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2021年9月定例会 討論 吉田英策議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年12月1日更新

吉田英策議員の写真

議員 吉田英策
所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会 令和3年9月定例会
質問等 討論
質問日 10月8日(金曜日)

26番(吉田英策君)日本共産党の吉田英策です。

 日本共産党県議団を代表して討論を行います。
 まず、知事提出議案第16号、議案第33号、議案第34号、議案第35号について、反対の立場で意見を述べます。
 議案第16号「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更について」です。
 県が行う公共事業等に要する経費の一部を市町村に負担させようとするものです。今回の議案は、新たに市町村に負担を求めるための追加を含むものです。
 大震災と原発事故からの復興の途上にある市町村を財政面からも支援すべきであり、負担を求めるべきではありません。 地方財政法や道路法の規定では、経費の一部を負担させることができるとあるだけで、しなければならないものではありません。
 市町村では、新型コロナウイルス感染症対策で財政負担が大きくなっています。国の地方創生臨時交付金も使い果たし、新型コロナ対策のための財政確保は各自治体とも重要な課題になっています。財政負担を押しつけるべきではなく、県が行う建設事業等については全額県の費用で行うべきです。
 議案第33号、議案第34号、「民事調停の申立てについて」です。
 この二つの議案は、避難区域外からの避難者、いわゆる自主避難者に対して、住宅の明渡しと未払い家賃の請求を行うために調停の申立てを行うものです。
 そもそもなぜ避難し、公務員宿舎に入居しなければならなかったのか。原発事故により避難を余儀なくされ、やっと落ち着いたのが公務員宿舎なのです。
 自主避難者に対しての住宅の無償提供は2017年3月で終了し、以降は家賃が発生、その上、県は2019年4月以降、二倍家賃を請求し、住宅の明渡しを求めました。
 県は既に4世帯を提訴しており、今回は3世帯に明渡しと家賃請求、1世帯に未払い家賃の請求を行っています。この間、当事者の同意もなく親族に退去と家賃支払いの協力を求め、入居者を追い詰めてきました。
 県は、退去を強要するため二倍家賃を請求してきましたが、あまりにひどい仕打ちと言わなければなりません。公務員宿舎を管理する財務省は、福島県に使用を認めており、退去を強要する根拠はありません。
 県は、セーフティーネット住宅入居契約を結んでいない世帯については、避難先の東京都や他県の対応となりますが、退去は求めているものの、調停や提訴などは行ってはいません。福島県こそ避難者に寄り添った対応をすべきです。こうした調停の申立ては、国際人権法、子ども・被災者支援法をも無視し、経済的、精神的に追い詰める人権侵害です。
 今回の民事調停の申立てが不調に終われば、裁判の提訴につながり、さらに避難者を苦しめることになります。原発避難者を強制的に追い立てるやり方はすべきではありません。
 次に、議案第35号「民事調停の申立てについて」です。
 この議案は、浪江町の帰還困難区域から建設型応急仮設住宅に避難している入居者に対し、応急仮設住宅の明渡しを求めるため、調停の申立てを行うものです。
 帰還困難区域の住宅無償提供は、大熊、双葉両町を除き、2020年3月で打ち切られましたが、これは避難者を分断するものです。避難解除されたわけではなく、今も戻ることはできないのです。
 これら三つの議案は、原発事故の特異性に鑑み、民事調停の申立ては行うべきではありません。
 次に、議員提出議案、請願について、賛成の立場で意見を述べます。
 議案第103号「消費税5%への緊急減税及びインボイス制度の中止等を求める意見書」についてです。
 新型コロナウイルスの影響は、暮らしとなりわいに深刻な打撃を与えています。支援金、一時金の支給がありますが、県民の暮らしは依然として厳しく、中小業者の営業を維持するものにはなっていません。我慢は限界、もう店を閉めるしかない、孫がリストラされ、80歳の祖母が働いているなど、切実な声が寄せられています。
 世界の62の国、地域では、日本の消費税に当たる付加価値税の減税を実施し、経済効果を上げています。今こそ消費税5%への減税を実施すべきときです。
 また、適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度が2023年10月実施に向け、本年十月から登録事業者の申請が始まりました。
 インボイス制度は、売上げが1千万円以下の免税事業者に課税事業者になることを迫るなど、負担を求めるものです。これにより、中小事業者は廃業につながりかねません。
 よって、議案第103号は可決すべきであり、請願87号は採択すべきです。
 次に、議案第百八号「全農業者対象の所得補償制度創設を求める意見書」についてです。
 旧農業者戸別所得補償制度は、多くの農業者から歓迎されましたが、2017年に終了しました。米の直接支払交付金を廃止したことにより、農家所得の低下を招き、昨年からの米価下落の下で農業経営は大変な困難の中にあります。所得補償制度の復活が求められます。
 よって、議案第108号は可決すべきです。
 次に、請願90号「新型コロナウイルス陽性者は原則入院の方針を堅持し大規模な臨時医療施設の設置を求めることについて」です。
 新型コロナウイルス感染症の感染者は、本県では第5波までに九千人を超え、死亡者は174人になり、自宅療養者は一時5百人を超えました。自宅療養は、容体が急変しても直ちに対応できないばかりか、家族感染を広げます。
 福井県では、「自宅療養者を生まない」と、福井市内の体育館に軽症者向けの臨時病床を百床設置しました。次なる感染拡大に備え、県民の命を守るために、入院を原則としてきたこれまでの方針を堅持し、臨時の医療施設の設置が必要です。
 よって、請願90号は採択し、実現を目指すべきです。
 上で討論を終わります。

26番(吉田英策君)日本共産党の吉田英策です。

 日本共産党県議団を代表して討論を行います。
 議案第14号「福島県長期総合計画について」、反対の立場で意見を述べます。
 長期総合計画の策定に当たっては、前回の総合計画の「原子力に依存しない安全・安心で持続可能な社会づくり」及びスローガンとして掲げた「日本一子育てしやすい県」、「全国に誇れる健康長寿の県」、「再エネ先駆けの地」の検証を踏まえた新しい目標が必要です。
 震災、原発事故から十年余りが経過する本県の復興は道半ばであり、被災県民をはじめ全ての県民の暮らしとなりわい、命が大事にされ、文字どおり誰一人取り残さない県政の実現が求められます。加えて、その後の新型コロナ、気候危機、ジェンダー平等などに対応する計画にすべきです。
 以下、順次意見を申し上げます。
 まず、新型コロナ対策と医療福祉についてです。新型コロナ感染症は、県民の医療、福祉にとって最大の脅威となりました。外出自粛などにより、飲食店や観光業などに塗炭の苦しみとともに、非正規雇用を中心に労働者の生活困窮が続いています。
 医療も入院ベッド数の不足などにより医療崩壊寸前の状況に陥りました。医療の専門家からは、第六波の到来も予想され、新型コロナウイルスとの闘いはこれからも続き、一過性のものではありません。保健所、県衛生研究所を感染症対策の要と位置づけ、人員、体制の強化を総合計画に明記し、医師数、看護職員数の確保目標を引き上げるべきです。
 さらに、遅れている老人福祉の向上のために、介護職員数の引上げや特別養護老人ホームの待機者を減らす具体的目標を持つべきです。県政には、県民の命と暮らしを守る具体的な取組が求められます。総合計画に位置づけるべきです。
 次に、地球温暖化への対応と再エネの推進についてです。
 地球温暖化対策は、県庁挙げた取組が求められます。異常気象の原因は二酸化炭素の大量発生であることは明らかであり、いかにして削減するかが求められます。
 CO2排出の最大の要因である石炭火発については、2030年までに全廃が求められています。ところが、県内の石炭火力発電所は、稼働中が13基、建設中が1基あり、IGCC石炭ガス化発電所は稼働を開始しています。
 計画には、間接排出量の半減は盛り込まれましたが、直接排出量は触れられていません。今後十年間の取組が地球温暖化防止にとって極めて重要であると言われる中で、総合計画に石炭火力発電所の廃止を明記するべきです。
 原発や石炭に代わるエネルギーとして、自然エネルギー、再生可能エネルギーを推進することは当然です。しかし、そこには県民の暮らしと自然環境を守ることが求められる中で、メガソーラーや巨大風車の建設で生活環境への著しい被害が懸念されています。
 国のアセスは、土石流への対応や人間生活への影響は評価されておりません。再エネ先駆けの地、再エネ推進の先進地を目指す本県は、数値目標を追い求めるだけのメガ発電推進ではなく、住民参加型、地域循環型の再エネこそ推進すべきです。そのためには、メガ発電規制を含めた県独自の条例を策定することが求められます。
また、県が進める水素エネルギーは、脱炭素実現が喫緊の課題であるにもかかわらず、実用化にはほど遠い技術であるばかりか、石炭との混焼で石炭火発を温存させる技術でもあり、世界の石炭火発廃止の流れに逆行すると言わざるを得ません。
 次に、原発ゼロと復興の在り方についてです。
 原発事故で甚大な被害を受け、今なお多くの県民がふるさとに戻れず避難生活を余儀なくされている中で、原発に依存しない社会づくりと復興は引き続き最重要課題です。
 原発事故を経験した県として、日本中どこでも再び事故を起こさせないことを訴え続けることが必要であり、本県には原発ゼロの発信が求められるとともに、原発を推進する国、東京電力との厳しい対峙が求められます。ところが、東電の度重なる不祥事、原発構内でのトラブルに毅然とした態度で臨んでいるとは言えません。
 最近では、柏崎刈羽原発でのID不正使用、火災報知機の異常な取付け、そして福島第一原発のALPSの排気フィルター破損などで県の毅然とした立場が見えません。
 また、汚染水の海洋放出では、多くの県民をはじめ、県漁連、JA、森林組合、生協連や28もの市町村議会が方針決定後も反対、撤回、慎重な対応を求めています。県は、反対を明記して、タンク保管を継続することを計画に明記すべきです。
 原発避難者への対応でも、避難指示解除と支援の打切り、応急仮設住宅の明渡し、2倍家賃の請求など、極めて厳しい対応を行っています。人権侵害とも言える対応です。長期総合計画に掲げる「誰一人取り残さない」との立場で避難者に向き合うことが求められます。
 震災、原発事故の被災地の復興は、イノベーション・コースト構想の外部から企業や人材を呼び込むのではなく、地元の暮らし、なりわいの再建を中心にした真の復興を明記すべきです。
 次に、農林水産業、中小企業についてです。
 国の農業政策は、輸入自由化の促進、農業を大企業のビジネスチャンスに提供して、家族農業潰しを進めてきました。国連の2019年から十年間を国際家族農業の十年とし、家族農業保護をうたった国連決議にも反します。また、気候危機の下、世界的な食料危機が懸念される中で、農業への支援がますます重要になっています。
 本県農業の現状は、原発事故後の十年だけでも農家戸数は減り続け、復興の途上にあります。本県は、もうかる農業を掲げるのではなく、家族農業支援を政策の中心に据え、小規模農業への支援、育成、食料自給率向上を計画に明記すべきです。また、県内の事業者の中で90%を超える中小零細業者を支援し、育成することを計画に位置づけることです。
 次に、教育についてです。
 教育は、人格の完成と基礎的学力の向上、人間が生きていく上で必要な知識の習得という教育本来の在り方に立ち返った 教育行政の実現が必要です。本県教育は、イノベのために企業が必要な人材の育成を進め、教育予算の不足、保護者負担の増大、そして教職員の多忙化など、課題が山積しています。教育予算を増やし、子供や教職員にゆとりある教育を目指すべきです。
 県教育委員会が進める高校の統廃合は、県が掲げる地方創生にも逆行します。統廃合により、生徒、保護者への負担が増大するとともに、地域の衰退を招きます。事は学校だけの問題ではなく、地域の問題として捉える必要があります。学校関係者の意見を十分に聞き入れることが必要です。今行っている高校統廃合と後期計画は中止すべきです。
 全国に先駆けて行ってきた30人学級を全学年に広げ、高校の少人数学級も計画に位置づけるべきです。そして、教職員の多忙化解消のために教職員の増員を計画に明記すべきです。
 最後に、ジェンダー平等についてです。
 日本のジェンダーギャップ指数は、世界120位と先進国で異常な低さです。男女共同参画、多様性の尊重は、口先だけではない本気の取組が求められます。
 本県は、知事部局で女性の管理職の目標が9.1%から12%へ引き上げますが、あまりにも低い目標です。県行政にジェンダー平等の考えを貫き、目標の引上げを総合計画に明記し、本気の取組を求めるものです。
 以上で討論を終わります。

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