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10: ニコラス・エバンス (イギリス)

 私たちが最初に訪れた施設では、地元で生産されたお米の放射能レベルを検査していました。お米を入れた袋が検査機の中を通されていました。それは骨の折れる仕事だと思いました。重さ30キロの袋は1つ1つ検査装置の中を通され、それぞれに認証するためのバーコードラベルが貼られます。これまでのところ販売の基準となる放射性物質の基準値の上限を超えたものは1つもないそうです。
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 昼食後、私たちは地熱発電所を訪問しました。印象に残ったのは、施設全体が離れた場所から小グループの職員によって管理されているということです。

 夕方近くになり、仏教のお寺である円蔵寺を訪れました。そこは福島の象徴となった赤い牛「赤べこ」の発祥の地でした。
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 その日の夜、私たちは4つのグループに分かれて農家民泊をしました。他の参加者の二人と一緒に、私は地元のご夫婦が所有する昔ながらの日本家屋に泊まらせてもらいました。その夜、私たちはたくさんのおいしい料理と日本酒を楽しみました。翌日私たちは周りの農地を見て回りました。福島県の人里離れた田舎で、その日常生活の一部を見たり体験したりしたことは貴重な経験となりました。

 その後、私たちはIIEという会社のプレゼンテーションを聞きました。そこはスカーフや布巾、コースターなどの布製品を生産したり販売したりしている企業です。生産は震災後会津に避難してきた人たちが中心となって行っています。特に女性の方々を対象に地域社会活動として何かをする手段や独創的な発想を効果的に生かしていく方法を提供しているのです。 

 私たちの最後の訪問場所は会津若松市にある有名な鶴ヶ城でした。鶴ヶ城を案内してもらう他にも、観光ビューローの職員に会い、震災が地元の観光業にどのような影響を与えたのかについて説明してもらいました。かつて鶴ヶ城には年間を通して日本中と世界中から数千もの観光客が訪れていました。しかし震災後、観光客の数は急激に減りました。その後部分的に回復を見せてきてはいるものの、震災前ほどにはいたっていません。これこそが福島県が現在直面している課題なのだと思います。2011年の大地震は物質的なダメージだけではなく、福島県に風評被害をもたらしました。今日でも未だにそのどちらの影響とも感じている人もいます。このツアーは、福島が広大な地形を持ち、様々な活動があり、素晴らしい人々がいるということを強調したものだったと思います。私は福島の人々が自分たちのコミュニティを再建するために、明るく前向きに努力する姿に、常に感動しています。私は私たちJETプログラムのメンバーが母国に前向きな福島のイメージを広げていくことで、良い変化をもたらすことができたらいいなと思っています。