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【2017年8月21日(月曜日)】 Vol159

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年3月26日更新

目次

  • リレーエッセイ
       県教育委員会委員 小野 栄重(おの えいじゅう)
  • 日々の思い
       県教育庁教育次長 大沼 博文(おおぬま ひろふみ)
  • お薦めの一冊コーナー
  • 読者投稿欄「みんなの学舎」
  • 学校自慢コーナー 県立富岡支援学校
  • 「こんにちは!各所館です」
  • お知らせ
    • 県立美術館からのお知らせ
    • 県立図書館からのお知らせ
  • 編集後記
       教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)

リレーエッセイ

「新しい学習指導要領が目指すべきもの」

県教育委員会委員 小野 栄重(おの えいじゅう) 

 
 今、次期学習指導要領へ向けて様々な議論がなされていますが、いずれにしても2020年からその10年後の2030年ごろまでの大きな、いや劇的な社会の変化を見据えたものになるだろうと思われます。ただ、過去の学習指導要領の変遷を鑑みても、国の教育の根幹をなす極めて重要なことを簡単に決められるはずもないし、試行錯誤の連続になるであろうことは容易に推測できるわけであります。

 この改訂の背景には、世の中を取り巻く大きな二つの不安があるものと思われます。一つ目は、今後、人工知能が益々進化して人間が活躍できる職業がなくなってしまうのではないかという不安。二つ目は、今、学校で教えていることは時代が変化したら通用しなくなるのではないかという不安。今でさえ様々な課題と対峙し悩みながら教育に携わっている私たちに、この予測困難な時代の二つの不安を突き付けられたら誰もが戸惑い、その払しょくに向けた明確な解決策等を言い切れる人は、いないのではないでしょうか。

 しかし、未来を担う子供たちにこれから生きぬく力を与えるためにも、この課題から目を逸らすことができないのなら、私はまず、教育の原点にもう一度立ち返ることこそ、その解決の近道のように思えてなりません。私は教育の原点は、人間教育であると思っております。いかなる時代や環境の変化があっても、人への思いやりを忘れず人間として正しい倫理観と志を持って社会を切り開いていくその先に人生の幸せがあると思っております。

 先に示した人工知能やインターネットは、単なる高度な検索技術的手段にすぎず、いかに進化しようとも、そこには、感性も目的意識もなければ、ましてや自ら夢を創造し実現させることはできないのです。従って、それらに振り回される必要もないし、今の教育を否定するものではありません。これらは、人間としての価値観で利用すればよい技術であって職業観を変えてしまう程の本質的なものではないはずです。

 これから一番大切なことは、予測困難な時代にこそ一人一人が未来の担い手となって受け身ではなく主体的な関わりのできる子供たちを社会と一緒に育てることが学校教育であると皆が認識することです。

 次期学習指導要領が、実り多い充実したものになることを期待してやみません。

日々の思い

「記憶に残る夏」
 
県教育庁教育次長 大沼 博文(おおぬま ひろふみ)


 私の今年の夏は、あづま球場から始まった。高校野球福島大会開会式のグラウンドで、出場校の入場行進を見つめた。部員数の減少により連合で挑むチーム、また、ふたば未来学園高校や小高産業技術高校のように、地域住民や同窓生など多くの方々の思いを背負って大会に臨むチームの行進に、特別の思いが込み上げてきた。

 大会が開幕して間もなく、中国駐新潟総領事館の招きで、福島北・あさか開成・いわき総合・相馬東4校の高校生・引率教員32名とともに、北京・成都(四川省)・上海を巡る機会をいただいた。中でも、成都での3日間は、特に忘れられない時間となった。
 三国時代に蜀(しょく)を建国した劉備(りゅうび)とその下で活躍した諸葛亮(しょかつりょう)を祀る霊廟や、唐代の詩人杜甫(とほ)が晩年を過ごした庵などの史跡見学のほか、2008年に8万人を超える死者・行方不明者を出した四川大地震の被災地を訪れ、現地の高校生と交流することができた。彼らにとっても、小学校へ通い始めた頃に体験した大災害の記憶は生々しく残っているに違いない。交流会では、お互いの被災体験等について深く語り合う場面はなかったが、現地の伝統舞踊を笑顔で一緒に踊る表情には、それぞれの体験を乗り越えていこうとする頼もしさが感じられた。
 旅行中、4校の生徒と将来の夢などについて話をした。「高校で中国語を学んだことがきっかけで中国に興味を持った。留学してさらに中国語を学び、将来の仕事に生かしたい。」「日本で看護師の資格を取り、語学力も身に付け、海外で医療に携わりたい。」「(中国滞在中、私たちを案内・通訳してくださった)崔(さい)さんのように、国際交流に関わる仕事をしたい。」「ツアーコンダクターとして、海外旅行を楽しむ人たちをサポートしたい。」8日間の滞在を通じて、隣国中国の歴史・文化とともに、急激な経済発展を遂げている現状に関心が高まったことはもとより、この体験が自身の進路を問い直し、あるいは決定づける契機にもなっていたことが、彼らとの会話からうかがい知ることができ、うれしかった。

 39年ぶりに本県開催となった今夏の南東北インターハイ。帰国後、ソフトテニス、バスケットボール、テニス競技の開会式と、天童市で行われた総合開会式に出席した。本県選手団をはじめ全国の精鋭が集う場は、熱気に満ち溢れていたが、私が特に印象に残ったのは、地元高校生代表の歓迎の言葉と大会を支える大勢の高校生スタッフの頑張りだった。震災後の全国からの応援に対する感謝の気持ちとともに、復興が進んでいる本県の魅力の紹介などを盛り込んだ歓迎のメッセージ。来場者に対してスタッフが発する「こんにちは」「ありがとうございました」などの清々しい挨拶やおもてなし。そのどちらもが、会場を訪れた一人一人の心に深く刻まれたことだろう。インターハイに出場し、力の限りを尽くした選手たち。晴れの舞台を裏方として支えた高校生たち。さらには、みやぎ総文をはじめ、この夏行われた様々な大会等に臨んだ一人一人にとっても、経験したすべてのシーンが忘れられないものになったはずである。そして、このために費やした時間も、これからのそれぞれの人生にとって大きな財産になるに違いない。どうか大切にしてほしい。

 多くの高校生と出会う機会をいただいた私自身にとっても、記憶に残る夏となった。そのすべての場面で、生き生きと活動する彼らの姿を見つめながら、彼らを支え、指導してくださった教職員の存在を思い浮かべずにはいられなかった。
 改めて感謝したい。

お薦めの一冊コーナー

 このコーナーでは、福島県立図書館司書の「お薦めの一冊」を御紹介します。

おすすめの一冊 『土偶のリアル発見・発掘から蒐集・国宝誕生まで』 譽田亜紀子/著 山川出版社2017

 土偶と言えば歴史の授業でおなじみの考古資料。この本では全国の様々な土偶の発掘・蒐集等について、縄文人との関係や発掘時のドラマを交えて書かれています。
 そのひとつとして、昭和27年福島県東湯野村(現在の福島市飯坂町)出土の屈折像土偶も紹介されており、村を挙げて土偶の発掘に取り組んだ様子を窺うことができます。
 この機会に土偶の魅力と謎に迫ってみてはいかがでしょうか。

福島県立図書館
https://www.library.fks.ed.jp

読者投稿欄「みんなの学舎」

「学ぶ喜び」

郡山市在住(中学校教諭)

 小学5年生のときのことである。算数の時間に三角形の面積と平行四辺形の面積を習い、次に先生が宿題を出されたのは、台形の面積だった。学級中に響いた声。「えーっ。こんな形、どうやって求めるの。」

 その日、私がこの宿題を終えたのは、午前0時をまわったところだった。「そうだ。対角線で三角形を2つ作って、面積をたせばいいんだ。」世紀の大発見をしたつもりの私は、明日の、いや今日の算数の時間が待ち遠しくて眠れなかった。そして、この気持ちは、ノートだけでは収まらず、再び机に向い、新聞に挟まれて届く広告の裏面にマジックで拡大した台形をかき、補助線を入れ、2つの三角形の面積をそれぞれ求めてたすという式を立て、4時間目の算数の時間に備えたのだった。

 意気揚々と急ぐ通学路。そして、待ち遠しい時間がやってきた。一番に手を挙げ丸めた広告紙を広げながら、とうとうと説明した日のことは、「へぇ。」という教室に響いた級友のどよめきと共に、今でも鮮明な記憶として残っている。ところがだ。次に手を挙げた男の子が、黒板の前で、説明し始めた途端、私の大発見は霞んでいった。彼は、合同な台形を180度回転させ、元の台形と合わせることで平行四辺形を作った。そして、この平行四辺形の面積を求め、2で割ったのだ。学級に「おおっ。」という感嘆の声が湧いた。
 二次元の図形をノートから取り出し、空中で回転させてまた平面に収めるという発想。私には思いも付かない芸当だった。

 その後、学ぶ喜びは、いつしか教える喜びとなり、私の生涯の目標となっていった。先生として教壇に立つ。夢が叶ったのは、○年間の講師生活と、夏の恒例行事と化した教員採用試験を経て届いた合格通知を手にしてからのことだった。

 もちろん、人生の道のりは、そう甘くはない。目指したはずの算数の先生は、数学2Bでつまずき、教育学部には行かず文学に目覚め、小学校ではなく中学校の教師になったのだから、人生は、どこでどうなることか、進んでみなければわからない。しかし、あの日のワクワクした学ぶ喜びだけは、教室の日差しや級友らの笑顔とともに消えることなく、私の心を支える原動力となっている。


※ 読者投稿欄「みんなの学舎」では、皆さまからの原稿を募集しております。
 詳しくは教育総務課のホームページをご覧ください。

教育総務課 024-521-7759 
→ メールマガジンのページ

学校自慢コーナー

 このコーナーでは、各学校の特色ある取組を御紹介します。詳しい内容を県教育委員会のホームページに掲載していますので、御覧ください。

「校舎が離れても心はひとつ ~ICT機器や情報通信ネットワーク等の活用~」

 県立富岡支援学校

 本校は、今年度から中・高等部を四倉高等学校内に移設し、小学部と離れた校舎での学習活動がスタートしました。校舎が離れても、教職員が一丸となって「分かる」授業を展開し、児童生徒の「できる」ことを確実に育てるために実践している、ICT機器や情報通信ネットワーク等を活用した様々な取組について紹介します。 

「こんにちは!各所館です」

 「こんにちは!各所館です」は、福島県教育委員会が所管する各教育事務所及び各所・各館の取組みを紹介するコーナーです。

『県南教育事務所』編

 平成29年度学校事故防止対策研究協議会(期日:平成29年5月24日(水曜日)、会場:西郷村文化センター)が、各小・中・県立学校の教頭、各市町村教育委員会の担当者を対象に行われました。今年度の協議は、昨年度の協議(各学校で作成している「不祥事防止のための行動計画」をもとにした各学校の課題とそれに対する取組についての協議)から明らかになった、教職員の不祥事・事故につながる大きな原因の1つ「多忙化(感)」に焦点をあてて行いました。参加者は、グループごとにファシリテーション・グラフィックの手法を用いて、自由に意見を出し合いながら、協議を行いました。その結果、「思い切って仕事のスリム化を図ることが大事である。」「課題に対して組織的に対応することが大切である。」「お互いに助け合う職場づくりを推進し、多忙『感』の解消を図ることが大切である。」「県としての多忙化解消の取組に期待したい。」「教師の働き方の意識改革が大事である。」など様々な意見が出されました。誰もが教職員の不祥事・事故の原因の1つが「多忙化(感)」にあり、その解消が必要であるという認識に立って、具体的な解決策を講じていくことが大切であると、今回改めて感じました。(「教育広報県南第127号」より)

 県南教育事務所では、学校教育課全体構想「夢と希望をはぐくむ県南の教育」を掲げて、域内の市町村教育委員会と連携しながら各学校と教職員の支援を行っています。ぜひ、教育広報最新号をホームページで御覧ください。
 
県南教育事務所ホームページ
→ http://www.kennan-eo.fks.ed.jp/jimushoannai/jimushoannai.html

お知らせ

 駅構内で耳にした声。「ふくしまって大きな町だね!」この夏、南東北インターハイで来県した選手のみなさん。ようこそ、福島県へ。24日間の熱戦を終えて、各選手団は、次の目標に向かっている頃でしょうか。
 さて、ここからはお知らせコーナーです。

県立美術館からのお知らせ

[企画展]「ジャック=アンリ・ラルティーグ 幸せの瞬間をつかまえて」

 日時:7月22日(土曜日)から9月10日(日曜日) 月曜日休館
 時間:9時30分から17時00分(最終入館は16時30分まで)
 場所:福島県立美術館
 内容:
  「人生とは、踊り、跳びはね、飛翔し、笑い…そうして過ぎ去っていく素晴らしいものだ!」
 フランスの裕福な家庭に生まれたジャック=アンリ・ラルティーグ(1894年-1986年)が、父親からカメラを与えられたのは、8歳の時でした。感受性ゆたかな少年は、目前の「幸せな瞬間」を残していける“魔法のおもちゃ”に夢中になり、跳びあがる猫、自動車や飛行機など、動くものをつかまえたユニークな作品を生みます。
 また家族や友人たちとの幸せなひとときを愛おしむように撮影された作品は、作家その人の人生が凝縮され、観る人に不思議な懐かしさを味わわせてくれます。日本初公開のカラー作品を含め、幼少から晩年にいたる約160点を通して、写真を楽しみ、過ぎゆく時間や人生の歓びをつかまえようとしたラルティーグの世界をご紹介します。
 観覧料:一般・大学生1,000円、高校生600円、小・中学生400円

福島県立美術館 電話024-531-5511
→ http://www.art-museum.fks.ed.jp/

県立図書館からのお知らせ

[講演会]「衛生学・予防医学講演会」

(1)医療における安全を考える~なぜ病院で患者が名前をなのることになったのか?~

 講師:福島県立医科大学基礎看護部門准教授・木下美佐子先生
 内容:医療事故を防止するために、患者と協力して行われている、事故防止システムを紹介します。

(2)最近のバイオトピックスとタンパク~実験室にはノーベル賞の技術がいっぱい~

 講師:福島県立医科大学衛星学・予防医学講座助教・増石有佑先生
 内容:『ゲノム編集』、『iPS』、『オートファジー』など、最近注目を集めているバイオトピックスと、一般的な分子生物学の技術について紹介します。

 日時:9月2日(土曜日)15時00分から16時40分
 場所:福島県立図書館第一研修室(入場無料、事前申込み不要)

県立図書館
→企画管理部電話024-535-3220

編集後記

 今年度から推進している「頑張る学校応援プラン」の主要施策のひとつとして「地域と共にある学校」があり、学校協働活動事業やコミュニティスクールなどを推進していくこととされています。
 では、そもそもなぜ学校と地域の連携が重要なのでしょうか。このような一見自明のことを、立ち止まって考えてみることも、物事の本質に迫る術だと思います。

 考えるヒントとなる出来事が、只見町への出張であったので、ご紹介させていただきます。
 今回は只見高校を訪問したのですが、高校生の挨拶が実に素晴らしかったのです。部活動などを通じた、先生方の熱心な指導の賜物だなあと思いました。感心しながら、その日は民宿に一泊し、明朝に只見川沿いを少し散歩していたのですが、その時!素晴らしい挨拶の秘密がよく分かりました。犬の散歩をしている方や、畑仕事に精を出している方など、只見町で出会う地域の大人が、町外の者とすぐに分かるような、初対面の私に対して、爽やかに挨拶をしてくださるのです!
 なるほど、子供たちの挨拶の素晴らしさの秘密は、学校での指導のみならず、地域の人たちの挨拶の素晴らしさにあったのです。

 子供たちは正直なので、学校内で先生方からしっかり挨拶するように指導されていても、地域や家庭で挨拶して誰も返事してくれなければ、ばかばかしくて止めてしまうでしょう。子供たちにとってみれば、生活の半分は学校、もう半分は地域や家庭にいるわけですから。
 大人と行政の都合で、学校教育、社会教育、家庭教育と概念が分かれるわけですが、子供にとってみれば、いずれも学びの場であることに変わりないのです。したがって、我々が子供たちの連続した学びを考えるとき、学校・地域・家庭が連携しなければならないという結論になるのではないでしょうか。

 今夏は、小池都知事の「都民ファースト」が流行しましたが、教育界においては、「チルドレン・ファースト」で意思決定することが重要と考えます。
 教育総務課は内外の全体調整を行う役割ですので、子供たちのことを第一に考え、タテ割りを融和していくことが、私の使命のひとつと考えています。

教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)

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