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2016年10月JETスタディツアー参加者レポート11

名前: メラン・イービ国籍: カナダ

 とうとう念願のこのツアーに参加することができました!終わってみると、このツアーに参加していなかったことが、どれほどもったいないことだったのかがわかりました。

 私たちは、JETのALTとして、任期中に福島でなにがPRされているのかを体験するような機会が与えられます。2012年に来県して以来、幸運なことにそういった福島の魅力を見たりツアーなどに参加する機会に恵まれ、そこで見たことなどを自分のできる限り他の人たちに伝えてきました。「福島の財産や伝統はそこかしこに深く根付いており、どんな小さな村や町を県内で訪れても、その新たな魅力はみつかるでしょう」と。

 今回、例え来県5年目のベテランALTが参加していたとしても、私もそうですが、初めて福島県に来た人と同じように、新たな気づきがあったことでしょう。こけしの絵付けをする体験があったのですが、その時新聞記者がいるのに気づきました。こんな、県北を回る小さなツアーなのに....そしてその記者が、私の勤めるいわきの学校の卒業生だと知って、「福島の中ではみんながみんな知り合いみたいだな。」という思いが強まりました。こけしの絵付けの前に行ったリンゴ狩りでは、他の参加者が「食べ放題っていうよりは“一個のリンゴ食べるのに30分時間があるよ”っていう感じじゃない?」と言っていましたが私も同感です。なんたってリンゴがそりゃあもうすばらしく大きくて美しくて、与えられた時間内に食べきるのは至難の業だったからです。(リンゴの名産地で育った私ですけど、生涯でこんな大きくて美味しいリンゴ食べたことありません!)ああ、それと、流しそうめん!山の中に入っていき、目の前には紅葉が、私たちの席の背景には滝の景色が広がっていました。そうめんをすくう技術を披露する場所としてはこれほど壮観な舞台はないでしょうね。

 このツアーで楽しかったことは、個人的なこととみんなで楽しんだこととにわけられますが、これらは日本や海外へ福島をPRするのにとても役立つと思います。しかし、訪問先の様々な魅力あるもの・・たとえば女性陣が着た浴衣や、みんなが賞賛した自然美、食べた地場産の食べ物などのものよりなにより、私が純粋に個人的に引き付けられたことは、環境創造センターや土湯バイナリーのような、イノベーションや県内の再生可能エネルギーに精力的に取り組んでいる場所に再び訪れることを約束したことです。先述しましたが、県内各地に魅力ある場所はあちこちにあり、福島でなにか素敵なことを探そうとするのはそう難しいことではないでしょう。しかし未来に向かって県の再生のために計画をして積極的に働く人々を実際に見ることはそう一般的ではありません。基礎となる枠組みが、建物全体を支えているというのと同じことですよね?それに加え、震災以降福島県は徐々に再生可能エネルギーと震災からの復興に関してのリーダーになりつつあります。ここで起きて、多かれ少なかれそれが実際にここで起きたんだと見る機会が得られることが、私がこのツアーに望むことです。正直に言うと、ツアーで行った先々どこもすべて楽しくて、どこを一番長くとは選びきれないけれども、環境創造センターや土湯バイナリーの人たちからもっと話を聞くのに、もっと長くいたかったです。なにはともあれ、福島県で働いている間に、またこれらの場所に来たいと思います。

 どこであろうと、長く住めばそこが自分の故郷になります。4年も住んだ後では、福島は私にとって故郷も同然です。私は来年の夏JETの職務を離れてしまうので、もしかしたらする必要のないことかもしれないけれども、何が福島県を訪れる旅行者にとって魅力あるものなのかを知りたい、そして出会った人々から学んだことを伝えていきたいという気持ちと同じくらい、これからの福島の進む道を案じています。2012年の春に、初めて自分の赴任地の情報が来て、自分が福島の南海岸沿いに行くのだと分かったとき、行くのを拒否しようとは決して思わなかったけれども答えを知りたい多くの疑問がわきました。私は幸運にも、現役のALTたちと簡単に連絡を取ることができました。彼らは、震災時に彼らがそこでどうしていたかなど、知識と経験を惜しみなく教えてくれました。8月になり、私は福島に行くのが待ちきれませんでした。その時から私は福島に恋していたのかもしれません。

 福島県に移り住んでから、毎年新しく迎えるALTに、自分がいただいた恩を返すつもりで自分が学んできたことを伝えてきましたが、私はただの一人の人間に過ぎず、私がここを離れる時も疑問は決してなくならないでしょう。だからこそ、このスタディツアーのことを知ったときは嬉しかったのです。ツアーの大きな目的は、福島についての正確な情報発信を促すことでした。私は、私たち自身が住む場所について学ぶという事はとても大切だと思います。なぜなら、実際は害などありもしもないのに、風評が広まっているがゆえに、福島に住む人が深刻な被害をこうむっているからです。福島のコミュニティに温かく迎えられた我々ALTからしたら、それは他人事ではないのです。このスタディツアーは、私たちに今まで決して触れることのできなかった物事について学ぶ機会を与えてくれました。参加者が、ここから学んだことを福島の復興に役立ててくれるといいなと思います。私は、心からツアーに参加できてよかったと思います。どれほどよかったかと、言葉にしてもしつくせぬほどです。

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