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(11)さし違え条件

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年12月14日更新
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(平成24年12月6日現在)

さし違え条件  ~使用者からの質問

質問

 我が社では現在、一時金の交渉をしておりますが、労働組合の要求を受け入れる代わりに、何らかの条件を提示したいと考えていますが、条件を提示することはできるのでしょうか。

答え

 使用者が労働組合からの要求に対して何らかの条件を付けて回答することは不可能ではありません。
 しかし、提示する条件によっては、労働組合を弱体化する意図に基づく支配介入と判断され、不当労働行為として違法となる場合もありますので、提示する条件については十分な検討が必要です。

解説

1 さし違え条件とは
 労働組合からの要求に対して、使用者が条件を提示して回答する場合があります。この条件を「さし違え条件」といいます。  
 労使交渉はその名のとおり交渉ですから、使用者が労働組合からの要求に対して何らかのさし違え条件を付けることは可能です。  
 しかし、以下において代表的な2つの判例を示しますが、労働組合の運営に介入することになる等のさし違え条件を提示することは、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条各号で禁止する不当労働行為に該当し違法であると判断されることがありますので、注意が必要です。

2 さし違え条件と不当労働行為

(1) 使用者が労働組合に対して、「3年間一切の争議行為をしない。」という平和協定の締結を求め、労働組合がこれを受け入れなかったので組合員に一時金を支給しなかった事例では、使用者が提示した条件で平和協定の締結を迫ったことは、労働者の労働基本権を長期間にわたり放棄することを求め、ひいては労働組合そのものを形骸化するものであり、労組法第7条3号で禁止する労働組合の運営に対する支配介入であると判断されました。
 さらに、使用者が提示した条件を労働組合が受け入れなかったため組合員に一時金を支給しなかったことは、労組法第7条1号で禁止する組合員であること若しくは組合活動を理由とする不利益取扱いであると判断されました(判例1)。
(2) 使用者が「生産性向上に協力する。」という条件を2つの労働組合に提示し、受け入れて妥結した多数組合である労働組合には一時金を支給し、受け入れなかった少数労働組合には一時金を支給しなかった事例では、使用者が労働組合に提示した条件が抽象的である上、使用者が少数労働組合に対して十分な説明を行わなかったこと、使用者は少数労働組合がこの条件を受け入れないことを予測できたにもかかわらずあえてこの条件に固執したことから、使用者が少数労働組合の組織を弱体化させようとの意図の下に行われたものとして、労組法第7条1号で禁止する不利益取扱い並びに、労組法第7条3号で禁止する支配介入を構成すると判断されました(判例2)。

判例

○ 判例1 葦原運輸機工事件(最高裁第一小法廷判決昭和53.10.5労働関係裁判例集15集537頁)
○ 判例2 日本メール・オーダー事件(最高裁第三小法廷判決昭和59.5.29労判430号15頁)

 

 

 

 

 

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