ユニバーサルデザインの視点に立ったイベント企画・運営の手引き 平成17年3月 福島県 目次 ◆ この手引きの目的・使い方 T 各イベント共通配慮事項 1 企画   (1) 開催日程  (2) 会場設定  (3) 前回の反省事項の改善 2 広報・参加申込み  (1) 広報の時期・方法・内容  (2) 参加申込みの方法・内容 3 配付資料の準備  (1) 資料の作成  (2) その他の資料 4 設営  (1) 会場配置  (2) 案内表示(サイン)  (3) 休憩スペース・託児室等の設置 5 運営  (1) 受付・案内  (2) 託児  (3) 非常時の対応 6 終了後  (1) 開催記録等の作成  (2) 検証作業 7 その他  (1) 企画・運営への当事者の参加  (2) 環境への配慮 U イベント別配慮事項  1 講演会・セミナーなどでの配慮事項 ◆ 各種サービス依頼・問い合わせ先 ◆ 参考資料 この手引きの目的・使い方 [目的]  福島県では、「思いやりをシステム化」をキーワードに、「年齢や性別、障がいの有無、言語などの違いにかかわらず、すべての人が安全・安心で快適に利用しやすいように、建物、製品、サービスなどを計画、設計する」ユニバーサルデザインの考え方を、県政のあらゆる分野で推進することとしています。  そこで、県が各種イベントを主催するにあたっても、このユニバーサルデザインの考え方に基づき、より多くの方に快適かつ安全、安心に参加していただけるような企画・運営をするための手引きとして作成しました。  また、この手引きは、前述のように県が主催するイベントを対象にしていますが、市町村や各種団体等の開催するイベントにも参考にしていただくことを期待しています。 [使い方]  イベントには、屋内での講演会から、屋外での展示会やスポーツ大会など、様々なものがあります。そこで、主催者側で、開催するイベントの対象者や規模、内容等を勘案しながら、取り入れるべき又は取り入れることのできる項目について判断し実践してください。  なお、巻末に参考資料として図書などを記載しましたので、施設・設備の詳細や、高齢者や障がいのある方への配慮など、より具体的に知りたい場合には、そちらも参考にしてください。   [構成]  「T 各イベント共通配慮事項」では、各種のイベントを開催するにあたっての一般的留意事項をチェックリスト形式で、「U イベント別配慮事項」では、イベント種別毎の留意事項として、特に「講演会やセミナー等」を開催するに当たって注意すべき項目について記載しています。この「U イベント別配慮事項」については、今後、改訂毎に追加していく予定です。  また、巻末には参考資料の他に、各種サービスを手配するにあたっての依頼・問い合わせ先を紹介しています。 [その他] この手引きは、実際にイベントを開催した方々や参加した方々の意見を参考に、順次改訂していく予定です。 T 各イベント共通配慮事項 1 企画   (1) 開催日程  より多くの方が参加しやすい時期、曜日、時間などを設定しましょう。  例えば、広く一般を対象とするのであれば仕事のない週末の午後など、商業・サービス関係者が対象であれば多忙な週末は避け、時間のとりやすい平日の夕方6時以降などに設定するなどの配慮が必要です。  (2) 会場設定 会場となる施設内でのスムーズな移動の確保はもちろん、その会場までの交通手段や周辺の環境にもバリアのないことを確認しましょう。 @ 会場の設備  その施設が、すべての方にとって利用しやすいものか確認します。施設内外の動線を確認し、もし、案内表示がわかりにくかったり、段差などのバリアがある場合には、代替・補助手段を用意する必要があります。  また、参加者のための休憩スペースや、車いす席、託児室等の設備についても確認します。 A 周辺環境  公共交通機関で会場に来るまでの経路を調べ、最寄りの駅・バス停等からの距離やわかりやすさ、歩道の安全性等について確認します。  (3) 前回の反省事項の改善 過去に開催した同様のイベントの反省点について、検討・改善を行いましょう。 チェック・ポイント (1)開催日程 時期 □ 年末・年始・お盆など、対象となる方が多忙な時期は避ける。 □ 対象とする方が参加しやすい曜日に開催する。 時間帯 □ 対象となる方が無理なく参加できる時間帯に設定する。  □ 開始・終了時間が、通勤ラッシュ等交通機関の混雑する時間と重ならない。 (2)会場設定 @会場の設備 施設全体 □ 施設(敷地)内外の案内はわかりやすく、安全でスムーズな動線が確保できる。 □ 施設(敷地)内外に段差がない。段差がある場合にはスロープなどがある。 □ 参加者が使える休憩スペースがある。 □(会場が2階以上の場合)エレベーターがある。 □ 十分な数の駐輪場および、車いす使用者用駐車場がある。 □ (場合により)十分な数の駐車場がある。 □ 障がいのある方や子どもなどが使えるトイレ、乳幼児のための授乳室がある。 (会場と同フロアにあることが望ましい) □(託児サービスを提供する場合)託児室、又は託児室として使用できる畳又はカーペット敷きの部屋がある。 会場 □ 出入り口・通路は、段差がなく、車いすでもスムーズに利用できる充分な幅がある。 □ 車いす席、又は車いす席として使えるスペースがある。 □ (会場の広さに応じ、)スピーカーや、文字電光板などの情報装置がある。 A周辺環境 交通手段 □ 電車・バスなど、公共交通機関を利用して容易に来場できる。 □ 施設がわかりやすいところに位置しているか、または、わかりやすい案内表示がなされている。 安全性等 □ 最寄りの駅やバス停、駐車場等からの歩行者の安全が確保できる。 □ 大きな段差や、歩道をふさぐ電柱などのバリアがない。 2 広報・参加申込み (1) 広報の時期・方法・内容 イベントの開催前には、充分な周知期間をとりましょう。 また、より多くの方に知っていただけるよう、ポスター、チラシ、新聞広報などの活字媒体の他、テレビ・ラジオなどの電波媒体、点字広報など、多くの伝達手段を利用しましょう。特に、インターネットは、視覚・聴覚・身体に障がいのある方にとって重要な情報源となっていますので、必ず活用するようにしましょう。 広報を行う際には、イベント内容や開催日程の他、会場までの地図や、公共交通機関の案内、施設のバリアフリー情報、手話通訳や託児など各種サービスの有無についても記載しましょう。なお、文字の大きさや色彩(ポスター等)、言葉使いなど、見やすさ、わかりやすさに配慮することも大切です。 (2) 参加申込みの方法・内容 事前に参加申込みを受ける場合には、郵送だけではなく、FAX、電話、インターネットなど、広報同様に、複数の手段により受け付けるようにしましょう。 また、申込用紙などには、手話通訳や託児サービス、車いす席など、提供するサービスを記載し、希望するものについてチェックする欄を設けましょう。申込み不要のイベントでも、当日急な要望にあわてることのないよう、各種サービス*1のニーズを把握しておくことが望ましいでしょう。 チェック・ポイント (1)広報の時期・方法・内容 時期 □ 充分な広報・周知期間をとる。 方法 □ 広報用ポスターやチラシ等の印刷物、県広報紙(点字広報も含む)や新聞広報、各種団体の機関誌への掲載など、活字媒体を活用する。 □ テレビ・ラジオ広報など電波媒体を活用する。 □ 自らのホームページで広報する他、各種広報サイトへの掲載などインターネットを活用する。 内容 □ 開催日時・場所・内容・参加方法、問い合わせ先等を明確にする。 □ カタカナ語や専門用語をさけ、わかりやすい言葉を使う。 □ 交通手段の案内、会場案内図などがある。 □ 手話通訳や要約筆記、託児など各種サービスについて案内する。 印刷物・ホームページ □ 文字の大きさや字間・行間、配色やレイアウトなどが見やすい。 □ 女性や障がいのある方、外国人などに差別的な印象を与えない。 □ 施設内外の案内(公共交通機関の案内、会場の見取り図、バリアフリー情報など)がある。 □ 点字や二次元コード(SPコード*1)、外国語の案内を作成する。 □ ホームページに掲載する情報は、音声読み上げソフトで対応できる HTML形式で掲載する。 (2)参加申込みの方法・内容 方法 □ 郵送の他、FAX、インターネットでも受け付ける。 □ 電話で受け付ける場合には、様式をつくるなど手順を明確にする。 ─ 内容 □ 申込書等には、希望する各種サービスを記載する欄を設ける。 □ プライバシーに配慮し、年齢・性別など不必要な記載欄は設けない。 □ 参加者氏名などの個人情報は厳重に管理する。 3 配付資料の準備 (1)資料の作成  パンフレットなどの配付資料については、字の大きさやフォント、レイアウト、色彩のコントラストなど、わかりやすさ、見やすさを意識して作成しましょう。  また、子どもや外国人、知的障がいのある方のために、ふりがなをふったり、高齢者や視覚に障がいのある方のために、拡大文字(18ポイント以上の大きな文字)や点字で作成した資料を別に用意するのも望ましいことです。 (2)その他の資料 関連する事業・イベントのパンフレットや会場周辺の駐車場案内図など、参加者が必要と思われる資料も用意しておきましょう。県外からの参加者が多い場合などは、県内の情報マップなどを用意することも望ましいでしょう。 チェック・ポイント (1)資料の作成 内容 □ 文体は平易なもとのし、簡潔でわかりやすい表現にする。 □ 大きな文字(印刷物ならば12p程度)や見やすいフォントを使う。 □ 文字と背景の明暗や、図表・イラストの解像度・色彩などを、はっきりと見やすくする。 □ 必要に応じてふりがなや絵文字を付ける。 ─ 種類 □ 視覚に障がいのある方のために、拡大文字・点字の資料を作成する。 □ 特定の国からの参加が多い場合には、その国の言語の資料を作成する。 (2)その他の資料 関連資料 □ 関連する事業やイベントのパンフレット等を準備する。 □ (必要に応じ)会場周辺の駐車場案内図や、情報マップ等を用意する。 4 設営 (1) 会場配置  すべての参加者に快適に過ごしていただくために、わかりやすく安全な会場配置とし、余裕を持った通路幅を確保しましょう。  展示物は、子どもや車いすの方でも見ることの出来る高さに配置し、通路や誘導ブロックの上などにものを置かないようにしましょう。 (2) 案内表示(サイン)  会場内の動線を確認し、要所要所に見やすい大きさの案内表示(サイン)を設置しましょう。既存の表示がわかりにくい場合は、施設側の了解を得て、臨時の案内表示を配置し、初めてその施設に来た方も迷うことがないようにしましょう。  また、表示には、文字の他に、視覚に障がいのある方のための点字や、子どもや外国人でもわかる絵文字を併記するのが望ましいでしょう。 (3) 休憩スペース・託児室等の設置 @ 休憩スペース  会場の利用しやすい場所に配置し、椅子等を備えます。また、喫煙所は別に設けましょう。 A 託児・授乳スペース 子ども達が楽しく過ごすことの出来るよう、託児スタッフと相談して、おもちゃや絵本、ビデオ等を用意するとともに、安全のため、角があるものや倒れて危険なものは取り除きましょう。 また、授乳スペースは、プライバシーのための仕切などを設けましょう。 B 救護スペース 横になって休むことの出来るベッド等を用意し、必要な医薬品を備えましょう。 チェック・ポイント (1) 会場配置 会場設備 □ 参加者の動線を考えた会場配置になっている。 □ 通路幅は、混雑や車いすとのすれ違いにも対応できる余裕がある。 □ 階段や段差、床面の凸凹などがない、またはあっても簡易スロープなどで対処している。 ─ 受付・案内 □ 会場内の主要な出入り口付近などに目立つように設置する。 □ カウンターなどは、子どもや車いすの方でも使用できる高さにする。 ─ 展示物等 □ 子どもや車いす利用者にも見ることの出来る高さに設置する。 □ アンケート等を書くスペースには、机と椅子を配置する。 □ 通路や誘導ブロックの上、案内表示の前などに置かない。 (2)案内表示(サイン) 位置等 □ 施設の外から会場までの誘導表示を設置する。 □ 受付、案内所、トイレ等主要設備の案内表示を設置する。 □ 受付や案内所では、提供サービス(通訳や車いす貸出等)を明示する。 表示方法 □ 太く大きな文字表示で、色彩ははっきりしている。 □ 日本語表記の他、点字や絵文字、外国語による表示がある。 □ 会場見取り図等は子どもや車いすの方でも見える高さに設置する。 触知図があればなお良い。 (3)休憩スペース・託児室等の設置 休憩スペース □ 会場内の利用しやすい場所に、喫煙所とは別に設ける。 □ 椅子等を配置する。 託児室 □ 床が硬い場合にはカーペット等を敷き、角があるものや倒れそうなものなど危険なものは取りのぞく。 □ 託児スタッフと相談し、子どもの年齢に合わせ、安全なおもちゃや絵本、ビデオなどを用意する。 授乳スペース □ プライバシーに配慮した設備とする。 □ 給湯設備、汚物入れを用意する。(衛生面に充分注意) ─ 救護スペース □ 横になって休めるように、畳やベッドなどを用意する。 □ 応急処置の出来る医薬品を用意する。 □ イベントの種類・規模に応じて診察スペースと休むスペースを別に設ける。 5 運営 (1)受付・案内  あらかじめスタッフ全員で、会場内外の主要な設備の配置や、障がいのある方への対応のしかた等を確認し、問い合わせや介助などの要望に即時に応じることが出来るようにしておきましょう。なお、スタッフは一見して運営スタッフであることが識別できる服装やサインを身につけるなど、だれにでも気軽に問い合わせができるような工夫が必要です。  また、イベントの種類や規模に応じて、手話や外国語の通訳者や介助スタッフ等、対応すべきサービスを検討し用意しましょう。 会場内のアナウンスなど音声案内を行う場合には、簡潔なわかりやすい表現を心がけ、重要な情報は繰り返すなど、確実にその情報が伝わるような配慮が必要です。   (2)託児  託児申込時に保護者名と子どもの氏名・年齢等を確認するのはもちろん、申込書の半券などでお迎えの際に保護者を確認するなど、子どもを安心して預ける事が出来るようにしましょう。  また、あらかじめ託児保険に加入しておきましょう。 (3)非常時の対応  スタッフ全員で、避難経路と誘導方法について確認しておきましょう。小さな子どもや高齢者、障がいのある方の誘導についてもあらかじめ分担等を決めておくことも必要です。  また、救護スペースには、看護師や保健師など、医療知識を有するスタッフを配置しましょう。イベントの種類によっては、医療機関との連携も必要となります。 チェック・ポイント (1)受付・案内 スタッフの確認 □ 会場の主要設備の配置、障がいのある方等への案内・介助の方法について事前にスタッフ全員で確認する。 □ ジャケット、腕章、ネームプレートなど、スタッフであることが確認できるサインを身に付ける。 提供するサービス □ 手話や筆談、外国語、介助等の要望に対応するスタッフがいる。 □ 貸し出し用車いすやベビーカーがある。 □ 会場内外の案内図や公共交通機関に関する情報が提供できる。 配置 □ 最寄りの駅やバス停、会場内外の迷いやすい場所などに、必要に応じ案内や介助を行うスタッフを配置する。 音声案内 □ 簡潔でわかりやすい表現にするとともに、重要な情報は確実に伝わるようにする。 (2)託児 受付 □ 子どもの氏名・年齢や保護者の氏名のほか、持病等の有無を確認する。 □ 熱がないこと、病気にかかっていないことを確認する他、お気に入りの遊び等を聞いておく。 □ 申込み用紙の半券を渡すなど、保護者を確認できるようにする。 ─ 保険への加入 □ 事前に託児保険に加入する。 (3)緊急時の対応 避難・誘導 □ スタッフ全員で避難経路を確認する。 □ 小さな子どもや高齢者、障がいのある方の誘導経路を確認し、担当を決める。 □ 状況や避難方法について、アナウンスなどの音声情報だけではなく、文字情報でも提供できるようにしておく。 ─ 救護 □ 看護師、保健師などの救護スタッフを配置する。 □ 医療機関との連絡体制を確保する。 6 終了後 (1)開催記録等の作成   県民向けの開催記録、実施報告などを作成する場合は、「3情報提供(1)資料の作成」にならい、より多くの方にわかりやすい資料を作成しましょう。  また、冊子が手に入らない方や視力に障がいのある方のために、ホームページにも掲載するのも望ましいことです。 (2)検証作業   参加者を対象にアンケートを実施したり、意見箱を設置するなど、より多くの意見を収集しましょう。収集した意見は、取りまとめ、次回以降の開催に役立てます。   また、参加者も加わった反省会などを開くことも望ましいでしょう。 7 その他  (1)企画・運営への当事者の参加  参集対象者の意見を反映するため、必要に応じて企画に参加してもらいましょう。  また、特に障がいのある方や子育て中の親、高齢者など、当事者に参加していただくことでスムーズな運営を図ることが出来ます。  (2)環境への配慮  環境への配慮もユニバーサルデザインの重要な要素です。イベントの開催にあたっては、「うつくしまエコイベントマニュアル」を参照してください。 U イベント別配慮事項 [講演会・セミナーなどでの配慮事項] 1 事前の準備 (1) プログラム構成  参加する方の負担とならないような時間配分としましょう。冗長なあいさつは避ける、プログラムが長時間に及ぶ場合は休憩時間を設ける、などの配慮が必要です。  また、必要に応じてリハーサルの時間をとりましょう。 (2) スライド・OHP等の使用  講演などでスライドやOHP等を使用する際には、文字の大きさやフォント、図表の見やすさに気を付けましょう。一般には、1頁に8行くらい、フォントは明朝体よりゴシック体の方が望ましいと言われています。また、文字と背景色、図表の色彩のコントラストは、はっきりと見やすいものにしましょう。  また、発言者との打ち合わせの際には、画面の見づらい後方に着席している方や、視覚に障がいのある方のために、表示中のスライド・OHP等の内容について、文字に頼らず、簡単なコメントを添えてから説明するように依頼しましょう。 (3) 手話通訳・要約筆記の手配  聴覚に障がいのある方への情報提供として、手話通訳や要約筆記があります。 手話通訳は、その講演の内容・長さにもよりますが、2人から3人が一組となり、交代で同時通訳を行います。  要約筆記は、講演者の発言内容を逐次要約・筆記して、参加者に提供するもので、3人から4人が一組となって行います。講演会等では、OHPやパソコンを使用し、プロジェクターでスクリーンに投影しますが、直前に聞いた内容を文字で確認できるので、聴覚に障がいのない方にも好評です。 手話通訳、要約筆記、どちらのサービスを利用する場合にも、次第やシナリオ・原稿などを前もって提供するのはもちろん、会場での位置、機材のセッティング、作業スペースの場所などについて、事前に綿密な打合せを行いましょう。 (4) その他(各種サービスの手配)  盲ろうの方や外国語を使う方への通訳手配など、そのイベントの内容や参加者を考慮し、より多くの方に参加いただけるようなサービスを提供しましょう。 2 会場設営 (1) 会場配置  座席・机などの配置は、快適な参加と、スムーズで安全な移動を確保するために余裕をもった配置としましょう。また、様々なニーズを持った方のためのスペースを確保することも必要です。(配置図例参照) (2) 照明  スライドやビデオで照明を落とす場合には、手元の資料が読めるくらいの明るさが、安全のためにも望ましいでしょう。また、講演者のほかに手話通訳者のためのスポットライトを用意しましょう。 3 運営 (1) 案内  会場が混雑してきた場合や参加者が遅れて来た場合など、他の参加者のじゃまにならないように、速やかに空席に案内します。  車いす席や、手話通訳を利用する方が来た場合にも、無理なく所定の位置へ案内出来るよう、事前に導線や案内の仕方を確認しておきましょう。 (2) 非常時の対応  状況や避難経路についてのアナウンスはもちろんですが、聴覚に障がいのある方のために、手話通訳や要約筆記でも案内をします。  また、高齢者や障がいのある方、小さな子供なども安全に非難できるよう、誘導の手順などについて、スタッフの打合せをしておきましょう。 4 講演録等の作成  講演録を作成するに当たっては、他の資料同様、文字の大きさや字間・行間など、読みやすさに注意しましょう。  視覚に障がいのある方のために、二次元コード(SPコード)を印刷したり、点字版を作成するのも望ましいでしょう。その他、録音テープやMDなどのコピーや、テキストデータにした講演録の原稿を提供するなどの方法もあります(音声読み上げソフトがあれば、テキストデータを音声で聞くことができます)。  また、インターネット上で公開することにより、当日参加できなかった方や、印刷物を入手できない方だけではなく、視覚に障がいのある方も音声読み上げソフトを使って講演などの内容を知ることができます。  ※ 講演録の作成にあたっては、著作権にご注意ください。 【会場配置1:机なしの教室形式の例】 ○ 講演者が見えにくい場合は、移動式ステージなどを利用しましょう。 ○ 座席は余裕を持たせて配置し、150cm以上の通路幅をとります。 ○ 車いす用のスペース(幅90cm× 奥行150cm)は出入りのしやすい通路側に設けます。また、列の中央に車いすが入る場合には、1台の車いすに対して、前後2脚、横2脚の椅子をとります。 ○ 手話通訳・要約筆記の位置は会場の設備や使用機材等により異なります。 ○ 聴覚に障がいのある方の席は、講演者、手話通訳、要約筆記が同時に視野に入る所に設けましょう。 ○ 補助犬(盲導犬、聴導犬、介助犬)を連れている場合は、足元に余裕のある最前列や通路のすぐ後ろの席に案内します。 ○ 親子席は、出入り口近くの通路側に設けます。 ○ 車いす利用者など障がいのある方の席は1ヵ所に固めず、複数用意して利用者が選択できるようにするのが望ましいでしょう。 【会場配置2:机ありの教室形式で講演者がスクリーンを使う場合】 ○ 設備(スクリーンの位置、機材等)により、講演者、手話通訳、要約筆記等の場所は変わります。    原則として、手話通訳者は講演者のとなりに立ちますが、この場合は会場の広さにあわせ、スクリーン・手話通訳・要約筆記が一度に視界に入るように配置しています。 ○ 車いす用のスペースを配置する場合には、次列の机と椅子もとりますが、介助者が座る場合には椅子を残しておきます。また、机は、足が入るように荷物置きのないものが望ましいでしょう。 ○ この他については、会場配置1に同じです。 ※ パネルディスカッションやグループ発表などの発表形態や、会場の規模・設備等によって配置は異なりますので、出演者や手話通訳、要約筆記等のスタッフとよく打ち合わせて配置を決定しましょう。 各種サービス依頼・問い合わせ先 ○ 手話通訳(有償)   (社)福島県聴覚障害者協会  電話/FAX 024-522-0681   〒960-8141 福島市渡利字七社宮111 福島県総合社会福祉センター内 ○ 要約筆記(有償)   福島県中途失聴・難聴者協会  電話 024-522-4792 FAX 024-522-1516   〒960-8107 福島県福島市浜田町9−3(事務局 倉島方)   ○ 点字印刷(有償)   (社)福島県視力障害者協力会  電話/FAX 024-533-4085   〒960-8002 福島市森合町6番7号 県点字図書館内 ○ 託児(有償)   21世紀職業財団フレーフレーテレフォン 電話 024-524-2020   (ホームページ: http://www.jiwe.or.jp/gyomu/support/phone.html)   各地域のベビーシッター、保育サポーター情報を提供   ※ 託児保険は県庁消費組合でも取り扱っています。 ○ その他ボランティア   各市町村の社会福祉協議会、ボランティアセンター     ボランティアの登録・あっせん、ボランティア保険など 参考資料 県関係資料   ○ 会場設定・設営(サインを含む)について 「ふくしま公共施設等ユニバーサルデザイン指針」(H17.3)  ○ 印刷物作成について 「封筒や名刺、ネームプレート等に関するガイドライン」(H15.12) 「県政広報物表現ガイドライン〜気づいて、気づくジェンダーフリー社会」  ○ ホームページ作成について  「福島県ホームページ作成ガイドライン(第3版)」(H16.5)  ○ 障がいのある方などへの配慮等   「人にやさしい観光地づくりガイドライン」(H12.3)  ○ 環境への配慮について   「うつくしまエコイベントマニュアル(第一版)」(H15.2) 図書 ◆「イラストでわかるユニバーサルサービス接客術〜ユニバーサルデザイン時代の接客マニュアル〜」井上滋樹著、日本能率協会マネジメントセンター 高齢者や障がいのある方、子ども連れ、外国人など、様々な方々に対する、ユニバーサルサービスの考え方に基づいた接客サービスの方法を、イラストでわかりやすく解説。 ◆「いまなぜユニバーサルイベントなのか−新しいイベントの概念を求めて」 日本イベントプロデュース協会 国際見本市やスポーツ大会などの大きなものから、市町村のまちおこし企画まで、様々なイベントについて、その意義と効果的な会場の建設・設置、企画運営を探る。 ※ 上記2冊については、人権男女共生グループでも備えています。(県庁内に限り貸出します。) 他県資料 ◆埼玉県:「だれもが参加しやすいユニバーサルデザインの考え方を活かした会議・講演会実施ガイド」 (http://www.pref.saitama.jp/A02/BP00/universal/guide/meeting/index.htm) ◆石川県:「バリアフリーイベントマニュアル 〜だれもが楽しく参加できるイベントづくり」 (http://www.pref.ishikawa.jp/bf/19.html) ◆三重県:「UDイベントマニュアル〜だれもが自由に社会参加できるUDのまちづくりをめざして」 (http://www.pref.mie.jp/ud/hp/home/manual/eventb/index.htm) ◆鳥取県:「イベント等を行う場合の人権尊重の視点からの点検項目」 ( http://db.pref.tottori.jp/jinkenhp.nsf/data?OpenPage ) ◆岡山県:「人権尊重の視点に立ったイベント開催の手引き」