有限会社伊南川木材
県産広葉樹材の利用拡大のための簡易型木材乾燥施設の開発(R6)
令和6年度木材製品需要拡大技術導入事業で実施。
有限会社伊南川木材
代表取締役 五十嵐 恵二
プロジェクトの概要
県産広葉樹の用材としての販路拡大をするため、エアコンと送風機による低コストな簡易型木材乾燥施設を開発し、普及のためのデータ収集や情報収集を行った。
五十嵐代表取締役に聞いてきました!
簡易型木材乾燥施設開発のきっかけ
今に始まったことではないですが、人工乾燥していない木材は製品として扱われない現状があります。構造に関係する製品は、ほとんどが針葉樹であり乾燥機で人工乾燥することが主流でしたが、広葉樹は昔から人工乾燥はやっていませんでした。
やってみようと思ったのは、同業者と情報交換をした際に、エアコンでの木材乾燥にトライしている話を聞き、現場を見せてもらったのが一番のきっかけです。広葉樹は木材が割れてしまうため、高温・中温での乾燥はできず、低温・超低温での乾燥が必要です。実際に現場を見て、高くても30℃後半までしか温度が上がらないエアコンであれば、広葉樹乾燥の実現可能性が高いと考えました。
簡易型木材乾燥施設について
見学させていただいた乾燥機は簡易的なもので、熱が逃げやすい構造になっていたため、事業での取組においては、扉・壁に断熱材を仕込むなど改良を試みました。
今回開発した簡易型木材乾燥施設は、自社で製材した地元の材と地元の企業により完成させました。
また、広葉樹を扱う場合は乾燥させる部材1つ1つが小さいことが多いため、部屋を小さくして2部屋設けました。自身の感覚からすると、2台置いている扇風機を倍の4台にするとより成果が得られるのではないかと思っています。
今は個室の上部に扇風機を設置しているのですが、木材を重ねて乾燥機に入れる都合で、上部と下部で乾燥に差ができてしまいます。扇風機の数を増やし、下からの風を送ることでより改良されると思います。
データを収集するうちに分かったこと
データを収集する中で、含水率10%以下を目標に乾燥していましたが、予想していたよりも短期間で含水率を下げることができました。
また、エアコンでの超低温乾燥でも小さいもの(A4サイズの厚さ25mm程度)であれば5%程度まで含水率を下げることできると分かりました。
広葉樹の天然乾燥には最低3年、樹種にもよりますが10年かかるところを1~2ヶ月で乾燥を終えられます。樹種毎に名前を書いて、乾燥させることで樹種毎の乾燥速度の違いなども記録しています。
また、洗濯物を乾かす要領と一緒で温度よりも風のほうが大事ということが分かりました。
エアコンの温度に関しては、夏場は扇風機の風だけでも十分ですが、冬場は外気温によって左右されます。
受け継がれてきた木材を使う
一部原木を挽いていますが、取り扱っている材は30~40年前に伐り出されたもので、先代の時代に集めたものが多くを占めています。
先代から受け継がれた木材は自然乾燥もされているので、乾燥機で乾燥させた時には、原木よりも乾燥の速度が速く1週間くらいは差が出ます。
広葉樹乾燥の普及に期待すること
現時点では、広葉樹を使用した名刺入れなどの小物を作成していますが、データの収集を続け、改良しながらいずれは乾燥機の大型化を検討していきたいです。
技術が確立できれば技術普及も考えていますが、現時点でやりたい人がいれば技術を導入してもらい、もっと良いものになればいいと考えています。

