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(平成24年12月6日現在) |
非組合員に関する問題と団体交渉応諾義務 ~使用者からの質問 |
質問 先日、当社の労働組合から、非組合員であるパートタイマーやアルバイトの賃金アップを交渉事項として団体交渉の申入れがありました。 当社としては、非組合員の労働条件に関する事項であるため、当該組合との交渉事項には該当せず、団体交渉を拒否しても問題がないと考えておりますが、いかがでしょうか。 |
答え 団体交渉は、本来、労働組合の組合員の労働条件の維持改善を目的として行われるものですので、原則として非組合員の問題は団体交渉の対象とはならず、団体交渉に応じる義務はありません。 ただし、解説の2のように、非組合員に関する問題といえども団体交渉応諾義務が生じるケースもありますので、一概に団体交渉を拒否しても問題ないとはいえません。 解説 1 労働組合の団体交渉事項 労働組合法第6条では、団体交渉について「労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。」と規定しています。 このように、団体交渉は「労働組合又は組合員」のために行われるものであって「非組合員」のために行われるものではありませんので、原則として非組合員に関する問題は団体交渉事項とはならないとされています。
2 非組合員に関する問題と団体交渉応諾義務 上記のとおり、原則として非組合員に関する問題は団体交渉事項とはなりませんが、例外もあります。 非組合員に関する問題であっても、それが組合員の労働条件に直接影響を及ぼすような場合には、団体交渉事項に該当し、使用者は団体交渉を拒否できません。 例えば、非組合員であるパートタイマー等が操作している機械で事故が発生し、その事故に関して労働組合が団体交渉の申入れを行い拒否されたケースにおいて、労働委員会の命令では、「職場の安全対策については、単にパートタイマー等の問題にとどまらず、同一職場、同一ラインで働いている組合員の労働安全に直接関わる問題となるから、団体交渉に該当する。」と判断しています(命令1)。 また、未だ組合に加入していない新規採用者の初任給引下げ問題について、判例では、「非組合員の労働条件に関する問題は、それが将来にわたり組合員の労働条件、権利等に影響を及ぼす可能性が大きく、組合員の労働条件との関わりが強い事項については、団体交渉事項に当たると解すべきである。」とし、組合員の賃金カーブの出発点(ベース)となる初任給の問題は、組合員の賃金問題と密接に関連するものであるため、団体交渉義務があると判断しています(判例1)。 参考命令・判例○命令1 林兼産業事件(大阪地労委命令昭和57.10.6命令集72集298頁) ○判例1 根岸病院事件(東京高裁判決平成19.7.31労判946号58頁) |
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