取り扱いはできないとの見解(学説)があります。

※ なお、チェック・オフに関する基本的な解説及び事例については、「併存組合におけるチェック・オフの要求」を御覧下さい。

判例

○ 済生会中央病院事件(最高裁第二小法廷判決平成元.12.11労判552号10頁)
○ エッソ石油事件(最高裁第一小法廷判決平成5.3.25労判650号6頁)
○ ネスレ日本(霞ヶ浦工場)事件(最高裁第一小法廷判決平成7.2.23労判670号10頁)
○ ネスレ日本(東京・島田)事件(最高裁第一小法廷判決平成7.2.23労判686号15頁)

 

 

 

 

 


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