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12:ポール・ライダー さん(イギリス)

 11月中旬に、福島の各地に住んでいる多国籍のALT(語学指導手)たちが集まり、2011年3月に起きた東日本大震災はどのように福島県、そして福島県民に影響を与えたのかを自分の目で確かめるべく、いわきスタディツアーが開かれた。

 最初は郡山に近い福島県農業総合センターに向かった。そこで福島県農林水産物の安全性を確かめるために、入念に行われているモニタリング検査について学んだ。重量1.5トンのゲルマニウム半導体検出器で、毎日各種類の試料の検査を行なっている。特に興味深かった点は日本の一般食品における放射性セシウムの基準値は1kgあたり100ベクレル。一見したら高いと思うかもしれないが、アメリカとヨーロッパの基準値は1kgあたり1000ベクレル。今まで福島県の農林水産物についての心配はなかったが、日本の基準値を聞いてさらに安心した。

 その後、いわきに移動し、トマトランドいわき(様々な大きさの美味しいトマトを売っている)、かまぼこ工場、オーガニックコットン畑、そしてきれいなお寺など、色々なところを見てまわった。しかし特に強い印象を受けたのは久ノ浜を訪れた時だった。久ノ浜は海岸の近くにある小さな町で、2年前の震災で凄まじい被害を受けた。 

 商店街が津波で流されたため、地元の小学校の前で設置された仮設商店街を訪れた。そこである女性から、津波が来た時に、自分の車を置いて、高台を目指した経験についての話を聞いた。話を聞きながら周りには時系列に並んでいた震災時の写真が貼ってあり、とても悲しかった。その後、仮設商店街を歩きまわった。小規模ではあったが、生活に必要なものは全て揃っていた。久ノ浜の最も印象的なのは地元の人のがんばりと粘り強さだと思う。大切な家族を失い、酷い経験をしたにも関わらず、目にはまだ輝きがあり、そして顔にはまだ笑顔があった。そんな人達の諦めない精神と立ち直る自信に感動した。久ノ浜では特にそうですが、いわきの他の場所にも同じような人は少なくなかった。震災は成長する機会であり、改善できる機会でもあると思っている人にもたくさん会った。

 いわきの住民を含めて、私は全ての福島県民を尊敬している。もし同じようなツアーに行く機会があれば、ぜひ行ってほしい。とても有意義な経験で、視野を広げることができた。

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