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2016年10月JETスタディツアー参加者レポート06

名前: ルイス・メサ国籍: アメリカ

本当の福島

 福島への赴任について聞いたとき、喜んだとは言えません。程遠かったのです。

 新しいふるさとについて調べようとすると、原子力災害の情報だけが見つかり、表面的な放射線の危険性ではなく福島県について人々がこぞって言う否定的なことを心配しました。アメリカに住む数名の友人は、福島の食品を食べないように警告しました。

 幸いにも、到着後、福島がどれだけ美しいか、ここの赴任がどれだけ嬉しいことかが分かりました。この思いは、運よく参加できたスタディツアーのおかげでますます固まりました。最初の訪問地は、JA農産物直売所でした。安心して、現地の野菜や果物を買うことができました。ランチの後で、30分間食べ放題のリンゴ狩りに行きましたが、二個しか取れませんでした。リンゴ園では、オーナーが、震災後放射線汚染のため、表土を取り去り、新しい土と取り換えた状況を説明してくれました。そして、作物の汚染をチェックする方法が二つあり、一つは、精査するもので、この果樹園の果物は、精査されることも話してくれました。

 土湯温泉に着くと、土湯温泉バイナリ発電所を訪れました。私にとって、ツアーの中で最も興味深い場所の一つになりました。温泉が、リラックスするために使われるだけではなく、原子力エネルギーより環境に優しくて安全なツールとして使われることを学んだからです。発電所では、一分間に1500Lの水を制御して65℃に保ち、バクテリアの水中進入を防ぐことを学びました。水に青みがかっていることにも気づきました。それは、底に多く溜まる硫黄と水に反射する太陽光線のために、青い色になるのでした。
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 視察では、主に、発電所の仕組みについて学びました。地中熱が発電に利用されるバイナリ発電プロセスで機能します。通常、井戸を1000 から3000メートル掘りますが、ここでは、110メートルの深さのものがありました。水蒸気が110°Cでも、エネルギー生産は、始まりません。そのため、30℃で気化する化学薬品が使われます。温泉水と併用して、タービンを回すのに十分な蒸気を作り、発電させます。発電の手段として温泉水を使用する以前は、入浴には温度が高すぎるため、冷やすことが必要でした。しかし、BPGプロセスのため、水が温泉で使用できるほど冷やされます。震災後、福島は、より持続可能なエネルギー生産の利用を進め、原子力エネルギーから遠ざかる方向に向かっていることに感動しました。このプロセスでは、毎時350Kワットの出力があり、原子力エネルギーの規模と比べると小さいですが、正しい方向へのステップです。

 環境創造センターでは、被害、避難規模、福島の除染と前進するための復興努力を説明するツアーをしました。災害スケールが7で、東日本全体特に北西に広がったことを学びました。農業と水産業がひどい影響を受け、放射線被爆の増加を心配し、誰もが検査を受けることになり、新しい放射線レベルメーターが設置されました。放射線の特質、例えばアルファ、ベータ、ガンマ線等やどれだけ遠くまで移動するのか何が通過を止めるのか少し勉強しました。除染作業や自然減衰を通して、放射線レベルは大きく減少し、数十年後には、消滅することが期待されています。

 放射線の不安は、多くの人々の心に長期に亘り残りますが、このツアーを通して、福島の別の側面に触れたと思います。新鮮な野菜や果物を楽しむことから、素麺台を流れる素麺、伝統的なこけしの絵付け、発電力となる温泉入浴まで、自分の目で事故前の福島がどうだったかを見て、どう前を向いて新しいイメージを創ろうとしているのかを知りました。ガイナックスアニメーション・スタジオミュージアムでガイドさんが、「福島の安全性ではなく福島の楽しさを見せたいと思っています。」と言ったとき、それを信じたいと思いました。日本国中、世界中の人々が、この美しい福島県の本当の姿を見て、何があるかをもう一度見て欲しいと心から願っています。

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