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2014年06月留学生スタディツアー交流員レポート(1日目)

1日目:2014年06月28日(土)

 九つの国から福島県にやってきた留学生が一緒に県内を駆け巡りながら、福島県の現状について学び、復興へまい進する姿を自分たちの目で確かめることができた――これは、第1回留学生スタディツアーの成し遂げたことです。

 今回のツアー参加者はとても幸運だと思います。なぜなら、ツアーの企画やコースの選定や下見、参加者の選抜をめぐる各大学との連絡、実際に使う資料の作成・翻訳、スタッフの打ち合わせなど、新規事業ならではの厳しさを味わいながら、福島県国際課の同僚たちが有意義な二日間を作り上げたのです。
スタディツアーの主旨を留学生たちに説明するスタッフ 留学生たちはツアーの最初、すこし緊張していた

 福島県農業総合センターの見学は自分にとって何回目になったか、もうはっきり覚えていません。通訳としての仕事は若干マンネリと思われかちかもしれないが、それは大きな誤解です。

 なぜなら、私はひとりの代弁者として、福島県が県内産農産品の安全・安心をモニタリング検査に通じて確保する取組や、農業総合センターの従業員たちが、この取り込みが実るように、と必死に第一線で頑張る姿をいろんな人に伝えなければなりません。

 嬉しいことに、農業総合センターの見学で福島県産農作物の安全性を学んだ数人の留学生から、「今まで福島県産のお米を敬遠したが、今日の見学をきっかけに安全性を確認することができ、これからは購入してみたいと思います」との声を頂きました。

 短いコメントながらも、福島県の農業関係者にとって、力強い声援になるに間違いありません。
福島県農業総合センターにて モニタリング検査の現場を見学する留学生たち

 そして、会津・鶴ヶ城。福島県の観光地のシンボルのひとつでもあります。留学生の中に、すでに数回訪れたひともいれば、まったく初めて来た学生もいます。プライベートでもよく遊びに来る私だが、今回のツアーでボランティアガイドの通訳をする過程で、今までぜんぜん知らなかった鶴ヶ城の情報や会津の歴史の奥深さを知ることになりました。観光客になかなか気付かれない時代によって異なる3種類の石垣の積み方は、実に奥深く、そして時の流れと共に進化を遂げることに、留学生だけでなく、私も驚きました。

 あいにく断続的に雨が降り続けましたが、天守閣に登り、雨模様の会津盆地を眺めるのも、なかなか気持ちいいことですね。
鶴ヶ城にて サムライとツーショット!

 福島空港は私にとって、忘れてはならないひとつのスポットです。実は、私は前職で初めて福島県に訪れたのは2011年の3月10日、福島⇔上海便を利用していました。言い換えれば、福島県で最初踏み付いたのは、この福島空港の土でした。

 3年ぶりに福島空港に戻ってきました。今度は、同行の留学生たちに、震災に踏まえて同空港の取り込みの紹介を通訳させていただきました。前述した個人的な理由もあって、私はひょっとしたら、今まで担当してきた通訳仕事のなかで一番本気になって、参加者に必死に伝えようとしていたのかもしれません。

 福島空港は震災発生直後、唯一機能していた交通機関として、人名救助や救援物質の輸送にも大きな役割を果たしており、各組織の連携によって被害を最小限に抑えることができました。

 留学生の多くは、福島空港を利用したことがありません。だからこそ、ふくしまの玄関としての重要性をアピールしなければならない責任感を感じています。

 韓国の留学生からは、「一日も早くソウル直行便の復航を願います。」との意見を聞きました。それは小さな一歩だが、やがて必ず来る国際便の運航再開につながると信じています。


福島空港の震災対応の説明を真剣に聞く留学生たち 私と福島のゆかりは、ここから始まった

 今回の留学生ツアーで、私にとって完全に「新規見学」となるのは空港の敷地にあるソーラーパークです。震災以降、福島県は再生可能エネルギー事業の発展に力を入れてきました。ここソーラーパークでは、10ヶ国・地域の30企業が提供するソーラーパネルを設置しており、同事業の推進拠点として重要な役割を担っています。

 奇しくも、今回のツアー参加者の多くの母国は、ソーラーパネルの提供国と合致しています。母国企業製のソーラーパネルを見つけて、誇らしげに記念写真を撮る姿は、正しくふくしまと世界の絆そのものだと感じています。


福島空港・ソーラーパークにて 追尾型メガソーラーパネル

2日目へ続く)