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04:ハラムズ・ジェシカ さん(オーストラリア)

 福島県に赴任してから早3ケ月が経った。私は周りから「なぜ福島なの?」「あなたは心配しないの?」「ご家族はきっと心配しているのだろ?」のような質問に対して、たいぶ慣れてきたーー時々、福島県在住の方からも聞かれるけどね。特に今回県庁主催のJETスタディツアーに参加し、会津若松や喜多方を訪れたと同時に、農作業体験や各地で多くの伝承文化(もちろんグルメも)に触れることができた。福島はマスコミで報道された状況よりはるかに復興が進んでいるーー今の私なら、自信を持ってこう言える。

 2011年の3月以前、福島県は長い間美味しい果物(特にももやなし、りんご)や米、野菜及び農産物の産地として有名だった。我々が訪れていた福島県農業総合センターやJAでは現在、すべての農産物に対して放射線物質検査を行っており、基準を上回る商品があれば即出荷禁止させるという厳しい措置をとっている。特に興味深いのは、震災直後にごく一部の農産物に基準を上回った検体が会ったのに対して、最近の検査結果では大幅に改善し、基準値を超過するケースはごく稀にとどまっている。しかし、それでも我々は直面しなければならない問題がある。「福島県は放射線物質まみれの地」のような風評被害を打ち砕くことである。

 喜多方で綿を栽培する農家での一泊は今回のスタディツアーで一番印象に残った。滞在先の農家が美味しい料理(もちろん地元の食材を使っている)で我々をおもてなし、その代わりに私達は農作業の手伝いをさせて頂くことで福島県民の実際の生活を味わうことができた。確かに、農家たちは直面しなければならない問題もあるが、福島の復興を固く信じている彼は持ち前の明るさと助け合う精神力で、地元である福島県の復興に力を発揮している。

 今回のツアーに通じて、我々は福島県の奥深い自然と文化に魅了された。銀色に染まりつつある山を背景に我々は会津の農道に走っていたり、美味しい喜多方ラーメンをすすり、地酒の試飲でほろ酔い気分になっていた。また、我々は会津地方の伝統工芸品「起き上がり小法師」の絵付けも体験した。「起き上がり小法師」は、その愛くるしい姿や、七転び八起きの意味合いから、福島県の新しいシンボル的存在にもなったという。

 さらに、今回のスタディツアーに通じて、私は自分が日本の素晴らしいところに在住していることを再認識するようになった。もし今度「なぜ福島県に来たの?」と聞かれたら、私はきっとこう答えるのだろう?

 「WHY NOT?」

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