ふくしまユニバーサルデザイン推進計画 平成22年3月 福島県 第1章 はじめに 1 計画策定の趣旨等 (1)ユニバーサルデザインのはじまり、提唱 「ユニバーサルデザイン」は、Universal(すべての、普遍的な)とDesign(計画、設計)という2つの言葉を組み合わせたもので、省略してUD(ユーディー)と言われることもあります。 一般的には「すべての人のためのデザイン」とも言われており、はじめから、すべての人の多様なニーズを考慮し、年齢、性別、身体的能力、言語などの違いにかかわらず、すべての人にとって安全・安心で利用しやすいように、建物、製品、環境などを計画、設計するという考え方です。 県では、もともとハードウェア面を中心としたこの考え方に、制度やサービスなどのソフトウェア面を取り込んでさらに一歩進め、情報、サービスやコミュニケーションなど暮らしに関わる諸制度や心の持ち方なども対象に広く社会システムとしてとらえ、ユニバーサルデザインを生かした県づくりを計画的・体系的に推進することとしています。 (2)計画策定の趣旨 本当の意味での豊かさを実現するためには、ユニバーサルデザインの考え方を県内の隅々まで幅広い分野にわたって取り入れていくことが重要です。 意識づくりや啓発などによりユニバーサルデザインの考え方を県民の間に一層浸透させていくことで取組みの裾野を広げていくとともに、これまでの取組みをさらに一歩進め、ユニバーサルデザインにより実現される暮らしの快適さなどを実感できる形で展開していく必要があります。 そのためには、県だけでなく、市町村、県民、民間団体、事業者のそれぞれが、共通の理解・目標の下、連携・協働して、ユニバーサルデザインの推進に取り組んでいくことが重要です。 この計画は、県がユニバーサルデザインの施策を実施していくにあたっての指針及び具体的な実施計画として、また、市町村、県民、民間団体、事業者など県以外の主体にはどのような役割を期待しているかを示し、県全体としてユニバーサルデザインを推進していくために策定しました。 (3)策定の経緯 ア 「ふくしまユニバーサルデザイン推進指針」と「ふくしまユニバーサルデザイン推進プラン」の策定 県では、平成12年12月に策定した新長期総合計画「うつくしま21」の中で、「人間の尊重(人格・人権の尊重)」や「ユニバーサル・デザイン」を新しい世紀の価値観の1つとして掲げるとともに、「ユニバーサル・デザインのまちづくり」を重点施策体系の一つと位置付けました。 「うつくしま21」を受けて、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた県づくりの在り方について調査研究を行うため、平成13年5月、「ふくしまユニバーサルデザイン研究会」を設置しました。 この研究会は、ユニバーサルデザインを推進していくためには、専門的な視点だけでなく、生活者からの視点が不可欠と考え、県民や市町村から公募した委員を加えた15名により構成され、7回の開催を経て、会員自らが「福島版ユニバーサル・デザイン実現への提案」を分担して執筆し、平成14年3月、提言として知事に提出しました。 この提言を受け、県として指針の策定などを行うため、平成14年5月、研究会に代えて設置した「ユニバーサルデザイン推進県民アドバイザー会議」から助言をいただくとともに、障がい者団体などを訪問し、意見を伺うなど、県民の声を聞きながら、平成14年10月に、「人権の尊重」、「男女共同参画の推進」、「高齢化への対応」、「国際化への対応」、「環境との共生」、「地域経済・産業の活性化」をユニバーサルデザイン推進の視点として、「ふくしまユニバーサルデザイン推進指針」を策定しました。 また、平成15年6月には、「ふくしまユニバーサルデザイン推進指針」に基づき、具体的な施策を推進するため、「ふくしまユニバーサルデザイン推進プラン」(平成18年度終了)を策定しました。 イ 「ふくしまユニバーサルデザイン推進指針」の改訂と「ふくしま型ユニバーサルデザイン実践行動計画」の策定    「うつくしま21」において新しい価値観として掲げた「人間の尊重(人格・人権の尊重)」について、基本的な考え方や課題認識、さらには県の施策展開の方向性等の提言をいただくため、平成14年6月に、様々な分野で人権問題に取り組んでいる委員15名からなる福島県「人間・人格・人権の尊重」推進懇話会を設置し、10回にわたる会合を重ね、平成15年10月に、「ユニバーサルデザイン」、「共生」、「安全・安心と生命(いのち)の大切さ」、「未来の世代からの信託」、「倫理観の尊重」、「人権への気づき」を人権尊重の理念を考える基本的な視点として、施策の推進方向についての提言を知事に提出しました。 この提言により示された人権尊重の視点について、「いのち・人権・人格の尊重」の理念の下、「ふくしま型UD」として推進することにより、あらゆる「いのち」を大切にした新しい社会システムを構築していくために、平成16年7月に「ふくしまユニバーサルデザイン推進指針」の改訂を行いました。 また、平成18年度で計画期間の終了した「ふくしまユニバーサルデザイン推進プラン」の後継として、平成19年度から平成22年度までを計画期間とする「ふくしま型ユニバーサルデザイン実践行動計画」を策定しました。 ウ ふくしまユニバーサルデザイン推進計画の策定 「ふくしまユニバーサルデザイン推進指針」については、平成16年7月の改訂後5年を経過することから、現在の指針を策定した後の社会情勢や県民意識の変化などを踏まえ、ユニバーサルデザインを県政の基本に据えてより一層推進するため見直しを行う必要があります。 また、「ふくしま型ユニバーサルデザイン実践行動計画」については、平成22年度までの計画期間としていますが、「ふくしまユニバーサルデザイン推進指針」に基づいて実施する具体的施策の計画であるため、併せて見直しを行う必要があります。 このため、現在の「指針」と「計画」という二本立ての姿を見直し、一つの計画として統合し策定することとしました。 2 計画策定の考え方 【現状】 (1)社会構造の変化 本県の総人口は、平成10年をピークに減少を続けている中で、年少人口の減少と老年人口の増加が進行しており、平成8年には年少人口と老年人口が逆転し、老年人口が年少人口を上回ることとなりました。 また、外国人登録者の増加など、社会を構成する層が急速に変化しつつあるほか、障がい者の自立と社会参加のための地域生活への移行促進により、地域で生活する障がい者が増えつつあります。 (2)県民意識の状況 ア 平成20年度に実施した県民意識調査において、「ユニバーサルデザインという言葉を知っているか」との設問に対し、知っているとの回答は45.2%でした。 イ 「ユニバーサルデザインの導入が必要なものは何か(複数回答可)」との設問に対し、最も多かった回答は、「交通機関(66.1%)」であり、次いで多かった回答が「公共・公益施設(61.9%)」でした。 ウ 「県内でユニバーサルデザインを推進するために重要だと思うことは何か(複数回答可)」との設問に対し、最も多かった回答は、「公共の施設(そこでのサービスを含む)などでユニバーサルデザインを実践すること(53.7%)」であり、次いで多かった回答が「市町村や企業、特定非営利活動法人(NPO※法人)などへユニバーサルデザインの考え方を広めること(39.0%)」でした。 (※ NPO:Non-Profit Organization(民間非営利組織)の略。営利を目的とせず、公共的な活動を行う民間の組織・団体の総称) エ 「ユニバーサルデザインに関する活動で参加したいものがありますか(複数回答可)」との設問に対し、最も多かった回答は、「高齢者や障がいのある方、小さな子ども連れの方への手助けやボランティア活動(30.1%)」で、次いで多かった回答が「地域の活性化やまちづくりにユニバーサルデザインの考え方を生かしていく活動(29.3%)」でした。一方、「特に参加したいと思わない(23.6%)」との回答もありました。 3 将来の姿及び計画期間 (1)将来の姿 人にも自然にも思いやりにあふれた「ふくしま」 福島県総合計画において目指す将来の姿を共有し、その実現のための施策を推進します。 (2)計画期間 平成22年度〜平成26年度 5年間 福島県総合計画の計画期間と同じ期間とします。 なお、ユニバーサルデザインに関する施策の実施状況や社会情勢の変化などを踏まえながら、必要に応じて計画の見直しを行います。 4 計画の位置づけ 福島県総合計画における部門別計画 (1)総合計画の役割 総合計画では、県全体で共有する基本目標を掲げるとともに、基本目標実現のために県が実施する施策の全体的な方向性と、県全体として重点的に進める施策を定めます。 (2)部門別計画の役割 部門別計画では、各計画が所管する施策と、個別施策の具体的な内容を定めます。 福島県総合計画「いきいき ふくしま創造プラン」 基本目標 人がほほえみ、地域が輝く“ほっとする、ふくしま” 福島の目指す将来の姿 柱V 人にも自然にも思いやりにあふれた「ふくしま」 政策分野の基本方向 1 支え合いの心が息づく社会の形成 政策分野別の重点施策 (1)多様な人々がともに生きる社会の形成 細項目 @ 人権擁護、多文化共生などの推進 A ユニバーサルデザインの推進 部門別計画 ふくしまユニバーサルデザイン推進計画 5 計画の構成 第1章は、計画の導入部として、「計画策定の趣旨等」、「計画策定の考え方」、「将来の姿及び計画期間」、「計画の位置づけ」、「計画の構成」について記載しています。 第2章では、この計画を推進することにより目指していく姿を記載しています。 第3章では、第2章で描く、計画が目指す姿を実現するための手法として、ユニバーサルデザインを推進していく考え方と具体的な施策などについて記載しています。 第3章の1では、ユニバーサルデザインを推進するための基盤づくりについて記載しています。 すべての人のためという「意識づくり」を進めることを基本姿勢とし、“思いやりをシステム化”という、「ふくしま型UD」の思想を推進の視点として、基本姿勢に基づいて「基盤施策」を実施することにより、ユニバーサルデザインを推進する基盤づくりを進めます。 第3章の2では、第3章の1で形作る「基盤」に立って、実践的なユニバーサルデザインとして推進する3つの「実践施策」について記載しています。 3つの「実践施策」を互いに関連し合って推進することにより、第2章で描く「くらしのユニバーサルデザイン」の実現を目指していきます。 さらに、計画が目指す姿(第2章)に向けて、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、施策(第3章の1、第3章の2)を常に点検・検証し、継続的見直し・改善向上を図り、ユニバーサルデザインを発展的に推進していきます。 第4章では、計画の推進のため、県の役割と県以外の主体への期待や、計画の進行管理について記載しています。 第2章 計画が目指す姿 くらしのユニバーサルデザイン ユニバーサルデザインにより日々の暮らしの快適さを実感することができる社会 この計画で目指すものは、「くらしのユニバーサルデザイン」です。 私たちが、「働き」、「学び」、「遊び」、「憩う」様々な場所や空間、施設や設備などがユニバーサルデザインの考え方で作られ、ユニバーサルデザインの考え方で情報やサービスが提供され、そこで出会う人がユニバーサルデザインの考え方を理解し行動することで、日々の暮らしが快適であることを実感することができる社会を目指し、これにより県総合計画で掲げる将来の姿「人にも自然にも思いやりにあふれた『ふくしま』」の実現を図っていきます。 くらしのユニバーサルデザインの姿 ○ すべての人が、あらゆるいのちをかけがえのない存在として尊重し、多様性を認め合いながら、ともに生き、助け合う社会 ○ すべての人が、自らの意志で、安全、安心、快適に、学び、暮らし、働き、活動する社会 ○ すべての人が、社会づくりに自由に参画し、みんなが利用しやすいものをみんなでつくっていく県民(利用者)本位の社会 ○ 少子高齢化への対応や循環型社会の形成などの課題に的確に対応し、女性、高齢者などが社会の担い手としていきいきと活動し、環境への負荷も少ない社会 ○ 「はじめから」「すべての人に」という視点であらゆることを見つめ、県民(利用者)の立場で、少しでも利用しやすいものを追求し、新たな価値を創造し続ける社会 第3章 県の取組み 1 ユニバーサルデザイン推進の基盤づくり 第2章の計画が目指す姿を実現し、第1章に掲げた、県総合計画で掲げる将来の姿を達成するため、次の基本姿勢及び視点によりユニバーサルデザインを推進します。 (1)ユニバーサルデザイン推進の基本姿勢 すべての人のためという「意識づくり」 ア 考え方の出発点 ○ 人は多様 人は、体格、性別、身体的能力、言語など、あらゆる面で一人ひとりが異なっています。例えば身体などの障がいも、「背が高い」、「右利きである」などと同様に、人の個性、属性の1つに過ぎず、特別なものであると考える必要はないものです。 また、精神の障がいやコミュニケーションの障がいなど「目に見えない」障がいもあります。 ○ 人の能力は状況により変化 人は誰でも、ケガや病気をしたり、事故にあったりする可能性があります。高齢期を迎えると、若い頃と比べて日常生活に不自由を感じるようになるのが一般的です。重い荷物を持った場合など身体に大きな負担がかかり、階段を昇り降りするといった普段は何とも思わない日常的な動作に苦痛を感じたり、また、眼鏡を忘れた、目に石けんが入ってしまったというように状況によって能力を一時的に発揮することができないこともあります。 このように、人の能力は常に同じ状態であり続けるものではなく、時とともに、また状況によって変化していくものです。 ○ すべての人のためのユニバーサルデザイン ユニバーサルデザインは、特定の人による利用ではなく、高齢者、障がい者、子ども、妊娠中の女性、外国人など、あらゆる特性を持つ人々、言い換えればすべての人が利用することを念頭に、すべての人が生活・活動しやすい環境づくりを進めていくという考え方です。 ○ 人権の尊重 様々な人の個性や特性を理解し、認め合い、すべての人のために快適な環境をつくっていくというユニバーサルデザインの考え方は、人間一人ひとりを大切にするという「人権の尊重」にほかなりません。 現在の人権問題は、様々な課題が複雑に絡み合い、インターネットによる名誉毀損やプライバシーの侵害などの、新しい問題が生じるなど、複雑化、多様化してきています。各課題についてそれぞれの施策を講じていくことはもちろん大切なことですが、「すべての人のため」という、ユニバーサルデザインの意識を浸透させていくことが重要です。 イ ユニバーサルデザイン推進の手法 ○ 継続的改善(PDCAサイクルの積み重ねとスパイラルアップ※) 計画(Plan)を立て、実施(Do)した結果を検証(Check)し、改善(Action)していくというPDCAサイクルの手法により継続的に改善を行っていく(スパイラルアップ)とともに、次の施策や事業へ反映させていきます。 また、その過程で得ることのできたノウハウなどを蓄積し、既存の施策や事業の改善と、他の分野への活用を図ります。 (※ スパイラルアップ:PDCAサイクルを次のPDCAサイクルにつなげ、螺旋を描くように継続的な業務改善をしていくことをいいます。) ○ 徹底した利用者(ユーザー)志向 利用者の声こそがスパイラルアップのヒント。 「中心にいるのは常に利用者(ユーザー)である。」との姿勢で、施策や事業を実施する各過程において利用者の声を聞き続けます。 ○ コミュニケーション重視 人の特性が様々であるように、利用者の意見も様々です。10人の意見を聴けば、10の意見が出てくることもあるでしょう。 多様な意見に耳を傾け、誰もが納得することができるように、十分なコミュニケーションを行っていくことが重要です。 (2)ユニバーサルデザイン推進の視点 ハードウェア・ソフトウェア面も含めてユニバーサルデザインを推進していくための視点として、キーワードと5つの構成要素を設定します。 キーワード “思いやり”をシステム化(ふくしま型UDの思想) ふくしま型UDの考え方の基本は、「思いやり」という言葉で表されてきた概念を具体的にシステム化して社会で実現していこうとするものです。 構成要素 ・公平で快適(誰でも、いつでも、どこでも、快適に、参加・利用できること) 〈説明〉様々な人の参加や利用を想定した計画により、誰もが、いつでも、どこでも、疎外感を味わうことなく、気持ちよく安心して、等しく満足できるサービスを享受できること。 ・簡単で効率的(情報がわかりやすく簡単に入手できるとともに、効率よく参加・利用できること) 〈説明〉 様々な手段ややり方により工夫され、経験や知識、語学力、集中力などにかかわらず、利用しようとする人に必要な情報が十分に伝わり、簡単に理解できること。また、必要以上の負担をかけなくとも効率よく参加・利用できること。 ・安全で安心(未然の防止と間違いをしたときの安全が確保されていて、必要な情報も確認できるとともに、未来の世代への配慮がなされていること) 〈説明〉 間違いや危険をできる限り防止するよう配慮され、間違いをした時や危険な時でも安全が確保されていて、様々な手法やシステムによって本人に必要な情報が確認できて安心できること。また、未来の世代の安全・安心への配慮もなされていること。 ・さりげなく美しい(疎外感を与えず、美しいこと) 〈説明〉 周りから差別や偏見を抱かれることがなく、デザインとしてより美しく、さりげないデザインであること。 ・柔軟で少ない負担(一人ひとりの能力や価値観に合わせて柔軟で、経済的・心理的・体力的にも負担が少ないこと) 〈説明〉 一人ひとりの能力や価値観に合わせて、柔軟に参加・利用でき、経済的・心理的・体力的にも大きな負担とならず、手頃であること。 ふくしま型UDの思想 県では、次の基本的な視点に基づいて、「ふくしま型UD」を推進することとしています。 @ 「人権の尊重」の視点 すべての人が、お互いの個性や違いを理解し、一人ひとりの人権を尊重し合うことが平和の基盤であるという認識が世界中で広がりを見せ、社会全体で人権問題に取り組もうという気運が高まっています。 このような中、県では、人権の尊重を県づくりの理念に掲げ、人を出発点とし、かけがえのない個というものを大切にして、県民一人ひとりが、安全・安心で快適な環境に支えられ、お互いを尊重しながら、誇りを持っていきいきと暮らせる社会づくりに力を入れてきました。 はじめから、年齢、性別、身体的能力、言語などの違いにかかわらず、すべての人が生活・活動しやすい環境づくりを目指すユニバーサルデザインの考え方は、人権尊重の理念に立脚した概念であり、これを県政の基本に据えて、県民一人ひとりを本当の意味で大切にした県づくりをさらに進めていくため、人権啓発や人権尊重に関する取組みを総合的かつ効果的に推進していく必要があります。 A 「共生」の視点 地域の持つ環境、文化、自然などの資源や、人と人とのつながりを大切にしながら地域社会の再生を目指して、自然との共生、人と人との共生、地域間・世代間の共生、さらには多様性の尊重に結びつく価値観の共生などにより、経済性、効率性などとのバランスのとれた、ともに生きる社会づくりを進めていく必要があります。 B 「安全・安心と生命(いのち)の大切さ」の視点 犯罪や事故、災害などに巻き込まれる恐れや、食品に関する不祥事、児童虐待や凄惨な事件、DV※などの暴力や自殺者が後を絶たないなど、生命(いのち)の価値がますます軽んじられている観が強まり、県民の日常生活の安全に対する不安が増大しています。 一人ひとりの生命(いのち)の安全・安心を第一に考えるとともに、自らをかけがえのない存在として大切に思うのと同様に、他者もまた、かけがえのない大切な存在であると認識できる心を育んでいくことが必要です。 (※ DV:ドメスティック・バイオレンス。配偶者や恋人・パートナーなど親密な関係にある者から振るわれる暴力。) C 「未来の世代からの信託」の視点 人間が生きていくための良好な自然環境や社会的な環境は、これまでは、特にコストをかけるという意識もなく、自然に維持、再生産されると思われていましたが、実際は、自然環境の保全はもとより、家庭や地域という場での、育児(しつけ)、介護、その他様々な生活上の共同作業などの社会的な環境においても、経済的には評価を受けない隠れたコスト負担によって、支えられてきました。 これからは、このような隠れた負担についてもその価値を認め、将来にわたって誰もが自然環境も社会環境も含めた良好な人間の生存環境を引き続き享受できるよう、今は決定権を有していない次の世代に対して責任を果たすことが必要です。 D 「倫理観の尊重」の視点 現代社会においては、科学技術が高度に発達し、大きな恩恵を受けている一方、その活用の仕方によっては、人権が著しく侵害される危険性もはらんでいます。例えば、生命科学の進歩によるクローンの問題、医療におけるインフォームド・コンセント※や終末期の患者の尊厳、高度情報化の進展に伴う個人情報の保護など私たちの倫理観が問われる多くの課題について、専門家やサービスを提供する側にのみ任せるのではなく、多面的に議論を重ね、自分たち一人ひとりの問題として考えていくことが必要です。(※ インフォームド・コンセント:医師が、患者に対して、受ける治療内容の方法や意味、効果、危険性、その後の予想や治療にかかる費用などについて十分にかつわかりやすく説明をした上で、治療の同意を得ること。) E 「男女共同参画」の視点 いわゆる「ジェンダー(社会的・文化的につくられた性差)」による固定的な男女の役割分担意識が依然として根強く残っており、女性がいきいきと生活・活動できる社会に必ずしもなっていません。 男女が、性別にかかわりなく、自らの能力を十分に発揮し、ともに責任を担う男女共同参画社会を形成していくことが必要です。 F 「高齢化への対応」の視点 福島県の高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口の割合)は、平成20年10月1日現在で県人口の24.2%となっており、若い健常成人男性の利用を念頭に置いた建物、製品、サービスなどの計画、設計では、多くの高齢者がいきいきと生活・活動することができなくなります。また、建物などを一度つくった後で改良するためには膨大な費用が追加的に必要となります。 はじめから高齢者も含めたすべての人の多様なニーズを考慮し、誰もが生活・活動しやすい環境づくりを進めていくことが必要です。 G 「国際化への対応」の視点 県内の外国人登録者数は、平成21年12月末現在で12,040人となっており、また、旅行などに訪れる外国人も多くなっています。 日本語を母国語としない、また日本文化以外の文化を持つ人たちへの配慮が十分に行われ、これらの人たちも含めたすべての人の多様なニーズを考慮し、誰もが生活・活動しやすい環境づくりを進めていくことが必要です。 H 「地域経済・産業の活性化」の視点 中心市街地の活性化、商店街の賑わいの創出、観光地の振興などは、地域経済活性化の重要なポイントですが、年齢、性別、身体的能力などの違いを超えて様々な人が出会い、交流し、知恵を出し合える環境を整備することにより、新たな価値や文化などを創出できるような地域づくりを進めていくことが重要です。 また、産業の活性化の面でも、すべての人にとって利用しやすい製品、サービスとなるよう必要な改良を加えることにより、市場の拡大、品質の向上、価格の逓減、さらには新産業の創出などを図っていくことが重要です。 I 「気づき」の視点 意図的な場合は論外として、日常生活において、気づかないことにより様々な形で相手を傷つけている場合があります。例えば、体が不自由だから、外国籍住民だからなど、ある括りで先入観や固定観念による決めつけた対応や、地位や立場を利用した様々なハラスメントなどが社会問題となっています。 また、身の回りの物や施設などを利用しようとしても利用できない場合に、利用できない側に非があると考えてしまう場合があります。このため、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、誰もが、本人の意思を尊重し、本人の自己実現の意欲を尊重するということに気づくとともに、様々なサービスの提供にあたり現場の声に真摯に耳を傾けることが必要です。 (3)基盤づくりとして進める施策 「基盤施策」 ユニバーサルデザインの意識づくり(普及・啓発)・社会参加の推進 こころのユニバーサルデザイン ア 施策を進める考え方 ユニバーサルデザインを推進していくにあたり、最も基盤となるものが「こころのユニバーサルデザイン」です。 ハードウェアの基盤がどれほどユニバーサルデザインの考えで作られていたとしても、それを使うのは人であり、人の心や意識の面がユニバーサルデザインの考え方に立っていなければ、「くらしのユニバーサルデザイン」は実現できるものではなく、ハードウェアとソフトウェア(人の心や意識など)が相互に補完し合うことで実現されるものです。 このため、次の考え方により、ユニバーサルデザインの意識づくり(普及・啓発)・社会参加の推進を図るための施策を実施していきます。 ○ 意識づくり(普及・啓発) 「気づき」と「共感」 ユニバーサルデザインの意識づくりにおいては、自分以外の人が感じる快適さや不便さ、喜びや悲しみなどに「気づく」こと、その人の立場に立って、自分のこととして「共感」することができることが重要になってきます。 このため、ユニバーサルデザインの考え方を普及・啓発するにあたっては、各種広報や教育機会の充実、様々な人同士の交流を促進します。      ○ 社会参加 「やさしさ」と「充足感」 日々の暮らしで幸福を実感するためには、社会の中での自分の存在を確かめることができること。自分が社会から、周りの人々から必要とされていると感じることができることが大切です。 仕事やボランティア、地域での活動や子育てなど、自分にできる方法で社会に参加することにより、誰もが充足感を得ることができます。そこから、社会に参加する人や、しようとする人を温かい目で見守り、受入れ、サポートするやさしさが自然に生まれてきます。 このため、様々な特性を持つ人々が、自分にできる方法で社会活動などに参加することができるような環境の整備を図ります。 イ 現状と課題 ○ 現状 ・ 少子高齢化の進展や障がい者の社会参加の機会の増加、地域で生活する外国人の増加など、社会の構成が変化してきている中で、核家族化や隣近所に無関心な住民の増加など、相互の交流機会の減少により、高齢者を敬う心や、障がいや高齢などにより生じる特性への理解、思いやりの心などを学ぶ機会が少なくなっているとともに、地域における助け合いなどが失われつつあります。 ・ 少子高齢化の進展やライフスタイル・就業意識の変化などに対応した労働条件の整備が進んでおらず、また子育て支援が十分でないために、高齢者や障がい者、子どもを持つ女性が働くことが困難であるなど、多様な働き方、生き方を選択することのできる環境が十分に整備されていません。 ○ 課題 ・ 障がいのある子どもも障がいのない子どもも「地域で安心して暮らし、学び、共に生きる」ことのできる環境を整備するとともに、地域での高齢者や外国人、障がい者などとの交流により、人の多様性を自然なこととして受け入れることや、ハンディキャップがある人に対するサポートの仕方を学んだり、思いやりの心を育成していく必要があります。 ・ 高齢であることや障がいがあること、育児中であるなどの理由で社会参加が制限されることのないよう、職場などの環境を整備するとともに、男女の固定的な役割分担意識※、障がい者や外国人への無理解などの解消を図り、社会的ハンディキャップがある人たちへの支援体制を整備していく必要があります。 (※ 固定的な役割分担意識:「男は仕事・女は家庭」、「男性は主要な業務・女性は補助的業務」など、個人の能力によらず、男性、女性という性別を理由とする固定的な考え方により男性・女性の役割を分けて考える意識のこと。) ウ 推進分野 ○ 教育(学校教育・生涯学習) 学校教育、職場や地域での研修、生涯学習の講座の中で、人の痛みを理解し自分のこととして受け止めるという思いやりの気持ちの醸成により、いのちの大切さなどについて学ぶなどの「人権への“気づき”」の機会づくりを進めます。 また、ユニバーサルデザインについて学ぶことができるような環境整備を図ります。 ○ 人材育成・活動支援 研修会、講演会、県政講座※の実施などにより人権尊重の推進やユニバーサルデザインに取り組む人材の育成を図るとともに、人権尊重の推進やユニバーサルデザインに取り組む個人や組織の活動などを支援します。 また、地域社会や職場、事業者等の構成する団体などにおける人権啓発やユニバーサルデザインについての研修の実施などを促進します。 (※ 県政講座:県民をはじめ、市民活動団体、学校、市町村などが主催する一定規模の集会・会合等に県の担当職員などが出向いて県の計画や事業などについて説明し、意見交換等を行っていきます。事業により名称は異なりますが(県政講座、出前講座、ミニ講座など)、総称して「県政講座」と呼んでいます。) ○ 啓発・広報 ユニバーサルデザイン製品や啓発パネルの展示、イベント等でのユニバーサルデザインの視点の導入を推進するなど、様々な手法により人権啓発とユニバーサルデザインの考え方や必要性の普及を図ります。 ○ 交流 世代・地域・国籍・性別・障がいなど様々な特性の人々相互の交流を促進します。 ○ 安全・安心 年齢や性別、国籍や身体的特性の違いなどにより不当な差別などを受けることのない社会とするための取組みを進めます。また、社会的ハンディキャップがある人などに対する相談支援や救済、情報提供などサポート体制の充実を図ります。 ○ 社会参加 障がい者や外国人、女性や育児中の人などが社会参加をしやすい制度や環境の整備を進めます。 また、各種制度や事業などの計画・設計・実施・完成後などの各段階ごとに、できるだけ多様な手段で、県民のニーズの把握や意見交換を適切に行う仕組みづくりに努めます。 エ 具体的な施策 (ア)教育(学校教育・生涯学習) a 学校教育 @ 「総合的な学習の時間※」等において、ユニバーサルデザイン、男女共同参画、環境教育、情報教育、消費者教育、人権、点字、手話等の考え方を学ぶ機会づくりや教員に対する研修の充実及びそのための環境整備を推進します。【教育庁】 (※ 総合的な学習の時間:各学校が地域や学校の実態などに応じて、横断的・総合的な学習や生徒の興味・関心に基づく学習など、創意工夫を生かした教育活動を行う時間。) A あらゆるいのちを育む環境について、体験を通じて学習できるような機会づくりの充実に努めます。【生活環境部・教育庁】 B 生きることの大切さを十分認識できるようないのちを尊重する教育の充実に努めます。【教育庁】 C 思春期にある若者に対する望まない妊娠の防止等、性やいのちの大切さに対する意識を醸成します。【保健福祉部・教育庁】 D 県の性に関する教育の指針「性を学んでいのち生きいき」及び「性に関する教育」の手引きに基づき、発達段階に応じた性に関する教育の充実を図ります。【教育庁】 E あらゆる暴力から女性や子どもを守るための暴力防止に関する理解の促進や意識改革のための啓発活動を推進します。【保健福祉部・教育庁】 F 不登校やいじめを起こさないための家庭、地域と連携した取組みを推進します。【教育庁】 G 子どもたちの規範意識の向上や「豊かなこころ」の育成のため、広く県民と共に社会における基本的なルール等の普及啓発に努めます。【教育庁】 H 子どもたちの豊かな情操や規範意識、公共の精神、他を思いやる優しさなどをはぐくむ観点から、さまざまな体験活動を進めます。【教育庁】 I ともに学ぶ教育により障がいのある子どもたちと障がいのない子どもたちが、お互いの良さを理解し、共に支え合うことができる教育の推進に努めます。【教育庁】 b 生涯学習 @ 県民が参加し、地域の人権課題について自ら考える機会を提供します。【生活環境部】 A あらゆる場面において男女が対等に活躍でき、差別的な取扱いを受けることがないよう、リーガルリテラシー※を高める機会を提供します。【生活環境部】 (※ リーガルリテラシー:法律に対する知識と、それを活用する能力のこと。) B 地域での男女共同参画を促進する人材の育成に努めます。【生活環境部】 C 患者・感染者や障がい者等に対する差別や偏見が起きないための正しい知識の普及・啓発に努めます。【保健福祉部】 D 高齢者・障がい者疑似体験活動を通じて、相手を思いやるこころを育みます。【保健福祉部】 E 県政講座等による多文化共生※意識を育むための学習機会の提供を促進します。【生活環境部】 (※ 多文化共生:多文化とは、世界の様々な国、地域から移り住んできた人たちの文化を主に指します。そうした、様々な文化、個性を持った人々が、違いの大切さを認め合いながら、社会の一員として活躍することで、社会全体を豊かにすること。) F 犯罪被害者やその家族が犯罪等により受けた被害から立ち直り、再び地域において平穏に過ごすことができるように、教育活動及び広報・啓発活動を通じて県民の理解の促進と協力の確保を図ります。【生活環境部・教育庁・警察本部】 c 教育環境の整備 @ 人の多様性を認め、一人ひとりが尊重される社会を実現するため、何気なく使用されている行政用語のうち、障がい者に対する差別・偏見を助長するおそれのあるものについては見直しを行います。【保健福祉部】 A 小・中・高校の教員に対する特別支援教育に関する研修の充実に努めます。【教育庁】 B ともに学ぶ教育環境の整備のために、特別支援学校の地域における特別支援教育のセンター的機能の充実に努めます。【教育庁】 C 日常的、応急的に医療的ケアを必要としている特別支援学校児童生徒のために、看護師を配置し、医療機器を整え、学校生活の質的充実の向上に努めます。【教育庁】 D 外国人児童生徒等が学校生活に早期に対応できるよう、日本語指導等の支援体制の整備を進めます。【教育庁】 E 県立図書館において、高齢者、障がい者や外国籍の住民等に対応した大活字本、障がいの状況に応じた資料や多言語による資料等の収集・提供を推進します。【教育庁】 (イ)人材育成・活動支援 @ NPOや事業者等県以外の主体が、ユニバーサルデザインの普及・啓発等の活動を行う際に、各種の情報提供を行うとともに、県が所有するユニバーサルデザイン製品や啓発パネル等を貸出します。【生活環境部】 A ユニバーサルデザインを推進するNPO等の活動を支援します。【生活環境部】 B ユニバーサルデザインに取組む市町村を支援します。【生活環境部】 C ふくしまユニバーサルデザイン推進パートナー※である個人や団体へ、ユニバーサルデザインに関する各種の情報提供を行います。【生活環境部】 (※ ふくしまユニバーサルデザイン推進パートナー:県とともにユニバーサルデザインを推進していく個人や団体をパートナーとして登録し、その活動内容を県のホームページ、メールマガジンなどで周知することによりユニバーサルデザインの理念の普及につなげていきます。平成21年3月現在で個人232人、団体19団体が登録されています。) D 研修会、講演会、フォーラム、県政講座等を実施します。【生活環境部・全庁】 (ウ)啓発・広報 @ 福島県人権啓発活動ネットワーク協議会※等と連携し、県民に対して「人権への“気づき”」の機会を提供するため、各種啓発活動を実施します。【生活環境部】 (※ 福島県人権啓発活動ネットワーク協議会:福島県内の人権啓発活動にかかわる機関等が連携・協力して、総合的かつ効果的な活動を推進することを目的として、平成11年2月に設立されました。(福島地方法務局、福島県、県内各方部の地域人権啓発活動ネットワーク協議会(法務局支局、人権擁護委員協議会、市町村で構成)が構成員となっています。) A 市町村が実施する各種人権啓発活動に対して支援を行います。【生活環境部】 B テレビ・新聞・ラジオなどを活用したPR(パブリシティ活動※)や、広報誌、ホームページ、メールマガジン等での広報や啓発活動に取り組みます。【生活環境部・全庁】 (※ パブリシティ活動:企業等の広報活動の一つですが、広告とは異なりマスメディアに対して企業等が代金を払わない活動です。具体的には、新聞やテレビの中のニュースでその企業等の活動に対して報道されるものであり、これが(ニュース)パブリシティといわれています。) C イベント、名札のマニュアル、カラーUDガイドブック等の活用を促すとともに、必要に応じて内容を更新します。【生活環境部】 D ユニバーサルデザイン製品・啓発の展示内容の充実を図ります。【生活環境部・保健福祉部・土木部】 E 県主催のイベント等でユニバーサルデザインの考え方を導入・実践します。【生活環境部・全庁】 (エ)交流 @ 保育所、幼稚園、小・中・高校、特別支援学校、福祉施設間の相互交流や地域住民や地域の大人と子どもなどの交流を推進します。【総務部・保健福祉部・教育庁】 A スポーツや祭り、学校における部活動支援等を通じた、すべての人の交流を推進します。【文化スポーツ局・保健福祉部・教育庁】 B すべての人の交流を促進するため、ボランティアに関する人材養成等により、ボランティア活動への参加気運の醸成と機会づくりに努めます。【文化スポーツ局・保健福祉部】 C 海外の女性との情報交換等、男女平等の視点での国際交流事業を推進します。【生活環境部】 D 県政講座の実施や国際交流員の招致等による多文化共生意識の醸成、様々な国や地域の人との交流を推進します。【生活環境部】 (オ)安全・安心 a 安全・安心のための環境整備 @ 地域において安心して暮らせるセーフティネット※づくりのための各種施策を推進します。【保健福祉部・警察本部】 (※ セーフティーネット:「安全装置」のこと。社会保障制度など、生活や社会全体の安全・安心を維持する制度やシステム、または、経済分野で一部の破綻が全体に及ばないようにするためのシステムをいいます。) A 子育て支援を進める県民運動を展開しながら、安心して子どもを産み育てることができる社会づくりに取り組みます。【保健福祉部】 B 女性医師が対応する女性専門外来の普及に努めます。【保健福祉部】 C 青少年の健全育成に有害な社会環境を改善します。【生活環境部】 D 介護保険施設等における身体拘束の廃止の取組みや家庭的な生活のリズムを尊重した少人数単位の介護(ユニットケア)を推進します。【保健福祉部】 E 高齢者や障がい者が、住み慣れた地域でいきいきとした生活が送れるよう、地域リハビリテーション支援体制の整備を推進します。【保健福祉部】 F 障害者基本法の改正や障害者差別禁止法の立法化などの国の動向を見極めながら、障がい者差別を禁止するための方策を検討します。【保健福祉部】 G 障がい者の地域生活への移行を促進するために、ホームヘルプサービスやデイサービス、短期入所事業等の在宅サービスを障がい者福祉圏域ごとに量的・質的に充実し、活用を促進します。【保健福祉部】 H 外国籍住民が安心して生活をおくるための環境の整備を行うとともに、情報を提供します。【生活環境部】 I 日常生活に欠かせない情報はもとより、保健、医療、福祉、防災等の情報の複数の外国語表記を実施します。【生活環境部・全庁】 J インフォームドコンセント※の徹底等、患者サービスの向上に向けた病院等での取組みを推進します。【保健福祉部・病院局】 (※ インフォームドコンセント:医師が、患者に対して、受ける治療内容の方法や意味、効果、危険性、その後の予想や治療にかかる費用などについて十分にかつわかりやすく説明をした上で、治療の同意を得ること。) K 患者の尊厳に配慮した終末期医療の普及・充実及び関係機関による支援サービスのネットワーク化を促進します。【保健福祉部】 L 災害時に備え、高齢者や障がい者等の災害時要援護者に配慮した避難所運営体制等の整備を促進します。【生活環境部・保健福祉部】 b 相談支援体制の充実 @ 高齢者の豊富な経験や知識を生かし、子世代の育児不安の軽減や孫世代の豊かな情操形成を推進します。【生活環境部・保健福祉部】 A 子育て家庭に対する相談や交流の場の提供等を行い、子育て家庭の不安の軽減を図り、安心して子育てができるようにするための支援を行います。【保健福祉部】 B 保健・医療・福祉・教育等の関係機関といのちの電話をはじめとする民間団体やNPO等との連携による人権に配慮した相談支援救済ネットワークの整備を推進します。【生活環境部・保健福祉部・教育庁・警察本部】 C 自殺予防のための心の健康の対策を推進します。【保健福祉部】 D DV、児童・高齢者、障がい者、ホームレス等への暴力や虐待の発生予防、早期発見、アフターケアのほか、ひきこもり※等への対策を図ります。【保健福祉部・警察本部】 (※ ひきこもり:1990年代に社会的に注目されるようになった、人間関係の拒絶・社会参加の拒絶などの特徴を持つ現象。当初は不登校などの児童生徒について言及されていましたが、近年は若者についても指摘されることが多くなっています。) E 女性のための相談支援センターの機能を充実するとともに、DV被害者支援のため関係機関の連携を強化します。【保健福祉部】 F 青少年の健全育成対策を推進します。【生活環境部・教育庁・警察本部】 G 虐待を受けた子どもに対する適切なケアを推進します。【保健福祉部】 H 高齢者虐待の防止や早期発見、虐待を受けた高齢者の保護や虐待を行った養護者への対応が適切に行われるよう、市町村における高齢者虐待防止ネットワークの構築とその運営を支援するとともに、一層の普及啓発を図ります。【保健福祉部】 I 障がい者自らの体験に基づく他の障がい者への相談支援(ピアカウンセリング※)の充実を図るとともに、障がい者自らが運営する自立生活センター等の団体の活動を支援します。【保健福祉部】 (※ ピアカウンセリング:ピア(Peer)という言葉は、「仲間」「対等」の意味で、共通の経験と関心に基づいた仲間同士の相互支援活動を言います。) J 障がい者が適切な福祉サービスを選択できるよう、ホームページや点字・録音図書などによる情報の提供を行います。また、ホームページについては視覚障がい者が利用しやすいよう、音声対応化を促進します。【保健福祉部】 K 障がい者の権利擁護のための相談体制を整備します。【保健福祉部】 L 犯罪被害者やその家族が、再び平穏な生活を営むことができるように、各種支援策を推進します。【生活環境部・警察本部】 M だれもが安心して相談できる警察の総合相談窓口を充実します。【警察本部】 (カ)社会参加 a 社会参加しやすい環境づくり @ ライフステージやライフスタイルに応じた多様な働き方の実現に向けて普及啓発を行います。【商工労働部】 A 男女が仕事と家庭を両立できる環境づくりのための普及啓発を推進します。【商工労働部】 B 県の物品購入等における入札参加者の指名又は見積もり合わせ業者の選定において県内事業者の社会貢献度(障がい者雇用及び次世代育成支援の状況等)を評価します。【出納局】 C 県の工事等請負有資格者名簿への登録において県内業者の社会貢献度(障がい者雇用及び次世代育成支援の状況等)を評価します。【土木部】 D 育児中の人が社会参加しやすい環境づくりを推進するための育児における男女共同参画を推進します。【生活環境部】 E 市町村への、男女共同参画に関する条例・計画策定への支援を実施します。【生活環境部】 F 審議会等の委員への、女性や障がい者や外国人の登用を推進します。【生活環境部・保健福祉部・全庁】 G 女性のエンパワーメント※を推進します。【生活環境部】 (※ エンパワーメント:個々の女性が自ら意識と能力を高め、政治的、経済的、社会的及び文化的に力を持った存在になること。) H 高齢者が積極的に活動できる機会づくりやそのための環境整備を推進します。【保健福祉部】 I 身体障がい者を対象とした職員の採用を引き続き実施します。【総務部】 J より多くの人が公務員・教員等の採用試験を受けられるよう、視覚障がい者や聴覚障がい者等に対する職域の開拓や試験の実施方法のあり方等を検討します。なお、試験の実施方法については、引き続き受験者の申し出により可能な範囲において個別具体的な対応をしていくこととします。【総務部・教育庁・人事委員会事務局】 K 障がい者の文化・スポーツ活動、交流活動への参加を促進し、社会参加のための環境整備を進めます。【保健福祉部】 L 日本語教室の支援等、外国人の社会参加のための環境を整備します。【生活環境部】 b 社会参加を妨げる制度・慣行の見直し @ 男女平等の視点に立ち、社会制度や慣行の点検・整備を行い、改善に取組みます。【生活環境部】 A 家庭、地域、職場等における、男女に不平等なしきたりや役割の固定化、婚姻に伴う様々な慣習等の見直しを促進します。【生活環境部・全庁】 B 公文書等における不必要な性別記載欄の撤廃を推進します。【生活環境部・全庁】 C 各種施設の利用制限や障がい者の社会参加を制約することとなる各種の制限の解消を促進します。【保健福祉部】 オ 指標 No. 指標名 現状値(20年度) 目標値(26年度) 1 ユニバーサルデザインに関する県民の認知度 45.2% 80.0%以上  本指標は、基盤づくりの指標であると同時に、本計画の最も上位の指標として位置づけ、県の総合計画における指標として共有します。 No. 指標名 現状値(20年度) 目標値(26年度) 2 個別の教育支援計画の作成率 57.6% 100.0% 3 多文化共生講座の実施回数 25回 30回以上 4 ふくしまユニバーサルデザイン推進パートナー数(累計) 個人232人 団体19団体 モニタリング指標※1 5 ユニバーサルデザインに取り組むNPO数(ふくしまユニバーサルデザイン推進パートナーであるNPO数)(累計) 8団体 モニタリング指標 6 地域子育て支援拠点(ひろば型・センター型・児童館型)施設数(累計) 67カ所 95カ所 7 ドメスティック・バイオレンス相談受付件数※2 1,709件 モニタリング指標 8 配偶者暴力相談支援センター※3設置数(累計) 8施設 13施設(22年度) 9 児童相談所相談受付件数 5,472件 モニタリング指標 10 市町村における児童虐待防止ネットワーク設置率 86.4% 100% 11 自殺者数(年間) 535人 470人以下 12 犯罪被害者等総合相談窓口を設置している市町村数(累計) 32市町村 59市町村 13 育児休業取得率 女性85.4% 男性0.6% 女性90.0%以上 男性5.0%以上 14 福島県次世代育成支援企業※4認証数(累計) 213社 450社以上 15 県の審議会等における女性委員の割合 35.2% いずれかの性が40.0%を下回らない 16 就業している障がい者数 5,935人 6,800人以上 17 地域生活に移行した障がい者数(身体障がい者及び知的障がい者)(累計) 171人 438人以上(23年度) 18 地域生活に移行した障がい者数(精神障がい者)累計 56人(19年度) 431人以上(23年度) (※1 モニタリング指標:目標値ではないが、県民の社会生活状況や施策の状況を表す数値として毎年その状況を把握し公表するもの。) (※2 ドメスティック・バイオレンス相談受付件数:配偶者暴力相談支援センター等において受け付けたドメスティック・バイオレンスに関する相談件数) (※3 配偶者暴力相談支援センター:配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための業務を行う施設。県女性のための支援センターや男女共生センター、保健福祉事務所がその役割を担っており、相談、各種情報提供等を行っています。) (※4 福島県次世代育成支援企業:「子育て応援」や「仕事と生活の調和」の取組みが進んでいる企業として県が認証している企業。) 2 実践的ユニバーサルデザインの推進 「実践施策」 (1)推進分野 ○ まちづくり 公共建築物、道路、交通機関、公園など社会的基盤の整備においてユニバーサルデザインを推進します。 ○ ものづくり ユニバーサルデザイン製品の開発・普及を推進します。 公共的な場に配置する物品などに、誰もが使いやすいユニバーサルデザインの考えで作られた製品の調達を推進します。 ○ 情報・サービス 公共的な場における情報やサービスの提供にあたっては、誰もがわかりやすく、必要な情報を確実に得ることのできる情報の提供方法や、誰もが満足することのできるサービスの提供など、ユニバーサルデザインの考えを取り入れた情報・サービスの提供を推進します。 (2)推進する上での考え方 この計画が目指す「くらしのユニバーサルデザイン」では、「まち」や「もの」などのハードウェアがユニバーサルデザインであるだけではなく、そこで必要となってくる情報の発信の仕方や、人から受けるサービスなど、ソフトウェアのユニバーサルデザインと一体となり、総合的にユニバーサルデザインであることが大切になってきます。 ハードウェアのユニバーサルデザインについても、建物や備品、道路、交通機関、看板など一つひとつはユニバーサルデザインに作られていたとしても、それらを組み合わせたときに、互いの使い勝手を考えず、寄せ集めただけであれば、結果的にはユニバーサルデザインにはなっていないということになりかねません。 Aという施設からBという施設へ移動するときに、道路状況や交通機関の状況、バスの乗降性だけでなく、運行間隔や経路、徒歩の場合の案内表示、施設の出入りの容易さや内部の移動性、備品や物品の使いやすさ、必要な情報が過不足なく提供されているかなど、各分野が相互に関連しあうことで、面的・空間的なユニバーサルデザインを推進します。       しかしながら、本当の暮らしやすさや快適さとは、ハードウェアの整備だけで実現されるものではなく、そこで活動する人によって実現されるものであり、ハードウェアとソフトウェアが相互に補完し合うことで「くらしのユニバーサルデザイン」が実現できるものです。 (3)具体的な取組み ア まちづくり (ア)施策を進める考え方 まち全体の機能を十分に発揮するため、公共建築物や道路、交通機関、公園などの施設が、各施設の機能だけでなく、他の施設との関連を考慮してつくられ、運用されることが重要です。 (イ)目標 ○ 公共建築物等(役所、学校、病院、駅等だけでなく、ホテル、大型商業施設、観光施設など大勢の人が集まる施設も含む)では、人にやさしいまちづくり条例、ふくしま公共施設等ユニバーサルデザイン指針に基づき施設が整備され、身体的な条件等によらず、同じサービスを受けることができることを目指します。 ○ 交通の面では、誰もが円滑に移動することができるように、道路(歩道・車道・自転車走行帯等)の整備や公共交通機関の整備が行われるとともに、公共交通機関の運行にあたっては、他の交通機関や各種施設との連絡性等を考慮した運行が行われることを目指します。 ○ 公園や観光地などでは、身体的な条件によらず誰もが楽しむことができるような整備が、歴史的環境や自然環境等との調和を保ちながら行われることを目指します。 (ウ)現状と課題 ○ 現状 ・ 自動車保有台数の増加と道路環境の整備等に伴い、居住地域の郊外化と都市の外延化が進み、住居、公共・公益施設、大規模小売店舗の郊外立地など、各種機能が拡散する一方で、中心市街地の空洞化など生活空間の構造変化が進んできています。 ・ 都市の外延化と各種機能の拡散は、車への依存を進めるとともに、自家用自動車の増加は、一方で公共交通機関の利用者の減少、運行路線や本数の減少を招いています。また、公共交通機関相互の運行ダイヤなどについて、十分な連携が図られていないため、利用者の円滑な移動が十分に確保できていないなど、自分で自動車を運転することのできない交通弱者などにとっては住みにくいまちになってきています。 ・ 既存の公共施設・公益施設について、段差の改善・解消がされていない、案内表示がわかりにくい、駅におけるエレベーターの設置や、ノンステップバスなどの低床バス※の導入が十分でないなど、すべての人が利用しやすい状況にはなっていません。 (※ 低床バス:地上面から床面までの高さが65cm以下で、スロープ板や車いすスペースがあるなど高齢者や身体に障がいがある人の乗降に配慮したバスをいいます。低床バスとしてはノンステップバス、ワンステップバスがあります。)       ○ 課題 ・ 段差の解消や案内表示の改善など個々の改善だけでなく、国際化や高齢化の進展などを踏まえて、公共・公益施設や道路、交通機関や公園など各種施設間での移動性の確保や連続的・一体的な整備を行うことにより、まち全体としての快適性を高めていくことが必要です。 (エ)具体的な施策 a 公共建築物等 @ 公共・公益施設の利便向上のため、段差の改善・解消、「みんなのトイレ※」の設置、電線類の地中化などの施設整備を推進します。【農林水産部・土木部・全庁】 (※ みんなのトイレ:車いすの人や赤ちゃんを連れた人をはじめ、誰もが利用できるように設計されたトイレ。) A 施設の新設にあたって、交通の便や他の公共・公益施設との近接性なども考慮します。【農林水産部・土木部・全庁】 B 県庁舎、合同庁舎等をユニバーサルデザインの視点に基づいた点検を行い、必要な改善等を実施します。【総務部】 C ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた県営住宅の整備の推進や市町村営住宅の整備の促進を図るとともに、福祉施設との連携などにより、すべての人に利用しやすい公営住宅の整備を推進します。【土木部】 D 融資や「やさしさマーク※」の交付等により民間公益的施設の改善等を促進します。【保健福祉部】 (※ やさしさマーク:人にやさしいまちづくり条例に基づき、高齢者や障がい者をはじめすべての人に配慮した施設づくりをしている建物に県が交付しているマーク。) E 「人にやさしいまちづくり条例※」に基づき、障がい者等のための国際シンボルマークが表示されている駐車施設の適正な使用方法についての啓発活動等に取り組みます。【保健福祉部・教育庁】 (※ 人にやさしいまちづくり条例:高齢者や障がい者などに配慮したやさしいまちづくりをより一層進めるため平成7年3月に制定された県の条例。人にやさしいまちづくりの基本理念や県、市町村、事業者及び県民の責務を明らかにし、必要な施策の推進を図ることとしています。) b 道路・交通機関等 @ 多様な移動手段に対応した「人と車の共生の在り方」について研究します。【生活環境部・土木部】 A 歩道を安全で快適なネットワークとするための対策を推進します。【土木部】 B 歩行者等の安全を確保するため、信号機、道路標識等の整備を推進します。【警察本部】 C だれもが円滑に移動できるまちづくりのため、駅におけるエレベーターの設置の促進や、ノンステップバスなどの低床バスや低公害バスの導入などへの支援に努めます。【生活環境部】 D だれもが利用しやすい公共交通機関による移動円滑化の促進に向けた市町村の取組みを支援します。【生活環境部・土木部・警察本部】    E 「環境への負荷の少ない持続可能なまちづくり」や「歩いて暮らせるコンパクトなまちづくり」、「だれもが安心して暮らしやすいまちづくり」の考え方に基づき、魅力あるまちづくりを支援します。【商工労働部】 F 過度に車に依存しない社会の実現に向けて、関係機関と連携して新しい交通システム構築の研究を行うなど、持続可能な歩いて暮らせるまちづくりの推進に努めます。【企画調整部・生活環境部・商工労働部・土木部】                   c 公園等 @ まちの快適性を向上させるため、ベンチ、木陰などの休憩スペースやすべての人が快適に使える「みんなのトイレ」などの整備を促進します。【土木部】 A 公園、森林、河川、海岸、観光地などの利便性向上のため、段差の改善・解消、「みんなのトイレ」、利用しやすい遊具、アクセス可能な遊歩道の設置などの施設整備を推進します。【観光交流局・農林水産部・土木部】 B 外国語での対応が可能な観光案内所の設置を促進します。【観光交流局】 イ ものづくり (ア)施策を進める考え方 暮らしの中で常に使われている何らかの「もの」。日々の暮らしを快適にするためには「もの」の使いやすさが重要です。また、使いやすさとは、「もの」単独での使いやすさだけではなく、「もの」を使う周りの状況なども考慮する必要があります。        (イ)目標 ○ 県民(利用者)、事業者、研究者等の間でユニバーサルデザイン製品等の情報交換が行われ、製品開発・供給が促進されていることを目指します。 ○ 公共の施設や病院、大型商業施設等大勢の人が集まる施設などにおいて調達される物品などの多くが、ユニバーサルデザインの考えでつくられた製品となり、利用者がその便利さなどを実感することができることを目指します。 (ウ)現状と課題 ○ 現状 ・ 製品開発の過程において、潜在化しているニーズも含めた利用者の多様なニーズの把握・考慮が十分に徹底されていないことがあります。 ・ ユニバーサルデザイン製品に対する県民(利用者)の認知度が低いため、事業者が製品の需要に対する不安を抱き、活発な製品開発につながっていません。 ・ 健常者の利用を想定した製品開発が中心であるため、障がい者などが不便を来している例が見られます。 ・ 一方で、障がい者など向けの特別の製品開発も行われていますが、市場が広くないため、価格が下がらず、製品の種類も十分とは言えません。       ○ 課題 ・ 県民(利用者)の利便の向上だけでなく、県全体の産業振興の観点からも、ものづくりの原点に立ち返り、多様な使い手を想定した製品開発をするための施策を積極的に実施していくことが必要です。 ・ ユニバーサルデザインでつくられた製品を普及させていくためには、ユニバーサルデザインであることが、消費者の購買意欲を刺激するような魅力を有していること。他の商品と競争可能な価格設定であること。実際に製品の使いやすさを体感することのできる機会や場を設けていくことなどが必要です。       (エ)具体的な施策 a 製品開発の支援 @ 消費者視点のものづくりを進めるため、製品の改良等を支援します。【商工労働部】 b 公共機関等における調達の推進 @ 県や市町村など公共機関等で、利用者が使用する物品などにおけるユニバーサルデザイン製品の調達を推進します。【全庁】 c 商業施設等における調達の促進 @ 大型商業施設など大勢の人が利用する施設においては、利用者が使用する物品などにおけるユニバーサルデザイン製品の調達を促進します。【生活環境部・保健福祉部・商工労働部】 ウ 情報・サービス (ア)施策を進める考え方 建物や道路などハードウェアがどれほど整備され使いやすくなったとしても、そこで提供される情報やサービスに配慮がなされていないとしたら、利用者の満足度を上げることはできません。形として存在するものだけでなく、人として人を思いやるという、ユニバーサルデザインの基本とも言うべき心があり、そこからの発露として、情報やサービスが提供されることが重要です。 (イ)目標 ○ コンピュータ等情報機器の操作方法の学習機会の提供など、情報利活用の環境が整備されることを目指します。 ○ 視覚や聴覚、言語などの身体状況等によって受け取ることのできる情報に差が生じないように、様々な情報(掲示物、表示物、看板、音声案内、行政文書、ホームページ等々)が、多様な形態・手法により提供されることを目指します。 ○ 誰にもわかりやすい表現で情報が提供されること、特に、県民の安全・安心に関わる情報については、誰もが的確に行動することができるように、表現や媒体、時期等が配慮されることを目指します。 ○ 高齢者や障がい者、外国人など多様な利用者のニーズに応じて、適切なサービスが柔軟に提供されることを目指します。 ○ 誰もが利用しやすいように、サービスを受ける手続きなどがわかりやすく簡単であることを目指します。 (ウ)現状と課題 ○ 現状 ・ 高齢者や障がい者が通信機器などを十分に活用するための環境づくりが不十分であるため、情報機器を使いこなすことができず、サービスや待遇など様々な面で格差(デジタルデバイド)が生じるなど、技術の進歩が高齢者や障がい者の生活の改善に十分に生かされていません。 ・ 医療・介護などの身近な情報や災害・事故などの緊急を要する情報について、県民が求めるものを迅速・的確に提供できないことがあります。 ・ 聴覚障がい者やコミュニケーションの障がいのある人に対して、災害・事故などの場合に必要な情報を迅速・的確に提供する仕組みがなく、これらの人たちの安全が十分に保証されていません。 ・ サービスを利用するための手続きが煩雑、窓口が分散し「たらい回し」にされる場合がある、窓口対応が画一的で顧客意識に欠けている、文書の文字が小さく表現もわかりにくいなど、県民(利用者)本位のサービスが十分に徹底されているとは言えません。 ・ 前例踏襲的な対応になりがちで、県民のニーズに応えた行政サービスを的確に提供できていないとの指摘があります。 ○ 課題 ・ 携帯電話やパソコンなどに代表される高度情報化の流れは、高齢者や障がい者をはじめとするすべての人が、個々の能力を創造的かつ最大限に発揮することを可能とするものであり、パソコンなどの機器をすべての人が利用しやすいようにしていくことが必要です。 ・ 情報の大切さが叫ばれる中、複数の知覚に訴えた情報提供、複数の手段による情報提供の徹底など、すべての人が、その求める行政情報を迅速かつ的確に入手できるような仕組みづくりを進めていくことが必要です。 ・ 障がい者などが多様な手段で情報を入手することを可能とするため、点字やパソコン要約筆記※などが行える人材の育成を進めていくことが必要です。 (※ パソコン要約筆記:人が話している内容を要約してパソコンに入力すること。一般的には、要約したものをその場でスクリーンなどに映し出して文字として見せることをいいます。) ・ 全体への奉仕という行政の原点に立ち返り、すべての人に利用しやすい県民(利用者)本位の行政サービスの提供を徹底していくことが必要です。 (エ)具体的な施策 a 様々な形態による情報提供の推進 (a) 情報活用の支援 @ 児童生徒が、社会の情報化の進展に主体的に対応できるよう、情報活用能力を高める教育を推進するとともに、情報モラル教育の充実を図ります。【教育庁】 A 発達の段階に応じて、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段の活用に関する能力を身につけさせ、各教科等においてICT※を活用した学習活動を推進します。そのために、情報教育に関する研修等を通して、教員のICTに関する指導力の向上を図ります。【教育庁】 (※ ICT:情報通信技術(Information and Communication Technology)ネットワーク通信における情報の共有を念頭においた言葉で、従来使われてきたIT(Information and Technology)に代わって使われることが多くなってきている。) B 障がい特性に応じたコミュニケーション支援のため、手話通訳者、要約筆記奉仕員、盲ろう者通訳・介助員、点訳奉仕員、音訳奉仕員の養成を促進します。【保健福祉部】 C 高齢者や障がい者等が、日常生活に必要不可欠な商品を身近な場所で無理なく購入できるよう、関係機関と連携してICTを活用した配送システムなど商業環境の整備に努めます。【企画調整部・商工労働部・土木部】 (b) 複数の手段・知覚による提供 @ 行政や議会などの情報について、複数の手段(新聞、テレビ、ラジオ、インターネット、印刷物)により広報します。また、テレビ広報においては、手話通訳やテロップ※、資料映像等を用いることにより、多くの人にわかりやすく親しみやすい番組を放送します。【知事直轄・議会事務局・全庁】 (※ テロップ:放送画面上に付加される文字情報。現在では、マークやキャラクターなどを加えたグラフィカルな表現が多くなっています。) A 文字(外国語含む)、点字、音声などの複数の知覚に訴える広報を推進します。【知事直轄・全庁】 B インターネット広報での閲覧者が利用する多様なブラウザに対応可能なホームページの作成、外国語によるホームページの充実に努めます。【知事直轄・全庁】 C 県や県議会のホームページに音声読み上げソフトを導入するとともに、県広報誌を点字化し県議会新聞広報を音声テープ化するなど、視覚障がい者や高齢者が行政、議会情報に接しやすい環境づくりを推進します。【知事直轄・議会事務局・全庁】 D 標準案内用図記号を取り込んだ「ふくしま公共施設等ユニバーサルデザイン指針」等を参考に、絵、音声、点字、外国語などの多様な手法を組み合わせた、すべての人にわかりやすい案内表示を推進します。【土木部】 (c) 分かりやすく迅速・的確に提供 @ 県のすべてのホームページを「福島県ホームページの作成に関する手引き」に則ったものへ改訂します。【知事直轄・全庁】 A 「福島県ホームページの作成に関する手引き」の内容の充実、ホームページでの公開などによる内容の周知に努めます。【知事直轄】 B 防災・災害情報などを迅速・的確にすべての人にわかりやすい形で提供します。【生活環境部・土木部】 C 初期救急医療や医療機関の基本情報をすべての人が迅速・的確に入手できるネットワークシステムの充実に努めます。【保健福祉部】 D 災害時における安全確保を図るため、情報伝達体制の整備を促進します。また、災害時の災害情報を適時に入手できるよう、障がいに応じた災害情報提供手段の整備を促進します。【保健福祉部】 E 原子力災害に関する情報を平常時からわかりやすい表現で周知し、災害発生時にも迅速かつ的確に情報を提供します。【生活環境部】 b 様々な形態によるサービスの提供の推進 (a) 利用者(ユーザー)意見の反映 @ 施策の決定過程におけるうつくしま県民意見公募(パブリック・コメント)※を積極的に実施します。【知事直轄・全庁】 (※ うつくしま県民意見公募(パブリック・コメント):県民生活に密接に関連する条例や計画などの重要な施策について、県民の意見を募り、県の施策決定に反映しています。福島県では、「うつくしま県民意見公募」(パブリック・コメント)として、平成14年10月1日から施行しています。) A 県民の幅広い意見等を県政に効果的に反映させるため、県民提案制度や県政世論調査を実施します。【知事直轄・全庁】 B 外国人に対する県民アンケートを実施するなど、外国人のニーズに対応した行政サービスの提供に努めます。【生活環境部】 (b) 提供するサービスの向上 @ 職員に対して、窓口サービスを改善するための接遇マニュアルの周知徹底に努めます。【総務部・全庁】 A 「人にやさしい観光地づくりガイドライン※」(平成12年(2000年)福島県)の周知徹底などによる接客サービスの向上に努めます。【商工労働部】 (※ 人にやさしい観光地づくりガイドライン:観光産業に携わる人に対し、観光施設、宿泊施設、交通機関などのバリアフリー化を進める上で指針となるような考え方や内容を示すことを目的として平成12年3月に策定された県のガイドライン。高齢者や障がい者の自由行動、自由参加を促進することを基本的な方向としています。) B 外食をするすべての人が安心して楽しめるよう、メニューへの栄養成分や食材情報などの表示をレストランなどへ働きかけます。【保健福祉部】 C 審議会や県主催の講習会等での、外国語通訳、手話通訳、パソコン要約筆記や託児室の設置等、障がい者、外国人や育児中の人が参加・傍聴しやすい環境づくりを推進します。【生活環境部・全庁】 (c) 利便性の向上 @ 電子投票※の導入に向けた具体的な方策を研究します。【選挙管理委員会事務局】 (※ 電子投票:タッチパネルに触れて投票するなどの電子機器による投票。目の不自由な人のためにヘッドフォンによる音声説明の装置もついており、結果的に障がい者の参政を促す効果もあります。) A わかりやすい行政文書の作成を進めます。【総務部・全庁】 B FAXなどによる公文書の開示請求の受付けを引き続き実施します。【総務部・議会事務局】 C 県政講座を県民が利用しやすいものにするため、そのメニューの拡充等を実施します。【知事直轄・全庁】 D 電子調達システム(電子入札※、電子納品)を導入し、入札手続きの利便性と調達過程の透明性を高めます。【総務部・農林水産部・土木部・出納局】 (※ 電子入札:入札参加条件を満たす者が、公共事業の入札手続きをインターネットを通じて電子的に行うもの。参加条件を満たす者が誰でも容易に入札に参加できる環境を実現するものであり、請負業者にとっては、競争性や受注機会の拡大、事務処理の迅速化によるコスト縮減が期待されます。) (d) その他 @ コラッセふくしま2階に開設している「経営支援プラザ」では、中小企業が直面する課題の解決やユニバーサルデザインの導入を支援します。【商工労働部】 A 商店、ホテルなど、サービス関連事業者を対象とした研修会を支援・実施します。【商工労働部】 エ 指標 No. 指標名 現状値(20年度) 目標値(26年度) 1 県営住宅のバリアフリー※1化率 27.0% 30.0%以上 2 やさしさマーク交付件数(累計) 380件 500件以上 3 無電柱化された道路の延長(累計) 79.5km 100.0km以上 4 すべての人が安心して通れるように配慮して整備された歩道の延長(累計) 467.0km 580.0km以上 5 乗合バス会社におけるノンステップバスの導入率 2.3% 5.0%以上 6 エレベーター・エスカレーター設置済の主要駅※2数(累計) 5駅 6駅 7 みんなに見やすい信号機(LED式)の設置率 20.8% 38.0%以上 8 「持続可能な歩いて暮らせるまちづくり」に取組んでいる市町村数(累計) 30市町村 59市町村 9 うつくしまものづくり大賞の応募数(2年に1度募集) 34件 35件以上 10 コミュニケーション支援従事者※3の養成者数 52人/年 42人/年以上 11 うつくしま健康応援店(栄養成分表示をしている店舗)数(累計) 270店 450店以上(22年度) (※1 バリアフリー:高齢者や障がい者などが社会生活を営む上での様々な障壁(バリア)を除去すること。物理的な障壁、文化、情報面の障壁、意識上の障壁があるとされています。) (※2 主要駅:1日の利用者数が5,000人以上の駅) (※3 コミュニケーション支援従事者:手話通訳者10名、盲ろう者通訳・介助員10名、要約筆記奉仕員10名、点訳奉仕員12名、音訳奉仕員12名の計54名の養成を目指しますが、点訳奉仕員の養成は2カ年で行うため、全体の養成者数は隔年で42名と54名になります。(目標年度である平成26年度は、点訳奉仕員が養成途中の年度にあたるため、42名の目標値となります。)なお、平成20年度は手話通訳者11名、盲ろう者通訳・介助員20名、点訳奉仕員10名、音訳奉仕員11名の計52名が養成されました。) 第4章 計画の推進について  連携・協働による推進 ユニバーサルデザインを推進していくためには、県だけでなく、市町村、県民、民間団体、事業者のそれぞれが、共通の理解・目標の下、連携・協働して取り組んでいくことが重要です。 1 県の役割 (1)総合的な推進 ユニバーサルデザインは、建物や製品、サービスや情報などが単独でユニバーサルデザインであるだけではなく、相互に関連しあうことで、私たちが暮らす社会全体の質の向上につながっていきます。 また、どれほどハードウェアが整備されていても、そこで活動する人のハート(心)が伴っていなければ、決して快適な暮らしを実現することはできません。 例えば、ある建物の中で、建物自体の使いやすさ、出入り口に段差がないとか、自動ドアの設置、廊下の幅やエレベータの設置、トイレの広さや配置などだけでなく、目的の部屋や部署へ案内する情報の在り方や、使用する製品の使いやすさ、さらには、そこで受けるサービスや職員などの対応の仕方など、様々な要素が渾然一体となって全体の快適さにつながっています。 建物から一歩外に出たときに、道路の状況はどうなっているか、公共交通機関は、十分に機能しているか、乗降も含めて不自由なく利用することができるか。初めての街でも目的地まで迷わずに行くことができるか、そこで活動する人の意識が伴っているかなど、常に県民の暮らし全体の向上を念頭におきながら、各分野の施策を総合的に実施していきます。 (2)進行管理 福島県ユニバーサルデザイン推進本部において、計画の進行管理を行います。 また、次のとおり毎年度進捗状況等を把握し、着実な推進を図ります。 ア ユニバーサルデザイン推進リーダーは、毎年4月末までに当年度の「事業計画表」を作成し、取組みを進める。 イ ユニバーサルデザイン推進リーダーは、翌年4月末までに前年度事業の進捗を記載した「事業実績表」を作成する。 ウ 「事業計画表」と「事業実績表」は、総括ユニバーサルデザイン推進リーダーを経由して、生活環境部政策監に提出する。 (3)計画の見直し この計画自体についても、継続的な見直しを行うことにより、改善を図っていきます。 (4)県の活動内容等 県としてユニバーサルデザインを具体的に推進していくため、この計画に基づき、各分野毎に具体的な施策を検討・実施していきます。 また、県自らが実施するだけでなく、市町村や企業・民間団体、県民など県以外のユニバーサルデザインへの取組みに対し、情報提供や支援を行っていきます。 なお、県の具体的な活動は大きく分けて次の2つの点に集約されます。 ア 県自らが率先して実践 ユニバーサルデザインの推進について、@ユニバーサルデザインの考え方の普及啓発などを率先して実施する。A県が所管する基準、制度、事業などをユニバーサルデザインの視点で点検する。B公共施設や県有施設の整備において、率先してユニバーサルデザイン化を進めるなどの取組みを進めていきます。 イ 県以外の主体の活動への支援 ユニバーサルデザインの推進について、県が自ら取り組むだけでなく、市町村、県民、事業者などの主体的な取組みを促し、県以外の主体が行う取組みを積極的に支援していきます。 2 市町村への期待 市町村には、住民に最も身近な行政機関として、この計画の趣旨や内容を十分に理解し、県の取組みとの連携を図りながら、様々な分野において、ユニバーサルデザインの推進に主体的・積極的に取り組んでいくことを期待します。 具体的には、ユニバーサルデザインの推進を計画的・体系的に進めるため、@ユニバーサルデザインの推進を担当する窓口の明確化を図る、Aユニバーサルデザインの推進を担当する組織の設置や職員の配置を行う、Bユニバーサルデザインの推進に関する指針や計画などを策定するなどの取組みを期待します。 3 県民への期待 (1)ユニバーサルデザインの理解促進 ユニバーサルデザインは、急速に進む高齢化や国際化など、社会が複雑化する中で、すべての人が快適に暮らしていくために必要な価値観といえます。まずは県民自らがユニバーサルデザインへの理解を深めることが、快適な暮らしの実現に向けての第一歩となります。 職場や家庭、地域社会のなかで、ユニバーサルデザインについて話し合い、考える機会を設けるなどの取組みを期待します。 (2)人を思いやる気持ちの醸成 ユニバーサルデザインは、一見「まち」や「もの」など、ハードウェアの利用のしやすさを進める考え方に見えますが、実は、その根底には、人が人を思いやるこころの大切さが存在する考え方といえます。 困っている人がどうして困っているのかを想像し、理解し、実感することで、では自分に何ができるのかを考える。そういった「共感」が、本当のユニバーサルデザインを生み出す力になっていきます。 県民の皆さんが、困っている人に「共感」し、自分のできることを自然に行うことができるようになることを期待します。 (3)できるところから行動 県民の皆さんには、まずは、できるところから、身近なところから主体的に活動を始めることを期待します。 特に、県民一人ひとりが、行政や事業者などに対し、問題点の指摘や改善に向けた建設的な提案という形で生の声を伝えることは、ユニバーサルデザインを進めていく上で大きな力になります。この場合、行政や事業者などによい取組みを継続的・発展的に実施させる観点から、問題点を指摘するだけでなく、時には取組みを評価・支持する旨を明確に伝えていくことも重要です。 この他、@商店街、職場、自治会などでまちの住みやすさを点検・公表する、A高齢者・障がい者疑似体験を実施する、Bユニバーサルデザインの推進を目的とするNPOなどの活動に参加するなど、県民一人ひとりが自分の問題としてユニバーサルデザインの推進のための活動を開始し、徐々に活動の輪を広げていくことを期待します。 (4)行政や事業者などとの協働 ユニバーサルデザインを効果的に推進していくためには、県民一人ひとりが、この計画の趣旨や内容を十分に理解し、県民の立場から、県、市町村や事業者などの取組みに合わせ、積極的に協働していくことが重要です。 具体的には、@個人の住宅を建設する場合に、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れたものにする、Aユニバーサルデザイン製品を積極的に購入・利用する、B事業者の製品モニターなどに積極的に応募・参加するなどの取組みを期待します。 4 民間団体への期待 NPOなどの民間団体は、県民(利用者)のニーズが多様化・高度化する中で、社会を支える新たな担い手として、今後その役割はますます増大するものと考えられます。 その社会的役割に鑑み、ユニバーサルデザインの推進についても、@ユニバーサルデザインの考え方の普及、A県民(利用者)の多様なニーズの集約・公表や意見が対立した場合の調整、B個人レベルの活動のネットワーク化、C行政・事業者への県民(利用者)の声の伝達や改善に向けての具体的な提案などの活動をきめ細かく行っていくことを期待します。 5 事業者への期待 また、活動に当たっては、より多くの個人、事業者、他の団体などと連携・協働関係を築くことにより、ユニバーサルデザインの推進に関する民間活動の中心的な担い手の1つとして、その役割を十分に果たしていくこと、地域におけるユニバーサルデザインに関する活動を民間の立場から支援する拠点としての機能を果たしていくことを期待します。 さらに、この計画の趣旨や内容を十分に理解し、民間団体の立場から、県、市町村や事業者などの取組みに対して積極的に参加していくことを期待します。 5 事業者への期待 (1)社会的責任に見合う活動 事業者は、地域社会の一員として、利用者への製品・サービスの提供や従業員の雇用などを行っており、その社会的責任は極めて大きいものがあります。 このため、自らの社会的責任の大きさを自覚し、@利用者にとって真に安全・安心で利用しやすい製品・サービスの提供、A従業員にとって真に安全・安心で働きやすい職場環境の整備に積極的に取り組んでいくことを期待します。 具体的には、@社内、業界内におけるユニバーサルデザインの考え方の普及啓発、A社内、業界内でユニバーサルデザインを先頭に立って推進するリーダー的な人材の育成などを行いながら、事業活動の中で具体的な取組みを進めていくことを期待します。 また、ユニバーサルデザインの推進に関するネットワークに積極的に参画し、県民(利用者)、同業種・異業種の事業者、民間団体、大学などと交流・連携することにより、ユニバーサルデザインの推進に関する民間活動の中心的な担い手の1つとして、その役割を十分に果たしていくことを期待します。 さらに、この計画の趣旨や内容を十分に理解し、事業者の立場から、県や市町村などの取組みに対して積極的に協力していくことを期待します。 (2)利用者の視点に立った活動 事業者は、製品の企画立案から、製造、廃棄にいたるまでのすべての過程に社会的責任を有しています。このことを十分に自覚し、利用者が安心して製品を利用することができるよう、製品の製造過程などに関する情報を利用者にできるだけ公開するなどの取組みを期待します。 また、製品の企画立案の段階から、できるだけ多くの利用者の意見を聞き、それを製品づくりに反映する仕組みづくりを進めていくことを期待します。これに関連して、高齢者、障がい者や女性の雇用についても、社会的責任を果たすという視点だけでなく、自社の製品開発能力を高めるためにはこれまで以上に高齢者、障がい者や女性を開発スタッフに加える必要があるという視点を持って、積極的に取り組んでいくことを期待します。 〈参考〉 1 ユニバーサルデザインの提唱者 ユニバーサルデザインは、米国ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンター所長(建築家であり、工業デザイナー)であった、故ロナルド・メイス氏によって提唱された考え方です。 2 ユニバーサルデザインの7つの原則 ユニバーサルデザインの7つの原則は、建築家や工業デザイナー、技術者、環境デザイン研究者などからなるグループが、協力しあってまとめたもので、次のものから構成されています。 原則:簡潔で、かつ、覚えやすく表現された基本的な考え方 定義:原則に沿ったデザインをするための簡潔な方向付け ガイドライン:原則に忠実であるために必要とされる基本要件 (※ すべてのガイドラインが、どのようなデザインにも当てはまるとは限らない。) 原則1:誰にでも公平に利用できること 定義:誰にでも利用できるように作られており、かつ、容易に入手できること。 ガイドライン ・ 誰もが同じ方法で使えるようにする。それが無理なら別の方法でも仕方ないが、公平なものでなくてはならない。 ・ 差別感や屈辱感が生じないようにする。 ・ 誰もがプライバシーや安心感、安全性を得られるようにする。 ・ 使い手にとって魅力的なデザインにする。 原則2:使う上で自由度が高いこと 定義:使う人のさまざまな好みや能力に合うように作られていること。 ガイドライン ・ 使い方を選べるようにする。 ・ 右利き、左利きどちらでも使えるようにする。 ・ 正確な操作がしやすいようにする。 ・ 使いやすいペースに合わせられるようにする。 原則3:使い方が簡単ですぐわかること 定義:使う人の経験や知識、言語能力、集中力に関係なく、使い方がわかりやすく作られていること。 ガイドライン ・ 不必要に複雑にしない。 ・ 直感的にすぐに使えるようにする。 ・ 誰にでもわかる用語や言い回しにする。 ・ 情報は重要度の高い順にまとめる。 ・ 操作のためのガイダンスや操作確認を、効果的に提供すること。 原則4:必要な情報がすぐに理解できること 定義:使用状況や、使う人の視覚・聴覚などの感覚能力に関係なく、必要な情報が効果的に伝わるように作られていること。 ガイドライン ・ 大切な情報を十分に伝えられるように、絵や文字、手触りなど異なった方法を併用する。 ・ 大切な情報は、(例えば大きな文字で書くなど)できるだけ強調して読みやすくする。 ・ 情報をできるだけ区別して説明しやすくする(やり方が口頭で指示しやすくなるように)。 ・ 視覚、聴覚などに障がいのある人が利用しているさまざまなやり方や道具でも、情報がうまく伝わるようにする。 原則5:うっかりミスや危険につながらないデザインであること 定義:ついうっかりしたり、意図しない行動が、危険や思わぬ結果につながらないように作られていること。 ガイドライン ・ 危険やミスをできる限り防ぐ配慮をすること。頻雑に使うものは最もアクセスしやすくし、危険なものはなくしたり、隔離したり、覆うなどする。 ・ 危険なときやミスをしたときは警告を出す。 ・ 間違っても安全なように配慮する。(フェイルセーフ) ・ 注意が必要な操作を、意図せずにしてしまうことがないように配慮する。 原則6:無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること 定義:効率よく、気持ちよく、疲れないで使えるようにすること。 ガイドライン ・ 自然な姿勢のままで使えるようにする。 ・ あまり力を入れなくても使えるようにする。 ・ 同じ動作を何度も繰り返すことを、できるだけ少なくする。 ・ 体に無理な負担が持続的にかかることを、できるだけ少なくする。 原則7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること 定義:どんな体格や、姿勢、移動能力の人にも、アクセスしやすく、操作がしやすいスペースや大きさにすること。 ガイドライン ・ 立っていても座っていても、重要なものは見えるようにする。 ・ 立っていても座っていても、あらゆるものに楽に手が届くようにする。 ・ さまざまな手や握りの大きさに対応する。 ・ 補助具や介助者のためのスペースを十分に確保する。 ※ 原文はVersion2.0-4/1/97 THE CENTER FOR UNIVERSAL DESIGN North Carolina State University。また、日本語訳文の責任者は、古瀬敏、安澤徹也、柳田宏治、清水道子及び堀川美智子(敬称略)。